追加実装されたエリア会話の3年目分まとめ(2022/9/30~2023/9/29)
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初音ミク「●」,名前,名前
初音ミク「●」,名前,名前
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ミク | 一歌って、歌も演奏も本当にうまくなったよね |
ルカ | ええ、最初の頃とは見違えるほどだわ |
一歌 | ふたりとも、ありがとう。 あの頃はまだ、みんなバラバラだったな |
ミク | うん。懐かしいね |
一歌 | ……ミク、それにルカも、 もしよかったら一緒に弾いてもらえないかな? |
一歌 | 今度は私が、ふたりを引っ張って演奏するよ |
ミク | ふふ、頼もしいね、一歌 |
ルカ | それじゃあ、セッションを楽しみましょう |
ミク | ここでくるっと回って──パッ、だよ♪ |
リン | うん、やってみるね! くるっと回って──パッ! ……どうだったかな、できてた? |
みのり | できてたよ! 衣装がひらっと動くのがすっごくきれいだった! |
リン | やったぁ! 今のって、ミクちゃんとみのりちゃんで 考えてくれた振り付けなんだよね? |
ミク | うん。ちょっと悩んでたんだけど、みのりちゃんが いいアイディアを出してくれたんだよ♪ |
みのり | えへへ、いつもみんなに助けられてばっかりだったから、 ちょっとでもお返しできてたら嬉しいなぁ |
ミク | ありがとう、みのりちゃん! ねえ、よかったら次は一緒に踊ってみない? |
みのり | えっ、いいの? じゃあぜひ、よろしくお願いします! |
ミク | このあいだの、シブヤ・フェスタだったっけ。 おみやげ買ってきてくれてありがとね |
こはね | あ、ううん。どういたしまして。 気に入ったものはあった? |
MEIKO | どれも美味しかったけど、 特にかき氷は、みんなとっても嬉しそうだったわ |
MEIKO | ……そうだ。カフェのメニューに シャーベットドリンクを出すのもいいかもしれないわね |
レン | え、シャーベットとドリンクを混ぜちゃうってこと? |
こはね | フルーツ系のさっぱりしたシャーベットに炭酸を混ぜると しゅわしゅわで、サラサラした飲み物になるんだよ |
ミク | フルーツだけじゃなくて、 野菜とかでも作れるんじゃなかったっけ? いろいろパターンが作れて、楽しそうだよね |
MEIKO | ええ。さっそく試作してみようかしら。 こはねちゃん達、味見をお願いしてもいい? |
こはね・レン | 『はい!』 『うん!』 |
司 | ……む! ミク、ちょっと待った! |
ミク | え? どうしたの? |
司 | ちょっと肩のところを見せてみろ |
ミク | ほえ? |
KAITO | ……あ、衣装がちょっとほつれちゃってるね |
ミク | ええっ! そんなあ! ミクの衣装が~~……! |
KAITO | 気づかなかったな。 さっきの練習で、ちょっとひっかけちゃったのかもしれないね |
司 | だが、このくらいなら問題あるまい。 オレでもすぐに直してやれると思う |
KAITO | ありがとう、司くん。 助かるよ |
司 | ああ、任せておけ! ではステージに向かうぞ! |
ミク | やった~! ありがとう司くん! 出発ゴーゴー☆ |
奏 | ミク? そのミニドーナツ、どうしたの? |
ミク | ……さっき絵名が持ってきてくれたの。 『もらい物だけど、ダイエット中だからみんなで食べて』って |
奏 | そうだったんだ。食べないの? |
ミク | うん。リンとレン、ルカとメイコも来ると思うから、待ってる |
ミク | ひとりで食べるより、みんなと食べたほうが美味しいから |
奏 | ……そっか |
奏 | ……じゃあ、わたしもいい? |
ミク | ……うん。奏も、一緒に食べよう |
穂波 | あの、朝比奈先輩……! もしよろしければ、パンをもらってくれませんか? |
まふゆ | え? パン……? |
穂波 | はい。家庭科部でコッペパンを焼いたんですけど、 少し作りすぎてしまって……。 もらってくれる人を探していたんです |
まふゆ | そうだったんだ。……ん、いい香りだね。 綺麗に焼けてて美味しそう。あとでいただくね |
穂波 | ありがとうございます! でも、まだまだたくさんあるなぁ…… |
穂波 | あ。今日、宵崎さんのご自宅にも行くから、 パンを使ったアレンジ料理とか考えてみようかな |
まふゆ | ふふ。いいと思うよ。 奏は曲作りに熱中するとごはん食べないことも多いし……。 手軽に食べられるものだったら、助かるんじゃないかな |
穂波 | そうですよね……! じゃあ、何か軽いアレンジ料理を作ってみようと思います。 朝比奈先輩、ありがとうございます! |
類 | おや、朝比奈さん。どうもこんにちは |
まふゆ | あ──神代さん。 すごい大きな紙袋ですね |
類 | フフ、先程いい本をたくさん見つけてしまいましたので。 ショーの参考書、とでも言うんでしょうか |
類 | 僕らショーマンは常に、 新鮮で奇抜なアイディアに飢えていますから |
まふゆ | アイディアに飢えている…… |
まふゆ | (……奏が曲を作る時に『インスピレーションがないと』って 言ってるのと似たような感じかな) |
まふゆ | ──本当に、一生懸命なんですね |
類 | 僕達のショーを心待ちにしてくれているお客さんがいますからね。 朝比奈さんも、気が向いた時は、ぜひショーを見に来てください |
類 | いつでも歓迎しますよ |
まふゆ | ……はい。ありがとうございます |
まふゆ | (あのランニングしてる子、たしか絵名の弟の……) |
彰人 | ──あ、こんにちは。朝比奈さん、でしたよね? 姉の絵名が、いつもお世話になってます |
まふゆ | いえ、こちらこそ。 弟さんは、走っていらしたんですか? |
彰人 | ああ、はい。パフォーマンスを磨くために この時間は走りこみをしているんです |
まふゆ | そうだったんですか。 努力されているんですね |
彰人 | まあ、仲間もみんな、当たり前にやってますから。 ……オレだって仲間のために、休んでられないですからね |
まふゆ | ふふ、頑張ってください。 私も応援していますね |
彰人 | はい。ありがとうございます。 朝比奈さんも、姉のことよろしくお願いします |
雫 | うふふ。朝比奈さんと一緒に帰れるなんて、嬉しいわ。 ──あら? こんな街中を猫さんがお散歩してる |
まふゆ | 本当だ。人が近づいても全然物怖じしてない。 もしかして飼い猫なのかな? |
雫 | そうかもしれないわね。 よしよし、いい子。こっちにおいで~ |
まふゆ | すごいね。日野森さん、こんなにすぐ懐かれるんだ |
雫 | ふふ、この子は人懐っこいみたいね。 朝比奈さんも頭を撫でてあげて……あら? |
まふゆ | あ、逃げちゃった……。 なんだか、私、動物にあんまり好かれなくって |
雫 | そうなの? ──大丈夫よ、任せてちょうだい! |
雫 | 猫さん、朝比奈さんは怖くないわ、とっても優しいのよ。 ほら、ね? おいで♪ にゃんにゃん、にゃーん♪ |
雫 | ……あ、逃げられてしまったわ |
まふゆ | ふふっ……日野森さん、ありがとう |
彰人 | ──ふう、今日はこんなもんか |
類 | いい歌だったよ、東雲くん。 まさかこんなところで、東雲くんの歌が聴けるとは思わなかったな |
類 | 街ゆく人々が思い思いに足を止めていく……。 やっぱり路上パフォーマンスはいいものだね |
彰人 | そりゃどーも。 ま、珍しい観客がいてオレもいい刺激にはなったな |
類 | フフ、刺激は大切だねえ。 そうだ、今度ふたりで路上パフォーマンスをやってみないかい? |
類 | 東雲くんに、ぜひやってもらいたいものがあるんだ。 まだ司くんにも試していないものなんだけど── |
彰人 | は? 絶対やらねえ |
類 | おや、残念だねえ。 もし機会があればよろしく頼むよ |
MEIKO | ──はい、そこでポーズ! |
KAITO | えっと……。こうかな? |
みのり | わっ、カイトさんがかわいいポーズしてる! もしかしてライブの練習ですか? |
MEIKO | 練習というか、わたしのライブ用の ライティングテストをしているの |
KAITO | メイコさんが、自分でもどう見えるか確認したいって言うから、 今は僕がかわりにポーズをとっているんだよ |
みのり | なるほど! 自分の目で見えかたを確かめるのは大事って 愛莉ちゃん達も言ってました! |
KAITO | うん。僕もそう思って協力を申し出たんだけど…… |
KAITO | さすがに僕がメイコさんのポーズをするのは いろいろ無理があったね…… |
みのり | あはは。かわいいポーズだなって思ったら、 そういうことだったんですね! |
MEIKO | あら。しっかりポーズを再現してくれたおかげで、 すごくイメージしやすかったわよ。ありがと、カイト♪ |
KAITO | 本当? それなら、頑張った甲斐があったな |
愛莉 | ワン、ツー! そこでターン! ──からの、ピタッとフィニッシュ! |
みのり | ピタッ……! |
愛莉 | できたじゃないみのり! 今のターン、キレもあったし、 最後もふらつかなかったわよ! |
みのり | やったー! 23回目の挑戦にして、 やっと完璧にできたー! |
愛莉 | ん? 23回って……アンタ、数えてたの? |
みのり | うん! できるだけ少ない回数で完璧にマスターできるように 意識したいなって思って! |
愛莉 | へえ、そういう意識を持つことはいいことよ。 特にアンタは、体で覚える派だろうし |
愛莉 | じゃあ、次はわたしと合わせてもらおうかしら? 23回の努力が偶然じゃないって、証明してちょうだい |
みのり | もちろん! 完璧に踊るし、 愛莉ちゃんともバッチリ合わせてみせるよ! |
雫 | ねえ、みのりちゃん。みのりちゃんのおうちのサモちゃんは、 自分のお散歩コースって覚えてる? |
みのり | え? 覚えてると思うけど……それがどうかしたの? |
雫 | ほら、私、すぐ道に迷っちゃうでしょう? だからわんちゃんを飼って、私の代わりに 道を覚えてもらえばいいんじゃないかしらって思ったの |
雫 | ふふ。道にも迷わなくなるし、 可愛い家族も増えて、毎日がもっと素敵になりそうよね |
みのり | うんうん! わんちゃんはいいよ~。 そばに居てくれるだけで、すーっごく癒されるし! |
みのり | あ、だけど……頭がいいわんちゃんでも、 すぐに道を覚えられるわけじゃないと思うな。 だから、最初は誰かが道を教えてあげないとダメかも |
雫 | あら、そうなのね。それじゃあ、道を覚えるのは わんちゃんに甘えないで、自分で頑張らないとダメね |
みのり | そうだね。でも、雫ちゃんひとりじゃ大変だと思うから わたしでよければ協力するよ! |
雫 | ええ。ありがとう、みのりちゃん |
みのり | はあ……。愛莉ちゃん、いいなぁ |
愛莉 | いいなって、何が? |
遥 | 愛莉、お姉さんがいるでしょ? さっき、きょうだいがいるっていいなって話をしてたんだけど、 みのりはお姉ちゃんが欲しかったみたいだよ |
みのり | うんうん! 買い物に行ったら『これ似合うんじゃない?』って 服を選んでくれたり……! 勉強みてくれたりするんだろうなーって! |
愛莉 | んー……うちの姉はそういう感じとはちょっと違うわね。 雫はどう? お姉さんとしてそういうこと、してそうだけど…… |
雫 | そうねえ。勉強なら少し教えたことがあるけれど……。 しぃちゃんが私の選んだ服を着てくれたことは ほとんどないわねえ |
遥 | 雫と日野森さんだと、服の好み、かなり違いそうだもんね |
みのり | た、たしかに……。 うーん、お姉ちゃんに憧れすぎなのかな? |
遥 | 憧れることは悪いことじゃないと思うよ。 私も、お姉ちゃん欲しいなって思ったことあるし |
雫 | あら。それなら、私と愛莉ちゃんが お姉さんになってみるのはどうかしら! |
みのり | おおー! ぜひお願いします、お姉ちゃん! |
愛莉 | ……めちゃくちゃ乗り気ね。 もうお姉ちゃんって呼んじゃってるし |
遥 | ふふ。私も、ちょっと興味あるな。お姉ちゃん? |
愛莉 | ……な、何……このものすごい違和感! |
雫 | そう? 私は、こんな妹達がいたら毎日幸せだわ♪ ふふっ |
みのり | 見て見て、遥ちゃん! 『フラワーフェス』だって! |
遥 | うん。いろんな花が並んでるね。 こんなイベントやってたなんて、知らなかったな |
遥 | あ……あそこの青い花……。 昔、フラワースタンドでいただいたことがある花かも |
みのり | わぁ、かわいいね! それにきれいな青だなぁ。すっごく晴れた日の空みたい! |
遥 | そうだね。 たしか、花言葉も素敵な意味があったと思うんだけど……。 なんだったかな…… |
みのり | 写真撮って、一歌ちゃんに送ってみる? もしかしたら知ってるかもしれないよ? |
遥 | 星乃さん、花に詳しいもんね。 ふふ、じゃあ聞いてみようかな |
ミク | 鳥さんみたいに空を飛ぶショーかあ……。 ミクもやってみたいなぁ |
ルカ | ん……風を感じられて、とっても気持ちよさそうねぇ~。 でも、どうやったらできるのかしら? |
類 | そうだねえ。通常ならワイヤーで吊るすところだけれど…… |
類 | 複数人で、下から持ち上げるというのも、 演出的には面白いことができそうかな |
ミク | あっ! ワッショイって持ち上げるなら、メイコが得意だよっ☆ |
ミク | ミクのこと、ものすごーーーーーく高いところまで、 とばせちゃうんだ♪ |
類 | ああ……。カイトさんに怒られたっていう、 マジ高い高いのことかな |
類 | たしかに……それほど高く飛ばす必要はないけれど、 支え役として相談するのはありだね |
ルカ | それなら、早速相談しに行きましょ~。 わたしも、めーちゃんのお膝を借りたいなって 思ってたところなの |
ミク | えー! ルカ、それって寝ちゃう気だよね!? ショーの話できなくなっちゃうよー |
類 | ふむ……メイコさんに相談しに行きたいが、 行くとルカさんが寝てしまうかもしれない、と……。 これは困ったジレンマだねえ |
類 | 寧々、今度、旭さんや司くんと一緒に舞台を見に行くことに なったんだけれど、寧々もどうだい? |
寧々 | へえ……どういう作品? |
類 | 10人もの演出家が自作の脚本を持ち寄って ワンシーンずつ構成して演出をつけたという、異色の作品だよ。 面白そうだろう? |
寧々 | まあ、おもしろそうだけど……。 それ、お話としてちゃんとまとまってるの? |
類 | さあ? それは見てみないとわからないねえ |
類 | 企画としても見どころがあるし、 思わぬ発見もあるかもしれないよ? |
寧々 | たしかに……。でも、金曜日に新しいゲームが出るんだよね。 だから、今週末じゃなければつきあうよ |
類 | フフ、わかった。えむくんにも声をかけたいし、 いつにするかはまた改めて相談するよ |
寧々 | ん、わかった。よろしく |
えむ | ねえねえ! 今度のお休み、 みんなで近未来博物館に遊びに行こうよっ☆ |
寧々 | いいんじゃない? 宣伝公演の時に軽く見学したけど、 しっかり展示を見れたわけじゃないし |
司 | そうだな! 宇宙船のシミュレーターもあると聞くし、 個人的にも興味がある |
類 | ああ。かなり本格的なシミュレーターらしいね。 実は僕も興味があったんだ |
えむ | やったー! じゃあみんなで、宇宙飛行士になりに行こーっ♪ |
司 | ふふふ……。未来のスターになる前に、 宇宙のスターとして銀河で華麗に舞ってしまうなぁ |
寧々 | 何それ……。操縦の体験ができるだけでしょ? |
類 | 疑似的な無重力体験コーナーもあるみたいだから、 宇宙にいるような気分も味わえるんじゃないかな? |
えむ | おおー! テレビとかで見る ぽよよ~んふわふわーができるのかな!? |
寧々 | あ、それはちょっと楽しそう |
司 | よし。そうと決まれば、近未来博物館にある 体験型のアトラクションについて、改めて調べなければな! |
えむ | おー! |
類 | 司くん、今のシーン 動きが少しぎこちなかったけれど、体の調子が悪いのかい? |
司 | む、そうか? 原因があるとすれば…… アンドロイド役のクセが残ってしまっているのかもしれん |
司 | あの役はセリフの言い回しだけではなく、 細かな動作ひとつにも、いつも以上に気をつかっていたからな |
類 | なるほど……。たしかに、あの時のショーでは 本当にいい演技をしてくれていたね。素晴らしかったよ |
司 | まあな! スターたるもの、あれくらいはできて当然だ! |
司 | しかし、動きが抜けないというのは困りものだな。 次のショーに支障がでてしまう…… |
類 | そうだねえ。それじゃあしばらくのあいだ、 タコを演じながら日常をすごしてみるのはどうかな? 柔軟な動きが必要だから、プラスマイナスでゼロになるよ |
司 | 何をどう解釈したらプラスマイナスゼロになるんだ!? まあ、次のショーのためにもやってはみるが…… |
類 | (そこでためらいなくやってくれるのが、さすが司くんだね) |
えむ | みらいーみらいーきんみらいかん〜♪ すてきでキラキラきんみらいかんー! |
類 | えむくん、ずいぶん楽しそうに歌っているね。 『きんみらいかん』というのは、 僕達でショーをした近未来博物館のことかな? |
えむ | うん! ショーをやる前に博物館を見学させてもらったでしょ? すっごく楽しかったから、歌にしちゃったんだ~っ☆ |
類 | フフ、なるほど |
類 | ──そういえば、少し前にも何か楽し気な歌を歌っていたね。 あれもひょっとして、えむくんが作ったのかな? |
えむ | どの歌だろ? 猫さんかわいい〜の歌かな? それとも、司くん台本の書き込みすごくて 何書いてあるかわかんないよ〜の歌かなっ? |
類 | さて、どれだろうね。今でてきた歌も気になるし、 えむくんがよければ聴かせてくれないかい? |
えむ | えへへ、いいよ♪ それでは、歌いまーすっ☆ |
リン | いっちー! 今見てるの、スケジュール帳? |
一歌 | うん、そうだよ。バイトのシフトが決まったから、 書き込んでたんだ |
リン | おお〜、練習とバイトでスケジュール帳いっぱいだねっ! |
リン | ……あれ? パンのシールを貼ってる日があるけど、 これって何? |
一歌 | あ、それは焼きそばパンの日だよ。 うちの学校、購買があるんだけど 売ってるパンの種類、いろいろ変わるから |
リン | そうなんだ! あははっ、シール貼って 忘れないようにしてるなんて、いっちーかわいーっ☆ |
一歌 | ちょっと、子供っぽいかな……。 でも、やっぱり好きなんだよね。焼きそばパンが |
咲希 | ふんふん、なるほど〜…… |
MEIKO | あれ? 咲希が見てるのって、ネイルの動画? |
咲希 | はい! 実はクラスの友達に、 お母さんがネイリストの子がいるんですけど、 余ってる試供品のネイルをたくさんくれたんです! |
咲希 | それで、ちょっと本格的なのもやってみたいなって思って、 きれいにネイルを塗るコツをいろいろ見てるんです! |
MEIKO | へえ、おもしろそうだね。私も見ていい? |
咲希 | もちろんです! あ、友達がくれた試供品も一緒に見ましょー! 本当にいろんな種類があって、すごいんですよー! |
