追加実装されたエリア会話の2年目分まとめ(2021/9/30~2022/9/29)
※v3.0.0アップデートにより、ゲーム内ではマップ選択画面の記憶のカケラから、もしくはキャラクターアーカイブのエリア会話ページから閲覧可能となっている。
絵名 | 相変わらず、ここは何もないね |
瑞希 | あはは。でも、人はたくさん増えたよね~ |
奏 | うん、最初はミクだけだったしね |
絵名 | ほんとだね。でもリンが来て、メイコが来て、ルカが来て……。 そのたびに、なんだかんだあったなぁ |
瑞希 | だねー。それに、ちょっとずつだけど、 まふゆにも変化が出てきてるみたいだね |
まふゆ | ……そう、なのかな |
絵名 | まあ、『わからない』ばっかりじゃなくなってきてるしね |
奏 | うん。まふゆにとっては、すごく大事なことだと思う |
奏 | だから、これからも思ったこととか、感じたこととか、 何かあったらわたし達に教えてほしいな |
まふゆ | ……わかった |
??? | いっちゃん、だーれだ? |
一歌 | わ……。声は穂波だけど……。 目隠ししてるのは咲希でしょ? |
穂波 | あ、やっぱりわかっちゃった? |
志歩 | まあ、そりゃわかるでしょ |
咲希 | ええー! でもでも! 声はともかく、 なんで目隠ししてるのアタシだってわかったの!? |
一歌 | 咲希の手って、他の人よりちょっとあったかいから。 それに、志歩がこういうことすると思えないし |
穂波 | そういえば咲希ちゃん、ちょっと平熱高いもんね |
咲希 | そうだけど、それでバレちゃうなんて……! |
咲希 | もー、しほちゃんが協力してくれたら、 いたずら成功したのにー |
志歩 | あーはいはい。ていうか、いたずらする意味あるの? |
咲希 | あるよー! まずいっちゃんが、びっくりしてくれるでしょ? そしたらだませたアタシ達もやったねっ!てなるじゃん! |
一歌 | もう、びっくりさせなくていいから |
咲希 | とか言って、ぜーんぜん驚いてなかったくせに~ |
志歩 | ほら、おしゃべりはそこまで。 そろそろ練習に行くよ |
穂波 | そうだね。セカイでミクちゃん達も待ってるし |
一歌 | うん。行こう! |
みのり | ……もうすぐ生配信の時間だ。 今日こそ段取り間違えないように、しっかりやらなくちゃ |
えむ | なんだかブルーなみのりちゃんに、 突撃わんだほーいっ☆ |
みのり | ひょえっ!? え、えむちゃん!? |
えむ | えへへっ☆ びっくりさせちゃってごめんね! |
えむ | いっつもにこにこ笑顔なのに、 今日はしょんぼりどよーんだったから、 何かあったのかなって思って |
みのり | 心配してくれてありがとう、えむちゃん |
みのり | 実はこの前、生配信で段取りを間違えちゃって。 だから今日は間違えちゃダメだって思って、 ちょっと緊張してたんだ |
えむ | そっかぁ……。でも、お顔がしょんぼりブルーなのは、 もったいないよ! みんなが見たいのは、きっとみのりちゃんの笑顔だもんっ☆ |
みのり | えむちゃん……。 うん、ありがとう! |
みのり | よし! わたしはみんなに希望を届けるアイドルなんだから、 もあもあ笑顔でがんばるぞー! |
えむ | よかったー、もういつものみのりちゃんだね♪ あたしも応援してるねーっ☆ |
みのり | うん! ありがとう、えむちゃん! |
みのり | あ、見て寧々ちゃん! これから、新人アイドルのデビューイベントがあるみたいだよ! |
寧々 | へえ。CDショップって、そんなこともやるんだ |
みのり | うん! 他にも握手会とか、 季節ごとにミニライブもやったりするんだよ |
寧々 | そうなんだ……。 ――あ、人がどっとステージのほうに向かって行ったね |
みのり | イベントが始まるのかも! 寧々ちゃん、せっかくだから見ていかない? |
寧々 | あ……い、いいよ。 こういうの見たことないし |
みのり | やったー! すごく盛り上がると思うよ! さっき移動してった人達、デビューを楽しみにしてた ファンの人達だと思うから! |
寧々 | そうなんだ。どんな感じになるんだろ。楽しみだな |
こはね | 草薙さんって、小さい頃から歌とお芝居をやってたんだよね? |
寧々 | うん。昔、『人魚姫』の舞台を見た時に、 主演の俳優さんの歌にすごく感動して、 わたしもあんな風になれたらって、憧れたんだ |
こはね | あっ! その気持ち、ちょっとわかるかも |
こはね | 私も、ストリート音楽を始めたのは、 今チームで一緒に歌ってる子の歌がきっかけだったから |
寧々 | それって、白石さんのこと? |
こはね | うん! 歌を聴いて、 こんな曲があるんだっていうのもびっくりしたけど、 杏ちゃんの歌声にもすっごく胸がドキドキしたの |
寧々 | ドキドキか……。わたしも、憧れの俳優さんの歌を聴いた時、 そんな感じだったな |
こはね | ふふ、その出会いがあって 今の私達がいるって思うと、歌ってすごいよね |
寧々 | うん。本当にそうだね |
杏 | ねえ、ちょっと提案があるんだけどさ。 今度の練習、二人一組で相棒をシャッフルしてやってみない? |
彰人 | シャッフル? |
杏 | そう! たとえば、私と彰人か冬弥が組んで、 こはねともどっちかが組んで練習する、みたいな感じ! |
冬弥 | なるほど。ハモリがある時はそういう組み合わせで 練習することもあったが…… |
こはね | うん、普段はあんまりやらないよね |
杏 | 実はさ、こはねの友達と一緒に練習した時に思ったんだけど、 普段と違う相手と練習するとなんか新鮮っていうか、 新しい発見とかありそうなんだよね! |
こはね | あ、それわかるかも! 私も、みのりちゃん達と練習して、 いろいろ気づけたこともあるし |
冬弥 | たしかにそういう意味では、 普段と違う練習というのもいいかもしれないな |
彰人 | だな。練習するのに変わりはねえし。 やってみるか |
杏 | やった! じゃあ、まず誰と誰が組むか決めないとね! |
みのり | えー、皆さん! 右手に見えるのがフェニックスコースターです! |
愛莉 | 思いきり看板にそう書いてあるから、 言われなくてもわかってるわよ |
雫 | みのりちゃん、とっても張りきってるわね |
遥 | 4人でフェニランに来れたのがよっぽど嬉しいみたいだね |
愛莉 | 気持ちはわかるけど、今日は一応、 ファンフェスタお疲れさま会なのよ? |
雫 | そうねえ。それなのに、主役のみのりちゃんに 案内してもらっちゃっていいのかしら? |
遥 | いいんじゃないかな。……ほら |
みのり | えへへっ。この日のために、 こはねちゃんと作ったガイドブックもあるし、 今日はめいっぱい楽しんでもらおーっと! |
遥 | ふふ。本人はすごく楽しんでるみたいだよ |
愛莉 | そうみたいね。じゃあ、みのりに楽しんでもらうためにも、 わたし達もめいっぱい楽しみましょうか |
雫 | ええ、そうね! |
えむ | あれ? 寧々ちゃん、ネネロボちゃんは? 今日、一緒じゃないの? |
寧々 | あ、うん。ちょっと動きがカクカクする時があって、 類に預けて、見てもらってるところだから |
司 | なに? それで、ネネロボは大丈夫なのか? |
類 | ああ。2、3日もあれば修理できるよ |
司 | そうか。よかった |
えむ | でも直るまでは、会えないんだよね~ |
寧々 | ほんの2、3日でしょ |
えむ | そうだけど~ |
司 | それなら、ネネロボの復帰祝いについて考えながら待つ というのはどうだ? |
類 | フフ。これからメンテするのに、気が早いね |
寧々 | でも、ネネロボも喜んでくれるかも |
えむ | うん! よーし、ネネロボちゃんが戻ってきた時に、 びっくりするようなパーティーにしちゃおーう♪ |
寧々 | ふふ。そうだね |
寧々 | えっと……。みんな、いらっしゃい |
みのり | ショーに招待してくれてありがとう、寧々ちゃん! わたし、すっごく楽しみにしてたんだ! |
こはね | 私も! 新作って草薙さんから聞いてたし、 昨日の夜はワクワクして眠れなかったよ |
一歌 | ふふ。こはね、もともと草薙さん達のショーのファンだもんね |
一歌 | あ、そうだ。草薙さん、ショーの見どころを聞いてもいいかな? せっかくだから、いろいろ勉強させてもらいたくて |
みのり | あ、わたしも聞きたい聞きたーい! |
寧々 | 今回のショーは、ミュージカル色が強いから、 見どころは歌かな |
一歌 | ミュージカルってことは、セリフを歌うところもあるよね。 歌詞作りや作曲の参考になるかも |
寧々 | あと……衣装とダンスの振り付けも結構こだわったから、 そこも、見てくれたら嬉しいな |
みのり | おおー! 歌とダンスに、衣装に振り付け! アイドルにぴったりな内容だね。 勉強させてもらいます! |
こはね | ふふ。私は歌が楽しみだな。 草薙さんも他の人達も、すっごく上手だから |
寧々 | (みんな、すごく期待してくれてる……) |
寧々 | (……よし。ちゃんと応えられるように頑張らなくちゃ) |
ミク | ねえ、杏。サンドイッチを作ってみたんだけど、 食べてみてくれない? |
杏 | えっ! ミクの手作り!? |
ミク | そう。ほらだいぶ前に、 料理、やってみたら?って杏が言ってたでしょ。 |
ミク | メイコに相談したら、まずは包丁に慣れるところからって、 サンドイッチを教えてもらったの |
杏 | あの話、覚えててくれたんだ! 嬉しいなぁ。じゃあ、遠慮なくもらうね! |
杏 | はむ……。ん、美味しいよ。 野菜もシャキッとしてるし、からしマヨネーズもいい感じ |
ミク | よかった。実は、杏にあげても大丈夫って、 メイコが言ってくれるまで何十個も作ったんだ |
杏 | え、そんなに!? |
ミク | うん。あ、作ったやつはほとんど カイト達に食べてもらったから、食材は無駄にしてないよ |
杏 | そ、そっか…… |
杏 | (サンドイッチって、 作るの失敗するような料理じゃないんだけど……。 何があったんだろう) |
KAITO | ふぅ……お腹いっぱい。 しばらくサンドイッチはいらないかな…… |
MEIKO | ごめんね。ミクのサンドイッチ作りに協力してもらっちゃって。 まさか、あんなに不器用だと思わなくて…… |
KAITO | あはは……。からしマヨネーズをパンに塗るんじゃなくて、 パンをからしマヨネーズに浸そうとした時は、 さすがにドキッとしたなぁ |
MEIKO | ええ……包丁も、まさかあんな風に 振り下ろして切ろうとすると思ってなかったし…… |
MEIKO | でも、今まで興味を持たなかった料理をやってみたいだなんて、 きっとミクも、あの子達から影響を受けてるのね |
KAITO | だろうね。ミクが一番、あの子達のそばにいたんだから |
MEIKO | ええ。ひょっとしたら、 また他のことにも挑戦したいって言いだすかもね |
KAITO | 案外、料理を極めたいって言いだすかも |
MEIKO | それは……。 ……いえ。もしそうなったら、しっかり応援するわ |
レン | あ、杏! ちょうどいいところに! ちょっと協力してくれない!? |
リン | 今からわたし達が交互に歌うから、 どっちが良かったか審判してほしいの! |
杏 | いいけど……。 ……ひょっとして、ふたりともケンカ中? |
リン | レンが悪いんだよ! わたしが、 ここのパートはこうしたほうがいいよって、 教えてあげてるのに! |
レン | オレにはオレのやりたい歌いかたがあるんだってばー! |
杏 | あー、はいはい! ふたりとも落ち着いて |
杏 | えっと、歌いかたで意見が食い違っちゃったから、 歌を実際に私が聴いて、 どっちがいいか決着をつけるって感じなんだね? |
リン・レン | 『うん!』 |
杏 | ……そんなに大事そうなこと、私が審判していいの? それで、ちゃんと納得できそう? |
レン | うん、大丈夫! |
リン | お願い、杏ちゃん! |
杏 | わかった! なら、私も真剣に聴くね! |
冬弥 | 飲むたびに思うが、 メイコさんのコーヒーは本当に美味しいな |
杏 | そうだね。でも、うちのコーヒーとの味の違いが、 あんまりわかってないんだよね |
杏 | メイコさんがいれてくれるコーヒーのほうが フルーティーな感じするんだけど……。 冬弥からすると、どういうところが違うように感じるの? |
冬弥 | そうだな……。白石の言うとおり、 メイコさんがいれてくれるコーヒーはフルーティーで、 それをより引き出す為に、浅煎りになっているんだろうな |
冬弥 | 逆に謙さんのコーヒーのほうは深煎りで、 苦みが引き立つように工夫されていると思う |
杏 | 言われてみればたしかに…… |
杏 | ありがとう、冬弥! コーヒーのこと、まだ全然わかってなくてさ。 すっごく助かる! |
冬弥 | いや。俺はただ好きなだけだからな。 詳しい話は、メイコさんや謙さんに聞くのがいいと思うぞ |
杏 | そうなんだけどさ。わかりやすく説明してくれるし、 お客さんの立場の感想とかも聞きたかったんだよね! |
冬弥 | そうか。役に立てたのなら、何よりだ |
彰人 | おい。今日の練習少し遅れる |
杏 | オッケー! けどなんで…… |
杏 | あ、わかった。英語の補習でしょー! |
彰人 | は? ちげーよ。バイトのヘルプ |
杏 | なんだ、そっちかぁ。 うちのクラスにも何人か補習受ける子いたから、 絶対それだと思ったのに |
彰人 | 人のこと笑ってられんのか? 古文、抜き打ちテストがあるとかって噂聞いたぞ |
杏 | げっ、それほんと!? ヤバい……勉強しておこーっと |
杏 | あ、彰人と冬弥じゃん! ちょうどよかった! もし時間あったら、ショッピングモール一緒に行かない? |
彰人 | は? ショッピングモール? |
こはね | 実は、ショッピングモールでやるのど自慢大会に、 私、エントリーしてて…… |
冬弥 | 小豆沢が? |
彰人 | お前なぁ。なんでまたそんなもんに…… |
こはね | えっと、優勝賞品が温泉旅行なんだけど、 お母さん旅行に行きたがってたし、 優勝してプレゼントしてあげたいなって思って |
杏 | というわけで、 親孝行なこはねの勇姿を見に行くところってわけ! |
冬弥 | なるほど。では俺達も応援しに行こう |
彰人 | おい、冬弥! |
杏 | よーし! こはね、私達がついてるから、思いっきり歌っちゃって! |
こはね | うん! |
彰人 | オレはまだ行くって言ってねえだろうが……ったく |
彰人 | おい、負けたら承知しねえからな |
こはね | う、うん! 絶対優勝して、温泉旅行もらうね! |
杏 | へえ、今度ここのライブハウスで、 ワンマンライブあるんだ……って、見てこはね! |
こはね | あ、この人達、 このあいだの対戦イベントで一緒に出てたチームだね |
杏 | そうそう! かなり強敵だったよねー。 判定も、ギリギリで勝てたっていうか…… |
杏 | ねえ、こはね! このライブ見に行ってみない? 敵情視察的な感じで! |
こはね | うん! 行きたい! |
杏 | じゃあ決まり! よーし、まずはチケットをゲットしないとね! |
ルカ | ふぁ……ねえ、カイトくん? あの雲の上には、行けるのかしら? |
KAITO | 雲の上? そうだね……空飛ぶ汽車でも 雲の高さまでは行けないから、難しいと思うよ |
ルカ | あら~、残念。きっとぽかぽかふわふわで、 と~っても気持ちよく眠れると思ったのに…… |
KAITO | はは。雲の上で眠るのは、 たしかに気持ちよさそうだね |
KAITO | んー、ふわふわの生地を集めて、 白い雲みたいなクッションを作るのもいいかもしれないね |
KAITO | そうすれば、雲の上を舞台にしたショーも作れるし |
ルカ | 素敵ねえ~。ふわふわのクッションで眠れるし、 楽しいショーもできて…… |
ルカ | ふふっ……想像したら、なんだか気持ちよくなって……。 すー……すー…… |
KAITO | ふふ。ルカも期待してくれているみたいだし、 試しに作ってみようかな |
類 | カイトさん、劇団にいるぬいぐるみ達だけど、 全員、把握しているのかい? |
KAITO | もちろん。ただ、似てる子もいるから、 最初はたまに間違えてしまっていたよ |
類 | けれど、僕が把握しているだけでも 相当な数のぬいぐるみがいるはず……。 それを全部把握しているなんて、さすがだね |
KAITO | みんなそれぞれ個性があるからね。 それに、得意なことや苦手なことも違うんだよ |