MEIKO | いいねー! ふたり合わせて指も20本あるから、 塗り比べし放題だね |
咲希 | たしかにそうですね! やったー、いっぱい試せるぞー! |
レン | えっと……たしかこの辺に…… |
レン | ……あれ? 瑞希ちゃんに教えてもらった目印があるはずなのに…… |
ミク | ……レン? こんなところで、どうしたの? |
レン | あ、ミク……。瑞希ちゃんが、 この辺りに目印になるクッションを 置いてくれたらしいんだけど……なくなっちゃってて…… |
ミク | ……それなら、リンが使ってる。 絵本を読むって言って、持っていったみたい |
レン | そうだったんだ……。 ぼく、また迷子になったのかなって思っちゃった |
ミク | ……大丈夫。もしレンが迷子になっちゃっても またみんなで探しに行くから |
レン | うん……。ありがとう、ミク |
レン | 奏ちゃん、何してるの……? |
奏 | ………… |
レン | あ、あの…… |
奏 | ……ん、レン? ごめん、気づかなくて。 今作ってる曲の展開をいろいろ考えてたから…… |
レン | う、ううん! ぼくのほうこそ邪魔しちゃってごめん……。 えっと……。あっち、行ってるね…… |
奏 | あ、待って。もしよかったら、意見をもらえないかな? こっちに来たのも、そのためだし |
レン | ぼ、ぼくでいいの? |
奏 | うん。お願いしてもいいかな? |
レン | わ、わかった……! いい意見を言えるかわかんないけど……頑張るね |
絵名 | レン、ここにはもう慣れた? |
レン | うん。最近は、あんまり迷子にもならなくなったよ |
絵名 | そっか。ていうかここって、どこまでも行けちゃうみたいだし、 迷子になったら二度と戻ってこれない怖さがあるよね |
レン | う、うん……。絵名ちゃん達も、気をつけてね |
絵名 | ありがと、レン。私達は『Untitled』を止めれば 一応元いたところには戻れるから、大丈夫 |
レン | そうなんだ……。それなら、安心だね |
絵名 | (レンって素直だし、気づかいもできていい子だなぁ。 こういう子が、私の弟だったら可愛いって思えるのに) |
リン | 杏ちゃん、こはねちゃん! これ見て! |
杏 | すごい、パンダのラテアートだ! 可愛い! |
こはね | 本当だ! もしかして、リンちゃんが作ったの? |
リン | そうだよー! ……って言いたいとこだけど、 作ってくれたのはメイコなんだ! |
杏 | へえ……! メイコさん、ラテアートもできるんだね |
杏 | ねえねえ、こはね! 私達も、このあと頼んでみようよ! |
こはね | うん! ラテアート作ってるところも、見てみたいな |
リン | じゃあ、一緒に行こうよ! わたしももっといろんなの見たいって思ってたし! |
こはね | そうだね。じゃあ、みんなで行こう! |
咲希 | あれ? いっちゃん、 いつも買ってる焼きそばパンと包装が違うね? |
一歌 | うん。今日は別のパンを買ってきたんだ |
遥 | 星乃さんが焼きそばパン以外なんて珍しいね。 何を買ったの? |
一歌 | オム焼きそばパンだよ。 今日だけの限定品なんだ。ほら、これなんだけど…… |
咲希 | わあ、焼きそばだけじゃなくて薄焼き卵もはさんであるー!! おいしそ~♪ |
遥 | 焼きそばパンであることには変わりないんだね…… |
一歌 | よかったらふたりも食べてみる? いくつか買ってあるし、おすそ分けできるよ |
咲希 | やったー! ありがとう、いっちゃん! じゃあお返しに、アタシもおすそ分けするね |
遥 | ふふ。せっかくだから、私もちょっとだけもらおうかな |
一歌 | うん! みんなで食べよう! |
こはね | 3人でカラオケ、楽しみだね! |
みのり | うん! あ、わたし、今日行くお店のクーポン持ってるよ! えーっと……ほら! ちょっと安くなるんだって! |
志歩 | 気が利くじゃん、ありがと |
志歩 | ……ん? でもそのクーポン、先週で期限切れみたいだけど…… |
みのり | へ……? ほ、ほんとだ~!? |
こはね | ……あ、でもお店のアプリを入れると 別の割引が使えるって、そのクーポンに書いてあるよ! |
志歩 | アプリね……。これかな? 登録すると、ドリンクバー無料だってさ |
みのり | おおー! ドリンクバー無料いいね! 教えてくれてありがとう、こはねちゃん! |
こはね | ふふ。気づけたのは、みのりちゃんがクーポンを 持ってきてくれたおかげだよ |
志歩 | だね。じゃあ、気を取り直して お店に向かおっか |
杏 | あれ、日野森さん。そんなところでしゃがんで、どうしたの? ……まさか、落とし物? |
志歩 | ううん。そういうわけじゃなくて……。 その……これを、ちょっと回してただけっていうか |
杏 | これ? ああ、カプセルのおもちゃかぁ |
杏 | えっと……『ぬくぬくこたつネコ♪第3弾』── へえ、気持ちよさそうにこたつに入ってて、すごく可愛いね! |
杏 | もしかして、日野森さんってこういうの好きなの? |
志歩 | まあ、可愛いし。人並みには…… |
杏 | そうなんだ! お目当てのは出た? なんなら出るまで協力するよ! |
志歩 | えっ? あ、ありがとう。 でも、もう出たから大丈夫 |
志歩 | (私の趣味聞くと、だいたいみんな珍しがるんだけど……。 なんか、逆に受け入れられすぎて驚いたな) |
ミク | カイト、よかったらちょっと合わせない? |
KAITO | ……いいよ。どの曲にする? |
ミク | じゃあ、一歌が作ってくれた曲 |
KAITO | ……ミク、あの曲が本当に好きなんだね |
ミク | まあね。だって一歌が私を……『ミク』を想って 作ってくれた曲でもあるし |
ミク | たくさん弾いて、 一歌の想いをしっかり表現できるようになりたいから |
KAITO | そっか……。なら、俺も軽い気持ちじゃ弾けないな。 少し慣らすから、待って |
ミク | わかった。よろしくね! |
ミク | 一歌達、次のライブでは一歌が作った曲も演奏するの? |
レン | あれを聴いたライブハウスのお客さん達の反応を 早く見たいよなって、ふたりで話してたんだ |
一歌 | ふふ、咲希と同じこと言ってる |
一歌 | 咲希も、練習するたびに 『早くみんなに聴いてもらいたい』って言ってくれてるよ |
レン | やっぱり、そう思うよな。 あの曲、ミクに聴かせてもらったけどいい曲だし |
ミク | うん。私も、すごく楽しみなんだ |
一歌 | ありがとう、ふたりとも |
一歌 | ライブに向けてあの曲の練習も頑張ってるから、 そんなに長く待たせないと思うよ |
ミク | 本当? じゃあ……もし邪魔じゃなければ、 私達もライブに呼んでほしいな |
一歌 | わかった。私も聴きに来てほしいし、 来てもらっても大丈夫そうな場所なら、招待させてもらうね |
レン | ああ! 約束だぞ! |
一歌 | カイト、この前はMVを作るきっかけをくれてありがとう |
志歩 | ライブにこだわる必要はない、っていう言葉、 あれのおかげで考えついたんだと思います |
KAITO | ……お礼を言われるほどのことじゃないよ |
KAITO | 本当にただ、思ったことを言っただけだし…… |
一歌 | でも、そういうカイトのさりげない言葉に、 何度も助けてもらってる気がする |
志歩 | それ、私もわかるな。 カイトさんの言葉には、深い意味があるように感じるっていうか |
KAITO | えっと……。さっきも言ったとおり、 思ったことを言ってるだけだから、あんまり気にしないで…… |
KAITO | (じゃないと、自分でもなんか意識しちゃって、 話しづらくなりそう……) |
一歌 | ──え? ミクの呼びかたを考えたい? |
咲希 | うん! いっちゃんが使ってるミクちゃんと セカイのミクちゃん、どっちもミクちゃんだから それぞれ呼びかたがあったほうがいいかもって思って |
志歩 | 呼びかたって言われても……。 普通にどっちも『ミク』でいいじゃん |
咲希 | でも、今どっちのミクちゃんの話をしてるか、 わかんなくなっちゃわない? |
志歩 | んー……。わからなくなると思う? |
穂波 | えっと、多分大丈夫な気がする |
一歌 | 私も…… |
咲希 | ええー! アタシはどうしたらいいんだろうって考えて、 昨日の夜眠れなかったのに!? |
志歩 | 大げさだな…… |
穂波 | ちなみに、咲希ちゃんはどんな風に呼びたいの? |
咲希 | それは……みんなと相談しようと思って! |
一歌 | 考えてなかったんだね…… |
志歩 | とりあえずご飯食べようよ。 昼休み終わっちゃう |
咲希 | 食べながらでいいから、考えようよー! みんなで考えたら、かわいいあだ名思いつくかも! |
一歌 | はいはい。じゃあ、試しに考えてみよっか |
咲希 | ねえねえ、Leo/needのチャンネルに 練習風景の動画とかもアップしてみない? |
一歌 | えっ、練習風景……? |
咲希 | ほら、あいり先輩達は練習中の動画も配信してるでしょ? それ見てると、がんばれーっていう気持ちがわいてくるんだよね♪ |
穂波 | たしかに、一生懸命な姿を見ると応援したくなるし、 自分も勇気をもらえるよね |
一歌 | 私は、練習してる時の演奏を聴かれるの ちょっと恥ずかしいけど…… |
一歌 | 志歩はなんて言ってるの? |
咲希 | 『練習に緊張感が生まれていいかもね』だってっ! |
穂波 | ふふ、相変わらず志歩ちゃんのものまね上手だね |
咲希 | でしょでしょー! ものは試しだしさ、とりあえず動画だけでも撮ってみようよ♪ |
一歌 | わかった。せっかく新しいことに挑戦してるんだし、 いろいろやってみないとね |
レン | あの、絵名ちゃん……。 えっと……塗り絵、できたよ |
絵名 | どれどれ……うん、上手じゃんレン。 特に花のところ丁寧に塗れてていいと思うよ |
レン | 本当? よかった…… |
絵名 | まふゆのほうはどう? |
まふゆ | ……はい |
レン | わ……! 黒と灰色の花で、かっこいい……。 これ、黒い鉛筆だけで塗ったんだよね? |
まふゆ | うん。絵名に聞いたとおりに、やってみただけだけど |
絵名 | ……あんたが器用なのは知ってたけど、 目の前でこんなにそつなくこなされると、なんか腹立ってくる |
レン | あ、え、えっと……絵名ちゃんのお花も見たいな…… |
絵名 | 私のはこれ。色鉛筆使ってカラフルにしてみたよ |
レン | わあ、すごい……! なんだかキラキラしてて、本物の花束みたい |
絵名 | ふふ。元は同じ絵なのに、塗る人でこんなに違うなんて、 なかなかおもしろいでしょ? |
レン | うん。ミクやリンから聞いて、 やってみたいって思ってたから……できてよかった。 まふゆちゃんも、一緒にやってくれてありがとう |
絵名 | ふふ、どういたしまして |
奏 | みんなごめんね、急に呼んだりして |
まふゆ | それはいいけど……。 奏、なんで枕を持ってるの? |
瑞希 | ……うん、ボクもめちゃくちゃ気になってた |
奏 | えっと……実はショッピングモールの抽選会で当たったんだ。 でも、わたしは今あるやつで十分だし……。 欲しい人がいたら、もらってくれると嬉しいな |
絵名 | あげちゃわないで、取っておけばいいような気がするけど……。 もしかして、枕が変わると寝られないの? |
奏 | そんなことはないと思う。 でも……置いておく場所が…… |
瑞希 | あ、そっちの問題か…… |
まふゆ | たしかにかさばりそうだけど、 ベッドに置いておけばいいんじゃない? 枕なんだし |
絵名 | そうだよ、奏。 せっかく当てたんだし、試しに使ってみたら? |
瑞希 | うんうん。めちゃくちゃ寝心地よくて、 効率よく疲れがとれるかもしれないよ♪ |
奏 | ……そうだね。今日の夜、使ってみようかな |
奏 | はあ……ここ何日か、体が重いな |
絵名 | 曲を仕上げるために徹夜したって言ってたよね。 それで疲れがたまってるんじゃない? |
奏 | わたしもそうかなって思って ちゃんと寝たつもりなんだけど……なんだかスッキリしなくて |
絵名 | あ、そういう時こそウォーキングがいいんじゃない? いい汗かいたら、スッキリするかも |
奏 | たしかに……。 絵名、またつきあってもらってもいいかな? |
絵名 | もちろん。 そうだ、まふゆや瑞希にも声をかけてみよっか |
奏 | そうだね。 ……ふふ、4人でウォーキングか。できたら楽しそうだね |
まふゆ | ……絵名。これ |
絵名 | 何……ってこれ! 駅前にあるマカロン専門店のマカロンじゃん! |
絵名 | 人気があってなかなか買えないって聞いたけど……。 これ、どうしたの? |
まふゆ | 絵名の家に泊めてもらったお礼。 お母さんも、持っていきなさいって |
絵名 | 別にいいのに…… |
絵名 | ……一応もらっておく。うちのお母さんも ここのマカロン食べてみたいって言ってたし |
まふゆ | ……うん。弟さんにもよろしく |
絵名 | は? 彰人は別によくない? |
まふゆ | お菓子の取り分が減るから? |
絵名 | あのね……さすがにそこまで食い意地張ってないってば。 ったく、ちゃんと渡しておくから。安心しなさいよ |
瑞希 | いやー、最っ高だったなぁ! ミラマジ特別記念展! |
瑞希 | 絵名、一緒に来てくれてありがと! おかげで入場特典も、欲しいのゲットできたよ |
絵名 | どういたしまして。それにしても、 特典欲しさに私の分のチケット代まで出すなんて…… |
瑞希 | だって、全部で4種類もあるんだよ!? しかも数が限られてる上に、ランダム配布!! |
瑞希 | どうせ何度か行くつもりだったけど、 早めにゲットしておくに越したことないしね♪ |
絵名 | はいはい。けど、欲しいって言ってたやつを 引き当てるなんて、珍しく運いいじゃん |
瑞希 | あれ? ボクそんなに運悪いイメージなの? |
絵名 | だって、アニソンのライブとかいつも抽選で外れてるでしょ? だから、そういう運はないのかなって |
瑞希 | そんなことないって! ライブは競争率がめちゃくちゃ高いせいで落ちてるだけだから |
瑞希 | ふふ~ん。近々、狙ってるライブの抽選があるから、 徳という徳を積みまくって、チケットゲットしてみせるよ! |
絵名 | はいはい。当たるといいね |
リン | あれ? 寧々ちゃん、えむちゃん、 ノートを広げて何してるの? |
えむ | 練習の時間まで、ふたりで学校の宿題をしてるんだー! あ、寧々ちゃん、さっきの数学の問題とけた? |
寧々 | うん、ありがと。やっとこの公式の使いかたが理解できたかも |
リン | わあ、えむちゃんが教えてあげてたんだね☆ |
えむ | えへへっ☆ あたし本当は、人に教えるの得意じゃないんだけど 寧々ちゃんが一生懸命考えてわかってくれたんだ~♪ |
寧々 | 最初は、xをポンしてグワワって言われて、 どうしようかと思ったけどね |
寧々 | でも、えむも頑張って説明してくれたから、 聞いてるうちにちょっとわかるようになってきたかも |
リン | そうなんだ! いいなぁ、ふたりとも楽しそう。 ねえねえ、リンも宿題、一緒にやりたーい! |
えむ | いいよー! じゃあ次の問題一緒に考えよっか! |
リン | はーい♪ |
寧々 | (高校の問題だけど大丈夫かな……) |
寧々 | (……ま、ふたりが楽しそうだしいっか) |
類 | ……おや、ルカさん。 最近、姿を見なかったけれど、どこかに行っていたのかい? |
ルカ | あら~? 別にどこにも行ってないわよ? ず~っと、このコーヒーカップのアトラクションにいたの |
司 | む? ……まさか、カップの中に入って寝ていた、 なんてことは…… |
ルカ | うふふ、だ~いせいか~い。 ここで眠ると、不思議と楽しい夢が見られるのよ? |
ルカ | つむじ風に乗ってぐるぐる~って回る夢とか 流れるプールをぐ~るぐ~る回る夢とか……。 だから、何日もここでぐっすり眠れたわ |
司 | いやそれは……夢じゃなくて、 本当に回っていたんじゃないか? |
類 | フフ、ちょうどいいゆりかごだったのかもしれないね |
寧々 | ……類……と、メイコさん? そんなアトラクションの陰で何してるの? |
類 | おや寧々。実は『マジ高い高い』というメイコさんしかできない 秘密の技について話を聞いているところなんだよ |
MEIKO | 技って言っても、単純にすっっっごく高く 放り投げるだけなんだけどね♪ |
寧々 | えっと……すっっっごくってどれくらい? |
類 | 聞くところによると、雲を突き抜けるらしいね |
寧々 | ……え? 雲って……あの、浮いてる雲? |
MEIKO | ええ! 試しにやってみる?って言いたいところだけど、 危ないからダメってカイトに禁止令を出されちゃったのよ |
寧々 | そ、それは禁止されるでしょ…… |
類 | でも、何か安全対策をすれば、 またできるようになるんじゃないか——ということで、 相談を受けていたところなんだよ |
MEIKO | ふふっ、類くんよろしく頼むわよ! |
類 | ええ、お任せを。フフフ…… |
寧々 | (な、なんだろう……なんかよくわかんないけど、 一抹の不安が……) |
一歌 | えーっと……あ、あった! 草薙さん、これが前に話したオススメのミクのCDだよ |
寧々 | ありがとう、星乃さん。 たしか、参加アーティストはみんな 共通のテーマで曲を作ってるんだよね |
一歌 | うん。テーマは同じなのにそれぞれ特徴がしっかりあって、 聴いててすごく楽しいよ |
一歌 | それに、ミクにどう歌ってもらうかっていうところも 全員違いがあって── |
寧々 | (ふふ。星乃さん、楽しそうに話してくれてる。 それだけ、ミクのことが好きなんだ) |
一歌 | あ、ごめんね。まだ曲も聴いてもらってないのに、 私の感想ばっかり言っちゃって |
寧々 | ううん、気にしないで。 どういうところが注目ポイントかっていう参考になったし。 ゆっくり聴いてみるね |
一歌 | うん! |
司 | ──む? おお、えむではないか! |
えむ | あ、司くん、咲希ちゃん! こんにちわんだほーい☆ |
咲希 | こんにちわんだほーい、えむちゃん! えむちゃんもお買い物? |
えむ | うんっ! お姉ちゃんと服を買いに行くところだよっ☆ |
司 | しかし、肝心のお姉さんの姿が見えないようだが…… |
えむ | えへへ、楽しみすぎてちょっと早く着いちゃって。 待ってるところなんだ |
咲希 | そうなんだ。 ひとりじゃちょっと退屈しちゃいそうだね…… |
咲希 | ねえ、お兄ちゃん、えむちゃんのお姉さんが来るまで おしゃべりしててもいいかな? |
司 | ああ、別にかまわんぞ。 ちょうどいい小休止になりそうだしな |
えむ | 咲希ちゃん……! 嬉しいな、ありがとわんだほーい! |
咲希 | どういたしわんだほーい! あのね、お兄ちゃんとお店まわってたら、 すっごくおもしろいお店があってね── |
ミク | めーちゃん! さっきのライブ、すっごくよかったよ! |
MEIKO | ミク、見てくれてたのね! ねえ、特にどのあたりがよかったとか聞いてもいいかしら? |
ミク | もちろん! まず選曲がいいなって思ったよ。 前にやってたライブはかわいい感じの曲がメインだったけど、 今回はかっこいい曲ばっかりでドキドキしちゃった! |
ミク | ダンスもかっこよかったなぁ。 ちょっと応援して練習に戻ろうって思ってたのに、 目が離せなくなっちゃったし! |
MEIKO | ふふ。ミクったら褒め上手ね |
ミク | だって、本当のことだもん。 わたしもあんなかっこいい曲とダンス、やってみたいな |
MEIKO | ん~、ミクが踊ったらどうなるか、興味あるわ。 ねえ、どの曲か覚えてる? 振り付け教えるわよ♪ |
ミク | 本当!? ありがとう、めーちゃん! |
MEIKO | やるからにはビシバシいくから、覚悟してね |
遥 | メイコ、相談にのってもらったお礼がしたいんだけど、 何か欲しいものとか、したいこととかある? |
MEIKO | あら、気にしなくてもいいのに。 ──でもそうね。 どうしてもって言うなら、ひとつお願いしちゃおうかしら? |
遥 | 何? |
MEIKO | 実は、今度縄跳びを使ったトレーニングをやろうって ミク達と話してたんだけど……。 肝心の縄跳びが人数分なくて困ってるのよ |
遥 | なるほど……。 じゃあ、私が足りない分を調達してくるよ |
MEIKO | ありがとう、遥ちゃん! あ、よければ遥ちゃん達も一緒に参加する? |
遥 | いいの? じゃあ、お呼ばれしちゃおうかな。 みのり達にも聞いてみるね |
みのり | ねえねえ! 仕事のDMにPR活動の依頼がきてたよ! |
みのり | 『ラッキーだからカロリーゼロ! 開運効果までついてくる ラッキーミートバーガー!』だって! |
遥 | ……ラッキーだから、カロリーゼロ? |
愛莉 | もう、またこんな怪しいDMわざわざ読んで……。 うそに決まってるでしょ |
雫 | そうねえ。もし本当だったら、 とってもおもしろいハンバーガーなんだけど…… |
みのり | あはは……だよね~。 資料もついてたから、もしかしないかなーって思ったけど…… |
愛莉 | どれどれ……。……『特許を10個申請中』、 『有名料理研究家のお墨付きももらえる予定』? |
遥 | うーん。怪しくないところを探すほうが難しそう、だね…… |
みのり | はあ……。運がないわたしが食べたら ご利益あるかなって思ったんだけど……。残念……! |
愛莉 | ……とりあえず、丁重にお断りの返事をしておくわね |
雫 | ええ、お願いね |
雫 | 『伝えたい用件は簡潔に、わかりやすくしましょう』 ふんふん…… |
遥 | 雫、なんの本を読んでるの? |
雫 | あ、遥ちゃん、愛莉ちゃん! ふふ。これは、ビジネスメールの書きかたについての本よ |
雫 | 今は、愛莉ちゃんや遥ちゃんがやってくれているけど、 私もできるようになりたいなって思って |
愛莉 | それは助かるわ。でも、雫ならわざわざ勉強しなくても 十分対応できてると思うけど? |
愛莉 | ほら、前にわたしの幻のソロ曲を使わせてほしいって 作家さんにお願いした時だって、メールでやりとりしたんでしょ |
遥 | うん。マナーを知るのは大事だと思うけど、 定型文じゃなくて、自分の言葉で表現することも大事だし |
雫 | ふふ、それもそうね。 じゃあ、文章よりメールの機能の勉強に力を入れようかしら。 資料の添付の仕方とか、バーベキューの意味とか |
愛莉 | ちょっと待って、バーベキューって何? |
遥 | あ……もしかして、BCCのこと? |
愛莉 | 『B』しか合ってないじゃないの! ……なんか心配になってきた。 仕方ないわね、わたしも勉強につきあってあげるわ |
雫 | いいの? ありがとう愛莉ちゃん! |
みのり | 遥ちゃんの憧れのアイドルさん、 元気に活躍してるってわかってよかったね! |
遥 | うん。お母さんが新聞記事を見せてくれた時は 本当に嬉しかったな |
みのり | もしその人が遥ちゃんのこと覚えててくれたら、 すてきだよね~ |
遥 | 迷子を助けたっていうことは覚えてても 私があの時の子供だっていうのは、わからないかもしれないよ? |
遥 | あの人はイベントをやるごとに、 よく迷子を助けてたみたいだしね |
遥 | (私みたいに、あの人に元気づけてもらった子が きっとたくさんいるんだろうな) |
ルカ | ──ばあっ!!! |
彰人 | うおっ! ……なんだ、ルカさんか |
ルカ | あははっ。おどかし作戦、リベンジ大成功~♪ |
彰人 | リベンジって……。 そういえば、前にもオレを脅かそうとしたことありましたね |
ルカ | うんうん。 あの時の失敗、私としてはものすごーく悔しかったんだよねー |
ルカ | よーし、今度は冬弥くんにもリベンジ! じゃ、バイバーイ! |
彰人 | え……あ、ちょっと! |
彰人 | マジで、リベンジしに来ただけなのかよ…… |
冬弥 | ルカさん。 頼まれていたオーケストラのCD、持ってきました |
ルカ | わ~! ありがとう、冬弥くん♪ |
ルカ | 普段クラシックとかあんまり聴かないから、 ちょっと興味あったんだよね |
冬弥 | 同じ曲でも楽団によって演奏や雰囲気が違うので、 聴き比べもできるようにいくつか持ってきてあります |
ルカ | わ、ホントだ! ますます聴くのが楽しみ! |
ルカ | んー、それにしても── |
冬弥 | ……? なんでしょうか? |
ルカ | (クラシックの話すると顔が曇っちゃうっていう話を 前にレン達がしてたけど、もうそんな心配いらないみたいだね) |
ルカ | たいしたことじゃないよ。 聴いたあと、感想とかも話したいなーって思って |
冬弥 | はい。俺でよければ是非 |
杏 | ねえ、彰人! 私とこはねのスマホ、見て! 何か気づくことない? |
彰人 | あ? ……ああ、色違いのキーホルダーつけたのか |
こはね | うん。このあいだ、おそろいで買ったんだ |
杏 | いいでしょ~! 彰人は冬弥とおそろいの物とかあったりするの? |
彰人 | ねえけど……。 なんでそんな勝ち誇った顔してんだよ |
こはね | あはは…… |
こはね | あ、そういえばチームで何かおそろいの物を持つのもいいかも! 一歌ちゃん達はおそろいの物を持ってるって言ってたし |
彰人 | ……別にいらねえだろ、そんなもん |
こはね | あ……。ふふっ |
彰人 | なんだよ。ふたりしてニヤつきやがって |
杏 | いやー、『そんなのなくてもオレ達はチームだろ』 って言いたそうな顔してたから、嬉しくなっちゃって。ねっ! |
こはね | うん! |
彰人 | ……ったく。そう思いたきゃ、勝手に思ってろ |
彰人 | 冬弥、英語の教科書ありがとな |
彰人 | にしても、お前の教科書ってすげー綺麗だな。 書き込みとかいろいろしてるもんだと思ってた |
冬弥 | そうだな。重要な部分に線を引いたりはするが、 だいたいのことはノートに書いているんだ |
彰人 | あー、勉強教えてもらう時たまに見せてもらってっけど、 たしかに細かくメモとってたな |
彰人 | なのに、オレのノートより全然見やすくて、 見るたびにびっくりする |
冬弥 | そうだな……試しに余白を今より多くとってみるのはどうだ? それだけでも、かなりスッキリした印象に変わると思う |
冬弥 | たとえば英語なら、英文と日本語訳のあいだは1行、 次の文章に移る時は2行空ける、とかだな |
彰人 | 余白か……。あんま意識してなかったけど、 それなら簡単そうだし、やってみるか |
冬弥 | ああ。見やすいノートは復習をする時にも便利だから、 是非やってみてくれ |
彰人 | だな。オレも、毎回赤点ギリギリでヒヤヒヤしたくねえし ちょっとは真面目に勉強するか |
冬弥 | ……彰人、見ろ。 あそこのファミレス、またスイーツフェアをやっているらしい |
彰人 | ん? ああ、あの店は季節ごとに いち早くそういうのやってるみてえだしな |
杏 | へー、そうなんだ。 さすが甘党、詳しいね! |
彰人 | 詳しくなりたくてなってるわけじゃねえよ。 家で飯食う時に、絵名があーだこーだってよく話してるからな |
こはね | あ、そっか。お姉さんも甘い物が好きだったよね |
冬弥 | ……そう考えると、三田に遠野さんに—— 彰人の周りには甘い物が好きな人達が多いな |
杏 | 類は友を呼ぶってやつじゃない? |
彰人 | たまたまだろ。だいたい、家族なんてほとんど毎日同じもんを 食べてるんだから、味覚だって似るだろ |
冬弥 | そう言われてみれば、 俺も父さんも母さんのクッキーが好きだな |
杏 | うーん……うちは結構、好きな物も嫌いな物もバラバラかも |
こはね | うちのはどうだったかな。 お母さんとお父さんに聞いてみよっと |
彰人 | つーか、そんなことよりさっさと練習行くぞ。 遠野達も待ってるだろうしな |
こはね・杏・冬弥 | 『うん!』 『ああ』 |
ミク | ん~……どのスカーフにしようかなぁ…… |
KAITO | あれ? ミクちゃん、どうしたの? |
ミク | 実は、ちょっとスカーフで悩んでるの。 ほら見て、たくさんあるでしょ? |
KAITO | わ、本当だ……。 柄物からシンプルな物まで、いろいろあるね |
KAITO | えっと、合わせる衣装ってどういうのだっけ? |
ミク | これだよ。この前、みんなで一緒にアレンジした服。 着てみたら、ちょっと首元が寂しいかなって思って |
KAITO | なるほど……上半身はシンプルにまとまってるから、 柄物が合うんじゃないかな? |
KAITO | あとは……たしかこの衣装、キレキレのダンスを踊る曲で 着るんだよね。踊る時邪魔にならないような、 ちょうどよく結べるくらいのスカーフがいいんじゃないかな? |
ミク | あ、たしかにそうだね! カイトくんのおかげで、ちょっと候補が絞れそう! |
KAITO | ふふっ、どういたしまして! 決まらないようだったら、またいつでも相談してね |
雫 | ここは、針を裏から刺して── こんな感じでとめると、ほどけにくいですよ |
KAITO | ああ、なるほど! ようやくやりかたがわかった |
KAITO | ありがとう、雫ちゃん。 おかげで衣装のアレンジを進められるよ |
雫 | どういたしまして。見せてもらった小物の組み合わせ、 とっても素敵だったので、完成が楽しみです |
雫 | それにしても、カイトさんって努力家なんですね。 いちからお裁縫を勉強中だなんて |
KAITO | あはは……衣装をアレンジしたらどうかって 提案したの僕だからね。責任もってやらないと |
KAITO | それに、ミクちゃん達もそれぞれ考えたアレンジを 仕上げようと頑張っててね |
KAITO | その姿を見ていたら、 自然とやるぞーっていう気持ちがわいてくるんだ |
雫 | ふふ。じゃあ私も、もっとカイトさん達を応援できるように お裁縫道具とか生地とかいろいろ持ってきますね |
KAITO | いいのかい? ありがとう、すごく助かるよ! |
雫 | ──あら、朝比奈さん! 朝比奈さんも、今からお昼? |
まふゆ | うん、教室に戻って食べようかなって思ってたところだよ |
雫 | あ、もしかして、 クラスの子とお昼を食べる約束をしているの? |
まふゆ | え? ううん、そういうわけじゃないよ |
雫 | 本当!? それじゃあ……もしよかったらなんだけど、 一緒にお昼どうかしら? |
まふゆ | ふふ、私でよければもちろんいいよ。 クラスも違うから、なかなか機会もないし |
まふゆ | あ、でもお弁当、教室に置いてあるから一度取りに戻るね |
雫 | ええ、大丈夫よ! お日さまがあたって、 ぽかぽか気持ちよくご飯を食べられる場所を探しておくわ |
まふゆ | うん。ありがとう、日野森さん |
まふゆ | ──へえ。日野森さん、読書が好きなんだね。 ふふ、なんだかイメージぴったりだな |
雫 | あら、朝比奈さんだって本が似合うと思うわ。 このあいだ、読んでる姿を見かけた時に感じたもの |
雫 | そういえば、なんの本を読んでいたの? |
まふゆ | このあいだ……ああ、賞を取った有名作家さんの小説かな。 時事問題とかの対策に、 話題になってる本はなるべく読むようにしてるから |
雫 | 朝比奈さんにとっては、読書も勉強の一環なのね。 すごいわ…… |
雫 | そうだ! よかったらその時の本、教えてもらえる? もし読んでない本なら、私も読みたくて |
まふゆ | うん、いいよ。 ──えっと、タイトルはなんだったかな…… |
雫 | ふふ、お買い物中にしぃちゃんに会えるなんて、 とっても嬉しいわ♪ |
志歩 | 大げさな……ついさっきまで 家で一緒に朝ごはん食べてたじゃん |
愛莉 | 雫ってば、相変わらずね。 ところで、志歩ちゃんはどこに行ってきたの? |
志歩 | 楽器店です。新しい楽譜を買いに |
愛莉 | そうだったのね! わたし達はリニューアルオープンした 雑貨屋を見に来たんだけど── |
愛莉 | これ見て! ものすっっっごくかわいい猫のぬいぐるみ! 日用品を買う予定だったのに、 思わず予定変更して買っちゃったわ |
志歩 | ……! ほ、本当ですね。可愛い…… |
愛莉 | でしょ~? 目がまん丸でくりっとしてて、 ジーッとこっちを見つめてくるみたいで……! |
志歩 | はい。それに素材もふわふわしてて、触り心地がすごくいいです |
愛莉 | でしょでしょー! それにね── |
雫 | もう、ふたりだけで盛り上がってずるいわ。 私も入れて? |
リン | うう……。も~、誰!? 6と8をずっと止めてる人! |
レン | 怒るなよ、7並べってこういうゲームなんだから。 それに、やるからには真剣勝負!って、リンが言ったんだろ |
KAITO | ……でもたしかに、6はいくつか出てるけど、 8は全然出てない |
MEIKO | ほんとだね~。誰が持ってるんだろ? |
リン | あっ! 止めてるの絶対めーこ姉でしょ! もう、出してよ~! パス使いきっちゃったから、次でアウトなんだってばー! |
MEIKO | え、もう? 仕方ないなあ。 じゃあ……はい、ダイヤの8! |
リン | やったー! ……って、ダイヤの9がないと出せない! |
KAITO | あ……ダイヤの9、俺が持ってるけど……。 俺の順番、リンの次だから…… |
リン | わかった! それじゃあ順番代わろ~♪ |
レン | いや、さすがにそれはダメだろ |
ルカ | ねえねえ、カイトくん。次のライブでやる企画について みんなで考えているんだけど、 カイトくんに少し意見を聞いてもいいかしら? |
KAITO | 僕でよければもちろん協力するよ |
レン | ありがとう! それで、その企画についてなんだけど…… |
MEIKO | 『どっちが一番キラキラでショウ!』っていう名前で、 わたしとルカがファンサを競うの♪ 判定をするのはレンとお客さん達よ |
KAITO | へえ、おもしろそうだね! ちなみに、どういうファンサをイメージしてるんだい? |
ルカ | ふふ、こんな感じよ♪ |
ルカ | 『今日は私達のライブに来てくれてありがとう、小鳥さん。 あなたのために歌うから、私のことだけを見ていてほしいわ』 |
KAITO | な、なるほど……ファンサっていうより、 口説き文句に聞こえなくもないけど…… |
MEIKO | あ、やっぱり? そのへんのさじ加減が難しくって |
レン | あはは……相談しに来て正解だったね。 カイトくん、他のパターンも見てくれないかな? |
KAITO | いいよ。任せておいて! |
リン | ルカって歌ってる時は、別人みたいだよね。 わたしもあんな風にかっこよく歌いたいなあ |
ルカ | え~? いつもかっこいいつもりで いるんだけどなー |
KAITO | そういうとぼけたことを言ってるから、 別人みたいって言われちゃうんじゃない? |
ルカ | う……そうかもしれないけど、 カイトにだけは言われたくないよー |
KAITO | ひどいなあ。ボクはしっかりするべきところは ちゃんとしっかりしてるよ? |
KAITO | ねえ、リン。 ボクこのあいだ、かっこよく歌うためのコツ教えたよね! しっかりしてたよね! |
リン | うん、あの時はちゃんとしてた! |
KAITO | ねっ! |
ルカ | 師匠の立場を利用するなんてズルーい! ていうか、『あの時は』って言われてるとこスルーしてるし! |
KAITO | それでも、ボクが一歩リードしてるってところは 変わらないよね! |
リン | (んー、ふたりともそんなに変わらないんだけど……。 なんかおもしろそうだから、このまま見てよーっと) |
リン | ボールを……ひとつ、ふたつ、みっつ……! |
MEIKO | いいわね、ふたりとも! その調子よ! |
ルカ | あら……リンとレンの上を ボールがぐるぐるしてるわ~ |
MEIKO | ジャグリングよ。 実は、ふたりに頼まれてちょっとずつ教えてたの |
リン | えへへ。リン達、上手になったでしょ~? |
レン | うんうん! 最初はボールを上に投げるのも 上手くいかなかったけど、 今は3つまわせるようになったんだ! |
ルカ | すごいわねえ。わたし、ボールを数えたり、 ぐるぐるしているのを見ていたら、きっと眠くなっちゃうわ |
MEIKO | んー、でもルカがボールをポンポン投げてる姿、 ちょっと見てみたいわ。 せっかくだし、少しだけやってみない? |
リン | わあ、いいねっ♪ ねえ、ルカ。一緒にジャグリングしよ~! |
ルカ | うふふ。そんな風に可愛くお誘いされたら断れないわ。 めーちゃん、頭の上に落ちても大丈夫な、 やわらか~いボールでお願いね~ |
MEIKO | ふふ、はいはい |
司 | リン、約束の物を持ってきたぞ! |
リン | わあ、おみくじだー! リンの代わりに引いてきてくれてありがとう! |
司 | 家族で初詣に行く予定もあったしな。 これくらいなんてことはない |
司 | 問題が起きるとすれば、結果だな。 このオレに限って、大凶など引いてはいないと思うが…… |
リン | ドキドキしてきた……。 じゃあ、開けるよ? |
司 | ………… |
リン | あ……! だ、大吉だー! 司くん、すごーい! |
司 | いよしっ! さすがはオレ! |
司 | (よ、よかった……! 自分用に引いたおみくじが凶だったからな) |
司 | (ふっ、真実オレの運勢が凶であったなら こんな素晴らしい結果になってはいまい。 つまり、オレも大吉! そういうことにしておこう!) |
リン | ねえねえ、『あけましておめでとう』の他に 新しい年の挨拶ってあったりする? |
リン | ぬいぐるみのみんなやカイト達にいっぱい言ってるんだけど、 ずっと同じなのはつまんないなって思って |
寧々 | うーん、『あけましておめでとう』以外だと……。 ハッピーニューイヤー、とか? |
えむ | あと、すっごくかっこいいのがあるよ! |
えむ | 『謹・賀・新・年!!』 |
寧々 | え……それ、年賀状に書くやつじゃ…… |
リン | か……かっこいい! 『キンガシンネン』かっこいい~♪ |
寧々 | (……リンが嬉しそうだし、まあいっか) |
リン | ……レン、もうここには慣れたの? |
レン | う、うん。……みんな、優しくしてくれるから |
ルカ | ふふっ、どういたしまして |
リン | ……絶対にルカのことじゃないと思う |
MEIKO | ……そうね |
ルカ | ふたりともひどいわ。 これでも、結構レンと話しているのよ? ねえ、レン? |
レン | うん。このあいだは、あやとり教えてもらったんだ |
MEIKO | それは……ただ、趣味の仲間を増やしたいだけじゃない? |
ルカ | あら、貴重な暇つぶしの方法を教えてあげたのよ。 レンだって、楽しんでやってくれたわ |
リン | ふーん。それで、何か作れるようになったの? |
レン | えっと……あやとりだよね。 ちょっとだけ練習したんだけど……見てくれる? |
リン | ……どうせ暇だしね |