類 | そこまでしっかり把握しているんだね…… |
類 | それに、ぬいぐるみの一体一体に 個性があるなんて、このセカイという場所は本当にすごいな |
KAITO | セカイがすごいというよりは、 想いの持ち主である司くんが、すごいんだと思うよ |
KAITO | ぬいぐるみみんなに個性があるのも、 司くんと関わりがあるんだろうしね |
類 | そういえば、即興劇の時にぬいぐるみを役者に見立てて、 足りない人数を補っていた、という話は聞いたことがあるよ |
KAITO | つまり、司くんの中ではそれぞれのぬいぐるみに キャラ付けが施されていた、ということかな |
類 | フフ。知れば知るほど、ここは興味深いねえ |
類 | ――ぬいぐるみくん、協力してくれてありがとう。 気をつけて帰るんだよ |
ミク | あっ☆ 類くんだ~! |
リン | わーい♪ 遊びに来てくれたのー? |
類 | やあ、ミクくん、リンくん。 実は、このセカイにいるぬいぐるみ達が どうやって動いているのか気になっていてね |
類 | ときどき時間を見つけては ぬいぐるみくんに協力してもらって、 調べさせてもらってるんだ |
リン | そうだったんだー! ねえねえ、調べるって、どうやるの? |
類 | 本当は分解するのが一番早そうなんだけど、 さすがにそれはできないから、なでさせてもらっているよ |
類 | (まあ、それでわかるのも体の中に、 何も埋めこまれてはなさそう、ということだけだけどね) |
ミク | よしよししてあげるのが、調べるなの? |
類 | そうだよ。それならぬいぐるみ達も怖くないみたいだしね。 むしろ、もっとなでてほしいって、 進んで研究に協力してくれるんだ |
ミク | わあっ! じゃあきっと、 類くんのなでなでが上手なんだね♪ |
ミク | 類くん、ミクのこともなでなでして~? |
リン | あっ、ずるーい! リンもリンもっ! |
類 | フフ、上手かどうかはわからないけれど、 じゃあ、順番にね |
類 | やあ、司くん! |
司 | オレはやらんぞ |
類 | おや? 僕はまだ何も言っていないよ? |
司 | 顔を見ればわかる。 また無理難題を持ってきたとな |
類 | フフ。残念ながら違うよ。 次の休み、寧々やえむくんを連れて ちょっと出かけないか、というお誘いさ |
司 | む、出かける? どこにだ? |
類 | リアル脱出ゲームさ。 最近、ストーリー性がいいと話題の脱出ゲームがあってね |
類 | 様式は違うけれど、あれも一種のショー。 いい勉強になると思うし、どうかな? ああでも、『オレはやらん』と言っていたっけ…… |
司 | う……話も聞かずに悪かった。 オレもぜひ、行かせてもらおう |
類 | フフ、そうでなくちゃね。 じゃあ、チケットが取れたらまた連絡するよ |
司 | ああ、頼んだぞ! |
寧々 | ……あれ、類? 何か撮ってるみたいだけど、どうしたの? |
類 | これかい? ネネロボが、より人間らしい仕草や動きを 習得できるように、人の動きを録画しているんだよ |
寧々 | 人間らしい仕草や動き……? たとえば? |
類 | 気持ちが弾んでスキップをするとか、 落ちこんでいる友人の肩を叩いて慰めるとか、かな |
寧々 | スキップは……まあ、コサックダンスできるし、 いけそうな気がするけど…… |
寧々 | 落ちこんでる人の肩を叩くのはムリじゃない? 頭身的に |
類 | 大丈夫。届くように、ネネロボが浮けばいいんだから |
寧々 | 浮けばって……。 勝手に変な機能つけないでよ? |
えむ | みんなでお出かけ、わっくわっく~♪ ねえねえ、早く行こうよ! |
司 | こら、えむ! 前を見て歩け! あ、いや待て、勝手に行くんじゃない! |
寧々 | ……はあ。相変わらずうるさいんだから。ていうか、 ショーの衣装を探しに来たってこと忘れないでよ? |
えむ | はーい♪ |
司 | だから、勝手に行くんじゃなーい! |
司 | おい寧々、オレはあいつを連れ戻しに……ん? そういえば、類はどうした |
寧々 | え? さっきはすぐ隣に……って、いない? |
司 | まったく! あいつまで一体どこに……あ |
類 | ――へえ、このゴリラのお面、 なかなかのリアリティだね……。 何かしらショーに使えるかもしれない |
類 | それにこっちの、手を入れると噛まれる ジョーズの貯金箱のクオリティも素晴らしい。 これを、人がまるっとおさまるようなサイズにしたら―― |
えむの声 | あれれー? みんなどこ行っちゃったの? |
司 | ……こういう時は、オレ達がしっかりせねばな |
寧々 | うん、ほんとに…… |
司 | よし。オレはえむを捕まえに行くから、 お前はあいつを引きずってきてくれ |
寧々 | りょーかい |
えむ | 類くん類くん! 次のショーだけど、 森にお花畑を作ってる妖精さんのお話なんてどうかな? |
類 | 妖精か……いいね、面白そうだ。 ちなみに、ストーリーの案はあるのかな? |
えむ | うん! 人間にいたずらされて羽を失くしちゃった妖精さんが 人間の子供に助けてもらって、だんだんお友達になって、 ぽかぽかーってした気持ちになって、羽が元に戻るの! |
えむ | それで、妖精さんはその人間の友達と一緒に お花畑を完成させるの! |
類 | ふむ……。妖精の羽は、人間の子供と 心を通わせたことで治るのかな? |
えむ | そうだよ♪ えへへ、さっすが類くん! |
えむ | どうかな? おもしろいお話になりそうかな? |
類 | ああ。これだけの種があれば、 司くんが、それはもうみんなが笑顔になるような 素晴らしい花畑にしてくれるよ |
えむ | ……そうだね! あたし、司くんにも相談してくる! |
類 | ああ、頼むよ |
リン | やっほー、カイト兄っ! おしゃべりしに来たよっ☆ |
KAITO | ……俺は特に、話すことはないけど…… |
リン | えーっ? でもでもっ、 あたしはカイト兄と話すこといっぱいあるよ♪ たとえば…… |
リン | じゃっじゃーんっ☆ いっちー達が今度練習し始める、曲の楽譜だよ?♪ |
KAITO | ……話って、音楽の話か |
リン | えへへっ、それならカイト兄も おしゃべりしてくれるって思ってっ☆ |
リン | ねっ、ふたりで弾いてみながら、 予習しておこうよ♪ |
KAITO | うん……それなら、いいよ |
リン | やったーっ☆ カイト兄、マジありがとー! |
KAITO | ……ルカは、あの子達をバンドの結成前から見てるんだよね。 最初は、すごくぎくしゃくしてたって、本当? |
ルカ | ふふ。今のあの子達からすると、 ちょっと信じられないわよね |
ルカ | でも本当に、セカイに来始めた頃のあの子達は、 すれ違ってしまっていたの |
KAITO | ……そうだったんだ |
ルカ | それでも、ちゃんと自分達の想いと向きあって、 本当の想いを見つけてくれたわ |
ルカ | 強いわよね、あの子達 |
KAITO | ……そうだね。なんとなく感じる。 4人で一緒にいられる場所にいたい、 つながっていたいっていう感じが…… |
KAITO | ……あの子達の演奏が、 これからどんな風になっていくのか楽しみだな |
ミク | ……このセカイも、だいぶ人が増えて賑やかになったな。 まあ、ちょっと元気すぎる子も中にはいるけど |
リンの声 | イエ〜イ! ミクぴょん、いる〜? |
ミク | ふふ、噂をすれば…… |
リン | あれれ? ミクぴょん、なんか今笑ってた? なんでなんで? |
ミク | なんでもない。 それより、用事があったんじゃないの? |
リン | てへっ☆ そうだったー! あのね、ルカ姉とめーこ姉が一緒にセッションしよーだって♪ |
ミク | オッケー! 今行くよ |
MEIKO | あ、いたいた! カイト、一緒に屋上に来てくれない? |
KAITO | ……屋上? |
MEIKO | 咲希とリンが、カイトの歓迎会をするぞって、 張りきってるんだよね |
KAITO | え……。別に、そんなのいいのに |
MEIKO | そんなこと言わないの |
KAITO | 本当は、もっと早くやる予定だったんだけど、 カイトがここや咲希達に慣れるまで待とうって、 様子を見てくれてたんだから |
KAITO | ……そう、だったんだ |
MEIKO | さあ、主役がいないとパーティーが始まらないんだから! 行くよ、カイト! |
KAITO | ……わかった。じゃあ、ちょっとだけ顔出そうかな |
咲希 | あっ! あいり先輩! こんにちはー! |
愛莉 | あら、天馬さんじゃない。 今日も元気いっぱいね! |
咲希 | はい! あ、そうだ! このあいだの配信見ました! |
咲希 | 普段のご飯の話、すっごく楽しかったです! あいり先輩のおうちは和食が多いって初めて知れたし、 ちょっと意外でした! |
愛莉 | ふふ。わたし達のメンバーの中だと、 雰囲気的には、雫の家が一番和食多そうよね。 でも実際、あそこは和食と洋食半分ずつくらいみたいね |
咲希 | あ、きっとしほちゃんがハンバーグみたいな 洋食のほうが好きだからですね! |
愛莉 | たしかに、好きな食べ物が和食か洋食かで分かれそうね! そうだ。あなたのおうちはどう? |
咲希 | えっ! う、うちですか!? |
咲希 | えっと、うちはお兄ちゃんがいっぱい食べるので、 和食洋食っていうより焼肉とか生姜焼きみたいな、 スタミナがつく感じのお肉系のご飯が多いかもしれないです |
愛莉 | へえ、そうなのね! やっぱり家によって、食べてるものって変わるのね |
雫 | あら、しぃちゃん、穂波ちゃん! 今からバンドの練習? |
志歩 | うん。……って、なんでくっついてくるの。 外ではやめてって、いつも言ってるでしょ |
穂波 | ふふっ。志歩ちゃんと雫先輩、本当に仲がいいね |
志歩 | いや、どう見ても一方的でしょ |
志歩 | ほら、さっさと離れて。 そっちも、ダンスとかの練習あるんじゃないの? |
雫 | そうね……。遅れたらいけないし、そろそろ行くわ |
雫 | 穂波ちゃん、また今度美化委員会で会いましょ? それで、しぃちゃんのこといっぱい聞かせてね |
穂波 | はい、任せてください |
志歩 | ……ねえ、前から気になってたけど、美化委員の時ってどんな話するわけ? |
穂波 | そんなにたいしたことじゃないよ。 練習中に志歩ちゃんがこういうことを言ってくれて、 すごく勉強になった、とかそういうのだよ |
志歩 | 穂波だしヘタなこと言わないとは思ってたけど……。 まあ、それくらいならいいか |
愛莉 | じゃあ、雫。そこで待ってて。 このハンドタオルだけ買ってくるから |
雫 | うん。じゃあ待ってるあいだ、 路地にある雑貨屋さんにいるね |
愛莉 | あっ、ちょっと! 雫、ストップ! |
雫 | え? |
愛莉 | え?じゃないわよ。 アンタはすぐ迷子になるでしょうが! |
愛莉 | だから、大人しくここで待ってなさい! で、わたしが戻ったらそこの雑貨屋さんに一緒に行きましょ? |
雫 | そうね。愛莉ちゃんと一緒に見たほうが楽しそう。 じゃあ、ここで待ってるね |
ミク | ……メイコ |
MEIKO | ミク……? ……どうかした? |
ミク | メイコは……まだ遠くから、まふゆ達を見守るの? |
MEIKO | そのつもりよ |
ミク | そっか…… |
MEIKO | ……何か、不都合でもあるかしら |
ミク | わたしは、ないよ。 でも……メイコは、それでいいの? |
MEIKO | ええ、もちろん。 私はこの在りかたを変えるつもりはないわ |
リン | あ…… |
リン | ……今日はケンカしてないんだ? |
ルカ | あら……、ケンカなんていつもしてないわよ? |
MEIKO | ……そうね。ルカにとっては、ただのじゃれ合いでしょうし |
ルカ | ええ。可愛いでしょう? |
MEIKO | そうは思えないけど? |
リン | ………… |
リン | (……やっぱり、ケンカしてるのかも?) |
リン | ……まだ? |
絵名 | 全然まだ。ほら、じっとしてて |
瑞希 | あ、絵名。またリンの絵を描いてるの? 見せて、見せて! |
絵名 | ちょっと、まだできてないんだからのぞかないでよ |
瑞希 | えー。ちょっとくらい見せてくれてもいいのに |
絵名 | 今はダメ。リンが我慢してくれてるあいだに ラフ終わらせないといけないんだから、あとにして |
瑞希 | ちぇー |
瑞希 | リン、モデルを引き受けてあげたんだね |
リン | ……ここに座ってるだけでいいって言われたから |
リン | でも、動くとうるさい |
絵名 | 当たり前でしょ。デッサンが狂っちゃうし |
瑞希 | あはは。じゃあ、絵名がラフを描き終わるまで、 暇つぶしにちょっと話してようよ |
リン | ……いいよ |
瑞希 | ねえ、絵名! ボクも協力するからさ、 あとでその絵、ちゃーんと見せてね! |
絵名 | 瑞希……。 わかった、じゃあリンのご機嫌取りよろしくね |
瑞希 | ……あ、メイコ。最近、よく会うね~ |
瑞希 | 別に、お互い探してるわけじゃないのに、 なんでだろうね? |
MEIKO | 瑞希が前よりも、よくここに来るようになったからでしょ? |
瑞希 | あはは……。それは、まあそうだよね |
瑞希 | なんか、こっちのほうが居心地よくて…… |
MEIKO | 居心地がいいなら、いればいいわ。 私には関係ないから |
瑞希 | あ…… |
瑞希 | 居心地がいいなら、いればいい……か |
瑞希 | (ありがとう、メイコ) |
瑞希 | 奏、まふゆ、聞いてよー! 絵名ってばひどいんだよ! |
奏 | え、どうしたの? |
瑞希 | ふたりで映画見たんだけど、ボクめちゃくちゃ感動してたのに 隣でスンって顔しててさー |
瑞希 | おもしろくなかったかなって、心配になって聞いたら……。 ネタバレ見て知ってたって言うんだよ!? |
絵名 | 見たくて見たんじゃないし。 口コミサイトに評判見にいったらネタバレ踏んじゃったの |
奏 | あー……。あるね。そういうこと |
瑞希 | もー、ネタバレ見ちゃう危険あるってわかってるんだから、 見なきゃいいのに |
絵名 | 軽く予習していこうと思っただけだってばー |
まふゆ | ……学校の予習はめんどくさいとか その場で理解すればいいって、 よくナイトコードで言ってるのに |
絵名 | それとこれとは別。お金と時間使うんだから、 最大限楽しみたいでしょ |
まふゆ | でもネタバレ見て、瑞希みたいに感動できなかったんでしょ? |
絵名 | う…… |
瑞希 | やーい、絵名のドジっ子~ |
絵名 | うるさい |
奏 | うう……。まぶしい……目が、焼ける…… |
瑞希 | あはは……。目が慣れるまで、ボクの影に入ってたら? |
奏 | そうしようかな…… |
瑞希 | そういえば奏ってさ、お日さま浴びて ポカポカ気持ちいいなぁって、思うことない? |
奏 | 昔はあったと思うけど……。今は全然かな |
瑞希 | うーん、カーテン閉めっぱなしの生活に 慣れすぎちゃってるんだね~ |
瑞希 | それにしても、太陽がまぶしくて目が焼ける~なんて、 吸血鬼みたいだね |
奏 | ……ひょっとして、前世がそうだったのかも? |
瑞希 | あははっ! かもしれないね! |
瑞希 | あれ、まふゆだ! やっほー♪ どこかに出かけてたの? |
まふゆ | ……予備校 |
瑞希 | あ、そっか! 週末はいつもそうだったね。 ちなみに、今日は何を勉強したの? |
まふゆ | 今日は数学の強化日だったから、1日ずっと数学 |
まふゆ | 三角関数から始まって、指数関数と対数関数、 あとは微分と積分。それから?? |
瑞希 | ス、ストップストップ! ありがとう、もう大丈夫…… |
瑞希 | (ひぇ……そんなに数字つめこんだら、 ボク絶対、知恵熱出ちゃうよ!) |
瑞希 | そういえばこの辺だったっけ? 弟くん達と会ったのって |
絵名 | そうだね。あれ、ほんとびっくりした |
瑞希 | だね! けど、奏に弟くんを紹介できてよかったな~。 ほら、まふゆにはちょっと前にたまたま会って紹介してたし、 あとは奏だけだったから |
絵名 | ていうか、なんでそんなに彰人のこと紹介したがるわけ? |
瑞希 | ん~。やっぱり、絵名の反応がおもしろいから? |
絵名 | 言うと思った……。こっちは猫かぶってる彰人見ると、 なんかムズムズするから嫌なんだけど |
瑞希 | あはははは! 今のウゲーって顔、 弟くんが奏に自己紹介した時のこと思いだすな~♪ |