レン | ありがとう……! じゃあ、練習してたはしごを作ってみるね |
司 | おお、彰人と白石ではないか! これから練習か? |
彰人 | まあそんなとこっす。 ちょっと初詣に寄ってからですけど |
寧々 | え……初詣? |
司 | 奇遇だな! オレ達もワンダーランズ×ショウタイムで 初詣に行くところだ! |
杏 | へえ! じゃあもしかして、 ここで神代先輩達と待ち合わせ中だったり? |
寧々 | あ、う……うん |
杏 | そうなんだ! じゃあそれも一緒だね! 私達もこはねと冬弥を待ってるところなんだ |
司 | ほう、雪山での遭遇といい、 ここまで一緒となると縁を感じるな |
彰人 | ……そうっすか? |
杏 | だったら、初詣一緒に行きますか? こはねと冬弥も喜びそうだし |
彰人 | は? 何勝手に決めて── |
司 | それはいい! えむや類もにぎやかなほうがいいだろうしな! はっはっはっ! |
彰人 | ……うちのが勝手に悪ぃな |
寧々 | え、あ……ううん。なんかこっちもごめん |
杏 | ──じゃあいくよ! ジャンケン──ポン! |
彰人 | ……よし。お前、冷たいほうな |
杏 | ちぇー、せっかくおごってもらったのに。 出てきたのが冷たいお茶だなんて |
彰人 | 文句は自販機のメーカーにでも言ったらどうだ。 ──熱っ! こんなの手で持てるかよ…… |
杏 | え、そんなに? こっちはこんなにキンキンに冷えてるのに……。 ひょっとして本当に自販機壊れてる? |
彰人 | かもな。 ……くっそ、すぐ飲めねえじゃねえか |
杏 | だねー。あ、それかもう1本ずつ買ってみる? 冷たすぎなのと熱すぎなのが出てきたから、 今度はちょうどいいの出てくるかも! |
彰人 | いや……買うにしても別の自販機にしたほうがいいだろ |
類 | 司くん、なぜか君ばかり追いかけていた獅子舞ロボだけど、 調整のめどが立ったんだ |
類 | よければ調整後に検証をさせてもらいたいんだけれど、 いいかな? |
司 | む、そうなのか…… |
類 | ……おや。喜んでもらえるかと思ったのだけど、 そうでもないみたいだね |
司 | うーむ。あれはあれでじゃれついてくるペットというか、 そういう感じがしていたからな……。 追いかけられなくなるのは寂しいというか…… |
類 | フフ、それはまた司くんらしいね |
類 | それなら、すぐの調整は見送るよ。 また今度、獅子舞ロボに活動してもらう時に考えよう |
司 | そうだな! そうしてくれるとありがたい! |
ルカ | すう……すう……。羊さん達……ふわふわで…… とっても寝心地がいいわ…… |
えむ | ルカお姉さんが寝てる! でも……羊さん? どこどこ? |
レン | いない、よね。 きっとその羊さん達は、ルカの夢の中にいるんだよ |
ルカ | あ……やめて、狼さん……。 羊さん達のもこもこを食べないで…… |
レン | わっ! なんだかピンチみたい! どうしよう……! |
えむ | 大丈夫! 任せて! |
えむ | 『羊さんが狼さんに反撃だー! それいけ、メエメエパ~ンチ!』 |
レン | …………! |
レン | 『狼さんがびっくりして逃げていくよ! もう悪さしないよ、ごめんなさーい!』 |
ルカ | むにゃ……羊さん、すごいわ~……。 これでまた、ゆっくり……すー…… |
えむ・レン | 『やったねっ!』 |
レン | う~ん……。やっぱりうまくできないな…… |
類 | レンくん、なんだか浮かない顔だけれど どうかしたのかい? |
レン | 実は、セリフの言いかたに困ってるんだ…… |
レン | 主人公が『絶対に見つけてみせる!』って叫ぶシーンなんだけど、 何度やっても勢いだけで叫んでる感じになっちゃって |
寧々 | んー、主人公の性格とか、見つける物がなんなのかとか、 それが主人公にとってどういう物なのかで演技も変わりそう…… |
寧々 | あとは見つけやすい物なのか、 見つけるためにとても大きな困難が待っているのかとか、かな? |
類 | そうだね。たとえば主人公が気弱な少年で、 それでもかけがえのない宝物を 勇気を出して探しに行こうとしているのなら── |
類 | 声量はそこまで張らないけれど、 まっすぐに前を見据えて、強い意志を秘めた言葉になりそうだね |
レン | そっか! 主人公がすごく冒険好きな子だから わくわくしてるのかなって思っちゃってたけど、 一緒に考えないといけないことが、そんなにいっぱいあるんだね! |
レン | ありがとう、類くん、寧々ちゃん! ボクもうちょっと主人公のことがんばって考えてみるよ! |
類 | ああ。もしまた演技に困ったら、 いつでも相談してほしいな |
えむ | 司くん発見! 今日もよろしくわんだほ~いっ! |
司 | うおっ!? だから、いきなり突進してくるのはやめろと言っているだろう! |
えむ | えへへ。 でも、最近の司くんは避けてくれるから平気平気♪ |
司 | 平気じゃないわ! ……しかし、言われてみれば たしかに避けられるようになっているような……? |
司 | もしや、類の無茶ぶり演出やワークショップで積んだ経験が 成果として現れているのか!? |
司 | これはつまり、お前の突進を 気にする必要がなくなったということではないか? |
司 | ハーッハッハッハッ! えむ、さっきはやめろと言ったが いくらでもつっこんできていいぞ! |
えむ | むむむー! それじゃあ今度は、あたしがスピードを鍛える番だね! 負けないよ司くん! |
司 | おう! 望むところだ! |
寧々 | ねえ、司。ワークショップで、いろんな練習したんでしょ。 特に印象に残ってるのって何? |
司 | そうだな……。どれも印象的だったが、人間ではなく 雨や風のような自然現象を演じたのは新鮮だったな |
えむ | わあ、すっごく楽しそう! よーし、あたしもやってみる! |
えむ | えーっと、雨だったら……。 つん、つん、つん── |
寧々 | え、ちょ……ふふ、ふふふっ! や、やめてよ、くすぐったいってば……! |
類 | それは……雨粒に打たれているところを表現しているのかな? |
司 | な、なるほど……そういう表現をした人間は ワークショップにはいなかったな |
寧々 | でもこれ、演技って言っていいの? |
類 | 難しいところだけど、表現としてはとても面白いと思うよ。 ちなみに、司くんがどんな演技したのかも気になるね |
えむ | あ、あたしも見たい見たーい! |
司 | ふっ、いいだろう。 『暴風太郎』と名付けた我が風の演技、見せてやろう! |
えむ | 今日ね、ここに来る途中で、 す~っごくおもしろそうなパフェのお店を見つけたんだ~♪ |
寧々 | おもしろそう? 美味しそうじゃなくって? |
えむ | うん! パフェの名前がね、『すっぱ甘い青春』とか 『きらきら★ギャラクシー』っていう感じなんだよっ☆ |
類 | フフ。『すっぱ甘い青春』は味のイメージがつくけれど、 『きらきら★ギャラクシー』はまったく想像がつかないねえ |
えむ | ピカピカ~って光ったり、 クリームの中からロケットが飛び出たりするのかな~? |
寧々 | ロケットは飛び出さないでほしいんだけど……。 たしかにちょっとおもしろそう |
類 | では司くんも誘って、練習のあとにでも食べに行こうか |
えむ・寧々 | 『うん!』 『うん』 |
MEIKO | ねえミク、よかったら今から一緒に演奏しない? |
ミク | いいよ。でも、さっきまで一歌達と一緒に弾いてなかった? |
MEIKO | まあ、そうなんだけど── |
MEIKO | 可愛い後輩達があんなに頑張ってるのに、 私が頑張らないわけにはいかないでしょ? だから、もっと練習しようと思って! |
ミク | ……たしかに、そのとおりだよね。 ちゃんと一歌達のお手本になれるようにしなくちゃ |
ミク | メイコ、なんの曲からやる? |
MEIKO | ふふ、ミクもやる気になってくれたみたいだね。 それじゃあ、あの曲からやろっか! |
ミク | うん! |
穂波 | ミクちゃん、一緒に練習したいんだけど……いいかな? |
ミク | うん、いいよ。どの曲にする? |
穂波 | えっとね、この曲なんだけど…… キメのフレーズが難しくて |
穂波 | ここはドラムが目立つところだから、 しっかり叩いて、みんなを引っ張っていきたいんだ |
ミク | ……ふふっ |
穂波 | ? どうしたの? |
ミク | 最近の穂波…… なんか、かっこよくなったよね |
穂波 | えっ……そ、そうかな……? な、なんで……? |
ミク | ふふ、なんでかな。 それじゃ、早速合わせよっか! |
志歩 | ──穂波。さっき外からドラムの音が聴こえてきたけど、 自主練でもしてたの? |
穂波 | あ、志歩ちゃん……! |
穂波 | うん。次に4人で合わせる時までには、 細かいミスをなくしておこうと思って、練習してたんだ |
穂波 | ワンマンまでに、わたしもできることは、全部やりたいから |
志歩 | 穂波…… |
志歩 | (事務作業とか、もういろいろやってくれてるのに…… その上で、個人練も手を抜かないで頑張ってるんだな) |
志歩 | (……私も、負けてられない) |
志歩 | ……練習、つきあうよ。 同じリズム隊だし、ベースもいたほうがやりやすいでしょ |
穂波 | 志歩ちゃん……ふふっ、ありがとう! じゃあ一緒にやろう |
咲希 | ねえ見て! このあいだ作ったLeo/needの公式アカウント、 ちょっとずつフォロワー増えてるよ! |
一歌 | 本当だ、なんだか嬉しいな…… |
穂波 | わたし達のライブを見に来てくれてたり、 動画を見てくれてた人がフォローしてくれてるのかな |
志歩 | そうかもね。 動画の概要欄に、アカウントのリンクをのせた効果もありそう |
一歌 | まだ最近作ったばかりだし、 これから少しずつ伸びていくといいね |
穂波 | うん! そうだ、他のバンドの人達が どんな感じでSNSを使ってるか見てみようか |
咲希 | いいね! 参考になりそう! |
穂波 | じゃあ、まずはこのバンドから── |
一歌 | 授業中に眠くならない方法を調べてきた? |
咲希 | そう! このあいだ居眠りしちゃったし、 対策をちゃんと考えようと思って! |
咲希 | それでね、調べたら、 『ツボを押してみる』のが効果あるみたいなの! |
一歌 | へえ、ツボか。たしかに効果ありそう。 どこを押したらいいの? |
咲希 | えっとね、『手の甲側の、人差し指と 親指の付け根』を押すといいみたい! 眠気覚ましにも効果があるんだって♪ |
一歌 | 手の甲……ここかな |
一歌 | ……あ、ちょっとピリッとした痛みがあるかも。 効いてるってことなのかな? |
咲希 | きっとそうだと思う! アタシもいっちゃんと同じ感じだったし♪ |
咲希 | これでまた眠気が来ても大丈夫だね! |
一歌 | そうだね。もし眠くなったら、試してみようかな。 教えてくれてありがとう、咲希 |
咲希 | えへへ、どーいたしましてっ♪ |
レン | ……あれ、奏ちゃん? まだみんなで集まる時間じゃないのに、もう来てくれたの……? |
奏 | うん、作業に区切りがついたから、気分転換がてら来たんだ。 レンは何をしてたの? |
レン | えっと……お散歩、かな…… |
レン | そろそろみんなが来るって思うと、そわそわしちゃって……。 落ち着こうと思って、この辺りを歩いてたんだ |
奏 | そうだったんだ。 あ……よかったら一緒に歩いてもいいかな? 頭をリフレッシュさせたくて |
レン | ……うん。えっと、ぼくでよければ…… |
寧々 | ……星乃さん? なんだかニコニコしてるけど、何かいいことがあったの? |
一歌 | あ、草薙さん! たいしたことじゃないんだけど……。 ミクのCDコーナーに、いっぱい人がいるなって思って |
一歌 | あの人達も、私と同じでミクが好きなんだろうなって思うと なんだか嬉しくて |
寧々 | それ、わかるな。ミュージカルのサントラを探してると、 同じ劇団のCDを見てる人がたまにいるんだけど…… |
寧々 | 『その劇団が好きなのかな?』とか 『その舞台よかったよね!』みたいな気持ちになっちゃうし |
一歌 | ふふ。自分が好きなものを、他の誰かも好きってわかると やっぱり嬉しいよね |
寧々 | うん |
一歌 | ──奏さん、こんにちは! |
奏 | あ、星乃さん。 ……ギターケースを持ってるっていうことは、 これからバンドの練習? |
一歌 | はい。……あれ? 奏さんから、なんだかいい香りがするような…… |
奏 | え? あ……もしかしたら、星乃さんが作ってくれた アロマキャンドルの香りかも |
奏 | 起きたあと、なんだか頭がすっきりしなくて、 使わせてもらったんだ |
一歌 | そうだったんですね。 あの……どう、でした? |
奏 | よかったよ。優しい香りで、すっきりした。 寝る前にも使えるかもって思った |
一歌 | 本当ですか!? お役に立てて嬉しいです。 どんどん使ってください……! |
一歌 | あ……穂波、奏さん! |
穂波 | 一歌ちゃん、草薙さん。 これから歌の練習? |
寧々 | うん。えっと、望月さん達は…… |
奏 | 用事の帰りにたまたま会って……。 次に来てくれる時の晩ご飯の話をしてた |
奏 | ……そうだ。よかったらふたりが練習してるところ 見学してもいいかな? |
穂波 | わたしも興味あります。 ふたりとも、どうかな……? |
一歌 | えっと……どうしよっか |
寧々 | 本当にただ練習するだけだし、 見学してもらっても、そんなに楽しくないかも…… |
穂波 | ふふ、見る人のことも考えてくれるところ、 なんだかえむちゃんと似てるな |
寧々 | そ、そうかな? まあ、ショーをやる人間としては気にしちゃうかも |
奏 | 大丈夫だよ。 むしろ、普段やってる練習を見てみたいんだ |
一歌 | そういうことなら、わかりました。 緊張しそうだけど、いつもどおり頑張ろうか |
寧々 | ……このアップルパイのお店、 前にえむが美味しいって教えてくれたとこだ |
寧々 | たしか、えむのクラスに 20個も買っていく子がいるっていう話も聞いたような…… |
穂波 | ふふっ、今日も焼きたてたくさん買っちゃった |
寧々 | あ……望月さ……えっ!? |
寧々 | (りょ、両手いっぱいのアップルパイ!?) |
穂波 | ふんふふ……はっ! く、草薙さん!? |
寧々 | こ、こんにちは、望月さん…… |
穂波 | こ、こんにちは…… |
穂波・寧々 | (つ、次の言葉が出てこないよ……!) (つ、次の言葉が出てこない……!) |
リン | 48……49……50! できた~! |
ミク | リンちゃん、それって『交差跳び』? |
MEIKO | 失敗しないで50回も跳べるなんてすごいわ! |
リン | えへへ。前にみんなで縄跳びのトレーニングをした時、 わたし、一番できてなかったでしょ? |
リン | だからたくさん練習してたんだけど、 いつの間にかいろんな技ができるようになってたの♪ |
MEIKO | 努力の賜物っていうやつね! ちなみに、どんな技ができるようになったの? |
リン | 普通のあや跳びと、はやぶさっていう あや跳びを二重跳びでやる技と—— |
リン | あ、こうやって体の外側で縄を1回まわしてから、 真ん中に戻して跳ぶっていうのも覚えたよ |
ミク | え、今の何!? 縄が右と左でグルングルンしてたよね? |
MEIKO | わたしもよくわからなかったわ。 リン、それどうやってやってるの? |
リン | 全然難しくないから、ミクちゃん達にもできるよ! これはね、まずこうやって—— |
MEIKO | まったく、あの子達ったら |
雫 | めーちゃん、なんだか楽しそうね |
MEIKO | ええ。実はさっき、『ドッキリ番組ごっこ』をしていた リンとミクに、まんまと驚かされちゃったの |
雫 | あら、どんなドッキリだったの? |
MEIKO | それがね、ソロライブの通しリハをしていたら、 いつの間にかリンとミクがバックダンサーをしていたのよ! |
MEIKO | 『めーちゃんに気づかれずに、最後まで踊りきれるか』 っていう内容だったみたいなんだけど…… |
雫 | ふふっ。リンちゃん達らしい可愛いドッキリね |
MEIKO | そうなの! でもさすがに、後ろで踊ってたら気づくでしょ? だから、わたしは十分どっきりさせられたけど、チャレンジは失敗 |
MEIKO | そしたら『今度リベンジさせてね♪』って ドッキリ予告をもらっちゃったわ |
雫 | まあ。次はどんなドッキリになるのか、楽しみね |
みのり | 雫ちゃん、いくよ! ピ——パシャッ! ピ——パシャッ! |
遥 | 雫、さすがだね。 こんなにいろいろポーズや表情ができるなんて |
雫 | ふふ、モデルのお仕事の時に、 カメラマンさんにたくさん教えてもらったから |
みのり | おおー! じゃあ、わたしも雫ちゃんに教わって、 写真に撮られる練習しておかなくっちゃ! |
遥 | あれ? みのりって写真に撮られるの苦手だったっけ? |
みのり | そんなことない、と思うんだけど……。 わたし、運が悪いから大事な写真ばっかり半目だったり、 ピースをしようとしてる途中で撮られたりするんだ~ |
遥 | (それは……運が悪いっていうより、 間が悪いだけのような気もするけど……) |
遥 | じゃあ、ポージングと一緒に撮られる時のテンポ感を 教えてもらうといいかもしれないね |
遥 | ポーズをとってから次のポーズに入るまで どれくらい待つのがいいかとか、 表情はどれくらいの頻度で変えるのかとか |
雫 | そうね。それなら私もアドバイスできると思うわ |
みのり | 本当!? ぜひぜひ、よろしくお願いしまーす! |
みのり | えへへ…… |
愛莉 | みのりってば、スマホ見ながらニヤけてるわね…… |
雫 | みのりちゃん、何を見ているの? |
みのり | サモちゃんの動画だよ! 昨日、わたし達が出たアイハザを一緒に見てたんだけど—— ほら! |
遥 | ふふ……。テレビにぴったりくっついて見てるね。 鼻が画面にくっついちゃいそう |
雫 | あ……。テレビ画面と、動画を撮ってるみのりちゃんとを きょろきょろ見比べてるわ |
愛莉 | みのりはここにいるのに、別の方向からも声が聞こえてきて 不思議に思ってるみたいね |
みのり | うんうん! こういう仕草がもうほんっっっとうにかわいくって! |
みのり | あっ、あとね! アリサちゃんの質問に 雫ちゃんが答えてるところは、 尻尾も振らないで、じっと画面を見つめてるんだよ |
遥 | もしかして、雫の真剣な気持ちを感じ取ってくれたのかな? |
雫 | ふふ、もしそうならサモちゃんにお礼が言いたいわ |
みのり | あ、それじゃあ久しぶりにうちに来る? 次の配信の打ち合わせとかもあるし! |
雫 | いいの? ありがとう、みのりちゃん |
愛莉 | ふふ。わたし達も久しぶりにサモちゃんに会えるの、 楽しみだわ |
愛莉 | ………… |
雫 | あら? 愛莉ちゃん、なんだか怒ってるみたいだけど、 どうしたの? |
愛莉 | 朝テレビ見てたら、たまたまチアデが出てたのよ。 それで、なんかこの前の収録の時のこと思い出しちゃって…… |
愛莉 | 番組の方針だったとはいえ、ひと言くらい謝ればいいじゃない |
雫 | ふふふっ |
愛莉 | 何よ、ニコニコして |
雫 | 愛莉ちゃんが、私のために怒ってくれるのが嬉しくて |
愛莉 | アンタね…… |
愛莉 | はあ……まったく。 アンタのその顔見てたら、怒る気が失せてきちゃったわ |
こはね | こんにちは、ルカさん。 今、壁を見てたみたいですけど……何をしてたんですか? |
ルカ | ふふ、何をしてたと思う? |
こはね | え? えっと……。 ……すみません、わからないです |
ルカ | それはそうだよね~。正解は…… 壁のシミがパンダの顔に見えたから、 いっそ落書きしちゃおっかなって考えてたところでしたー! |
こはね | パンダ……あ、本当だ! ここが目の黒いところで、この辺りが耳ですよね |
ルカ | そうそう! じゃ、記念にこはねちゃんもスプレーやっちゃう? |
こはね | えっ!? その……ここはみんなもとおる道だし、 勝手に落書きしちゃうのは…… |
ルカ | 大丈夫大丈夫! どうせ私達しかいないし、 レン達ならおもしろがってくれると思うんだよね~ |
こはね | そ、そういう問題じゃないような……。 とりあえず、メイコさんに聞きに行きませんか? |
ルカ | メイコに? |
ルカ | (んー、何か言われそうな気もするけど……。 それでこはねちゃんが一緒に落書きしてくれるならいっか!) |
杏 | ルカさん、ルカさん! 今練習してる曲のフレーズで歌いかたに迷ってるところが あるんですけど、試しに聴いてもらっていいですか? |
ルカ | もっちろん、いいよ! ちょうど暇してたから |
杏 | ありがとうございます! じゃあ、いきますよ! |
杏 | ——♪ ——!! ——~~~!! |
ルカ | なるほどー。 迷ってるのって、最後の『——~~~!!』のとこでしょ? |
ルカ | フレーズに入った瞬間はクールと見せかけて—— 『イェイイェイイェーイ! 乗ってるかーい!』って サプライズされたように聴こえたよ |
杏 | さすがルカさん! そうなんですよ……! |
杏 | 曲調や歌詞はオシャレだから、ガッといくのは違う……。 でもサビ前だし、いい感じに盛り上げポイントになるような 歌いかたできないかなって、考えてるんですけど…… |
ルカ | オッケー! 杏ちゃんのやりたいことはわかったよ! 一緒に考えてみよっか! |
杏 | やったー! お願いしまーす! |
冬弥 | 小豆沢は、大河さんとの練習でいろいろなメニューを こなしているそうだが……ここ最近はどんなことをしたんだ? |
こはね | えっと、動物の声真似と……あと、早口言葉だよ |
彰人 | 早口言葉? 滑舌の練習か何かか? |
こはね | うん。滑舌のいい悪いには、いくつかパターンがあるんだって |
こはね | たしか……『唇と舌がうまく動いてない』、 『口角がきちんと上がってない』 『母音を正しく発音できてない』だったかな |
こはね | 言葉によって意識しないといけない口の動きが違うから、 そこを意識しながら練習しろって大河さん言ってたよ |
彰人 | へえ。……けど、なんか珍しいな。 あの大河さんがちゃんと意味を説明したうえで、練習させるなんて |
冬弥 | たしかに……聞いただけでは意味があるのかわからない 不思議な練習もいろいろあったからな |
こはね | 私の練習になるように、これは教える・教えないっていうの、 大河さんの中で考えてくれてるんだと思う |
こはね | (大河さん、もうすぐアメリカに戻っちゃうみたいだし、 1回1回の練習を大事にして、 学べるだけ学ばせてもらわなくちゃ) |
こはね | はい、これだよ。レコード屋さんオススメのアーティストさん! 私も教えてもらって初めて聴いたけど、すっごくよかった! |
彰人 | ああ、このチームか。たしか、一度活動を休止したあと、 メンバーがひとり代わったんだよな |
こはね | あ、その話、私もレコード屋さんのおばあさんに聞いたなあ。 サブボーカル兼作曲担当だった人が作曲に専念するためで、 新メンバー候補をビビッドストリートに探しに来てた——とか |
冬弥 | メンバーが代わったという話は俺も知っていたが、 そういう事情があったとは…… |
杏 | あはは。あのおばあちゃん、 『ビビッドストリートで起きたことは全部知ってる』って 自分でもいうくらいの情報通だから |
杏 | ていうか、こはねすっかり気に入られちゃったね。 お店に行くと、おばあちゃんのほうから声もかけてくれるし 話を聞いてほしそうにしてるしさ |
彰人 | 常連っつーか、孫だな |
こはね | ふふ。私も、おばあちゃんが増えたみたいで嬉しくって、 用事もないのにお店のぞいちゃったりするんだ |
杏 | そういえば、彰人と冬弥にも会いたそうにしてたよ。 他のメンバーはどうしたんだいってよく聞かれるし |
冬弥 | そういえば、ここしばらくは顔を出せていなかったな |
彰人 | あの人が薦めてくれるアーティストはハズレねえし、 オススメ聞きに行くついでに、顔見せに行くか |
こはね | うん、みんなで行こう! |
杏 | ねえねえ、こはね! こはねがフライヤーの写真を撮る時に 使ってるような、ああいうカメラの使いかた、教えてほしいな |
こはね | うん、いいよ! でも、どうして? |
杏 | 前から感じてたんだけど、こはねが撮る写真って、 見慣れた風景の新しい顔が見れるっていう感じで、 すっごい新鮮なんだよね |
杏 | だから、カメラをとおして見たら、 こはねが見てるのと同じ景色が見れたりするのかなって |
こはね | 同じ景色……。 ふふ、素敵な表現だね |
こはね | うまく教えられるかわからないけど、 私でよければ頑張るよ! |
杏 | ありがとう、こはね! ……と・こ・ろ・で |
杏 | 今の笑顔、すっごい可愛い! お願い、しばらくそのままで! ——そう! いい感じ! すっごい可愛い! |
こはね | (あ、杏ちゃん……私が教えなくても いいカメラマンさんになれるんじゃないかな……?) |
レン | なあ、メイコ。 メイコは、『先輩』ってなんだと思う? |
MEIKO | うーん、難しい質問だね……。 というか、急にどうしたの? |
レン | 急にっていうか……ここ最近、一歌達すげー頑張ってるだろ。 だから、オレももっと力になりたいなって思ってさ |
レン | けど、いまだに先輩ってなんなのかよくわかってないし 何したらいいのか、わかんないんだよな |
MEIKO | なるほどね~。ちなみに、『オレの考える先輩はこう!』 みたいなイメージとかもないの? |
レン | んー……。やっぱかっこいいのは『オレについてこい!』って 背中で語るヤツだな! |
MEIKO | へえ、いいじゃん! 試しに背中で語ってみてよ! |
レン | えっ!? 言われてできるようなら、 そもそもこんなに困ってないって…… |
レン | すー……すー……。ん…… |
レン | ——あれ……? 僕、いつの間に寝ちゃったんだろ…… |
レン | あ、このブランケット……。 誰かが掛けてくれたのかな? |
KAITO | ——あ、レンくん。起きたんだね |
レン | カイトくん! もしかして、ブランケットをかけてくれたのって…… |
KAITO | うん、僕だよ。起こそうか迷ったんだけど、 気持ちよさそうに寝てたから、体を冷やさないようにと思って |
レン | ありがとう。ちょっと休憩するだけのつもりだったんだけど、 思ってたより疲れてたみたい |
KAITO | レンくん、今日もいいライブができるようにって 一生懸命練習していたからね。お疲れさま |
MEIKO | ワン、ツー、スリー……! くるっとターン! アンド、ポーズ——! |
KAITO | もう振り付けを完璧に覚えちゃうなんて さすがメイコさんだね。はい、タオル |
MEIKO | あら、ありがと。 カイトも練習……っていうわけじゃなさそうね |
KAITO | うん。ライブに向けて必要な機材を運んでいる途中だよ |
MEIKO | それくらい、わたし達も手伝うのに……。 カイトだって一緒にライブ出るのよ? ちゃんと練習時間とれてる? |
KAITO | 大丈夫……と言いたいところだけど、 今回はちょっとバタバタしていて……。 機材運びが終わったら、みっちりやるつもりでいたんだ |
MEIKO | そうだったのね。わかったわ |
MEIKO | カイト、わたしはいい感じに練習ができてるし、余裕もあるわ♪ さあ、わたしに言うことがあるわよね? |
KAITO | え? ……あっ |
KAITO | ——メイコさん、よければ機材運び手伝ってくれないかな? それとちょっとダンスの練習に つきあってもらえるとすごく助かるよ |
MEIKO | ええ、もちろんオーケーよ! 仲間なんだから、どんどん頼ってちょうだい♪ |
ルカ | 珍しいじゃん。 カイトが私の散歩について来るなんて |
KAITO | いや~、今やってるミックスがちょっと納得いかなくってね。 散歩でもしたら、なんか降りてくるかなーって |
ルカ | なるほどね~。たしかに私も、アレについてひらめく時って だいたい歩いてる時だなあ |
KAITO | アレって何? 歌のこと? |
ルカ | 違う違う。アレっていうのは——……はっ! |
KAITO | ルカ? もしかして何か降りてきた!? |
ルカ | うん! 今日カフェのランチ、ナポリタンだと思う! |
KAITO | …………え? まさか、アレってランチメニューのこと? |
ルカ | そう! これがさ、そこそこ当たるんだよ♪ ねえ、カイト。カフェにナポリタン食べに行かない? 美味しいパスタ食べたら、いいアイディアも浮かぶって! |
KAITO | それもそうだね! よし、メイコのカフェにレッツゴー! |
ルカ | ふあ~……なんだか、眠く……。 リン、お膝を貸してちょうだい? |
リン | え? メイコじゃなくていいの? |
ルカ | ええ、大丈夫よ~。 わたし、どんなお膝でもちゃ~んと眠れるから |
ルカ | それに、いつもと違うお膝で寝たら、 いつもと違う夢が見られるかもしれないわ~ |
リン | そうなんだね……! じゃあ、起きたらどんな夢を見たか教えてほしいな♪ |
ルカ | いいわよ~。それじゃあ……おやすみなさい……。 すーすー |
リン | (わっ、あっという間に寝ちゃった) |
リン | (えへへ。リンのお膝ってどんな夢が見られるんだろう? 楽しみだな~) |
リン | はあ……。暇…… |
レン | あの、リン……。 絵名ちゃんに絵本を貸してもらったんだけど、一緒に読む? |
リン | ……その絵本なら、読んだことある |
レン | あ……。そっか…… |
リン | ……暇だし、つきあってもいいよ |
レン | え、いいの? |
リン | 他にすることないから。 ……ほら、読むんでしょ? |
レン | うん……! |
レン | あ……まふゆちゃん、来てくれたんだね |
まふゆ | うん。少し、時間ができたから |
レン | ……そうなんだ。 ………… |
まふゆ | ……? |
MEIKO | …………レン。 言葉にしないと、伝わらないわよ |
レン | あ……うん、その…… |
レン | さっき、メイコさんが『ふたりあやとり』を教えてくれたんだ。 それで…… |
まふゆ | ……私と、やりたいの? |
レン | う、うん……。どう、かな…… |
まふゆ | ……わかった。やりかたを教えて |
レン | ……! うん! ありがとう、まふゆちゃん |
愛莉 | あっ。このチーク…… |
絵名 | えっ、その色? 似合うと思うけど、愛莉にしては珍しくない? |
愛莉 | 違うのよ。わたしじゃなくて、 みのりに似合いそうって思ったの |
絵名 | あ、たしかに。 こういう元気な色、みのりちゃんぽいかも |
絵名 | あ……でも結構濃い色だし、メイクのバランス考えないと チークだけ浮いちゃいそうじゃない? |
愛莉 | そうなのよね。んー、これを薦めるなら、 アイシャドウとリップもセットでプレゼントしちゃおうかしら…… |
愛莉 | 絵名、もう少しつきあってもらってもいい? |
絵名 | ふふ、いいよ。みのりちゃんにぴったりなやつ ふたりで探そ! |
みのり | あ、奏ちゃんだ! これからどこかにお出かけ? |
奏 | 花里さん……。えっと、予約したCDを取りに 行くつもりだったんだけど、通りがすごく混んでて疲れそうだから 帰ろうかなって思ってたんだ |
みのり | うーん……。 今日、近くの公園で何かイベントがあるみたいだから、 それでいつもより人がたくさんいるのかも…… |
みのり | でも、予約するくらい楽しみにしてたCDなんだよね? ちょうどCDショップのほうに用事あるし、 奏ちゃんがとおれるように、わたしが道を—— |
奏 | あ、花里さん、後ろ……! |
みのり | え? わっ……! ——あ、いえ、大丈夫ですよ! |
みのり | ——ひゃっ! あ、すみません! いえ、わたしのほうこそちゃんと見てなく……わっ! |
みのり | わわわ、すみません! はい、大丈夫です! お気になさらず! |
奏 | ……だ、大丈夫? もみくちゃになってたけど…… |
みのり | こ、これくらい全然へっちゃらだよ! へっちゃら……なんだけど…… |
みのり | その……地下道あるし、そっち使おっか |
奏 | あ……そっか。たしかに、そのほうがいいかも……。 ありがとう、花里さん |
雫 | お買い物につきあってくれて、本当にありがとう。 瑞希ちゃんのおかげで、とっても素敵な刺繍糸を買えたわ |
瑞希 | これくらいお安い御用だよ♪ 裁縫の話ができる知りあい全然いないから、 いろいろ話せてすっごく楽しいしね! |
雫 | 本当? よかったわ |
雫 | そうだ……! 実は気になってる手芸屋さんが隣町にあるの。 海外の珍しい生地や手芸用品があるみたいなんだけど…… |
瑞希 | あ、そこ! ボクも行きたいって思ってた店かも! 入口にアラビアンな柄ののれんが かかってるところじゃない? |
雫 | ええ、そのお店よ! まだ時間も早いし、せっかくだから のぞきに行けたらって思うのだけれど……どうかしら? |
瑞希 | いいね! ボクでよければ、もちろんつきあうよ! とりあえず、駅に行こっか |
雫 | ありがとう、瑞希ちゃん! 駅は……左のほうに見えるから、左ね! |
瑞希 | あ、雫ちゃん! あってるけど、まっすぐ行ったほうが近いよー! |
MEIKO | ……ミク? じーっとメニューを見てるけど、どうかしたの? |
ミク | ん……ここはカフェだから、 唐揚げ定食とかはおけないだろうなって思って…… |
KAITO | え、唐揚げ定食? なんで? |
ミク | 最近、冬弥が貸してくれたボイトレの本に 歌う前に唐揚げを食べるといいっていう コラムがあってさ |
ミク | 油分とビタミンAが喉にいいって書いてあったから、 ここで出すのもいいんじゃないかなって |
KAITO | へえ、そうなんだ。じゃあ、唐揚げ置いちゃう? |
MEIKO | そうねえ……。 そのままは難しいから、洋風にアレンジすれば…… |
ミク | だよね…… |
ミク | ……ねえ、カイト |
KAITO | なんだい? |
ミク | 定食屋、出さない? 隣とかに |
KAITO | え? 大変そうだからボクには無理だよ |
ミク | だろうね |
MEIKO | あはは…… |
KAITO | やっほー、冬弥くん! 来てくれたんだね! |
冬弥 | はい。カフェの新メニューに興味があったので。 しかし、試食会ということであれば 俺より彰人のほうがよかったですね |
ミク | そんなことないよ。ほら、コーヒーの違いについては、 冬弥が一番よくわかるでしょ? いい舌を持ってるってことじゃない? |
KAITO | あ、コーヒーと言えば、冬弥くんが持ってきてくれた豆の 焙煎方法をいろいろ試してるんだ |
KAITO | だから、そっちのテイスティングもしてほしいな! |
冬弥 | 俺でよければ、ぜひお願いします |
KAITO | やった! ありがとう、冬弥くん! |
KAITO | となると——さて、どの順番で試してもらおうかな! |
ミク | カイト、今日はコーヒーの試飲会じゃなくて、 カフェの新メニューの—— |
KAITO | ねえ、メイコ! ドリッパーとか借りてもいいかな! |
ミク | あ、ちょっと! まったく…… |
類 | よいしょ……っと。 ふう、なんとか風紀委員にバレずに持ってこられたね |
冬弥 | 神代先輩? その大きな荷物は…… |
類 | ……よかった、青柳くんか。 これはね、新しいステージ用の装置だよ |
類 | 放課後の練習で使う前に、最終調整をしておきたくてね。 あ……悪いけど、白石くんには内密にしてもらえるかい? |
冬弥 | わかりました |
冬弥 | この装置でどういったショーが作れるのか 俺には想像がつきませんが、 お客さんはきっと笑顔になるんでしょうね |
類 | ああ。僕もそうなればいいなと願っているよ |
類 | (まあ、この装置を使うことになる人物が、 これを見てどんな顔になるかは、 はっきりと思い浮かぶけどね) |
類 | フフフ…… |
冬弥 | (神代先輩、楽しそうだ。 お客さん達の笑顔が脳裏に浮かんでいるのかもしれないな) |
咲希 | あ、とーやくんだ! もしかして買い物? |
冬弥 | はい、本を買いに。 おふたりも買い物ですか? |
司 | ああ。今日の夕飯をカレーにすべく、 材料を買い出しに来たんだ |
冬弥 | ……もしや、おふたりで作るんですか? |
咲希 | うん! このあいだホームパーティーしたでしょ? その時に、うちのカレーの作りかたも教えてもらったの |
司 | そして今日は、その実践編というわけだ! |
司 | そうだ、よければ冬弥も食べていくか? オレ達特製、天馬家のカレーを! |
冬弥 | いいんですか? しかし、急にお邪魔するのはご迷惑では…… |
司 | 何を言う。オレ達の仲ではないか。 うちの両親も冬弥なら喜んでくれると思うぞ |
咲希 | うんうんっ♪ とーやくんちのお母さん達も きっとオッケーしてくれると思うよ! |
冬弥 | ……ありがとうございます。 では、母に聞いてみます |
冬弥 | 彰人、突然なんだが、 彰人の家のカレーはどんなカレーだ? |
彰人 | は? マジで突然だな…… |
冬弥 | すまない。このあいだ、司先輩に カレーは家庭ごとに味や雰囲気が違うと聞いて 興味がわいたんだ |
冬弥 | 実際、司先輩達のお宅のカレーは、 甘口で野菜がごろごろ入っていた |
彰人 | ふーん。うちは……まあ、多分普通だな。 変わった野菜とかが入ってるわけでもねえし |
冬弥 | なるほど。 小豆沢達の家ではどうなんだろうか……? |
彰人 | 気になるなら、練習の時にでも 聞いてみればいいんじゃねえの? |
冬弥 | ああ、そうしよう |
司 | ん、メイコ? 何やら困っているようだが、どうした? |
MEIKO | 実は、ミク達がかくれんぼをしてたみたいなんだけど、 あとひとり、ど~しても見つからないって手伝いを頼まれたの |
司 | それは困ったな。 ちなみに、見つからないのは誰だ? |
MEIKO | ……ルカよ |
司 | あ~……。 なるほど、もろもろ察した…… |
MEIKO | はあ……。やっぱり、どこかで寝ちゃってるわよね |
司 | だろうな。よければオレも探すの手伝うぞ |
MEIKO | 助かるわ。ミク達、結構心配しちゃってるから 早く見つけてあげたいの |
司 | 任せろ! すぐにでもルカを見つけて、 オレがミク達を笑顔にしてやるぞ! |
MEIKO | さすが、司くん! 頼りにしてるわ! |
えむ | 寧々ちゃんがんばって……! 次がラストだよ! |
寧々 | んっ……! ……っはぁ! はあっ、はぁっ……や、やっと3セット終わった…… |
MEIKO | あら、ふたりして筋トレしてるの? |
えむ | うん! ショーには足腰も大事って聞いたから! |