絵名 | ちょっと、瑞希! 人の顔見て笑いすぎだから! |
穂波 | あ、宵崎さん! こんにちは……って、 どうしたんですか? なんだかお疲れみたいですけど…… |
奏 | あ……今日、サークルの新曲アップの 打ち上げがあるって忘れてて……徹夜しちゃって |
穂波 | ……そうだったんですね |
穂波 | よかったら、温かいお茶を飲みながらひと息つきませんか? すぐ近くに、のんびりできるカフェがあるんです |
奏 | ……今は帰る気力もないし、そうしようかな |
穂波 | ありがとうございます。 それじゃあ、行きましょうか |
レン | そういえば、楽器が置いてある教室をのぞいたんだけど、 やたら星のシールが貼ってあるシンセがあったんだよな |
リン | あ、それあたしがよく使ってるやつ |
レン | やっぱりリンのか。 あのシール、どんな意味があるんだ? |
リン | あ、あれ? サッキーがくれたからデコってみたんだ♪ |
リン | でも、なんかあのシールを貼ってから、 シンセの音がキラキラって聴こえる感じがするんだよねー♪ |
レン | キラキラって……本当か? |
リン | ホントホント! 一緒に演奏すればきっとわかるよ! ほら、行こっ! |
レン | え? お、おい、引っ張るなって! |
レン | なあ、穂波。この曲なんだけど…… |
穂波 | あ、これ……。前の練習でわたしがリズムを取れなくて、 うまく叩けなかった曲だ…… |
レン | 実はオレも苦戦しててさ。 練習やってるうちにわけわかんなくなっちゃったんだ |
レン | 本当はできるやつに聞くのがいいんだろうけど……。 なんかちょっと悔しいじゃん? |
レン | だから一緒に練習して、 次の練習までには完璧にできるようになってやろうよ |
穂波 | うん、そうだね! 一緒に頑張ろう、レンくん! |
レン | なあカイト。ここにあるCDの中で、 カイトのオススメってどれ? |
KAITO | …………。これ、かな…… |
レン | へえ、オススメポイントは? |
KAITO | ……技術が高いし、バンドとして、まとまりもいい……と思う |
KAITO | 志歩がベーシストを目指すきっかけになったバンドの CDだから……聴いてみて |
レン | すごい、ベタ褒めじゃん! サンキュー、カイト。これ聴いてみるよ! |
レン | この学校、なかなか広くて探検のしがいがあるじゃん |
レン | えーっと、屋上にはさっき行ったし……。 あ、見つけた教室を全部のぞいていくか! |
レン | 何があるか楽しみだな! |
咲希 | ねえ、知ってる? 最近公開された、4人の女子高生達がバンドを組んで、 プロを目指すっていう映画! |
穂波 | あ、それCMで見たことあるかも。 たしか、アメリカで実際にあったお話をもとにしてるんだよね? |
咲希 | そうそう! しかも、上手になっていく感じを リアルに出すために、演奏未経験のキャストを わざわざ選んだって! |
一歌 | え……その映画のCMなら私も見たことあるけど、 未経験な感じ全然しなかったよ |
咲希 | うん! 本当すごいよね! ねえ、参考にもなるかもしれないし、みんなで見に行かない? |
志歩 | まあいいんじゃない? いい刺激にもなりそうだし |
咲希 | やったー! しほちゃんからお許しがでたー! |
一歌 | じゃあ、今度の練習の前に見に行くのはどう? |
穂波 | あ、いいね! 映画を見てわたし達も頑張るぞ っていう気持ちで練習できそう |
志歩 | じゃあ、そうしようか |
咲希 | わーい! みんなありがとう♪ えへへ、楽しみだなあ |
志歩 | 穂波……。うん、期待してる |
一歌 | 穂波のお弁当、彩りもよく考えられてて、すごいね |
一歌 | 自分で作ろうとすると、冷凍食品ばっかり使っちゃって、 厚焼き卵くらいしか、明るい色がないんだよね |
穂波 | 朝、お弁当用に何か作ろうと思うと、 結構大変だもんね |
穂波 | あ、もし苦手じゃなかったら、マリネとかオススメだよ。 お野菜を酢で漬けておくだけでできるし、 彩りもすごく鮮やかになるよ |
一歌 | 酢で漬けるだけか。それなら私でもできそうだし、 朝バタバタしなくてよさそうだね |
一歌 | 穂波、そのマリネのこともっと教えてほしいな |
穂波 | うん! まず、オススメの野菜はパプリカだよ。 甘みも出るし、色もすごく綺麗だから。それから―― |
咲希 | ほなちゃん、さっき買ったラメ入りのアイシャドウなんだけど、 それ使って、ほなちゃんにもメイクしていい? |
穂波 | えっ、わたしに? |
咲希 | うん! 友達とのおそろいメイクっていうのがしてみたくて! お願い……! |
穂波 | ふふ、いいよ。 おそろいメイク、わたしも興味あるから |
咲希 | 本当!? ありがとう、ほなちゃん! えへへ、がんばってかわいくメイクするね♪ |
穂波 | あっ、志歩ちゃん! これからバイト? |
志歩 | うん。今日出演予定だったグループに、 欠員が出たらしくて。トラとして弾くことになったんだ |
穂波 | そうなんだ…… |
穂波 | いつも思うけど、すごいね。 初めて一緒に演奏するバンドの人達もいるんだよね |
志歩 | でも、向こうもこっちが対応できる範囲で 考えてくれるし |
志歩 | それに、いろいろなバンドと組ませてもらうことで、 演奏とか、音を合わせる技術も上がるからね |
穂波 | そっか……そうやって志歩ちゃんは 演奏の腕を磨いてきたんだね |
志歩 | まあね。あと最近は、それぞれのバンドが 大事にしてることとかも聞くようにしてる |
志歩 | 4人で、もっといいバンドにしていけるようにしたいから |
穂波 | 志歩ちゃん…… |
穂波 | 志歩ちゃん! わたしももっともっとうまくなって、 志歩ちゃん達を支えられるように、きっとなるから |
志歩 | 穂波……。うん、期待してる |
遥 | ――よし。これで次に私達が配信する『振りコピチャレンジ』、 だいたい決まったね |
みのり | うん! 遥ちゃん、考えるの手伝ってくれてありがとう! |
ルカ | あら~、なんだかおもしろそうな企画ね。 どういう企画なの? |
みのり | えっと、配信を見てくれてるみんなに、 わたし達に振りコピしてほしい曲をアンケートして―― |
みのり | 一番になった曲の振り付けを持ち時間10分で覚えて、 誰が一番正確に覚えられたかを競う企画だよ |
遥 | 前に一度、みのりが挑戦してくれたんだけど、 いい緊張感や臨場感出て、見てくれてるみんなも きっとドキドキしながら見ててくれたと思うんだ |
みのり | あの時は失敗しちゃったけど、 でも、趣味を振りコピっていってる以上、No.1は譲らないよ! |
ルカ | ふふっ。これは白熱した勝負になりそうね。 楽しみだわ♪ |
ミク | ………… |
こはね | あれ? ミクちゃん、悩みごと? |
ミク | そういうわけじゃないんだけど…… |
ミク | このあいだ、サンドイッチを作る手伝いをしたのに、 やらせてもらったのがパンに具を挟むことだけだったんだよね |
ミク | もっといろんなことがしたかったのに |
杏 | (あはは……。メイコさん、 包丁は持たせたくなかったんだな……) |
こはね | んー。役割を分担して、 流れ作業でやったほうが早いから、かな? |
ミク | ああ、なるほど。 のんびりしてるとパン、パサパサになったりするしね |
杏 | (多分、違う……!) |
こはね | ちょっとしたことでもすごく助かるんだよって、 うちのお母さんも言ってたから、 メイコさんはすごく助かったと思うな |
ミク | ……サンドイッチ作り終わったあと メイコも、ものすごくほっとした感じだったし、 たしかに、役には立ててたのかも |
杏 | (それも多分違う……! でも……) |
杏 | (言えないーーーっ!!) |
こはね | みのりちゃん、お父さんの知り合いが 動物園のチケットをくれたんだけど、 よかったら一緒に行かない? |
みのり | ええっ、いいの!? ありがとう! 動物園なんて久しぶりだよ! |
こはね | うん、私も! あ、実はその動物園、 ヘビのふれあいコーナーもあるみたいなんだ |
みのり | へ、ヘビ!? それって、首に巻いたりするやつ……? |
こはね | ううん、日本で一番小さなヘビとのふれあいコーナーだよ。 小指よりも細くて、手のひらに乗るくらい小さいんだって |
みのり | わあ、そんなに小さいヘビがいるんだ! それなら怖くないし、わたしも興味あるかも! |
みのり | えへへ、他にどんな動物がいるのか調べておこーっと! |
こはね | 遥ちゃんって、毎日トレーニングをしてるって本当? |
遥 | うん。朝と夜にランニングしたり、 家では筋トレもしたりしてるよ |
こはね | わあ……みのりちゃんが言ってたとおり、 なんだかスポーツ選手みたい |
こはね | やっぱり、アイドルとして必要なことだから、だよね |
遥 | うん、私はね。体力的にはもちろんだし、 キレのあるダンスをするのにも必要だと思うから |
遥 | あとはインナーマッスルかな。 声量が増すし、肩とのどの力を抜いて リラックスした状態で歌えるようになるから |
こはね | なるほど……。私ももっと歌うまくなりたいし、 筋トレしてみようかな…… |
こはね | でも、ちゃんと続けられるか心配だな |
遥 | 無理に筋トレを始めなくても、ロングブレスの練習や ストレッチしながらの腹式呼吸とか、 意識する方法はいろいろあるよ |
遥 | だから、こはねにあった方法で試してみてほしいな |
遥 | (杏に『私の可愛い相棒がバキバキになっちゃう』って 文句言われるような気もするし……) |
こはね | うん、いろいろ調べてみるね! ありがとう、遥ちゃん |
杏 | ――それでこはねのすごいところは、 初心者ではかなり大変な量の練習を、 最初の頃からきっちりこなしてきてるところでさ! |
こはね | あ、杏ちゃん。恥ずかしいから、そのへんで…… |
遥 | ふふ。こはねのことを話しだすと、杏は止まらなくなるね |
みのり | (……こはねちゃん、いいなあ。 わたしも、遥ちゃんが堂々と誇れるような 仲間になれてたら……) |
杏 | ――あ、そうだ! せっかくだしさ、 遥が感じるみのりちゃんのいいところも、教えてよ |
みのり | えっ、杏ちゃん……!? い、いきなりそんな! |
遥 | もちろんいいよ。まず……、みのりは明るくて、 いつも笑顔だから見てるこっちも笑顔になれるの。 それから―― |
みのり | あ、あわわわわわっ……! |
みのり | は、遥ちゃんストーップ! それ以上ほめられたら、爆発しちゃうよーっ! |
みのり | おかしいなぁ……。たしかこの辺りに…… |
杏 | あれ、みのりちゃんじゃん! 道に迷っちゃった? |
みのり | 杏ちゃん! 実は、『Smile&Animais』っていう ペット用品のお店を探してるんだけど…… |
杏 | あー、その店なら知ってるよ! 店長さん、うちの父さんのカフェの常連だし |
みのり | えっ、ほ、本当!? |
杏 | うん。場所も知ってるし、案内するね! あ、ついでに、近道も教えてあげる! |
みのり | わあ、ありがとう! この辺り、細い路地とかもあって入りくんでるし助かるよ! |
みのり | (こはねちゃんから、杏ちゃんは顔が広くて この辺りにも詳しいって聞いてたけど……) |
みのり | (きっと、お父さんのカフェを手伝ってるからなんだね! 頼りになるなあ) |
遥 | そういえば昔は、ゲームセンターでもたまに勝負してたね |
杏 | あ、懐かしい! 格闘ゲームもだけど、 どっちがたくさん落とせるかって、 お菓子を落とすゲームでもよく勝負したねー! |
遥 | うん。でもだいたい途中で、食べたいお菓子を落とすのに 集中しちゃうんだよね |
杏 | そうそう! で、お互い戦利品を交換したりね! |
遥 | ……話をしてたら、やりたくなってきちゃったな。 ちょっとやってく? |
杏 | そうだね! 行こっ! |
ミク | ルカ~、もうすぐショーの時間だよーっ☆ |
ルカ | ぐ……ぐぐっ? |
ミク | え? んー、今のは、 『お客さんいっぱい来てくれてる?』って聞いたの? |
ルカ | ぐぐー……ぐっ? |
ミク | むむむ~、違ったみたい |
ミク | ルカの寝言、だいぶわかるようになってきたけど、 これは新しい言葉なのかも! |
ミク | よーし! メイコにも聞いてもらおうっと♪ ――おーい、メイコー! |
レン | ううー……。主人公が仲間を助けるシーン、どうしようかな。 天井から降りてくる……だと変だよねえ |
リン | ――レ~ンっ! こっち向いて、あーんして♪ |
レン | え? あーん……ふぇっ!? な、何これ!? 口の中でしゅわしゅわパチパチするーっ! |
リン | えへへ、えむちゃんがくれたお菓子だよ♪ レンってば、さっきからずーっと悩んで、 難しい顔してたからおすそわけー! |
レン | ありがと、リン! びっくりしたけど、 おいしかったし、すっごい口の中が楽しかった! |
レン | あ……。なんだろう、なんだかすっごくいいアイディアが あとちょっとで出てきそうな気がする! |
リン | きっと、もっとしゅわしゅわパチパチが必要なんだよ! まだあるから、いっぱいしゅわしゅわパチパチして! |
レン | わかった! よーし、絶対いいアイディア思いつくぞー! |
MEIKO | ねえ、カイト! 次にやるショーで使うセットのことで 話したいんだけど、いいかしら? |
KAITO | あ、もしかして超巨大ブランコのことかい? それなら、なんとか作れるように 必要な物を集めてるところだよ |
MEIKO | そう! それについて話したかったの! すごいわ、カイト。どうしてわかったの? |
KAITO | メイコが一生懸命、設計図を作っているのを見ていたからね。 打診があったらすぐ作業に取りかかれるようにって 思っていたんだ |
MEIKO | さっすがカイトだわ! 頼りになるー♪ |
MEIKO | そこまで先読みされてるってことは、その超巨大ブランコで 360度大回転からの大ジャンプを カイトに決めて欲しいってことも、バレちゃってるわね~ |
KAITO | え……。 あれ、君やミクがやるんじゃなくて僕がやるのかい!? |
冬弥 | 神代先輩と司先輩、今日も先生がたに追いかけられていましたね。 何かあったんですか? |
類 | フフ、次のショーの演出で 地面を爆発させたいシーンがあるんだけれど、 学校以外にいい地面がある場所がなくてね |
類 | だけど、青柳くんには悪いことをしたね。 尊敬する司くんが先生達に追いかけられる様は、 あまり見たくはないものだろうし |
冬弥 | あ……いえ、俺はなんだか大変そうだなと思うくらいなので、 気にしないでください |
冬弥 | それに司先輩は、巻きこまれないより 巻きこまれるほうを選ぶと思います。 仲間が関わっていることですしね |
類 | フフ、そうだろうねえ |
類 | (遠慮したらしたで『手加減しただろ』と怒られてしまうし、 こちらも喜んで巻きこませてもらおうかな) |
司 | そういえば、彰人。 お前にもきょうだいがいるそうだな? |
彰人 | え? まあ一応…… |
司 | きょうだいはいいよな! 大切な人の笑顔が見られるだけで、疲れも吹き飛ぶしな! |
彰人 | いや、うちはそういうのないっすね |
司 | なぬ!? ……もしや、複雑な家庭事情でもあるのか!? |
彰人 | 別にそういうわけでもないっすけど……。 単純に性格の違いとか、 姉と弟と、兄と妹の違いじゃないっすかね |
司 | なるほど……。ちなみに、関係は良好なんだな? |
彰人 | コンビニにパシらされること以外はわりと |
司 | そ、そうか。ふむ……きょうだいにも いろいろな在りかたがあるわけだな |
司 | 冬弥、今度時間がある時にでも、久しぶりに我が家に来ないか? |
冬弥 | えっ。それは嬉しいですが、何かあったんですか? |
司 | 実はな、近々あるストリートミュージシャンの一生を 題材にしたミュージカルが上演されるんだが…… |
司 | 見に行く前に、お前からストリート音楽について、 聞いておきたくてな |
冬弥 | あるストリートミュージシャンの一生……。 そのミュージカル、俺も興味があります |
司 | お、では話を聞いたあと、その足で劇場に行くのもいいな! |
冬弥 | はい。あ、それとストリート音楽の知識なら、 彰人のほうがすごいので、 彰人からも聞いたほうがいいと思うのですが…… |
司 | おお、そうなのか! ではぜひ話を聞きたいな。 そのほうが知識も深まって、よりミュージカルも楽しめそうだ |