MEIKO | たしかに! 筋肉と体力は、いくらあっても困らないわね♪ |
えむ | あ、そういえば類くんも前に、バキバキマッソーになったら すごいショーができるって言ってた! |
寧々 | ああ、アクロバットとか宙づりの話をしてた時のあれ? たしかに、体幹がしっかりしてないと できないこともあるけど…… |
寧々 | わたしは、まず筋力よりも体力をしっかりつけたいな。 そうしたら最後までしっかり演技できるし |
えむ | そっか! じゃあ……バキバキスッタミーナを目指そー! |
寧々 | ス、スッタミーナ? |
MEIKO | かっこいいわね、バキバキスッタミーナ! イエーイ♪ |
えむ | バキバキ☆スッタミーナ♪ オーイエ~っ☆ はい、寧々ちゃんも! |
寧々 | えっ!? 急に踊り出してなんなの? 絶対やらないからね!? |
司 | ——旭さん、青龍院、そして天満さん……。 素晴らしい俳優は、まだまだたくさんいる |
司 | まして海外に目を向ければ、 それはもうとんでもない人数になる—— |
司 | その中でひときわ輝くスターになるには…… やはり、並大抵の努力では足りないな |
類 | そうだろうね |
類 | 何より、いろいろな役を演じてきているだろうから、 経験の差という部分も大きそうだ |
司 | なるほど……。今までオレが演じてきた役など、 まだまだ数えきれる程度しかないからな |
司 | ん、待てよ…… |
司 | 星の数と同じだけの経験を積んだオレ—— それはもう、スターというより演劇界の宇宙なのでは? |
類 | その例えはよくわからないけど、 言いたいことはわかるよ |
類 | (君なら、いつかきっと正真正銘のスターになれると思うよ) |
司 | おお、あったぞ! 『ザ・グレイテスト・アクターズ』! |
類 | へえ、『天満星一を始めとする、有名俳優達が参加した、 ミュージカルソングのコンピレーションアルバム』か…… |
寧々 | あ、それわたしも持ってる。 第3弾くらいまで出てなかったっけ? |
えむ | わあ、3つもあるんだ! 司くんのオススメはどれ? |
司 | 第3弾だ! 天満さん初の海外公演で演じた作品の 挿入歌が入っていてな。あれはもう涙なしに聴けん! |
えむ | わかった! 第3弾……第3弾……。 ……あれ? |
寧々 | ない…… |
類 | ……ないねえ |
司 | なにぃ!? あ、第2弾もないではないか! 100枚ずつぐらい置いておくべきだろう! |
寧々 | まあ、しょうがないんじゃない? 他のアーティストのCDと比べたら、さすがにニッチだし…… |
類 | いや、このあいだちょうど公演もあったし、 売り切れてしまった——という可能性もあるね |
司 | くっ、仕方がない。 えむと類には、オレが持っているCDを貸すことにしよう! 存分に聴くといい! |
えむ | わーいっ! 楽しみに待ってるね~っ☆ |
寧々 | ふんふ~ふふふ~ん♪ ……あっ! |
類 | やあ、寧々。ずいぶん上機嫌だね |
司 | ゲームセンターから出てきたところと見たが……。 新しいゲームでも入っていたのか? |
寧々 | え、えっと……。いつもはあんまりやらないダンスのゲームで 思ったよりスコアが出せたの |
寧々 | 前までは、曲の終盤で疲れちゃってたけど、 いつの間にか最後までしっかりできるようになってきてて……。 ちょっとは体力ついてきたってことかな |
類 | そうだね。特にフェニックスステージとの 合同練習が始まってからは、 いつも以上にハードなメニューをこなしているからね |
類 | 基礎体力の向上はもちろん、筋トレによって動きのキレも かなりアップしているんじゃないかな |
司 | ほう! ならばオレもそのダンスのゲームとやらで トレーニングの成果を確かめてみるとするか |
司 | 寧々、そのゲームを教えてくれ。 ついでに、お前のスコアもな! |
寧々 | 勝負するつもり? あんまりやらないゲームとはいえ、 素人が簡単に超えられる点数でもないけど? |
司 | やってみなければわからんだろう! さあ、行くぞ! |
類 | フフ、これは面白くなりそうだね |
MEIKO | ……珍しい組み合わせね |
ルカ | あら。メイコだって、話しかけてくるなんて珍しいわね。 私っていう、大事な話し相手を取られたと思ったのかしら? |
MEIKO | はあ……好きに取っていってちょうだい |
KAITO | お断りだ。 イライラする話ばかりされて迷惑していたところだ |
MEIKO | ……やっぱり、そうだったのね。 よほど暇で退屈している時以外は、構わないことをお勧めするわ |
KAITO | ああ、それがよさそうだな |
ルカ | うふふっ |
KAITO | ……何がおかしい |
ルカ | 私のおかげで、ふたりが友達になれそうと思って |
KAITO | ………… |
MEIKO | ……わかったでしょ。こういう子よ |
奏 | ミク、カイト、こんにちは |
ミク | ……奏、いらっしゃい。 今日は、どうしたの? |
奏 | 今作ってる曲をちょっと調整してみたから、 みんなに聴いてもらいたくて |
奏 | カイトも、よかったら聴いてもらえないかな? |
KAITO | (たしか、ミクが言っていたな。 こいつが作った曲を聴いて、まふゆが笑ったことがあると) |
KAITO | (……まふゆの心にただひとつ響くもの、か) |
ミク | えっと、カイト……? |
KAITO | ……わかった。 だが、正直な感想しか言わないぞ |
奏 | うん、むしろそうしてもらったほうが助かるよ |
奏 | じゃあ、流すね |
まふゆ | ………… |
レン | あ……まふゆちゃん? |
リン | ……誰か、探してるの? |
まふゆ | ……ううん。いないことを、確認したかった…… |
レン | それって…… |
リン | ……カイトなんて、ほっとけばいい |
まふゆ | え…… |
リン | ……あいつは好き勝手言いすぎ。 ここはまふゆのセカイなんだから、まふゆの好きにすればいい |
レン | そ、そうだよ、まふゆちゃん。 ぼく達、まふゆちゃんが安心して休めるように、ここにいるから |
まふゆ | ……うん。ありがとう…… |
奏 | ミク達が来たら、デモ聴こうか |
瑞希 | まふゆも来れてよかったね~ |
まふゆ | 今日は、町内会の用事でお母さんがいないから。 でも、あんまり長くはいられない |
絵名 | わかってるってば。 それでも、来れただけよかったじゃん |
まふゆ | うん…… |
奏 | (本当は、一緒に作業できるのが一番だけど……。 こういう時間もきっと……) |
まふゆ | ……奏。ミク達が来るまで、今回のデモについて聞かせて |
絵名 | あ、いいじゃん。 私も改めて聞いておきたいな |
奏 | わかった。まず、今回の曲で伝えたいことなんだけど—— |
瑞希 | そういえば惜しいことしたなぁ |
奏 | なんのこと? |
瑞希 | 奏のブラウス姿だよ。 見逃しちゃったなぁって思って |
絵名 | そんなこと言ってる状況じゃなかったし、 仕方ないんじゃない? |
瑞希 | そうだけどさ~。 絵名だって本当は見たかったんじゃないの? |
絵名 | え、それは…… |
瑞希 | ねえ、奏。気が向いたらでいいから今度ブラウス着てよ! ボク達の作業モチベとか効率とか めちゃくちゃ上がるかもしれないからさ! |
奏 | そうなの? じゃあ……ちょっと恥ずかしいけど、 覚えてたら着てこようかな |
絵名 | ほんと!? |
瑞希 | あはは! 結局、絵名も見たいんじゃん! |
リン | ねえねえ、カイトくん♪ カイトくんの好きな色を教えて? |
KAITO | え、好きな色? そうだなあ……しいて言えば青色だけど…… |
リン | どんな青? 普通の? それとも水色っぽい感じ? |
KAITO | んー……じゃあ、濃いほうで |
リン | わかった! えっと……『青色を選んだあなたは、 とても思慮深く周りへの配慮ができる人』だって! |
KAITO | ふふ、心理テストだったんだね |
リン | うん、みのりちゃんに教えてもらったの! じゃあ、わたし他のみんなにも聞きに行ってくるね。 答えてくれてありがとー! |
KAITO | どういたしまして! |
KAITO | (なるほど……もしかしてさっき、メイコさんに 好きな色を聞かれたのも心理テストだったのかな?) |
KAITO | (あ……メイコさんに『答えはお楽しみに』って 言われてたけど、聞いちゃったな……) |
KAITO | (あはは……初めて聞いたリアクションを したほうがいい、かな……) |
レン | 愛莉ちゃん、また少しMCについて相談してもいいかな? |
愛莉 | ええ、もちろんよ。 ライブのための準備? |
レン | うん。今回は、ミクちゃんとルカちゃんの ライブのサポート役として、司会を頼まれたんだ |
愛莉 | へえ、MCはMCでも 司会っていうのはなんだか珍しいわね |
レン | 実はミクちゃん達、ライブの中でいくつか対決をするんだ。 だから、公平な立場で見てくれる人が必要だねっていう 話になったんだ |
レン | 一応、司会がやらなくちゃいけないことは イメージできてると思うけど……。 なんとなくで引き受けるのは良くないって思って |
愛莉 | さすがのプロ意識ね! じゃあ、バラエティー番組の 司会者を参考にしながら話せばいいかしら |
レン | ありがとう! すごく助かるよ |
愛莉 | わたしも経験を活かせて嬉しいわ。 なんでも聞いてちょうだい! |
穂波 | お買い物、つきあってくれてありがとう、えむちゃん |
えむ | ううん! あたしも探検中だったから、 行ったことないお店に行けて楽しかったなー☆ |
えむ | 途中で寄ったペットショップもおもしろかったなぁ。 いろんなおもちゃや服も売ってて! |
穂波 | うん。可愛いのたくさんあったよね! うちのしばおはちょっとサイズが合わなくて、 お店のはあまり使えないんだけど…… |
えむ | あれ? しばおくんって、柴犬だよね? そんなに大きい犬だったっけ? |
穂波 | えーっと……。サイズは普通くらいだと思うんだけど、 ちょっとまんまるというか…… |
えむ | そうなんだ~! えへへ、まんまる柴犬のしばおくん、会ってみたいなぁ♪ |
穂波 | ふふ。もしよかったら、今度一緒にお散歩に行く? しばおは人懐っこいし、すぐえむちゃんとも仲良くなれると思うよ |
えむ | いいの……!? やったー! ぜひお願いしまーすっ☆ |
雫 | あ……! ねえねえ、愛莉ちゃん。 少しだけ、あれ見てもいい? |
愛莉 | あら、カプセルのおもちゃじゃない。 これがどうかしたの? |
雫 | 右端の『ぬくぬくこたつネコ♪』シリーズの猫さん達が しぃちゃんのお部屋にいくつか飾ってあってね。 お土産にしようかなって |
愛莉 | 『ぬくぬくこたつネコ♪』……あ、あった、これね……って! |
愛莉 | なっ、何これ、かわいい! ほら、この猫なんて 気持ちよすぎてトロトロに顔がとろけてるわ! |
雫 | ふふ、愛莉ちゃんも一緒にやってみる? トロトロの猫さんが出たら、交換するよ |
愛莉 | いいの? じゃあ、チャレンジしてみようかしら! ちなみに、雫はどの子をお土産にするの? |
雫 | 私は……このみかんにいたずらしようとしてる 猫さんにしようかな |
愛莉 | わかったわ! お目当てが出るようにがんばりましょ! |
雫 | うん……! |
志歩 | ……あれ? ミク、今日はちょっと弾きかた違うね |
志歩 | いつもより自由っていうか……。 遊びも入れながら弾いてるよね |
ミク | うん。この前、ビビッドストリートに 連れていってもらったでしょ? |
ミク | あそこで歌ってた人達のことを思い出しながら弾いてたんだ。 みんな伸び伸び気持ちよさそうに歌ってたなって |
志歩 | たしかに……。技術はもちろんだけど、 それぞれの個性を活かして歌ってる人が多かったね |
ミク | ねえ、志歩。ウォーミングアップがてら一緒に弾かない? あの通りの人達をイメージしながら |
志歩 | いいよ。準備するから、待ってて |
志歩 | ……いた。 ——お姉ちゃん、私のお弁当箱を持っていったでしょ |
雫 | え? ……まあ、本当だわ! ごめんなさい、朝練に行くために少し急いでいたから 間違えちゃったみたい |
志歩 | いいよ別に。はい、こっちがお姉ちゃんの。 じゃ、私はこれで—— |
雫 | しぃちゃん、もう行っちゃうの……? |
志歩 | そんな顔してもダメ。今日はお昼食べながら 一歌達と練習メニューについて話さなきゃいけないから |
雫 | そう……それじゃあ仕方ないわ。 また今度誘わせてね? |
志歩 | はいはい。また今度ね |
雫 | ふふ、約束よ? それじゃあ、頑張って! |
志歩 | うん、ありがと |
寧々 | ………… |
志歩 | あれ、草薙さん? こんなところでどうしたの? |
寧々 | あ……日野森さん! 実はえむと待ち合わせしてるんだけど、 全然来なくって…… |
志歩 | そういえば『落とし物を拾ったから届けてくる』っていう 鳳さんの声が、HRの時に聞こえた気がする…… |
寧々 | じゃあ、まだ届けに行ってるところかな |
寧々 | それにしても……ふふ、えむってば 学校でもそういう感じなんだ |
志歩 | うん、元気いっぱいだよ。咲希といい勝負って感じ |
寧々 | そっか。ほんと、どこにいても変わらないんだな |
寧々 | あの……教えてくれてありがとう。 えむのこと、もうちょっと待ってみる |
志歩 | うん、そうしてあげて。 じゃあ、また |
みのり | 穂波ちゃん、昨日はお散歩つきあってくれてありがとう! |
みのり | サモちゃん、久しぶりにしばおに会えて、 帰り道もうっきうきだったよ |
穂波 | ふふ、しばおもそうだよ。 いつもだったら、お散歩コースの半分も行かないうちに 『もう帰る』って駄々をこねるんだけど…… |
穂波 | 昨日は、花里さん達が帰っていったほうを 何度も振り返って、名残惜しそうにしてたの |
みのり | そうなんだ! やっぱり、仲良しの友達と遊ぶの すっごく楽しいんだろうなあ |
穂波 | また今度、一緒にお散歩しようね。 サモちゃんと遊ぶと、しばおのいい運動になるから |
みのり | こっちこそ! おっきいサモちゃん相手でも 遊んでくれる友達ってなかなかいないから。よろしくね! |
杏 | 絵名さん、こんにちは! 今から授業ですか? |
絵名 | まあね。ていうか、意外と遅くまで学校にいるんだね。 部活やってるんだっけ? |
杏 | いえ。今日は風紀委員会があったんです。 使われてない準備室の整理と掃除とかしてて |
絵名 | へえ。風紀委員ってそんなこともするんだ。 大変だね…… |
杏 | 全員でやればあっという間ですよ! じゃあ、これからチームに合流しないといけないので、 私はこれで—— |
絵名 | あ、ちょっと待って! 背中、ほこりがついてるよ。 ——はい、オッケー! |
杏 | 掃除してる時についちゃったのかな……。 ありがとうございます! |
杏 | たまに瑞希からも話を聞くんですけど、 絵名さんって優しいですよね! 私のお姉さんだったらよかったのになあ |
絵名 | え……そ、そう? |
絵名 | (そんな純粋な目で言われると……なんかくすぐったいな) |
絵名 | あ…… |
志歩 | 東雲さん、こんにちは |
杏 | 絵名さんも、CD買いにきたんですか? |
絵名 | うん。ほら、そこのポスターのアーティストなんだけど……。 好きなイラストレーターさんが、ジャケットとMVに 関わってるから、勉強がてら買ってみようかなって |
杏 | そうなんですね! 実は、私達もちょうど そのポスターの話をしてたんです。すごく目を引くねって |
志歩 | 本当はお互いにおすすめのCDを紹介し合おうと 思ってたんですけど、この人のCDを買ってみることにしました |
杏 | そうだ! よかったらあのポスターを描いた イラストレーターさんの話、聞かせてほしいです |
志歩 | 私も。ポスターもジャケットもすごくいいなって思ったので、 絵を描く人の感想、興味あります |
絵名 | プロじゃないし、たいした話できないと思うけど……。 それでもよければいいよ? |
杏 | やったー! ぜひお願いしまーす! |
杏 | あ、日野森さん! バンドの帰り? |
志歩 | うん。白石さんは……その袋、またお店の買い出し? |
杏 | そう! お店で出すケーキの材料が 足りなくなっちゃいそうだったから |
志歩 | へえ。ケーキとかもあるんだ。 ……ちなみに、アップルパイってあったりする? |
杏 | うーん、期間限定で出したことはあったと思うけど……。 日野森さん、好きなの? |
志歩 | 私じゃなくて、バンドメンバーがね |
杏 | そうなんだ! だったら今年の秋の限定ケーキ、 アップルパイにしようって父さんに提案してみようかな |
杏 | 採用してくれるかはわかんないけど……。 よかったら、みんなで食べに来てよ! |
志歩 | ありがとう。じゃあ楽しみに待ってようかな |
バーチャルシンガーは基本的に、ミク(25)、ルカ(L/n)、リン(MMJ)、レン(VBS)、MEIKO(VBS)、KAITO(WxS)
レン | とうちゃーく! 電車、すっごく楽しかったな! |
リン | みのりちゃん達に教えてもらった地下鉄も、 乗っててすごくドキドキしちゃった♪ |
KAITO | ふふ。地上を走ったり、地下にもぐったり、 なんだか遊園地のアトラクションみたいだったしね |
MEIKO | ええ。行きと帰りで違う電車に乗って シブヤに戻ってくるっていうのが、 なんだかパズルみたいでおもしろかったわ |
ルカ | 本当ね。セカイにいる他のみんなへの いいお土産話になりそうだわ |
リン | そういえば、ミクちゃんは? 学校で会えるっていうのは聞いたけど…… |
ルカ | あの子なら、想いの持ち主達と一緒よ。 学校に通うのは初めてだろうから、 よく知っている子達とのほうが安心できると思って |
レン | 学校がどういうところかはみんなから聞いてるけど、 オレも実際に通うのは初めてだし、楽しみだなぁ |
KAITO | 僕は正直、生徒の側で大丈夫かなって思ったけどね |
ルカ | あら、どうして? 似合ってるわよ、制服 |
MEIKO | 私は生徒の側でよかったと思うわ。 カフェのマスターと常連さんよりも、 もっと近い距離であの子達と話せるかもしれないもの |
レン | あ、信号青になった! 早く行こうよ、カイトー! |
KAITO | わっ……! ま、待ってレン、そんなに急がなくても—— |
MEIKO | こら、レン! うちのカイトじゃないんだから、 もうちょっと……えっと、優しく……? |
リン | ふふっ。賑やかな学校生活になりそうだなぁ♪ |
一歌 | いよいよミクデミーに入学だね。 どんなことが勉強できるのか楽しみだな |
咲希 | うんうんっ♪ 世界的に有名な音楽学校なんだよね? |
ミク | 音楽の世界で成功を夢見る者にとっては、憧れの学校—— って、海外では言われてるみたいだよ |
穂波 | そんなすごい学校の分校が、 急にシブヤにできるなんてびっくりだね |
志歩 | いや、そこに私達が通えるってことのほうが驚きだけど……。 ほんとなんなの、急に届いたあの入学許可書 |
咲希 | ある日、突然届いた入学許可書! その謎を解くため、アタシ達はいざ入学式へ乗り込むのであった! |
咲希 | ——っていう、ドラマ作れそうだね! |
一歌 | はいはい |