冬弥 | わかりました。 それじゃあ彰人にも声をかけてみますね |
類 | おや、東雲くんじゃないか。 君も購買からの帰りかい? |
彰人 | え、そうっすけど…… |
類 | なるほど。じゃあ、ものは相談だけれど―― そちらのメロンパンとこのチキンサラダを交換しないかい? |
彰人 | 別にいいですけど。 センパイ、メロンパン好きなんすか? |
類 | いや、別に。 単純に、僕は野菜全般がダメでね |
彰人 | は? じゃあなんでチキンサラダなんか買ったんすか |
類 | さあ、なぜだろうね? |
類 | フフ。東雲くんが交換に応じてくれて助かったよ。 では―― |
彰人 | ……あの人、マジで何考えてんのかわかんねえ |
彰人 | いや、ひょっとして……何も考えてない、のか? |
リン | ねえねえ、いっちー! いっちーがやってる学級委員ってすごいらしいじゃん! |
リン | あたしについてこい!みたいな感じで、 クラスのみんなを引っ張ってくって、サッキーから聞いたよ♪ |
一歌 | えーっと、間違ってはないんだけど、 そこまでリーダーシップを発揮するようなものじゃないよ |
レン | そっかー。一歌がみんなを引っ張ってくとこ 見てみたかったのに |
リン | だねー……。あ、じゃあさ! お試し的な感じで、 『私についてこい』キリッってやってみてほしいなー! |
レン | お、いいね! キリッのところは決め顔でよろしく! |
一歌 | えっ!? えっと…… |
一歌 | わ……『私についてこい』!! |
レン | いいね、かっこいいじゃん! |
リン | だね! これはみんなにも見せてあげないと! ねえねえ、みんなー! |
一歌 | あっ! リ、リン、それはダメ……! |
ルカ | あら……。いい香りがすると思ったら、 ミクとまふゆでティータイム中だったのね |
まふゆ | ルカも飲む? |
ルカ | ええ、いただこうかしら |
ミク | ルカ、どれがいい? ローズにオレンジ……あと、アップルとピーチもあるよ |
ルカ | じゃあローズにするわ。 だけど珍しいわね、ティータイムだなんて |
ミク | ……まふゆ、前は味がした物も、 どんな味か、思いだせなくなってる |
ミク | だから……わたしが教えて、 思いだす手伝いをしようと思って…… |
ルカ | そう……。それなら、ごちそうになるお礼に 私も思いだす手伝いをしようかしら |
まふゆ | うん。……ありがとう、ルカ |
まふゆ | 星乃さん、委員会活動にもだいぶ慣れてきたね。 今日の話しあいで出してくれた意見、すごく良かったよ |
一歌 | ありがとうございます。 ……一応、自分で立候補して学級委員になったので、 これくらいは役に立たないと |
まふゆ | 立候補だったんだね。私と同じで、クラスの子や 先生に薦められてなったのかなって思ってた |
一歌 | あ、でもそんなにかっこいい感じじゃないんです。 誰もやる人がいなかったから……。 それに私、その時はまだバンドもやってなかったので |
まふゆ | ふふ。理由はなんであれ、 自分の意思で手を挙げるってすごいことだと思うな |
まふゆ | 星乃さんは責任感もあるし、気づかいもできるから、 学級委員にすごく向いてると思う。 これからもよろしくね |
一歌 | 朝比奈先輩……。 はい、よろしくお願いします! |
まふゆ | (……部活の話しあいで、昼休み潰れたな。 購買に行く時間もないし、ごはんは別に食べなくてもいいか) |
一歌 | 朝比奈先輩、こんにちは。 今から購買に行くんですか? |
まふゆ | そのつもりだったけど……。 チャイム鳴っちゃいそうだから、教室に戻るところだよ |
一歌 | ひょっとして、お昼買えてないんですか? だったら、これどうぞ! |
まふゆ | ……焼きそばパン? |
一歌 | はい、とっても美味しいんですよ! いつも2、3個買っているので、よかったら……って、そうだ。 先輩、こういう総菜パンって好きじゃなかったりしますか? |
まふゆ | ううん、そんなことないよ。 じゃあ、お言葉に甘えてもらっちゃおうかな |
一歌 | よかった……! ぜひ食べてみてください |
まふゆ | ふふ。ありがとう、星乃さん。 大事に味わって食べるね |
穂波 | あの、朝比奈先輩。 ちょっと相談があるんですが…… |
穂波 | 先輩みたいにみんなから頼りにされるようになるには、 どうしたらいいんでしょうか? |
まふゆ | え? 望月さんは十分、 周りから頼りにされてると思うけど…… |
穂波 | ……そうでしょうか? |
まふゆ | うん。特に奏なんて、 望月さんが家事代行をしてくれてなかったら、 きっと体を壊しちゃってただろうしね |
まふゆ | 大丈夫。望月さんはすごくしっかりしてるし、 頼りになる人だと思う。だから、自信持っていいんじゃないかな |
穂波 | ……! はい、ありがとうございます。朝比奈先輩 |
穂波 | (一歌ちゃんから、先輩のことを尊敬してる1年生が たくさんいるって聞いたことあったけど……) |
穂波 | (朝比奈先輩に言われると、本当に大丈夫かもって思える。 ……尊敬する子が多いのもわかるな) |
奏 | ………… |
一歌 | (あ……。試聴コーナーにいるの宵崎さんだ) |
奏 | ……サビの前のコード進行、なんだか不思議だな。 でもここをよくある進行に変えてしまうと、 この曲の世界観が崩れる―― |
奏 | 耳馴染みはあまりないけど、曲の世界観を印象づけるために あえてこういう進行にしてるんだろうな。あとは…… |
一歌 | …………あ、あの、宵崎さん |
奏 | ……わっ! ほ、星乃さん? |
一歌 | 驚かせてしまってすみません。 すごく真剣に曲を聴かれてたので、 声をかけるのやめようかとも思ったんですが…… |
一歌 | えっと……全部口に出して言われてたので、 一応、教えておいたほうがいいのかなって…… |
奏 | ぜ、全部? えっと……恥ずかしいところ見られちゃったね |
一歌 | ふふ。周りには誰もいなかったので、大丈夫ですよ |
一歌 | (照れた宵崎さん、可愛いな) |
一歌 | あっ! こんにちは、宵崎さん |
奏 | 星乃さん? えっと、こんにちは…… |
一歌 | (思わず声掛けちゃったけど、えっと……) |
奏 | (な、何か言ったほうがいいんだろうけど……。 どうしよう……) |
一歌 | えっと……宵崎さんはお出かけですか? |
奏 | あ、うん。ちょっと用事があって。 ……星乃さんも? |
一歌 | は、はい。私はバイトに行くところです |
奏 | そっか…… |
一歌・奏 | 『…………』 |
一歌・奏 | (会話が続かない……) |
穂波 | あっ、宵崎さん! こんにちは |
奏 | うん、こんにちは。 えっと……すごい量の荷物だね |
穂波 | これですか? 大掃除のための掃除用品なんです。 本当は寒くなる前にやったほうがいいんですけど、 バタバタしていて準備が遅くなっちゃって |
穂波 | あ。今度お邪魔した時、 宵崎さんのおうちも大掃除させていただきますね。 ぴかぴかにするので、楽しみにしていてください |
奏 | わかった。いつもありがとう、望月さん |
愛莉 | ワン、ツー、スリー、フォー! ……みのり! もっと両手大きく広げて! |
みのり | はい……っ! ワン、ツー、スリー、フォーっ! |
愛莉 | (……前に比べて、体力はついてきてるかしら。 振り付けも小さくならず大きく、を意識できてるみたいだし) |
愛莉 | (でも、これじゃあまだまだ。 本格的なライブを通しでやるには、 とにもかくにも体力をつけてもらわないと) |
みのり | ワン、ツー……ここで、ターン! |
みのり | はぁっ、はぁっ……で、できた! 愛莉ちゃん、ミスなしで踊りきれたよ! |
愛莉 | ええ、今のすごく良かったわ! じゃあ、つぎはわたしと合わせるわよ! ほら、すぐ準備! |
みのり | え、ええ~! い、今、踊り終わったところなのに? |
愛莉 | ライブだったら、もう次の曲に入ってるわよ! へばってる顔をファンに見せていいの!? |
みのり | ……そんなのよくない! がんばります! |
愛莉 | その意気よ! さあ、いくわよ! |
雫 | みのりちゃん、今日もたくさん 企画を持ってきてくれてありがとう |
遥 | ファンのみんなが喜んでくれそうな案もいっぱいあったし、 しばらくはアイディアに困らなさそうだね |
みのり | 本当!? えへへ、企画100本ノックやってよかったー! |
愛莉 | え、アンタひとりでそんなことしてたの? |
みのり | うん! リアルイベントやってからずっと、 やりたいこととかアイディアが止まらなくって! |
みのり | 案をだす練習にもなるし、 目標を決めてやってみようって思ったんだ! |
愛莉 | へえ、やるじゃない! わたし達も負けてられないわね |
雫 | ええ! 私も100個、企画を考えてくるわ! |
遥 | ふふ、3人分増えるから、400個になるね |
みのり | よ、400!? すごい、1年分の企画だ! |
愛莉 | ま、全部採用ってわけにはいかないでしょうけど、 それだけあれば、ものすごい企画が生まれるかも! |
みのり | うん! よーし、わたしも自分で作ったやつ、 もっとよくできるように考えてみるね! |
KAITO | えーっと、まず今日はミクちゃんがライブをやって、 次はルカちゃんのライブが隣のステージであって―― |
KAITO | ……あ、そういえばメイコさんが、リンちゃんとレンくんの ライブに飛び入り参加したいって言ってたっけ |
KAITO | どの曲を一緒に歌うかもきっと話しあいたいだろうし、 早めにリンちゃん達にも伝えてあげないとね。 よし、行こう! |
KAITO | 遥ちゃん、みのりちゃん、練習お疲れさま。 はい、タオルとスポーツドリンクだよ。 水分もちゃんととってね |
遥 | これ、わざわざ用意してくれたんですか? ありがとうございます、カイトさん |
みのり | ありがとうございます! すごい……なんだかマネージャーさんがついたみたい! |
KAITO | ふふっ。みたいじゃなくて、マネージャーって 思ってくれていいんだよ。 僕はアイドル兼マネージャーだからね |
KAITO | そうそう、みのりちゃん。ターンする時なんだけど、 左足を軸にして回る時、なんだか回りにくそうにしてるね |
遥 | ……ときどきターンの勢いがつきすぎてるなって 思うところがあったけど、もしかして…… |
みのり | あ、うん。たぶんそこ全部、左足で回ってるところだと思う。 なんだか、力いっぱい回らないと、 次の振りに間に合わない感じがしちゃって…… |
遥 | そっか。利き足じゃないから、 やりづらさが出ちゃってるのかもしれないね |
KAITO | うん。でも、無理にターンしようとするとケガにもつながるから、 少し注意したほうがいいと思うよ |
みのり | はい! カイトさん、ありがとうございます |
遥 | ふふ。カイトさんって、マネージングだけじゃなくて、 コーチングもできちゃいそうですね |
KAITO | え、そうかな? ふふ。だったら役に立てる機会も増えるし嬉しいな |
リン | ねえねえ、カイトくん! ちょっと相談があるんだけど、いい? |
KAITO | うん。どうしたの? |
ミク | 実は、リンちゃんとの合同ライブの演出を考えてるんだけど……。 どんな始まりかたをしたら、みんなワクワクしてくれるか アイディアに詰まっちゃってて…… |
KAITO | ライブの出だしは大事だもんね。 うーん…… |
KAITO | あ、そういえば、 ふたりは一緒にライブをすることが多いんだよね? |
リン | うん! あとね、ミクちゃんとのライブも次で100回目なんだ! だからスペシャルなライブにしたいの♪ |
KAITO | 100回目? それはすごいね! |
KAITO | それなら、さっき言ってたライブの始まりのところで、 今までのライブの映像を流すのはどうかな? |
KAITO | ファンのみんなも、これまでのライブを振り返れて、 すごくワクワクした始まりにできるんじゃないかな? |
リン | わあ、それすっごく良さそう! ね、ミクちゃん! |
ミク | うん♪ でもすごいな、 こんなアイディアがすぐ出てきちゃうなんて |
KAITO | ふふ。僕がファンだったら、 何をどう感じるかなって考えてみただけだよ |
KAITO | みんなのマネージャーみたいなことも やらせてもらってるけど、 実はみんなのファンでもあるからね! |
レン | うーん。この練習日をここにズラして……あ、 でもそれだとこっちが……。 はあ、パズルみたいで混乱してきちゃうな |
KAITO | レンくん、そんなに難しい顔をしてどうしたの? |
レン | あ、カイトくん! 実は、ルカちゃんとミクちゃんのライブに、 サプライズゲストとして呼んでもらったんだけど…… |
レン | 自分のライブとのスケジュール調整がうまくいかなくて……。 ほら、ここなんだけど…… |
KAITO | ああ……お互いのライブのリハが 重なっちゃってるんだね |
KAITO | ……あ、レンくんたしか、前もこのステージでライブしてたね。 その時のセッティングメモが残ってるから、 多少、リハ巻けると思うよ |
レン | 本当!? それができたらすっごく助かるよ! |
KAITO | もう少し細かい調整もしたいし、今時間をもらってもいいかな? |
レン | もちろん! お願い、カイトくん! |
みのり | えへへ、配信の企画のために、遥ちゃんと一緒に 写真を撮ることになるなんて思わなかったな |
遥 | ふふ。『かわいく盛ろう! 自撮り対決!』、 結構白熱したね |
遥 | 結果は、愛莉・雫チームに一歩及ばずっていう感じだったけど |
みのり | うん。わたし、絶対勝つぞって思って、 いろいろ勉強したんだけどなあ |
みのり | 愛莉ちゃん、本当にいろんな撮りかたや 加工の仕方を知ってたよね |
遥 | そうだね。自分達の情報を発信していくのにも、 写真は必要だから、愛莉から教わるのがいいかも |
みのり | うん! あ、じゃあ、今日の放課後に聞いてみよっか! |
雫 | みのりちゃんが飼ってるワンちゃんって大きいわよね。 やっぱり、ご飯はたくさん食べるの? |
みのり | うん! とにかく食欲旺盛で、 逆に食べ過ぎたりしちゃうんだ |
みのり | だから、おやつをあげないようにしなきゃいけないんだけど。 家族全員、ついあげちゃうみたいで…… |
雫 | ふふっ、わかるわ。 大切な家族だからこそ、甘やかしたり、 甘えてほしかったりするのよね |
雫 | 私も昔、しぃちゃんがお菓子をすごく美味しそうに食べるから 私の分もあげるわって、渡そうとしたんだけど…… |
雫 | 『お姉ちゃんのはお姉ちゃんの分でしょ。 自分で食べて』って怒られちゃったわ |
みのり | ん~、自分だけもらって雫ちゃんが食べられないのは 嫌だったのかなあ。 でも、そういう意思が強いところが志歩ちゃんっぽいね |
みのり | よし! わたしも見習って、 絶対におやつをあげないっていう気持ちを強く持たなくちゃ! |
リリアンヌ | オーホッホッホッ! さあ、ひざまずきなさい! |
リリアンヌ | わらわこそ、ルシフェニア王国を治める リリアンヌ=ルシフェン=ドートゥリシュじゃ! |
リリアンヌ | ……ふむ。統治者たるわらわにふさわしい 威厳のある良い口上ができたのう |
リリアンヌ | うむ! 次の臣下達との会議で使ってみるとしよう |
アレン | ふう……。城の庭園、広すぎるよ。 ここを掃除するだけで、1日が終わりそうだ |
アレン | もっと人手があればなあ。 そもそも、王女付きの使用人がする仕事じゃないんだけど…… |
アレン | リリアンヌを恐れて、目をつけられる前にって やめていく人もいるから人手が足らないんだよね |
アレン | ……って、こんな事を言っても掃除は進まないし、 とにかく、手を動かさないと |
アレン | リリアンヌ様、3時のおやつをお持ちいたしました |
リリアンヌ | ん? もうそんな時間か? まだ教会の鐘は、なっておらぬと思ったが…… |
アレン | 間もなく鳴りますよ。3、2、1…… |
リリアンヌ | おお、鳴ったのう……。 きっちり時間を守るとは、使用人の鑑じゃな! |
リリアンヌ | 他の者達にも見習わせたいものじゃのう |
アレン | ありがとうございます、リリアンヌ様。 さあ、どうぞ。お召し上がりください |
アレン | (……人によっては『首をはねられるかもしれない』っていう 恐怖にかられながら用意してるって、 リリアンヌは知らないんだろうな) |