ミク | 謎といえば、ミクデミーに行くと『特別な何か』が手に入る っていう話を聞いたことあるかも…… |
咲希 | おおー、おもしろそーっ! じゃあ、勉強しながらその『特別な何か』も探してくるよ! |
ミク | うん、楽しんできて! |
みのり | つ、ついにミクデミーの入学式だね! どどど、ドキドキしてきちゃった! |
愛莉 | そんなに緊張してどうすんのよ。 わたし達は招待状をもらって入学するんだから、 堂々としてなさい |
雫 | それにしても、ミクちゃんから 『ミクデミーで学びませんかって連絡が来てる』 って聞いた時は本当に驚いたわ |
遥 | うん。……ミク、もしかしてミクデミーに知り合いがいるの? |
ミク | ふふ。それは…… プライベートなことだから、ひ・み・つ♪ |
遥 | そっか……。 アイドルにプライベートのことは聞いちゃダメだよね |
愛莉 | とにかく、海外の本校だとトップアイドルを 何人も出してるみたいだし、 このチャンスを活かさない手はないわ! |
雫 | 他にどんな人達が入学するのかも楽しみね |
遥 | そうだね。授業だけじゃなくて、クラスメイトからも いろいろ学べることがあるかもしれない |
ミク | みんななら、きっとすてきな1年をすごせると思うよ。 がんばって♪ |
みのり | うん! いってきます! |
一歌 | あ、雫先輩……と、たしか、青柳さんでしたよね。 星乃一歌です |
冬弥 | クラスメイトとして、よろしく頼む |
雫 | ふふ、私も一歌ちゃんと同じクラスになれるなんて嬉しいわ |
雫 | あとはたしか…… 鳳さんっていう子と宵崎さんとミクちゃんね |
一歌 | はい。まさか、奏さんとも同じクラスになれるなんて |
一歌 | (それに、ミク……か。入学式の時に見かけたけど、 私が知ってるミクとはだいぶ雰囲気が違ってて、 大人しそうな子だったな) |
冬弥 | 星乃さんは、宵崎さんとも知り合いなのか。 もしよかったら、紹介してほしい |
一歌 | うん、もちろん。 あとで、一緒に声をかけに行こう |
奏 | えっと……あ、あった。 ミクは、わたしと同じクラスだよ |
ミク | ……うん。よかった、奏と一緒で |
奏 | そうだね。星乃さんも同じクラスみたいだし……。 それから—— |
えむ | おはようございまーすっ☆ |
奏・ミク | 『わっ……!』 |
えむ | お久しぶりです、鳳えむです! 同じピュアハートクラスだねっ☆ よろしくお願いしま~す♪ |
ミク | ……ピュアハートって、何? |
えむ | クラスに名前がついてるんだって。 あたし達のクラスは、ピュアハート! なんだか変身できそうで、かわいいよね♪ |
ミク | 変身……? |
えむ | そういうアニメがあるんだよ♪ もしかして、知らない? |
ミク | うん、多分…… |
えむ | じゃあじゃあ、今度おうちに遊びに来る? アニメ1話から最後まで全部見れるよ! それに、他のシリーズの—— |
えむ | あ、チャイム鳴っちゃった~。 あとで続き話そうねー! |
ミク | ……おうち、呼ばれちゃった。 わたし、もしかして……あの子の友達になれた、のかな? |
奏 | うん。きっとそうだと思うよ |
寧々 | よかった……知ってる人がいて。 あの、よろしく |
志歩 | こっちこそ。 ——あ |
彰人 | よう。お前らも、あー……ソリッドハートクラス、か? |
志歩 | うん。……そういえば、お姉さんも同じクラス—— |
彰人 | 知らねえ。オレは何も見てねえ |
志歩 | まあ、気持ちはわかるよ。 私も、お姉ちゃんと同じクラスだったらって思うと ちょっとね…… |
彰人 | だろ? はあ……誰だよクラス決めたヤツ |
彰人 | つーか、クラスの名前もなんなんだよ。 ソリッドハートクラスって……絶妙にダセえし |
志歩・寧々 | 『それも同感』 『それは同感』 |
絵名 | へくち……! |
愛莉 | あら、かわいいくしゃみね。 どこかで誰かが絵名の噂でもしてるのかしら? |
絵名 | そんなの、彰人に決まってるじゃん。 どーせ、なんで同じクラスなんだって文句言ってるに決まってる。 私だって嫌なのに |
KAITO | ——はじめまして、同じクラスになったカイトです。 これからよろしくね |
絵名 | えっ、カイト!? ……って、あれ……? なんか、雰囲気が全然違う…… |
KAITO | あ、もしかして、僕に似ている人を知ってるのかい? |
絵名 | は、はい……なんかこう、いっつもムッとしてて トゲトゲした感じの…… |
KAITO | ああ。彼なら、僕の遠い親戚だよ。 親戚同士、顔が似てる人がすごく多くてね |
愛莉 | あら、そうなの。 実は、わたしも知りあいに似てるなーって思ってたのよ |
KAITO | どんな人か聞けばわかると思う。 よかったら話を聞かせてほしいな |
愛莉 | ええ、もちろんよ! |
リン | ——じゃあ、やるね♪ |
リン | りんりり~ん♪ お届けものです! |
咲希・杏 | 『なんですか~?』 |
リン | 両手い~っぱいのスマイルだよ♪ 勇気も凛々♪ 鏡音リンです! |
杏 | わあ、可愛い! さっすがアイドル! |
咲希 | ほんとほんと! でも……自己紹介の参考にするには ちょっと難易度が高いかも…… |
杏 | ねえ、お兄さんがやってるような挨拶は? 選挙の挨拶みたいなやつあるよね! |
咲希 | あるある! えーっと、アタシ用にすると…… |
咲希 | 天翔けるペガサスと書き、天馬! 希望が咲き誇ると書いて咲希! その名も——天馬咲希!! ——な~んちゃって♪ |
リン | すごい! とってもすてきだった! |
咲希 | えへへ。さすがにみんなの前でやるのは、 ちょっと恥ずかしいけど…… |
杏 | たしかに…… |
杏 | 第一印象って大事だし、やっぱ普通のにしようかな |
咲希 | だね~ |
瑞希 | ねえねえ、ボク達のクラスの名前見た? パッションハートだって |
類 | フフ。ある意味当たっていて、ある意味ハズレ……と言えるかな |
瑞希 | そう? 今の類なら、当たってるって言っても 大丈夫だと思うけどね~ |
レン | やっほー! ふたりも、パッションハートだよね。 オレは鏡音レン、よろしく! |
みのり | 花里みのりです! 神代さん、瑞希ちゃん、1年間よろしくお願いします! |
瑞希 | え……ええっ!? みのりちゃん、同じクラスなの!? |
瑞希 | ——わ、ホントだ! 名前ある! ボク、だいたい最初に名前があるから、そこしか見てなかったよ! |
みのり | いいなあ、名前見つけやすくて。 わたし、自分の名前にたどり着くまでが長くて、 すごくそわそわしちゃうから |
レン | んー、オレも結構見つけやすい名前だけど…… |
レン | オレは探す時間が長いほうがいいなあ。 そのあいだ、誰と一緒のクラスになったんだろって ワクワクが続くしさ! |
類 | なるほど…… |
類 | (僕も、比較的名前を見つけやすい苗字だから、 楽でいいなとしか思っていなかったな) |
類 | (そもそも昔は、クラスが変わったところで 何かが変わるわけでもなかったしね。だけど……) |
瑞希 | ……レンの言うとおりかも。 知り合いの名前見つけたら、さっきみたいに きっと大はしゃぎしてただろうから |
類 | フフ。これは、ここでしか できなかった発見かもしれないね |
瑞希 | うん |
司 | ……ふむ。オレは、コーシャスハートクラス、か。 穂波や小豆沢も一緒のクラスのようだな |
まふゆ | ごぶさたしてます。えっと……天馬くん、でしたよね。 朝比奈まふゆです。よろしくお願いします |
司 | おお、いつぞやは類が世話になったな! こちらこそよろしく頼む! |
司 | それから……ん? ルカ……さん、か? |
ルカ | ふふ、ルカで大丈夫よ。 よろしく、司くん |
司 | (なんということだ……オレが知っている人にそっくりだ。 だが、眠そうではないし、同姓同名の別人か?) |
司 | (……はっ! ま、まさか、 ドッペルゲンガーなんてことは……!) |
まふゆ | そういえば、ルカは自分に似てる人って見たことない? |
司 | なっ! まさか朝比奈さんの知りあいにもルカが!? 誰かがドッペルゲンガーなんてことはないよな!? |
まふゆ | え? ドッペルゲンガー? |
ルカ | ふふっ、心配いらないわ。 私、実は同姓同名のそっくりさんが少なくとも4人いるの |
まふゆ | 4人? それはすごいね…… |
司 | そ、そうだったのか……。 意外といるんだな、同姓同名のそっくりさんというのは…… |
こはね | 知ってる人がいっぱいいてよかった……。 穂波ちゃん、遥ちゃん、メイコさん、よろしくお願いします |
MEIKO | 私のほうこそ、よろしく。マスターとしてじゃなくて、 クラスメイトとして接するのって、なんだかわくわくするわ |
MEIKO | そういえば、私達のクラスにはコーシャスハートっていう名前が ついているみたいね? |
穂波 | はい。用心深いとか、慎重とか……あとは、 思慮深いっていう意味があったと思います |
遥 | もしかして……そういうタイプの人が 集められたクラスっていうことなのかな? |
こはね | あはは……私の場合は、慎重っていうより臆病になっちゃうかも |
MEIKO | あら、自分達で開催したイベントの オープニングアクトに名乗り出た子が そんなことを言っていていいのかしら? |
こはね | えっ! で、でもあれは、 やってみろって言われたからっていうか…… |
遥 | ふふ。コーシャスハートじゃなくてブレイブハートでも ぴったりだったかもしれないね |
遥 | 私も、ちょっと思うところあるし……。 望月さんにもぴったりな名前だから |
穂波 | 本当? だったら、嬉しいな |
一歌 | 民族楽器の授業、思ってた以上におもしろかったね。 この前の『不思議な形の民族楽器』もそうだし、 今日の『世界各地の笛』の授業も、出てよかったな |
えむ | えへへ。いろんな笛がふけて、 あたしもすっごく楽しかったー! |
奏 | わたしも、いい勉強になったな。 地域によって使ってる素材が違うから、 おなじ音階でも聴こえかたがちょっとずつ違ってて |
一歌 | そうですね。 奏さんに言われて、たしかに!って思いました |
えむ | 宵崎さんって、す~っごく耳がいいんですねっ☆ |
奏 | たまたまだよ。 青柳くんのほうが、ああいう楽器系の音に詳しそうだったし |
一歌 | そういえば青柳さん、ストリート音楽を始める前は クラシック音楽をやってたっていう話をしてましたね。 それで、かな…… |
奏 | そうかもね。迷惑じゃなかったら、みんなともっと 楽器や音楽の話をしてみたいな |
絵名 | 寧々ちゃん、うまく歌うコツ教えてくれてありがとう。 おかげで歌の授業もバッチリだったよ |
寧々 | えっと……よかったです。 でも、もともと絵名さん上手だったから |
志歩 | たしかに、音楽サークルではイラストを描いてるって 聞いていたので驚きました |
絵名 | まあ、うちのサークルは自分達で歌も歌ってるからね。 ちょっとはうまくないと |
絵名 | そういえば、志歩ちゃんも歌うまかったね |
志歩 | そうですか? バンドじゃボーカルは一歌に任せてるので、 そんなに自信なかったんですけど…… |
寧々 | (わたしは十分うまいと思ったけどな……。 どんな練習したんだろ。でも……今、会話に入っちゃうのは……) |
絵名 | (あれ……寧々ちゃん、なんかソワソワしてる。 ……もしかして) |
絵名 | 寧々ちゃん、何か聞きたいことがあるんじゃない? |
寧々 | えっ! は、はい、ちょっとだけ…… |
絵名 | ふふ、やっぱり! せっかくだし、聞いちゃえば? ね、志歩ちゃん |
志歩 | 答えられそうなことなら、全然聞いてくれていいよ |
寧々 | あ、うん……! 絵名さん、日野森さん、ありがとうございます |
KAITO | 彰人くん、絵名ちゃん達を見て なんだかすごい顔をしているね…… |
愛莉 | ふふ、なんとなくわかるわ |
愛莉 | きっと、絵名が珍しくお姉さんしてるから ちょっと違和感を覚えてるってところかしら |
彰人 | いや、ちょっとどころじゃないっす…… |
KAITO | そうなんだね。 ちなみに、普段はどんな感じなんだい? |
彰人 | わがままで人を目覚まし代わりにして、 あげくにコンビニまでパシらせようとしてくる横暴な怪獣です |
KAITO | あはは……怪獣か…… |
愛莉 | 絵名ったら、相変わらずなのね。 彰人くんさえよければ、わたしからガツンと言うけど…… |
彰人 | ぜひお願いします |
咲希 | 今度、クラス対抗の球技大会があるんだって~♪ どんな競技があるのか楽しみ! |
類 | 聞くところによると、激しめのスポーツは少なめで 誰でも気兼ねなく参加できる大会のようだよ |
杏 | そうなんですね! んー、バスケがあったらやりたいけど、 突き指の心配とかもあるし、さすがにないかなぁ…… |
レン | オレ、もしサッカーがあったら絶対選ぼっと! それで、絶対に優勝するんだ! |
類 | フフ、レンくんは勝つ気満々だね。 それなら、僕も真面目に勝ちにいける競技に出ようかな |
咲希 | おおー! じゃあアタシも『勝ちにいける競技』に出ます♪ |
杏 | あははっ。咲希ちゃんってばそれ言いたいだけじゃない? |
咲希 | えへへ、バレた? |
レン | でもさ、ほんとどんな競技があるんだろうな! オレ、もうわくわくしてきたよ |
類 | ふふ、僕もだよ。 競技の発表を、みんなで楽しみに待とう |
みのり | アイドルの歴史学、すっごくおもしろかったね! |
リン | うん! 曲調も歌詞の雰囲気も衣装も いろいろ違いがわかって、すごくいい勉強になったなあ |
瑞希 | だねっ! 歴史っていうから、受けるまで抵抗感あったけど、 ああいうのなら大歓迎だよ! |
瑞希 | それに、出された宿題も、 難しいけどおもしろそうなやつだし! |
リン | 10年後の『アイドル』がどうなってるかを 考えるっていうのだよね♪ |
みのり | 10年後のアイドルかあ……。 きっと、ステージで歌って踊るのは変わらないと思うけど……。 うーん、イメージわかないなあ |
リン | そうかな? わたしは、みのりちゃんの10年後を 考えればいいんじゃないかって思ったよ♪ |
みのり | え、わたしの10年後!? |
瑞希 | あ、たしかに! きっとその頃には モモジャンが伝説的なアイドルになってるんじゃない? |
みのり | えええっ!? そ、そうなってたら嬉しいけど、 でもそんな、いくら10年後だからって 伝説的なアイドルだなんて、えへへへ…… |
リン | ふふっ、みのりちゃんかわいい♪ |
瑞希 | うんうん。癒されるなあ…… |
ルカ | ねえ、穂波。せっかくクラスメイトになったんだし、 ルカとか、ルカちゃんって呼んでみてほしいわ |
穂波 | えっ。えっと…… |
MEIKO | あら? 珍しくルカが穂波を困らせてるわね |
ルカ | それはわかっているんだけど……。 こんな機会、滅多にないでしょ? |
遥 | 私は、望月さんが照れちゃうの少しわかるな。 私の知りあいのメイコも『めーちゃんって呼んで』って 言ってくれるんだけど…… |
遥 | そういう風にニックネームで呼ぶことって なかなかしてこなかったから |
MEIKO | めーちゃん…… |
ルカ | ね? 普段と違う呼びかたをされるって、 すごく新鮮な響きでしょ? |
MEIKO | ええ。めーちゃんって呼んでもらえてるその子が、 ちょっとうらやましいわ |
遥 | ……本当? それなら…… |
遥 | めーちゃん、こんにちは |
MEIKO | ……! ありがとう、遥ちゃん! ふふっ。くすぐったいけど、すごく嬉しいわ |
ルカ | あ、メイコだけズルいわ。 穂波、1回だけでいいから…… |
穂波 | わかりました。じゃあ……。 えっと……ルカちゃん、いつもありがとう |
ルカ | いいえ、私のほうこそありがとう |
冬弥 | 球技大会の競技が発表されましたね。 ミクや宵崎さんは何に出るか決めたんですか? |
ミク(25) | まだ決めてない……。 やったことないものばかりだから |
奏 | わたしは運動とか全然しないし、体力もないから、 多分グルグルバットシュートに出ると思う |
冬弥 | あ、10回回って、サッカーボールをシュートするという……。 目が回るでしょうが、あれなら運動が苦手でも なんとかなりそうですね |
ミク(25) | ……もしかして、冬弥も運動苦手? |
冬弥 | 実はそうなんだ……特に球技は向いていなくてな。 せめて、クラスの足を引っ張らないようにしたいが…… |
奏 | わたしも…… |
ミク(WxS) | そこのみんな! と~~~っても、困ってるみたいだねっ☆ |
奏 | わっ! ミ、ミク……? |
ミク(WxS) | ぶぶーっ! ミクはミクじゃないよ! |
ミク(WxS) | みんなが球技大会を楽しめるように応援する、謎のお助けマン♪ 選んだ競技でバッチリ活躍できるように、特訓しちゃうのだ~っ♪ |
冬弥 | 特訓? そうか、そういうフォローもこの学校にはあるんだな。 とても助かる |
奏 | うん。できそうなのを選んだつもりだけど、 いろいろ心配だったし |
ミク(25) | ……わたしも、球技できるようになる? |
ミク(WxS) | もっちろんっ♪ ミクと一緒に、がんばろうねっ☆ |
一歌 | んー、フットサルに卓球、キックベース……。 それから、グルグルバットシュート……? |
雫 | ふふ、グルグルバットって、あのバットを額に当てて グルグルするあれよね? |
一歌 | そうだと思います。 あと、ピンポン玉競争って…… |
えむ | あたし、どんなのか聞いたよ! 走る人みんながお玉を持ってて、 ピンポン玉を乗せてリレーしていくんだって♪ |
雫 | あら、なんだか楽しそうね。 私はそれにしようかしら |
一歌 | うーん、お玉でピンポン玉をリレーか……。 私、あんまり器用じゃないし、そういうのは向いてないだろうなあ |
雫 | ふふ。一歌ちゃんなら、たくさん体を動かす競技でも しっかり活躍できると思うわ |
えむ | うんうんっ♪ ねえ、一歌ちゃん、 あたしと一緒にキックベースやってみようよ! |
一歌 | キックベースか、やったことないけど……。 おもしろそうだし、いいかも |
えむ | やったー! じゃあ放課後、他のみんなと一緒に練習だねっ♪ |
一歌 | うん! よろしく、鳳さん |
絵名 | 寧々ちゃんは、球技大会何に出るかもう決めた? |
寧々 | えっと……運動神経にあんまり自信ないので、 グルグルバットシュートにすると思います |
絵名 | そうなんだ。んー、奏もグルグルバットシュートに出るって 言ってたし、ぶっちゃけ楽そうだし、私もそれにしようかな |
彰人 | お前……楽だからって理由で選ぶなよな |
絵名 | 何? いいでしょ別に。 できない競技に出て迷惑かけるよりは全然マシだし |
絵名 | ていうか、彰人こそなんでキックベースなわけ? 普通にフットサル出れば勝てるじゃん。 なに、遠慮してるわけ? |
彰人 | してねえよ。 普通にキックベースやってみたかっただけだっつーの |
寧々 | あ、あの…… |
絵名 | ほんとにー? 杏ちゃんは勝ちにいくって、バスケ選んだみたいだけど? |
彰人 | は? あんな負けず嫌いと一緒にすんな。 だいたい—— |
寧々 | (……こ、これ、どうしたらいいの……!? 誰か助けてーーーっ!!) |
類 | ふたりは、どの競技に出るか決めたのかい? |