リリアンヌ | アレン。今日のブリオッシュはクリームが少なかったうえに、 砂糖が多かったのう |
リリアンヌ | まさか、クリームの少なさを 甘さで誤魔化すつもりだったのではあるまいな |
アレン | い、いえ、まさかそのような……。 コック達にリリアンヌ様のお言葉を伝えておきます |
リリアンヌ | うむ。『次はない』とも伝えておくのじゃ |
アレン | はい……かしこまりました |
リリアンヌ | (アレンはもちろん、皆がわらわの命令を聞いてくれる) |
リリアンヌ | (成人して、母上のような立派な女王になるためにも、 我をつきとおす強い女であらねばな) |
禍世 | 円尾坂のある鬼ヶ島は、鎖国令を敷いている蛇国において、 唯一、異国の方々の立ち入りや居住が許されている場所なのです |
禍世 | 実は、私も夫も異人の血を引いておりまして、 息子の髪の色はそれは綺麗な金髪で…… |
禍世 | 一体、どちらの先祖に似たのでしょうね。 あるいは両方でしょうか? |
禍世 | 円尾坂で一番お話する機会が多いのは簪屋(かんざしや)の おゆかさんですね |
禍世 | 母の代から、仲良くしていただいて、 仕立てのお仕事もよくいただくんです |
禍世 | 今はちょうど、娘さんのお着物を仕立てているところなんです |
禍世 | おゆかさんにも、娘さんにも喜んでいただけるように 頑張らなければなりませんね |
禍世 | ふう、今日も忙しい1日でした |
禍世 | さて、道具の片付けと裁縫鋏(さいほうばさみ)の 手入れをしなければいけませんね |
禍世 | 母も使っていた、大切な形見の鋏なのですから |
バニカ | 私が好きな食べ物? それはもちろん、美味しいものよ♥︎ |
バニカ | でも、魅力を感じるっていう意味では、 食べたことのない物のほうが興味をそそられるわ |
バニカ | ああ、どこかにまだ私が食べたことがない物が 転がっていないかしら? |
バニカ | 『ムララムラジャコタスポポポ』―― |
バニカ | 魔法の呪文のようだけど、これ、 私の名前になっていたかもしれないものだそうよ |
バニカ | お母さまが却下して『バニカ』と名づけてくれたって、 昔、侍従長のロンから聞いたわ |
バニカ | お母さまがつけてくれた名前はもちろん気に入っているけど、 『ムララムラジャコタスポポポ』も、繰り返し聞いていると…… |
バニカ | 珍味みたいな名前で、意外と悪くない気がしてくるわね |
バニカ | アルテとポロとは、私が小さい頃からずっと一緒よ |
バニカ | あの子達、私と違っていくら食べても太らないから、 昔はうらやま……とても不思議だったのよね |
バニカ | でも、あの子達はそういう、 ちょっと不思議な存在だったんでしょうね |
バニカ | そうでなければ、十数年ものあいだ 一切成長しないはずがないもの |
バニカ | まあ正体がなんであれ、一緒にすごした日々は楽しかった。 私にはそれで十分よ |
ガレリアン | 私が司法の道を目指したのは、私の母……、 エルルカ=Ma=クロックワーカーの死刑判決に 疑問を抱いていたからだ |
ガレリアン | 父も裁判官のひとりとして、そして夫として、 その謎を突き止めようとしたが果たせなかった |
ガレリアン | ……真相がわかったところで、母は帰ってはこないがな |
ガレリアン | ミッシェルの誕生日プレゼントは、 毎年いろいろ悩んでしまうな |
ガレリアン | なるべく私自身が考えて用意するようにしているが…… |
ガレリアン | 最終的には、使用人の中でも最も信頼しているブルーノに 相談するようにしている |
ガレリアン | 私が仕事でいないあいだ、 屋敷で娘の面倒を一番見てくれているからな |
ガレリアン | カヨ=スドウ……脚本家で、ペンネームはMa(えむえー)…… |
ガレリアン | 私の母、エルルカのミドルネームをペンネームにするあたり、 かなりの信奉者で、顔もそっくりに 整形したのではないかというほど似ていたが…… |
ガレリアン | 結局、彼女が何者なのかわからずじまいだったな |
マルガリータ | 私は生まれてこのかた、眠ったことがありません |
マルガリータ | 医師である父はかつて 『医学的見地から見て非常に興味深い』と 色々原因を調べようとしたようですが…… |
マルガリータ | 結局、原因は分からず『突然変異』と結論づけたみたいですね |
マルガリータ | 夢を見るというのは、どういう感覚なのでしょうか…… |
マルガリータ | あ、将来の夢――という意味ではなく、 眠って見るほうの夢の話です |
マルガリータ | 『眠る』ことのない私にとっては縁遠いものですが……。 一度でもかまわないので、体験してみたいものですね |
マルガリータ | 父の望むままに夫を迎え、その夫がどれほど女性達を屋敷に招き、 散財しようが、文句ひとつ言わない―― そんな私を、可哀想と言う方がいます |
マルガリータ | しかし、私は十分幸せです。 彼が愛をくれないのならば、私が二倍差し出せばいいのですから |
マルガリータ | しいて言うのなら……、 私はただそこにいるだけの『お飾りの人形』です |
マルガリータ | そう的確に表現してくれたのはエルルカだけですが…… |
マルガリータ | それだけではひどいようにも聞こえる言葉ですが、 私という存在を理解してくれていると感じました |
マルガリータ | それ以来、彼女は大切な友人です |
ルカ | め~~~ちゃん♪ |
MEIKO | あら、どうしたの? 急に呼びかた変えて |
ルカ | 試しに変えてみたら、 どんな反応してくれるかなって思って |
ルカ | けど、いまいちだったなあ……。 もうちょっと可愛い感じの声で呼んだほうがよかった? |
MEIKO | どんな声でも同じよ。 また思いつきで何かやってるんだなって思うくらい |
ルカ | えー。なんだかいいようにあしらわれてる感じ…… |
MEIKO | そんなことはないわよ。 それより、せっかく寄ってくれたのに コーヒーは飲んでいってくれないの? |
ルカ | もちろん、飲むよ! メイコがいれてくれたコーヒーは最高だからねー♪ |
ルカ | ――♪ ――♪ |
ルカ | ……うーん。ここはもう少しシンプルに歌ったほうがいいかな? でも、ラスサビ前だから盛り上げていく感じもアリだし…… |
ルカ | …………ま、いっか! 細かく考えるより、 感じたままに表現するのが性に合ってるし! |
ルカ | うんうん。歌はやっぱり、フィーリングとパッションだよね~ |
レン | あっ! ミク、ルカ、ちょうどいいところに来たね! |
ミク | ちょうどいいところって? |
ルカ | もしかして、何か楽しいことでも始まるの? |
レン | すぐじゃないんだけど……。 オレ達もキャンプがしたいって彰人に言ったら、 テントを貸してもらえることになったんだ! |
レン | だから、今度みんなでキャンプしてみようよ! |
ミク | それはいいけど……森も川もないよ? |
ルカ | たしかに、大自然は感じられないかもね |
ルカ | でもみんなで料理したり、火を囲んだり、 川の字みたいにゴロゴロ~って寝たりするの、楽しいんじゃない? |
ミク | ふーん。よくわからないけど……。 わからないからこそ、やるっていうのはいいかもね |
レン | そうこなくっちゃ! よーし、あとはカイト達にも聞いてこよーっと! |
こはね | …………! |
冬弥 | 小豆沢、何を見ているんだ? |
こはね | あそこに映ってる、えっと……ヘヴィメタルのライブかな? なんだかかっこいいなって! |
冬弥 | あ……。バンドメンバーも観客も、みんなリズムに合わせて 頭を振っているな。たしかヘッドバンギングというものだったか |
こはね | うん! ああいう曲はあんまり歌ったことないし、 ちょっとだけ、ヘドバンにも興味があって…… |
こはね | 私はそんなに似合わないかもだけど、 杏ちゃんはかっこよさそうだなーって思って! |
冬弥 | たしかに、髪が長いし迫力がありそうだな |
こはね | 青柳くんもそう思う? えへへ、今度試しにお願いしてみようかな |
彰人 | そういえばお前、テントがあったとはいえ、 外で寝るとか地べたで寝るとか、全然気にしてなかったな |
杏 | たしかに。アウトドアの経験ないって言ってたし、 そういうの抵抗感あるかもって思ってたけど…… |
冬弥 | どんな感じなんだろうかという興味はあったが、 たしかに、特に気にならなかったな |
杏 | ふふ、冬弥っていい意味で大雑把なとこあるよね。 そういう大胆なとこ、こはねと一緒かも! |
こはね | え、私? |
彰人 | ああ。お前、虫がいるかもしれねえのに、 なんのためらいもなく草むら入って行ってただろ |
こはね | あ、うん。森なんだから、虫くらいいても普通だし |
杏 | それ! そう考えられちゃうのがすごいんだよね。 私なんて急に飛びだしてきたらどうしようって思って、 絶対誰かのあとに入るようにしてたし |
彰人 | 急に出てきたら驚くってのは、わからなくもねえけど |
冬弥 | 小豆沢が平気で、白石が苦手というのは、少し意外だな |
杏 | い、いいでしょ別に |
こはね | でも、私はちょっとだけ嬉しいかも。 杏ちゃん、怖い虫が出た時は私が杏ちゃんを助けるよ |
杏 | こはね~~~っ! やっぱり、こはねは私の最高の相棒だよ! |
杏 | 冬弥って、お昼食べる時も飲み物はコーヒーなの? |
冬弥 | ああ。昼はサンドイッチやパンを食べることが多いからな |
杏 | あ~、サンドイッチならコーヒーも合うもんね。 ていうかそもそも、おにぎりやお弁当を 食べてるイメージあんまりないかも |
冬弥 | まったく食べないわけではないんだが……。 たまに食べると、彰人にも珍しがられる |
杏 | え、彰人が珍しがるって相当じゃん! ちなみに、その時の飲み物は? |
冬弥 | お茶だな |
杏 | あはは、さすがにそうだよね! |
冬弥 | ………… |
彰人 | ん? なんだよ、人の顔じろじろ見て |
冬弥 | いや、言葉にできないが……。 何か違和感があるような気がしたんだ |
彰人 | ……ああ。前髪ちょっと切ったから、それじゃねえか? |
冬弥 | …………! そう、だったのか…… |
彰人 | 今度は急に落ちこんでどうしたんだよ。 まさか、気づかなかったこと気にしてんのか? |
冬弥 | ……ああ。白石と小豆沢は、相棒として お互いそういう指摘をよくしているだろう |
彰人 | いや、相棒としてはともかく……。 本当にちょっと切っただけだし、言われてびっくりした |
冬弥 | あ……。 ……そうか |
ミク | ……ふう。今日はこんなところかな。 ルカ、大掃除につきあってくれてありがとう |
ルカ | いいのよ。私もちょうど、しなくちゃって思っていたから |
ルカ | それにしても、窓も机も床もピカピカね |
ミク | うん。ちょっと頑張っちゃった |
ミク | 新しい1年が始まるし、 綺麗で気持ちのいい教室で、練習を始めてほしくて |
ルカ | ふふ。さすがミク先輩ね |
ミク | あ……もう、すぐにからかうんだから…… |
ミク | (――今年も、たくさんの曲を一歌達と演奏したいな) |
リン | はあ……。なーんか退屈だなぁ~ |
ルカ | あら。じゃあ私と一緒に学校探検はどうかしら? |
リン | え、学校探検? それなら、レンといっぱいしたよ? |
ルカ | ふふっ。でも、ちょっと教室をのぞいたくらいでしょう? 実は、面白い物がいろいろしまってあったりするのよ? |
ルカ | たとえば、おままごとセット。 もしかしたら一歌達が小さい頃に遊んだものかもしれないわ |
リン | わっ! それ、想いの宝探しじゃん! やるやるっ☆ |
ルカ | ふふ。それじゃあ出発ね |
リン | ねえ、レン! 新しい1年の始まりだし、 一緒に新しい曲やんない? |
レン | え? ついこの前、別の曲を練習し始めたばっかりだろ? まずはそっちを完璧に仕上げたほうがいいって |
リン | もちろん、そっちもやるよっ☆ けど、いろんな曲を演奏したほうが、 いろんな練習になって、早くうまくなれるじゃん? |
KAITO | ……あれ? あのふたり、またケンカしてる? |
MEIKO | ううん。ただのじゃれ合い。 白熱してきたらケンカになるかもだけど、 それもいつものことだし気にしなくても―― |
リン | そうだっ☆ カイト兄達に聞いてみよーよ! |
レン | オレ達だけじゃ、らちが明かないしな |
MEIKO・KAITO | 『あ……』 |
MEIKO | 盛大に巻きこまれそうだね |
KAITO | ……これも、いつものことだし 仕方ないか |
MEIKO | あれ? なんの本を読んでるの? |
KAITO | ……一歌が貸してくれた童話の本 |
MEIKO | 童話? 音楽の本とかじゃなくて? |
KAITO | ……うん。あ……でも、魔法の太鼓が出てくるし……。 音楽と関係ないわけじゃない、かな |
KAITO | それに……この童話を書いた人の故郷の民謡とかも、 ちょっと、関わってるらしい |
MEIKO | 魔法の太鼓に、民謡か。 それで興味がわいて読んでるんだ |
MEIKO | ねえ、どんな話だったかあとで教えてくれない? |
KAITO | ……ん、わかった |
リン | ねえねえ、ミクちゃん! わたしのダンス、ちょっと見てて♪ |
リン | ワン、ツー、スリー……ここっ! |
ミク | わあっ! すごくきれいなターン! 今のところ、リンちゃんが苦戦してたステップだよね! |
リン | うん! ようやくできるようになったの♪ ミクちゃん、練習見てくれてありがとう! |
ミク | ふふ、どういたしまして♪ でも、できるようになったのは リンちゃんがたくさんがんばったからだよ |
リン | えへへ……。みのりちゃん達もがんばってるし、 負けていられないもん! |
ミク | そうだね。よーし、わたし達もがんばっちゃおう♪ |
リン | おー! |
KAITO | 声の響きや音響の確認もできたし、 これで次のライブも大丈夫そうかな |
レン | あ、カイトくん、お疲れさまー |
MEIKO | またライブの準備中みたいだけど、 今度は誰のライブを手伝ってるの? |
KAITO | ああ。今準備してるのは、僕自身のライブだよ |
ルカ | あら、そうだったのね! 言ってくれれば手伝ったのに~ |
MEIKO | そうよ。いつもお世話になってるんだから、 こういう時くらい、手伝わせてほしいわ |
KAITO | ふふ、ありがとう |
KAITO | それじゃあ、ちょっとだけ演出の相談をしてもいいかな。 曲と曲のつなぎなんだけど、しっくりこないところがあって |
レン | ちょっとなんて言わないで どーんっと任せてくれてもいいんだよ |
レン | メイコ、ブレンドコーヒーちょうだい? |
MEIKO | ええ。あ、ミルクとお砂糖は? |
レン | なしで大丈夫! 今日はブラックな気分なんだ |
ミク | へえ、いつの間にか 本当にブラックも飲めるようになったんだ |
レン | 本当にってなんだよ。 前はそういう気分じゃなくて、飲まなかっただけだから! |
ミク | じゃあ、そういうことにしておこうかな |
MEIKO | そういうミクは何にするの? |
ミク | そうだね……。じゃあ、カフェオレ。ホットで |
MEIKO | わかったわ。ふたりにとびきり美味しい ブレンドとカフェオレいれてあげる |
ルカ | それにしても、カイトがリン達のDJの師匠なんてね~。 どう、リン。カイトはちゃんと教えてくれてる? |
リン | うーん。いい加減なところもあるけど、 教えてくれる時は、ちゃんと教えてくれるよ |
KAITO | あんまり褒められてないような…… |
ルカ | んー。ダメ半分、いい半分で50点てところかな? |
KAITO | うっ……。 あ、でもレンの分も足したら、きっと100点になるよね! ボク、それなりに頑張ってるし! |
ルカ | あはは。それなりにって言ってる時点でダメっぽいね |
リン | うん。だって、カイトだもんね! |
ミク | 司くん達、まだかなーっ☆ まだかなーっ☆ |
KAITO | そんなに司くん達が来るのが楽しみかい? |
ミク | うん♪ 今日は司くん達に、 ミクとぬいぐるみのみんなで考えたショーを見てもらうんだっ☆ |
ミク | いたずら好きの悪魔が出てくる、 とーってもバイオレンスなショーでね! 途中でお客さん達の中から、いけにえを選ぶの |
KAITO | えっ、バイオレンス……? |
ミク | そうなのだー! ふっふっふっ。 悪の大魔王ミクによってミクミクひゃっほいに されちゃうのはだ~れかな~♪ |
KAITO | ふふっ。ミクミクひゃっほいか…… |
KAITO | (バイオレンスっていう言葉が出たのは驚いたけど……。 きっと、いつもどおりの楽しいショーなんだろうな) |
MEIKO | 次にやるショーのお話を決めるわよー! |
リン・レン | 『おーっ!!』 |
ルカ | ふふ、みんなで作るショー、 とっても……楽しみ……ぐー……ぐー |
MEIKO | って、言ってるそばから寝てるし。 こらー、起きなさーい! |
ルカ | むにゃ……。眠ってても……できるショーって、 ないかしら…… |
リン | あ、眠り姫のお話なんてどうかな? それなら、ルカも眠りながらショーに参加できるよ! |
MEIKO | もう、そうやってルカを甘やかしちゃダメよ。 いざっていう時に起きない可能性だってあるんだから~ |
レン | じゃあ、ルカも楽しく起きていられるショーにしなくっちゃね! |
リン | うん! 何がいいかなぁ~ |
MEIKO | 優しいわね、ふたりとも。 ルカ、ふたりにちゃんと感謝するのよ? |
ルカ | ん……。ええ。 ふたりとも、ありがとう……すやぁ…… |
えむ | 類くん類くんっ! 今度のショーで、花びらを降らせるって本当? |
類 | ああ。花畑で主人公が、 父方に引き取られた妹と再会するシーンでね |
類 | もしかして、何かいいアイディアを思いついたのかな? |
えむ | うん! 名付けて、お花のじゅうたん作戦!! |
えむ | 絵にも描いてきたから見て見てっ☆ ほら、こうやってお花がいっぱいついた布とかにひもをつけて、 反対側の袖から引っ張ると…… |
類 | ふむ……文字どおり花のじゅうたんが広がって、 ステージを花畑に変える、と……いいねえ、素晴らしい! |
類 | 床に広げるだけでは見栄え的にももったいないから、 草むら用の背景道具にかけたりして立体感を持たせよう |
類 | あと、それを手前から奥に3列ほど並べれば、 うまく奥行も表現できるかもしれない |
類 | フフ。これはさっそく試してみなければ! 行こうか、えむくん! |
えむ | うんっ☆ お花のじゅうたん作戦、開始だー♪ |
ミク | ……まふゆ、最初とすごく変わった。 だからここは、もう誰もいないセカイじゃない |
ミク | でも……どんな風になっても、ここはまふゆの想いのセカイ。 わたしは、このセカイのミク |
ミク | これからも、ずっと―― |
ミク | あ……みんな…… |
リン | ミク……。どうかしたの? |
ミク | ううん、なんでもない。 ただ、みんながいるのが見えたから…… |
ルカ | つまり、会いたくなったから来てくれた、っていうことかしら |
ミク | うん…… |
MEIKO | 私達は、別にどこかへ行ったりしないわよ |
ミク | うん……でも、みんなを見かけると、嬉しい |
ルカ | そう……。 じゃあ、今日は4人でおしゃべりするのはどうかしら? |
MEIKO | ……と言いながら、 人の腕をつかむのはどうかと思うわ |
リン | ……別に逃げないよ。 暇だし…… |
MEIKO | それもそうね…… |
ミク | ルカ……リン、メイコ…… |
ミク | ありがとう…… |
リン | ………… |
ミク | ……リン? なんだか、怒ってる |
リン | ……服についてるリボンがいうこときかなくて。 もう……なんで縦になるの? |
ミク | ……見せて? えっと、輪っかにならないほうのリボンが上だから…… |
リン | ……あ、きれいなちょうちょ結びになった。 なんで? |
ミク | コツが、あるんだって。 瑞希が前に教えてくれた |
リン | ふーん。……それで瑞希も、きれいにリボン結べるんだ。 ……ねえミク。そのコツ、教えて |
ミク | うん、いいよ |
ルカ | メイコ、ちょっと手を借りてもいいかしら |
MEIKO | いいけど何を……。 ……いえ、言わなくてもいいわ |
MEIKO | そのおかしなくらい両手に絡まっているあやとりの紐を ほどけばいいのね |
ルカ | ええ。……おかしいわ、私はただ『東京タワー』っていうのを 作りたかっただけなのに…… |
ルカ | 途中で失敗したって気づいた時に、 なんとか持ち直そうとあれこれしたからかしら? |
MEIKO | ……はい、これで右手は抜けるんじゃない? |
ルカ | あ……ふふ、ありがとうメイコ、助かったわ。 お礼に『東京タワー』が作れるようになったら 最初に見てちょうだいね |
MEIKO | いい、って言っても見せに来るんでしょ? 好きにしてちょうだい |
ルカ | ええ、そうするわ。ふふっ |
遥 | 愛莉。前に意見をもらった料理企画をブラッシュアップしたの。 よかったら、また見てくれる? |
愛莉 | ええ、もちろん。 ……あら、おもしろいじゃない! |
愛莉 | ところどころ虫食いになっているレシピを見て、 答えを推理しながら料理していくのね |
遥 | うん。クイズの答え次第で、料理の出来栄えも変わったりしたら 面白いかなって思って |
遥 | 作る料理も、てんぷらとかエビチリとか、 イメージはできるけど、どうやって作るのかまでは 詳しくわからないものにするとか |
愛莉 | ふふ。みんなの記憶力や知識、想像力が試されるってわけね! |
遥 | きっと愛莉には簡単なクイズになっちゃうから、 解説と最後のお手本作りをお願いしようかなって思ってるの |
愛莉 | 解説というより、ツッコミになりそうな予感もするけど……。 ふふ、それはそれで楽しそうね! |
雫 | 遥ちゃん、毎日2回、ランニングをしてるのよね。 今度、私も一緒に走っていいかしら? |
遥 | もちろん。でも、どうして? |
雫 | 私もランニングを始めたいんだけど、 でも、ひとりでやろうとすると帰ってこられるか心配で…… |
遥 | あ……きっと、道に迷っちゃうね |
雫 | ごめんなさいね、こんな理由で…… |
遥 | ううん、誰にでも苦手なことってあるから。 早速だけど、明日にでもどうかな? |
雫 | ええ。私は大丈夫よ。 ありがとう、遥ちゃん |
雫 | あら。このお洋服、たまに遥ちゃんが着てる服に似てない? |
愛莉 | あ、本当ね。でもこの色ならみのりも似合いそう |
みのり | 本当? ……はっ! それを買えば、 遥ちゃんとおそろいっぽいコーデができるのでは!? |
遥 | ふふ、じゃあみのりがその服を着る時は 私もそろえて…… |
遥 | ……そうだ。お互いの私服を交換してみるっていうの、 ちょっと面白そうかも |
みのり | えっ……!? |
遥 | 身長とかの違いがあるから、難しいのもあるかもしれないけど、 私達の普段着てる服とか、ファンのみんなもきっと興味が―― |
みのり | は、遥ちゃんの服を、わ、わわわ、わたしが着る!? |
みのり | それじゃあまるで遥ちゃんとおそろい……。 じゃなくて、わたしが遥ちゃんになっちゃう!? |
愛莉 | いや、遥にはならないでしょ |
雫 | ふふ。でも、そういう気分は味わえるんじゃないかしら? |
雫 | あ、そうだ愛莉ちゃん! 私、ハッピーエブリデイになってみたいな! |
愛莉 | え? まあ、仮面を貸すのはかまわないけど…… |
遥 | じゃあ、次の配信の企画はこれで決まりかな。 ふふ。いろいろ、服を見繕っておかないとね |
みのり | うん! |
穂波 | ん…… |
一歌 | 穂波? のどを抑えてどうしたの? |
穂波 | あ、大したことじゃないんだけど、 なんだかいがいがしてて…… |
咲希 | もしかして風邪のひき始めとか? |
志歩 | それか、のどが乾燥してるとか? ……はい。とりあえずのど飴 |
穂波 | ありがとう、志歩ちゃん |
一歌 | あ。穂波、私のもあげる |
咲希 | アタシのも! お兄ちゃんもよくなめてる、すごいやつらしいよ! |
志歩 | へえ。じゃあそれなめたら、司さんくらい 大きな声が出せるようになるかもね |
一歌 | え、じゃあ私もそれなめたら、 もっと声をはって歌えるようになるかな |
穂波 | ふふっ |
穂波 | みんな、飴ありがとう。 大事に食べるね |
みのり | わあっ! 見て遥ちゃん! あのクレーンゲームのワンちゃん、すごくかわいいよ! |
遥 | あ、本当だね。 ……ふかふかぬいぐるみシリーズ、だって |
みのり | いいなぁ。すっごくふかふかで気持ちよさそう~。 ……でも、うちにはサモちゃんがいるし、 そもそも取るの難しそうだなあ |
遥 | そうだね。思わぬ出費になっちゃいそうだし、 無理は……。あ…… |
みのり | 遥ちゃん? |
遥 | ワ、ワンちゃんの後ろに、ペンギンがいる……。 か、可愛い……! |
遥 | ……あっ。でも、あの場所じゃ絶対に取れないよね。 そう、無理はいけないし…… |
みのり | えっと……お店の人に言えば、 やりやすい位置にペンギンさん出してくれると思うけど……。 どうする? |
遥 | えっ、本当!? じゃあ……ちょっとだけ、試してみちゃおうかな |
みのり | うん! じゃあ、お店の人に言いに行こっ! |
絵名 | 愛莉達、最近の配信絶好調だね。 このあいだの、私服の取り換えっこ企画もおもしろかったし |
愛莉 | あら、見てくれてたのね! わたし達自身もすごく楽しかったから、 あの企画は第二弾もやるつもりよ! |
愛莉 | でもせっかくやるなら、 前回とまったく同じにはしたくないのよね |
絵名 | んー、前のはペアを組んで お互いの私服を取り換えっこしたんだよね |
絵名 | あ……じゃあ今度は着たい服を、順番に選んでいくのはどう? で、もし他の人と着たい服がかぶっちゃったら くじ引きで決める……みたいな! |
愛莉 | なるほど、私服のドラフト大会か……。 いいわね、それ! みんなにも提案してみるわ! |
絵名 | やった! |
絵名 | (ふふ。採用されたら、瑞希に自慢しちゃおーっと) |
瑞希 | 雫ちゃん、今日は刺しゅう教えてくれてありがとう! おかげで、最高にカワイイデザインの服が仕上がったよ! |
雫 | ふふ、どういたしまして |
雫 | でも本当にすごいわ。瑞希ちゃんが作ったお洋服、 お店で売っててもおかしくない仕上がりだったもの |
瑞希 | ふっふっふっ。縫いかたとか、裏地とかも、 結構こだわってるからね~ |
雫 | あ、そういえば襟や袖口のところは、 裾とは違う種類のステッチで縫ってあったわ。 それも、こだわりのひとつなのね |
瑞希 | そうそう! さっすが、雫ちゃん! よく見てる~♪ |
こはね | ……あ。ゲームセンターで何かイベントやってるみたいだよ。 えっと、『今だけコイン半額』だって! |
杏 | コインって、ゲームするのに使うやつでしょ。 半額ってすごくない? |
冬弥 | そう、だな…… |
彰人 | ……今日の練習終わってるし、 遊びたきゃ遊んでくればいいだろ |
冬弥 | ……! では、みんなで少し寄っていかないか? |
冬弥 | 実は前から、普段あまりやらない対戦系のゲームに 挑戦してみたいと思っていたんだ |
杏 | いいね、おもしろそう! ついでに、私達の中のナンバーワンを決めちゃおうっか! |
こはね | 私はあまり自信ないけど……でも、楽しそう! |
彰人 | ま、ちょっとくらいはつきあってやるよ |
冬弥 | ありがとう、みんな。 では、行こう |
寧々 | ――はい、K.O. これでわたしの15連勝ね |
司 | ぐぬぬぬ……。えむと類を待っている わずかな時間のあいだに……! |
司 | というか、寧々! 手加減という言葉を知らんのか!? |
寧々 | そっちこそ、わたしが強いってわかってて 格ゲーで勝負しようって言うほうがおかしいでしょ |
寧々 | それで、どうする? まだやる? なんなら、目をつむってやろうか? |
司 | なんだと!? |
司 | 目をつむっていてもあの複雑なボタン操作が可能だというのか!? それはそれで見たいんだが!? |
寧々 | え……じゃ、じゃあ、1回休憩がてら見てたら? NPC相手なら余裕で勝てるし |
司 | 本当か!? ぜひ頼む! |
絵名 | ううっ、寒っ……! この季節の打ち上げ、来るのつらいんだけど…… |
瑞希 | まあまあ。ファミレスに着けばあったかいから、我慢我慢 |
まふゆ | ……奏は、寒くないの? |
奏 | うん、今は平気。ジャージの下に、 着てるだけで温まる服、着てるからかな |
絵名 | ああ……あるよね、そういうの。 たしかに着るとあったかいんだけど、いまいちデザインがね。 それに、肌が乾燥するし…… |
瑞希 | まあねえ。でもカワイイ色もあるし、 保湿はボディクリームでカバーできるし、 さすがにボクも機能性をとるかなあ~ |
奏 | まふゆは? あんまり厚着してる感じじゃないけど…… |
まふゆ | みんなが言ってるのと同じ物かはわからないけど、 お母さんに渡された、温かくなる肌着は着てる |
絵名 | え、みんな着てるの? ……私も着ようかな、寒いのイヤだし |
瑞希 | 意地はって風邪ひくのもよくないしね~。 服とボディクリームのお店、教えてあげよっか? |
絵名 | 別に意地はってるわけじゃないけど。 まあ、お店よろしく |
奏 | あ、わたしも帰りに保湿クリーム買っていこうかな。 たまに肌がかゆくて、集中できない時あるし |
まふゆ | ……そういえば、お母さんも乾燥肌が気になるって言ってたし、 私も何か買っていこうかな |
瑞希 | おおー! じゃあ久しぶりにみんなで買い物だね! 楽しみ~♪ |
えむ | わあっ☆ 今日もお客さんがいっぱいだねえ! |
類 | ナイトショーがSNSで話題になってから、 夜だけじゃもったいないから昼も、と、 1日をここで過ごすお客さんも増えたみたいだしね |
寧々 | ていうか、増えすぎじゃない? ワンダーステージの前も、開演1時間前なのに、 すごい行列ができてるんだけど…… |
司 | なんだ寧々、緊張しているのか? 案ずるな、何かあってもオレ達でフォローしてやるぞ! |
寧々 | ……別にいいから |
寧々 | 練習どおり……ううん、練習以上のショーをして、 来てくれた人みんなに、笑顔になってもらわなくちゃ |
司 | おお! よく言ったな、寧々! |
えむ | みんなで今日も楽しいショーにしようねっ♪ 寧々ちゃんっ☆ |
寧々 | はいはい。そんな大声で言わなくても聞こえてるから |
類 | フフ。では今日も、明るく楽しく安全に、 ワンダーランズ×ショウタイム、公演開始だね |
司 | なっ、なんだ今の爆発音は!? |
類 | おや、司くんじゃないか。 ちょうどいいところに来たね |
レン | 司くんも一緒に食べようよ! |
ミク | どっかーんって、爆発で作ったお菓子だよっ☆ |
司 | ん? これはもしや……ポン菓子、か? |
類 | ああ。両親の知りあいの知りあいから、 いらなくなったからと、専用の機械を譲り受けてね |
司 | いや、なんでそんな物が 知りあいの知りあいから流れてくるんだ…… |
類 | さあ? でも、大砲の音として使えるかなと思って、 録音ついでに実演していたんだよ |
ミク | すっごかったんだよ! ドッカーンッ、バラバラー、もくもくーって! |
レン | うんうん! ねえ、類くん、もう1回やろうよ! |
類 | ああ、いいよ。 司くんも見学していくかい? |
司 | ふむ。自分が爆破されない実験というのは新鮮だし、 見ていくか |
類 | まるで僕がいつも司くんを爆破しているみたいな言いかただねえ |
司 | だいたいそうだろうが |
レン | 司くんって、そんなに爆発してるの!? |
ミク | じゃあ、お米をドッカンするのもきっと上手だね! |
司 | そういうことじゃない! |
リン | ねえねえ、飛行機の中ってどんな感じだった? |
えむ | テレビがついてるソファがあって、 係のお姉さんが、ご飯とか飲み物くれたりしたよ! |
KAITO | すごいね。あ……もしかして、ファーストクラスだったのかな? |
えむ | たぶんそうだよ! 寧々ちゃん達も、み~んなびっくりしてた♪ |
リン | あれ? えむちゃんはびっくりしなかったの? |
えむ | えへへ。だって、うちのおじいちゃんが持ってた飛行機のほうが すっごいんだよ! |
えむ | おじいちゃんがいろいろお願いしたから、 飛行機の中にメリーゴーランドのお馬さんがいたり、 コーヒーカップのソファがあったんだって! |
KAITO | それは……まるで空飛ぶ遊園地だね |
えむ | うん! あ、でも、アメリカでやりたいことができたからって ポーンって売っちゃったみたい |