リン | うん♪ わたしはピンポン玉競争だよ |
レン | オレはフットサル! 実は彰人にサッカー教えてもらったことがあって、 ときどき練習してたんだ |
リン | わあ、じゃあフットサルがピッタリだね! それで、類くんは? |
類 | 僕は正直どれでもいいから、余った競技に参加するつもりだよ |
レン | え、そんな選びかたでいいの? やりたいやつ、本当にない? |
類 | すまない。言いかたが悪かったみたいだ…… |
類 | どれに出ても楽しそうだから、選べない—— と言うのが正解だね |
リン | よかったぁ。類くんだけ楽しめないなんて悲しいから |
レン | うん! あ、選べないならさ、 オレと一緒にフットサルやろうよ! |
リン | ピンポン玉競争も、ちょっと難しいけど、 やり甲斐あってとっても楽しいよ♪ |
類 | ……ふたりともありがとう。 せっかく誘ってもらったし、そのふたつで真剣に考えてみるよ |
リン | ほんと!? どっちになるか、楽しみに待ってるね! |
一歌 | ……もう、1年も終わりか。 なんだか、あっという間だったな |
雫 | ええ、入学したのがまるで今日のことのようだわ |
奏 | ……ミクは、学校楽しんでくれたのかな |
えむ | あたしは楽しんでくれたと思うな♪ だって、い~~~っぱい、笑ってくれたもんっ☆ |
冬弥 | そうだな。俺もそうであってほしいと思う |
一歌 | 私も……ミクが笑ってくれると、 なんていうか、胸の奥がすごくあたたかくなる |
一歌 | ……もし本当に、この学校に『特別な何か』があるんだとしたら、 もう十分もらっちゃったな |
奏 | 『特別な何か』? |
一歌 | はい。入学する時に聞いたんです。 ミクデミーに行くと手に入るって |
冬弥 | ……それが笑顔、か。いいな |
えむ | うんうんっ♪ あたしも、笑顔だーい好き! |
雫 | そんな素敵なものに出会わせてくれるなんて—— 本当に、この学校に来られてよかったわ |
奏 | わたしも、久しぶりにちゃんと学校通ったけど、楽しかったな |
絵名 | ねえ、卒業課題があるって聞いたんだけど、 あれってホント? |
志歩 | そうみたいですよ。どういう課題かは 卒業式当日にならないと、教えてもらえないみたいですけど |
寧々 | それって……もし課題ができなかったら、 卒業させてもらえないってこと? |
彰人 | だろうな。ぶっつけ本番でやらせるなんて、 最後の最後にとんでもねえことやらせやがって |
愛莉 | でも、しっかり授業や学校行事に参加していれば 大丈夫っていう話も聞いたわ |
愛莉 | 絵名も、あんまり遅刻しないでちゃんと学校来てたし、 そんなに心配しなくてもいいんじゃないかしら |
彰人 | ま、だいたいオレが起こしたんすけどね |
絵名 | うるさい! |
寧々 | ……ほんと、変な課題じゃないといいね |
志歩 | そうだね。でもまあ、桃井先輩の言うとおり、 学生としてやるべきことをやるしかないよ |
穂波 | 最近、卒業課題の話でもちきりですね |
まふゆ | うん。何をするのか全然わからないから、 私も気になっちゃうな |
司 | 案ずることはない。 日々真面目に勉強し、学校行事にも出ていた者であれば、 問題なくクリアできるという話じゃないか |
司 | であれば、少なくともここにいる者は大丈夫だと思うぞ! |
まふゆ | ふふ、そうだね。 私も、みんなは自信を持っていいと思う |
遥 | ありがとうございます |
遥 | 自分では、学生生活も音楽の勉強も悔いの残らない毎日を すごせたと思ってはいたんですが、 改めてそう言ってもらえると嬉しいです |
こはね | そうだね。 でも……結局、挑戦状ってなんだったんだろう? |
まふゆ | あ、前に話してくれた……。 実は、小豆沢さん達を学校に呼ぶためだけの方便だったりして |
司 | なるほど……たしかに挑戦状を送られては、 彰人や白石が黙ってはいないだろうしな |
穂波 | ……わたしが聞いた『特別な何か』っていうのも、 そうだったのかな? |
司 | まあなんにせよ、卒業までの残された日々を、 ミクデミー生として胸を張ってすごそうではないか! |
穂波・遥・こはね・まふゆ | 『はい!』 『うん!』 |
こはね | わあ、ここがミクデミー……! あ、あの銅像、なんだかミクちゃんに似てるね! |
杏 | ていうか、ひげとか帽子取ったらまんまミクじゃない? ここ、ミクがやってる学校なんだっけ? |
冬弥 | いや、『ミクデミー』というのはあくまで通称で、 正式な名前は別にあると聞いたが…… |
彰人 | そんなことより、オレ達にはオレ達の目的があるだろ。 例の、挑戦状の差出人を探さねえと…… |
ミク | 探すって言っても……たしか『ミクデミーにて待つ!』としか 書いてなかったんだよね? |
こはね | うん。あとは、入学許可書が一緒に入ってたんだ |
杏 | ここで勉強してるうちに、 向こうからなんか言ってくるんじゃない? |
冬弥 | そうだな……。 残念ながら俺達には、差出人の目的も心当たりもない |
冬弥 | 小説ではこういう時、相手の思惑どおり動いてみせて、 出方をうかがう——というのが定石だ |
彰人 | まあ、それもそうか…… |
ミク | 杏、彰人、しっかり勉強するんだよ |
杏 | もちろん! 1日中音楽やれるなんて最高! |
冬弥 | ん? 座学やテストもあるはずだが……。 もしや、ずっと歌の授業だと思っているんだろうか? |
こはね | あはは……。 さすがにそんなことはない、と思うけど…… |
司 | 来たぞ、ミクデミー!! |
えむ | あ、見て見てー! このあいだ会ったミクちゃんの銅像があるよ! |
寧々 | あの怪しいミク、本当にここの校長だったんだ…… |
類 | いやあ、驚きだね。 溝に足を取られて動けなくなってしまった『ミク』を助けたら、 まさか世界的に有名な学校に入学させてもらえるとは |
ミク | うんうんっ☆ 演奏とか歌だけじゃなくって、 ショーのこともいっぱい勉強できる学校なんだよねっ! |
寧々 | うん。学校の名前は聞いたことあったけど、 まさか自分が通えるなんて……! |
司 | 見ろ……! 寧々の目が輝いているぞ! |
えむ | あたしも負けないよ~♪ きらきらきら~っ☆ |
類 | フフ。寧々もえむくんも、やる気に満ち溢れているね |
司 | オレ達も負けてはいられんな! |
えむ | おお~! じゃあ司くん達も、おめめきらきら~する? |
司 | なんでそうなる! |
ミク | フレーフレー、み・ん・なっ♪ ミク達、応援してるからね~っ☆ |
類 | ありがとう、ミクくん。 では、いってくるよ |
ミク | ……ここが、学校…… |
奏 | えっと……正式名称の頭文字が『MIKU』になるから、 ミクデミーなんだっけ? |
瑞希 | ああそれ、日本だけだよ。 語呂がいいからそう呼ばれてるんだって |
まふゆ | そもそも正式には『academy』じゃなくて 『university』だしね |
絵名 | ふーん。……で、ミクの知りあいが この学校をミクに薦めてくれたんだったよね |
ミク | うん……。すごくいろんなことが勉強できるって |
絵名 | たしかに、授業の一覧見たけどほんといろいろあるよね。 ミュージカルに使う美術セットがどうのこうのっていう 授業もあるみたいだし |
瑞希 | そうそう! 映像系の授業もあるし、すっごく楽しみ♪ |
奏 | わたしも、改めて音楽の勉強ができるのは嬉しいな |
まふゆ | ……私も |
奏・ミク | 『…………』 |
瑞希 | よーしっ! せっかくみんなで同じ学校通えるんだし、 めいっぱい楽しんじゃおーう♪ |
一歌 | あ…… |
??? | ……えほん、あーあー…… |
??? | ハロー、エブリワン! ようこそ、我がミクデミーへ! みんなの入学を、首をなが~~~くして、待っていたヨー |
生徒達 | く、首? |
生徒達 | どこが首なんだ…… |
ダヨー先生 | えー、わたしはミクダヨー校長。 気軽に、ダヨー先生って呼んでくれていいヨー |
ダヨー先生 | 我が校には『尊敬』『創意』『挑戦』っていう校訓があるヨー |
ダヨー先生 | このミクデミーに来た理由は、それぞれ。 でもここにいるみんなは、 音楽や表現することが大好きだと思うんダヨー |
ダヨー先生 | たった1年限りの分校だけど—— きっとみんな、素敵な友達になれるヨー |
ダヨー先生 | えー、それではお待ちかねの、クラス分けダヨー |
ダヨー先生 | ぴったりなクラスを選ぶために、みんなには ダヨー先生のこの頭をかぶってもらうヨー |
生徒達一同 | 『頭!?』 |
ダヨー先生 | フォッホッホッ。冗談ダヨー |
ダヨー先生 | クラス分けは廊下に貼ってあるヨー。 さあ、レッツゴー♪ |
冬弥 | 日野森さん、ミク、こんにちは。 何を読んでいるんですか? |
雫 | うちから持ってきた絵本よ。 ミクちゃん、絵本が好きなんですって |
ミク | すごくおもしろかった。 お話に出てくる黒い魚も、いっぱい仲間ができてよかった |
冬弥 | ああ、その話なら俺も知り合いの家で読んだことがあるな |
冬弥 | ……そうだ。遊べる絵本に興味はあるか? たくさんの人が描いてあるページの中から、 主人公や主人公の持ち物を探す絵本だ |
雫 | まあ! その絵本なら私も知ってるわ。 みんなで一緒に楽しめるのよね |
ミク | そんな絵本があるんだ……。 遊んでみたい |
冬弥 | わかった。では、うちにある物をいくつか持ってこよう |
ミク | ありがとう。楽しみ…… |
まふゆ | みんな、ミクデミーにもだいぶ慣れてきてるみたいだね |
司 | ああ。今度やるという球技大会の話も よく聞くようになったな |
こはね | どんな競技があるのか楽しみですね。 あ……でも、挑戦状のこと全然調べてないけど、いいのかな? |
まふゆ | え、挑戦状? |
こはね | はい。私達、挑戦状に入学許可書が入ってて、 ここに入学したんです |
司 | そうだったのか! てっきりオレは、 お前達も助けたミクに連れられて入学を許可されたのだと…… |
まふゆ | みんな、入学の事情が違うんだね…… |
まふゆ | でも、挑戦状か……。入学許可書も一緒に入ってたなら 送れる人って限られるんじゃないかな? |
司 | たしかに……。 もしや、ダヨー先生なのではないか? |
こはね | えっ、校長先生が挑戦状を!? で、でも、なんででしょう? |
司 | それは……う~む…… |
まふゆ | ……あんまり、心配しなくても大丈夫なんじゃないかな? 普通に学校生活は送れてるみたいだし |
こはね | そうですね。他のみんなも、毎日楽しそうですし |
こはね | (でも……やっぱり、ちょっとだけ気になるな) |
KAITO | えっと、卓球の練習をしにきたけど、今日の参加者は3人か…… |
愛莉 | まだ競技を決めてない子もいるみたいだし、 人数が少ないのは仕方ないわ |
志歩 | そうですね。まあ、メンツが決まるまでは その日のメンバーでできることを—— |
ミク(VBS) | ——困ってるみたいだね。 私でよければ、助っ人として一緒に練習するよ |
愛莉 | えっ! ……もしかして、ミク!? |
ミク(VBS) | さあ、誰だろうね |
ミク(VBS) | 私の役目は、みんなが球技大会を楽しめるように応援すること。 だから、助っ人が必要なら協力するよ |
KAITO | それは嬉しいな。3人だとダブルスの練習ができないし、 困っていたんだ |
志歩 | ……ちなみに、卓球の経験はあるの? |
ミク(VBS) | ないよ。でも、羽子板なら負けたことないから大丈夫 |
志歩 | は、羽子板? バドミントンならともかく、卓球なんだけど…… |
愛莉 | ま、わたし達も初心者だし、一緒に覚えていけば大丈夫よ。 ——これからしばらく、よろしくね! |
ミク(VBS) | うん、任せて |
みのり | 今日からわたし達も、球技大会の練習だね! がんばるぞー! |
杏 | みのりちゃん、ギリギリまで迷ってたみたいだけど、 やっぱりグルグルバットシュートにしたの? |
みのり | うん! バラエティを身につけるためにも、 いい練習になるかもって思って! |
杏 | あははっ! そういう理由で選んだんだね。 それで、瑞希達はキックベースだっけ? |
瑞希 | うん。ピンポン玉競争と迷ったんだけど、 咲希ちゃんも出るし、たまにはチーム競技もいいかな~って |
咲希 | えへへ。小学校の頃、クラスのみんながやってるの見て、 ずーっとやってみたいって思ってたんだ♪ |
瑞希 | よーしっ! やるからには、一番を目指そう! 弟くんのクラスがちょっと手ごわそうだけどね |
咲希 | あ、お兄ちゃんもキックベースに出るって言ってたんだった! うー……強敵ばっかりだよ~ |
杏 | 大丈夫だって。うちのクラスには神代先輩がいるしさ、 作戦とか相談してみればいいんじゃない? |
咲希 | たしかに! すっごい作戦考えてくれそう! |
瑞希 | だね! 探して相談してみよっか! |
???*1 | ふふ。助っ人は大丈夫そうだね。 みんな、ファイト♪ |
ルカ | ——こはねちゃん、今よ! |
こはね | はいっ! |
司 | なっ……! 曲がっただと!? |
ルカ | すごいわ、こはねちゃん! 完璧なラケットさばきよ |
こはね | ありがとうございます! ルカさんに丁寧に教えてもらったおかげです |
こはね | 司さんもメイコさんも、練習につきあってくれて ありがとうございます |
MEIKO | どういたしまして。 でも、こんなに卓球が上手になってるなんて驚きだわ |
司 | これはオレ達もうかうかしていられないな! 自分達の競技をしっかり練習しなければ |
MEIKO | ええ。私も、料理をする者として、 お玉さばきでは負けていられないわ |
???*2 | ……ルカ、卓球できたんだ。 せっかく練習して助っ人に来たのに…… |
???*3 | しょうがない、他に困ってる人がいないか探しに行こう |
まふゆ | あ、望月さん、お疲れさま。 今、自主練中? |
穂波 | はい。司さんが卓球チームの練習に助っ人に行っていて……。 朝比奈先輩達は、これから練習ですか? |
まふゆ | うん。フォーメーションの相談が終わったから、 実戦でやってみるところだよ |
穂波 | えっ、フォーメーション? バスケチーム、本格的ですね……! |
遥 | 初めての人もいるし、ドリブルで相手を抜こうとするより 決まった動きを覚えたほうが 得点できるんじゃないかっていう意見があったから |
遥 | うまく決まればみんなシュート打てるし、 相手も出し抜けてすごく楽しいと思う |
まふゆ | 経験者の桐谷さんがいてくれてすごく助かっちゃった。 練習でも頼りにしてるね |
遥 | はい。私も、杏から宣戦布告もらっちゃったので、 全力で勝ちにいこうと思います |
まふゆ | ふふ、あれすごくびっくりしたなあ。 急にうちのクラスに来て『遥! バスケで勝負しよう!』って |
穂波 | はい、負けないぞっていう熱い闘志が見えましたね |
遥 | 私はだいぶ恥ずかしかったけど……。 でも、売られた勝負は買わないと |
まふゆ | うん。せっかくの球技大会だし、 思いきり楽しもうね |
生徒達の声 | 『いいぞ! いいぞ! ピュアハート!』 |
生徒達の声 | まだ負けてないぞ、パッション! まずは1点返していこー! |
ダヨー先生 | 球技大会、とっても盛り上がってるヨー。 みんな、助っ人ありがとう |
ミク(VBS) | どういたしまして。 って言っても、ちょっと練習を手伝ったくらいだけど |
ミク(L/n) | わたしは、張りきって練習していったけど、 結局、やることなかった…… |
ミク(MMJ) | そんなことないよ。一緒にキックベースの子達を 手伝ってくれて、すごく助かっちゃった♪ |
ミク(MMJ) | ミクちゃんも、グルグルバットシュートの子達と たくさん練習してたね |
ミク(WxS) | えへへっ☆ 運動が苦手な子でも い~~~っぱい笑ってほしかったんだ~♪ |
ミク(VBS) | ふふ。競技に向かうところをちらっと見たけど、 冬弥達、すごく自信にあふれた顔をしてたよ |
ダヨー先生 | うんうん。みんな、本当にありがとダヨー |
ダヨー先生 | この調子で、卒業まであの子達のことを そばで見ていてあげてほしいヨー |
ミク(WxS) | もっちろん! ミク達にお任せ~っ☆ |
咲希 | もー、1年早すぎるよー! もっとみんなと青春したかったのに! |
みのり | クラス対抗の球技大会楽しかったね。 それに、秋にやった合奏祭も! |
杏 | 歌うんじゃなくて、演奏するっていうのが 結構大変だったけど、やりがいあったなあ |
瑞希 | しかもさ、学校にある楽器ならどれを使ってもいいって 言われてたから、楽器も選び放題だったし |
類 | でも、合奏という意味では使いづらい楽器もあったね。 僕が最初に使おうと思ったウドゥ・ドラムもそうだった |
咲希 | あっ、あのツボみたいなやつですよね! ポンポコポンみたいなかわいい音がする! |
類 | ああ。叩くだけでなく、表面をこすることでも 独特な音を鳴らすことができるんだ |
類 | 演奏する曲と楽器の編成的に使うのは難しかったけれど、 いつかあの独特な音を演出に取り入れてみたいね |
杏 | ねえ、瑞希。 瑞希も、学校楽しかった? |
瑞希 | あはは、そうだね。 めちゃくちゃ普通に楽しんじゃった |
みのり | えへへ。わたしも、毎日がすごく楽しかったなあ |
咲希 | 卒業まであともうちょっとだけど、 まだまだ楽しい思い出作っていこうね♪ |
みのり・杏 | 『うん!』 |
レン | はあ……もうすぐ卒業式か。 せっかくみんなと知りあえたのに…… |
リン | うん。お別れなんて、寂しいな…… |
ルカ | そうね……。 でも私達にはきっと、『特別な何か』が残るわ |
レン | えっ! うちのミクから聞いてたけど、本当にあるの!? |
KAITO | もちろんだよ。 僕達にとっての『特別な何か』は—— |
KAITO | 胸に手を当てて、目を閉じれば、 たくさん浮かんでくると思うよ |
MEIKO | そうね。たとえこの1年が、夢や幻だったとしても、 それはきっと残り続けるわ |
ルカ | ふふ。私、みんなと出会えてよかったわ |
リン | わたしも! すっごく楽しかった♪ ねえ、レンは? |
レン | な、なんだよ急に。そんな恥ずかしいこと聞くなよ。 な、カイト! |
KAITO | 僕は、みんなと同じ気持ちだよ。 みんなとすごしたこの1年、本当に楽しかった。 レンはそうじゃないのかい? |
レン | えっ……! ま、まあ、オレもそう思うけど…… |
MEIKO | ふふっ |
ダヨー先生 | あとはもう、卒業式を残すだけなんダヨー…… |
ミク(L/n) | うん。本当に、あっという間で……ちょっとだけ寂しいな |
ミク(MMJ) | そうだね。でも、みんなで楽しい思い出を たくさん作れたね♪ |
ミク(WxS) | うんうんっ☆ ミク達もみんなも、笑顔い~~~っぱいで とってもキラキラしてるもんね! |
ミク(VBS) | たしかに、みんないい顔してる。 そばで見守れてよかったな |
ダヨー先生 | お別れは寂しいけど、卒業式まではまだ時間があるヨー。 最後まで、みんなとの学校生活を楽しむんダヨー! |
ミク達 | 『うん』 『うん!』 『うんっ☆』 |
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