リン | そうなの? せっかくの空飛ぶ遊園地だったのに…… |
KAITO | ひょっとしたら…… |
KAITO | 夢がつまった空飛ぶ遊園地よりも えむちゃんのおじいちゃんをときめかせる何かとの出会いが、 あったのかもしれないね |
ルカ | あ、寧々ちゃん。ちょうどいいところに来てくれたわ~ |
寧々 | え? な、なんでわたしの後ろに? |
ルカ | うふふっ、いいからいいから~ |
MEIKO | 寧々ちゃーん、この辺りでルカを見なかった……って、 いるわね、そこに |
寧々 | う、うん |
寧々 | (全然隠れられてなくて、誤魔化す気にもなれない……) |
MEIKO | もう十分昼寝したでしょ。 ほら、ショーの練習につきあってちょうだい |
ルカ | 違イマス。ワタシは、ルカデハナク、ネネロボデス |
寧々・MEIKO | 『…………』 |
MEIKO | 寝言は寝てからいいなさい。 いや、寝られても困るけど……。 とにかく、練習つきあってくれるっていう約束だったでしょ! |
ルカ | アー、ネネチャン、タスケテー |
寧々 | えっと……。約束してたんじゃ、仕方ないかな |
寧々 | (というかルカさんのネネロボ、 しゃべりかたすごく似てたかも……) |
えむ | 寧々ちゃーーーーん!! |
寧々 | え、えむ!? また勝手に入ってきたの? |
えむ | えへへっ。これだけたくさん来てるから、 あたし、半分はここの生徒だよ♪ |
寧々 | いや、そんなわけないでしょ |
寧々 | よく考えてよ。 たとえば、司が宮女に何度も行ってたらどう思う? |
えむ | んー……咲希ちゃんを迎えに来たのかな?って思う! |
えむ | あ、そっか! だからあたしも、 寧々ちゃん達を迎えに来たって言えばいいんだね! |
寧々 | いや、違うんだけど…… |
寧々 | (ダメだ。今のは完全に例えが悪かった……) |
えむ | ねえねえ、類くん。 類くんのお部屋すっごくおもしろかったから、また行きたいな! |
類 | ああ、作業部屋のことかい? もちろんかまわないよ。いつでもおいで |
えむ | わーい! まだポチポチしてないボタンたくさんあるから、 ぜーんぶポチポチしたいな♪ |
類 | では、次にえむくん達が遊びに来る時までに、 当たりのボタンを作って隠しておこうかな |
えむ | 当たりのボタン!? |
類 | ああ。それを押すと、部屋中のロボットが一斉に動き出して、 ダンスをするんだ! どうかな? |
えむ | わぁ……! た、楽しそうっ!! |
えむ | よーし! 今度類くんのおうちに遊びに行ったら、 そのボタン絶対ぜーったい見つけなくっちゃっ☆ |
司 | 社会も文化も、今や完全にグローバル化してる! そこでオレ達のショーも、そろそろグローバル化させていくぞ! |
えむ | おおー! 何するの何するの!? |
司 | まず手始めに脚本を英語にする! すると――……フッ、どうなると思う? |
えむ | ほえ? 小さい子がお話わからなくなっちゃうんじゃない? |
司 | む、期待していた答えとは違うが……。 たしかにそれは由々しき事態だな |
司 | あ……いや! なるべく簡単な英語で表現することによって、 子供達の英語の勉強になるんじゃないか? |
えむ | なるほどー! さすが司くん! サウンズ ライク ア プラン!っだね♪ |
司 | え……。あ、ああ、そうだな! そのとおりだ! |
司 | (まずい。グローバル化の前にオレが英語を勉強せねば……) |
司 | ふっ……! はっ……! |
寧々 | ねえ、また司がひとりで なんか変なポーズ決めてるんだけど |
類 | たしかにそう見えなくもないけれど、あれはもしや…… |
えむ | おーい、司くーん! 楽しそうだねっ☆ 何してるの~? |
司 | おお、お前達か。これはな、 海外の人とコミュニケーションを取るための、 ボディランゲージの練習だ! |
寧々 | は? |
類 | ああ、やっぱり。誰か相手がいるようなアクションに見えたから、 もしかしたらと思ったんだ |
寧々 | どう見てもポーズ決めてる風だったけど……。 ていうか、練習するべきは英語じゃないの? |
司 | ふっ、英語は学校の授業でも学べるだろう? だが、ボディランゲージは誰も教えてはくれん! |
司 | つまり、自主的に練習しなければならないということだ! |
えむ | はっ、たしかに! あたしも練習しよーっと♪ |
類 | いいね! なら僕は海外の人の役をやろうかな? |
寧々 | ちょっ、ちょっと類まで!? ツッコミが追いつかないから全員でボケるのやめてよね! |
ミク | ……奏。今日、ご飯食べた? |
奏 | え? うん、ちゃんと食べたよ |
ルカ | それは良かったわ |
ルカ | ちなみに、だいたいの人は1日3食とるみたいだけど、 奏は今日、何食食べたのかしら? |
奏 | えっと……い、1食…… |
ミク | 奏…… |
ミク | ちゃんと、ご飯食べて。 体、大事にしてほしい…… |
ルカ | そうよ。もし倒れたりしたら、ミクが泣いちゃうわよ? |
奏 | あ、え、えっと……。 だ、大丈夫だよ、ミク。ちゃんと気をつけるようにするから |
リン | ねえ、まふゆって好きな季節とかある? |
まふゆ | ないよ |
リン | ……全然考えてくれてない |
MEIKO | 考えるまでもないっていうことでしょうね |
MEIKO | ……そういえば『暑さ』と『寒さ』なら、 どっちが得意とかあるのかしら? |
まふゆ | ……わからない。もしかしたら人より感じにくいかもしれない。 暑いのも寒いのも、結構平気だから |
リン | へえ。夏も冬も普通に過ごせるから、それはそれでよさそう |
MEIKO | でも、四季の移り変わりがあるんだから、 感じられたほうが刺激はいろいろありそうね |
まふゆ | 四季の移り変わり…… |
まふゆ | (そういえば、前に奏達と見た桜は綺麗だったな) |
奏 | わたしとまふゆが初めて投稿した曲、 今も少しだけ、再生数が伸びてるみたい |
まふゆ | ……そうなんだ |
奏 | 宣伝してるわけじゃないし、 きっと何度も何度も聴いてくれてる人がいるんだろうね |
奏 | 救い……とまではいかないかもしれないけど、 わたし達の曲が、その人に寄り添えてるといいな |
まふゆ | ……うん。そうだね |
絵名 | 奏とまふゆの出会いの話、してくれてありがとう。 なんか、すごく新鮮だった |
奏 | 新鮮? |
絵名 | うん。曲の話とかは前からしてるし、 最近、近況について話すようにはなったけど…… |
絵名 | 昔の話とか、自分の話ってなかなかしないし、 避けてきたところもあるし |
奏 | たしかに、そうだね |
絵名 | ……なんでも話すっていうのはムリかもしれないけど、 そういう話が、ちょっとずつできていったらいいな |
奏 | うん。そういう機会がいつかあったらいいね |
瑞希 | ねえねえ、奏。 おもしろい海外の雑貨を売ってるお店見つけたんだけど、 今度のぞきに行かない? |
奏 | え? そういうのは絵名と行ったほうが楽しいんじゃない? |
瑞希 | ふっふっふっ。絵名とも行きたいし、奏とも行きたいし、 もちろんまふゆとも行きたいと思ってるよ! |
瑞希 | そのお店、置いてある雑貨の種類がものすごいだけじゃなくて、 ひとつひとつ考えられてたり、仕掛けがあったりして、 ほんっとにおもしろいらしいんだ♪ |
瑞希 | だから、ひとりずつ連れていって、 それぞれの反応を比べてみたいんだよね~! |
奏 | へえ…… |
瑞希 | 奏、絶対退屈させないから! お願い! 今度つきあって~! |
奏 | わかった。瑞希がそこまで言うなら、いいよ |
瑞希 | 本当!? ありがとう、奏! あははっ、楽しみだな~♪ |
瑞希 | 奏とまふゆの話、おもしろかったね。 途中、うええええ!?ってなったところもあったけど…… |
絵名 | ああ、うん。奏が意識なくしたってところとかね |
瑞希 | そうそう。でも、ああいう話聞けて、いいなって思ったよ |
瑞希 | なんていうか、きっとその時は、 ふたりともいろいろ大変だっただろうけど、 今なら、話しても大丈夫になったのかなって…… |
絵名 | そうかもね |
絵名 | ――言っておくけど、ちゃんと待つから |
瑞希 | あ…… |
瑞希 | うん、ありがとう |
奏 | こうやって、みんなでファミレス行くのも もうすっかり当たり前になったね |
絵名 | 正直、どこかでちょっとめんどくさくなるかもって 思ったこともあったけど、意外と楽しいよね |
瑞希 | 意外と~? 毎回、めちゃくちゃ楽しんでるくせに~ |
絵名 | え? 一番はしゃいでるのは瑞希でしょ |
まふゆ | ……ふたりとも同じくらいうるさいよ |
絵名 | は? |
瑞希 | あははっ! 話してる時もさ、まふゆにスパッと言われて、 絵名が怒るところまでがもうお約束って感じだよね |
奏 | 最初はハラハラした時もあったけどね…… |
奏 | (それだけ、一緒にいるってことなんだな……) |
まふゆ | 奏、信号渡るよ? |
奏 | うん、今行く |
レン | ミクちゃん達、前は毎日のようにライブをしてたって みのりちゃんに聞いたけど、本当? |
ミク | 本当だよ。みのりちゃん達がいつセカイに来ても、 楽しいライブを見せてあげられるようにって思って♪ |
ミク | でも、みんなが本当の想いを見つけてからは、 一緒に練習したり、話を聞いたりするほうが役に立てそうだから、 今はのんびりペースに変えたけどね |
レン | そうだったんだ…… |
ミク | ふふっ。でも、誘ってもらえれば いつでもライブに飛び入り参加するよ♪ |
レン | 本当? じゃあ、今度やろうと思ってるライブに ミクちゃんをゲストで呼ばせてもらってもいいかな? |
ミク | うん! わたしでよければ喜んで♪ |
リン | ふん、ふん♪ ふふふ~ん♪ |
MEIKO | あら、リン! なんだかご機嫌ね♪ |
リン | えへへっ。実は次のライブでね、すごいライトを使うの! |
MEIKO | すごいライト? |
リン | うん! お星さまみたいに白いキラキラした光が、 ステージの壁一面に出るんだよ! |
リン | それでお星さまの海にいるみたいな感じで、 ソロ曲を歌うの♪ |
MEIKO | わあ、ロマンチックね! ねえ、そのライブ見に行ってもいいかしら? |
リン | もちろん! あ、これからリハーサルもあるけど、 ライト見に来る? |
MEIKO | ん~、それはやめておくわ。 見ないほうが本番のライブを楽しめそうだもの♪ |
リン | わかった! えへへ、本番を楽しみにしててねー! |
ルカ | カ~イトくん♪ カイトくんがやってる裏方の仕事、 今度手伝ってもいいかしら? |
KAITO | もちろんかまわないけど、何かあったのかい? |
ルカ | ええ。カイトくん、最近すごく忙しそうにしてて、 自分のライブの準備ができてないでしょ? |
ルカ | だから、少しでもカイトくんが 自分のために時間を使えるように、手伝いたいなって思ったの♪ |
KAITO | あ…… |
KAITO | ふふ。ルカちゃんは、相変わらず周りをよく見てるよね |
KAITO | ありがとう。ちょうど、ヘルプを誰かにお願いしようかなって 思ってたところだったから、助かるよ |
ルカ | 本当? じゃあ、カイトくんのために めいっぱい頑張っちゃうわね♪ |
愛莉 | リンって、ライブ中よくお客さんに、 両手を大きく振ってるわね |
リン | うん♪ 見にきてくれたお客さんに、 『いっぱい楽しんでね!』って伝えたくって! |
リン | でも、いつも同じ感じになっちゃうから、 手を振る以外にも、伝える方法があればいいんだけどな |
愛莉 | それなら、指でさしたり、ウィンクしたり、 投げキッスはどう? |
愛莉 | こんな感じで、もらうと思わず ドキッとするような仕草もいいんじゃない? |
リン | 指やウィンクはたまにやってるけど……。 投げキッスは照れちゃうから、あんまりしたことないかも |
愛莉 | 大丈夫よ。照れてる姿もお客さんは喜んでくれるから! |
リン | 本当? じゃあ今度のライブで挑戦してみるね! |
咲希 | あいりせんぱーーーい! |
愛莉 | あら、咲希ちゃんじゃない! そんなに急いでどうしたの? |
咲希 | えっと……もしかしたらあいり先輩も 食堂に行くところかなって思って |
咲希 | あ、あの……! もしそうならご一緒してもいいですか!? |
愛莉 | ええ、もちろんよ。雫は委員会に行っちゃってるし、 わたしも誰かを誘おうと思ってたの |
咲希 | や、やったー! ありがとうございます! |
愛莉 | そうと決まれば、ランチが売りきれちゃう前に 急いで行くわよ! |
咲希 | はーい♪ |
えむ | パパパパッ♪ パパパパッ♪ パンがいっぱい、だいしゅうご~う♪ |
咲希 | あ、えむちゃんだ! やっほー! |
愛莉 | にこにこで歌ってたけど、今の歌は何? |
えむ | えへへ、パンが大集合の歌です! |
えむ | 今日は、いつもよりたくさんの種類のパンが 購買に出るって聞いて、たのしみだな~って♪ |
愛莉 | そっか。今日は不定期開催のお総菜パン祭りの日なのね! |
愛莉 | すっごくおいしいカスタードパンがあるんだけど、 原材料が高いから、こういう時にしか出ないって クラスの子に聞いたことがあるわ |
咲希 | そうなんですね! いいなあ、そのカスタードパン食べてみたい! |
えむ | 急いで行けばきっとありますよ! レッツゴ~~~~♪ |
愛莉 | あっ! 待って、えむちゃん! 廊下は走っちゃダメよー! |
えむ | 穂波ちゃん、穂波ちゃん! 大変だよ! |
穂波 | ど、どうしたのえむちゃん |
えむ | 実は……あたしの好きなたい焼き屋さんが、 アップルパイたい焼きっていうのを新メニューで出したの! |
穂波 | ア、アップルパイたい焼き? |
えむ | うん! 生地はもちもちふわふわ~なたい焼きで、 でも中身は、トロトロあまあまジューシ~な アップルパイなんだって! |
穂波 | それって、アップルパイなのかな……? でも……ちょっと気になるかも |
えむ | わーい! じゃあ、今度一緒に食べに行こっ♪ |
穂波 | うん、楽しみにしてるね |
えむ | ヘイヘイ♪ ぐるるる~ん! からの~、どっかんわんだほーいっ☆ |
愛莉 | ス、スキップから3回転ターンしてさらに大ジャンプ!? これだけ大きな動きなのに、体幹が全然ブレてないなんて! |
愛莉 | すごいわ、えむちゃん! さすがショーキャストさんね! |
愛莉 | (それにしても、あれだけ勢いよくターンしてるのに、 どうして軸がぶれないのかしら?) |
えむ | でもでも! あたしは愛莉ちゃんセンパイのほうが すごいと思います! |
えむ | ハッピー反復横跳びなんて、 センパイと同じくらい速くシャシャ!ってやろうとしても、 そのあとのシュシュ!ができないですし |
愛莉 | 反対側への切りかえしのことかしら? あれにはちょっとしたコツがあるのよ |
愛莉 | せっかくだし、動きのコツを 教え合うっていうのはどう? |
えむ | ハッピー反復横跳びの秘密を教えてくれるんですか!? す、すごい……! ぜひお願いします! |
雫 | ねえ、愛莉ちゃん。週末、練習が終わったら 隣町のショッピングモールに行かない? |
愛莉 | いいけど……何かあるの? |
雫 | ふふ。ほら、見て! このあいだ遥ちゃん達と食べた限定の和菓子なんだけど、 今度は隣町のほうで売られるみたいなの |
雫 | だから、愛莉ちゃんと一緒に食べに行きたいなって |
愛莉 | ありがとう、雫! 雫がくれたあの和菓子、 本当においしかったから、わたしもまた…… |
愛莉 | ……って、ちょ、ちょっと待って! 今見せてくれたのって、 ショッピングモールのHPのスクショよね!? |
雫 | うん! あ、撮りかた間違ってた? |
愛莉 | 違うの! ちゃんと撮れてるのよ!! |
愛莉 | 検索のやりかたすらおぼつかなかったのに、 HPを検索して、スクショまで……! |
愛莉 | (わたしが食べに行けなかったこと、 そんな気にしてくれてたなんて……) |
愛莉 | ……雫っ! 食べに行く和菓子、わたしがおごるわ! |
雫 | え、でも…… |
愛莉 | いいの! わたしからの気持ちだと思って 受け取ってちょうだい! |
咲希 | あっ! あいり先輩、こんにちは! |
えむ | わんだほーい! 愛莉ちゃんセンパイもCDを買いに来たんですか? |
愛莉 | ええ。前から気になってたアイドルのCDが 今日発売されるから、それをね! |
咲希 | アタシもちょうど、 好きなバンドのCDの発売日だったんですよ! |
咲希 | それで、途中でえむちゃんと一緒になって、 そのまま買い物につきあってもらってるんです |
えむ | 咲希ちゃんの好きなバンド、あたしも曲聴いたけど、 すご~くかっこよくて、 パワフルなわんだほい!って感じだった☆ |
愛莉 | ふふっ、パワフルなわんだほいか。 それは気になるわね。どのバンド? |
咲希 | あっ、これです! そこで試聴もできます! |
愛莉 | ありがとう。せっかくだし、試聴してみるわ。 お礼にってわけじゃないけど、あとでわたしが気になってた アイドルのことも教えるわね |
えむ | おおー! 愛莉ちゃんセンパイのオススメ楽しみ! えへへ、ふたりの好きを知れて嬉しいなっ! |
咲希 | あっ、来た来た! とーやくーん! |
冬弥 | おまたせしてすみません。 それにしても……よかったんですか? お邪魔してしまって |
司 | もちろんだ! ちょうど母さんからもらった ピアノコンサートのチケットが余っていたからな |
司 | 冬弥が聴いてくれるのであれば、母さんも喜ぶことだろう! |
司 | しかし……。大丈夫なのか? 演奏はもちろん、聴くことも避けていたように思うが…… |
冬弥 | ……はい。今でも、自分で弾くのはちょっと…… |
冬弥 | ですが、たまに聴くくらいなら 大丈夫になってきているみたいです |
司 | そうか……それならいいんだが、無理はするなよ? |
冬弥 | はい。お気づかいありがとうございます |
咲希 | お兄ちゃん、とーやくん、ふたりで話してばっかりでズルいよ。 それに、早く行ってパンフレットとか読むんでしょ? |
司 | おお、そうだったな。 では、行こう! |
みのり | あっ! 寧々ちゃーん! |
寧々 | え、あ……は、花里さん!? |
寧々 | (ど、どうしよう。 ばったり知りあいに会った時って、何を話せば……) |
みのり | 今日はショーの練習お休み? お買い物中かな? あ、もしショッピングモールに行くなら、 よかったら一緒に行きたいな! |
寧々 | す、すごい対応力…… |
みのり | え? |
寧々 | あ、な、なんでもない! |
寧々 | (そうだ! 花里さんとの会話、 誰かとばったり会った時のための参考になるかも。 ……ちょっとあとでメモしておこうかな) |
えむ | はっ! あのふわふわピンクの後ろ姿は……! |
えむ | やっぱり、愛莉ちゃんセンパイだー! わんだほーい! |
愛莉 | あら、えむちゃんじゃない! お買い物中? |
えむ | いえ! 実は、クマさんがクッキーを 作ってるお店ができたって聞いて、 えむ探検隊として調査中なのであります! |
愛莉 | クマさんがクッキーを作って……。 ああ『クマ印のハニークッキー』のことね! |
愛莉 | ちょうどそのお店をのぞいてみようって思ってたの! よかったら、わたしも探検隊に入れてもらえないかしら? |
えむ | おおー! もちろんオッケーです! 愛莉ちゃんセンパイ隊員、よろしくお願いします! |
愛莉 | ええ! よろしくね、えむ隊長! |
こはね | はあ、はあ……。どうだった? |
レン | うん、聴いててすっごくワクワクする歌だったよ! |
レン | でも……こはねが言ってた、景色をイメージっていうのは ちょっと難しかったな |
こはね | そっか…… |
ミク | 自分でイメージするならともかく、 相手に同じイメージをさせるとなると、相当難しいからね |
こはね | でも、難しいっていうことは それができたらすごく成長できたっていうことだし、 頑張りたいな |
レン | お! こはね、燃えてるねー! |
ミク | RAD WEEKENDをやった会場を見て、 しかもその時の映像まで見てるからね |
ミク | 私も、気合いを入れなおさないといけないかな |
彰人 | ルカさんって、メイコさんのカフェにいない時は 何してるんすか? |
ルカ | セカイのいろんな場所をフラフラしてるよ |
ルカ | 見慣れた場所でも、歩いてると楽しくなって、 ついつい遠くまで行っちゃうんだよね |
リン | でも、もっとカフェに顔出してほしいな。 ルカに歌のアドバイスとか聞きたいし |
ルカ | え、本当? それなら今聞くよ? |
リン | えっと……。 もうミクが相談に乗ってくれたから大丈夫 |
ルカ | なーんだ、残念…… |
彰人 | で結局、カフェにいない日は外をフラフラしてるだけなんすね |
ルカ | あはは。そうだね~ |
ルカ | ん? ひょっとして……。 今の私って、ダメダメな感じに見えてる? |
彰人・リン | 『…………』 |
ルカ | ちょ、ちょっとふたりとも? 何か言ってよー! |
冬弥 | ……ふう。メイコさんのコーヒーは いつ飲んでも美味しいですね |
MEIKO | 常連さんにそう言ってもらえて嬉しいわ |
MEIKO | こっちの常連は、コーヒーにうるさいくせに なんにも言ってくれないから |
KAITO | それ、ボクのこと? |
KAITO | なんにも言わないのは メイコのコーヒーはいつでも美味しいからだよ |
MEIKO | 本当? それならいいけど…… |
KAITO | うん。気になるところがあったら言ってるだろうしね |
MEIKO | それはそれで面倒な客よね~ |
KAITO | ええーっ!? 冬弥くん、今の聞いた!? |
冬弥 | はい。あんな自然にユーモラスな返しができるなんて、 さすがカフェのマスターですね |
冬弥 | 俺はそういう気の利いた言葉を返せないので、 勉強になります |
KAITO | え? な、なるほど……? |
MEIKO | ふふ。冬弥くん、おかわりはいかが? |
冬弥 | はい。いただきます |
冬弥 | まさか、WEEKEND GARAGEの機材が使えないとは…… |
杏 | ごめん。 ちょっと前から調子悪いなとは思ってたんだけど…… |
こはね | ううん。杏ちゃんのせいじゃないから気にしないで |
彰人 | まあ最悪、 カラオケに行けば似たような練習はできるしな |
彰人 | で、機材は修理すんのか? |
杏 | んー、そこそこ年代物もまざってるらしいからねー。 修理じゃなくて、買い替えることになるかも |
冬弥 | そうか……。臨場感があって、 とてもいい音が聴けただけに残念だな |
こはね | それに杏ちゃんのお父さんが現役の時から 使ってた機材なんだよね |
杏 | うん、名残惜しそうにはしてた。 でも、最高の音でみんなに音楽を楽しんでほしいだろうし、 そこは割りきるんじゃないかな |
こはね | そっか…… |
杏 | あ、でも、叩けば案外よくなったりしてね! 今日帰ったら試してみようかな? |
彰人 | やめとけ。トドメになったらどうすんだ |
杏 | だよね~ |
杏 | 音楽イベントのフライヤーって、 どれもオシャレでかっこよくない? |
こはね | そうだね。参加者を紹介する写真も、 それぞれのチームの雰囲気とか特徴が出ててすごいなって思うよ |
杏 | 写真かぁ。ふふ、やっぱりこはねはそこに目がいくんだね |
こはね | うん。構図とかアングルとか気になっちゃって。 こういうの、プロの人が撮ってるの? |
杏 | んー。そういう時もあるし、 こはねみたいな撮るのがうまい人が知りあいにいれば、 お願いするっていうこともあると思うよ |
こはね | そうなんだ! じゃあ杏ちゃん達の写真を撮る時は 私がやってみたいな! |
杏 | 私もこはねに撮ってもらいたいなぁ。 けど、Vivid BAD SQUADで撮るならこはねも写る側だけどね! |
こはね | あ……! えへへ、そうだね |
こはね | はあ……。どうしようかな…… |
彰人 | ん? お前、こんなとこで何してんだ? |
こはね | あ、東雲くん! 実は、服のことでちょっと困ってて…… |
彰人 | 服? |
こはね | うん。そこのお店に飾ってあるトップス、 かっこいいなって思うんだけど…… |
彰人 | 似合うかどうか心配してんなら、大丈夫じゃねえの? |
彰人 | よくライブ用に着てくるコーデがあるだろ。 あれとも合いそうだしな |
こはね | ほ、本当!? |
彰人 | オレはそう思うってだけだ。 急いで買わなくていいなら、 今度あの服着てきて、合わせてみりゃいいだろ |
こはね | うん、そうしてみる! ありがとう、東雲くん! |
ミク | リン、何を真剣に読んでるの? |
リン | サッキーが持ってきてくれた、ファッション雑誌……。 今、すっごい悩んでることがあってさ。 それをどーにかする方法、のってないかなーって |
ルカ | あら、悩みがあるなら 私達も相談に乗るわよ? |
リン | ……笑わない? |
ミク | もちろん。 それで、どうしたの? |
リン | この制服、オシャレで ちょっと大きめのを着てるんだけど…… |
リン | みんなの着こなしを見てると、 逆に制服に着られてる感出ちゃってるかなーって思って |
ルカ | あら、そんなことないと思うわよ。 リンにすごく似合ってるし |
ミク | うん。私も、制服に着られてるなんて感じたことないかな |
ルカ | ええ。むしろ、萌え袖なんてリンしかできないかも |
リン | 本当!? よかったぁ! じゃあ、これからもこのファッションでいこーっと♪ |
レン | あれ? カイト、さっきもギターの手入れを してたような気がするんだけど、またしてるんだな |
KAITO | ……うん。特にすることもないから |
一歌 | 手入れか……。練習のあとなら布でふいてるけど、 それ以外は、弦を張り替える時くらいだな |
志歩 | 私もだいたいそんな感じ |
レン | オレも。まとめてやったほうが効率もいいしな |
KAITO | ……それで十分だと思う |
志歩 | 熱心にやりすぎても、塗装がはげるだけだしね |
レン | あー……。オイルとかつけて汚れを取ってる時、 力加減とか困るんだよな |
一歌 | うん。昔、コツとかないかなって調べたことがあるけど、 『しっかり汚れを取る』『優しくなでるように』 みたいなことしか書いてなかったなあ |
志歩 | まあ、そういうのは感覚で身につけていくしかないね |
志歩 | あ……。カイトさん、もう練習に来てたんですね |
KAITO | ……うん。ちょっとひとりで弾きたくて |
志歩 | じゃあ、私は隣の教室を借ります |
KAITO | あ……。ごめん…… |
志歩 | いえ。私も自主練は、ひとりで気楽にやるのが好きなので |
KAITO | そっか……。よかった |
一歌 | ねえ、志歩。 ちょっとこの写真、見てくれないかな? |
志歩 | うん、いいけど…… |
志歩 | ……ん? 写真に写ってるの、 一歌が育ててるサボテンだよね? |
一歌 | うん。それで……ここ。ここを見てみて。 ほら、小さいけどつぼみができてるでしょ? |
志歩 | 本当だ。このサボテンって花が咲いたことあったっけ? |
一歌 | ううん、まだ。つぼみができたのも、初めてなんだ! |
志歩 | (どうりでテンション高いと思ったら、そういうことか) |
志歩 | ちゃんと咲いてくれるといいね |
一歌 | ありがとう! 咲いたらまた教えるね |
穂波 | あれ? フェニーくんのペンが落ちてる。 誰か落としちゃったのかな |
穂波 | (教室近いし、1年生かな? 1年生でフェニーくんが好きな子といえば……。 えむちゃんに、桐谷さんに、それから――) |
志歩 | ……ない。 一体どこに…… |
穂波 | (もしかして……) |
穂波 | ねえ、志歩ちゃん。 探してるの、このペン? |
志歩 | あっ! 私のフェニーく―― |
志歩 | じゃなくて……。 私のペン、拾ってくれたんだね。ありがとう、穂波 |
穂波 | ふふっ、どういたしまして |
咲希 | あっ! 見て、しほちゃん! あそこにカプセルのおもちゃがいっぱいあるよ! |
咲希 | ほら、ねこちゃんのフィギュアに おいしそうなハンバーグのストラップ! |
志歩 | 動物のフィギュアの横に食品サンプルって……。 統一感なさすぎでしょ…… |
咲希 | そう? こういうごちゃごちゃーってした感じのほうが アタシはワクワクするけどなあ |
咲希 | あ、こっちにはうさちゃんの人形がある! 『まるで本物の手触り! ふわもこうさちゃん』だって! |
志歩 | …………! |
咲希 | あ、今『かわいい』ってときめいたよね! きっと好きだと思ったんだ~。ほら、見に行こうよ! |
志歩 | ……まあ、ちょっとだけなら |
咲希 | やったー! 行こ行こー! |
咲希 | ねえ、あれ見て! ギターもベースもドラムもキーボードも全部青色だよ! |
一歌 | 本当だ……。『色もデザインも全部そろえた、 おそろいのバンドセット』だって |
穂波 | へえ、かっこいいね |
志歩 | 楽器のメーカーやカラーをそろえるっていうのはよくあるけど、 細かいデザインまで統一するのは、なかなかないかな |
咲希 | いいなあ……。 『バンド!』『仲間!』って感じがすっごくする! |
志歩 | まあ、気持ちはわかるけどね |
一歌 | でも今は、おそろいのストラップで我慢かな |
穂波 | うん。かっこいい分、値段も……ね? |
咲希 | え? ……あ、ほ、ほんとだ! お年玉じゃ全然たりないよーっ! |
志歩 | 高すぎて、逆に未練残らなくていいんじゃない? ほら、さっさとスタジオ行って練習するよ |
冬弥 | 小豆沢、よくWEEKEND GARAGEで頼んでいる 呪文のようなコーヒーの名前を教えてくれないか? |
こはね | えっと、『カフェモカホイップチョコチップのせ キャラメルソースマシマシ』のこと? |
冬弥 | ああ、それだ。 頼む時に困らないよう、メモしておかなければ…… |
こはね | 珍しいね、ブレンドコーヒー以外の物を頼むなんて |
冬弥 | 見聞を広める一環として、 普段頼まない物を試してみようと思ったんだ |
冬弥 | 仲間が飲んでいるものを試せば、 共通のイメージも持てて、一石二鳥だからな |
こはね | なるほど! |
こはね | (ふふ。真面目な青柳くんらしいなぁ) |
MEIKO | ふう……。このあたりで一度休憩しましょ |
雫 | そうね。 めーちゃん、ドリンクはいかが? |
MEIKO | ありがとう、雫ちゃん。 ……って、あれ? 普通のお茶ね |
雫 | ええ、ジャスミン茶よ。 お母さんがいい茶葉をもらったから、いれてみたの |
雫 | 美味しいし、香りにはリラックス効果もあるのよ |
MEIKO | 本当だ。いい香りね! |
MEIKO | (前はお味噌汁にびっくりしたけど、 違うと、それはそれでちょっとびっくりしちゃったわ) |
みのり | カイトさん、マネージャーのお仕事って どういうことをしてるのか聞いてもいいですか? |
KAITO | もちろん、かまわないよ。 けど、急にどうしたんだい? |
みのり | えっと、わたし達にはマネージャーがいないので、 いろいろ自分達でやってるんですけど…… |
みのり | わたしはそもそも業界のことを知らないから、 マネージャーの代わりにやらないといけないことが 全然わかってなくて |
KAITO | なるほど。それでまずは マネージャーについて知ろうと思ったんだね |
KAITO | わかった。僕でよければ力になるよ |
みのり | ありがとうございます、カイトさん! レクチャー、お願いします! |
ミク | レーーーンっ! |
レン | あ、ミク! それにぬいぐるみのみんなも、どうしたの? |
ミク | ふっふっふっ。今から手を動かさずに、 ぬいぐるみのみんなをジャグリングするから見ててっ! |
レン | え、手を動かさずに? |
ミク | うん! いっくよ~♪ せーのっ☆ |
ぬいぐるみ達 | 『ヨッ!』 『ホッ!』 『トウッ!』 |
ミク | ごらんあれ~。 ぬいぐるみ達が、ミクの手の上頭の上とぐ~るぐる~ |
レン | あははっ! ほんとにジャグリングしてるみたいに見えるよ。 すっごくおもしろい! |
ミク・ぬいぐるみ達 | 『イエーイ♪ だいせいこーうっ!』 『イエーイ♪ ダイセイコーウッ!』 |
レン | ねぇ司くん! 今から即興劇をやってみない? |
司 | もちろんいいが、なぜ即興劇なんだ? |
レン | この前のホワイトデー、トラブルがあっても アドリブでカバーしてショーをやりきったでしょ? |
レン | あの時の司くん、本当にかっこよかった! だからボクも、あんな風になれたらなって思ったんだ! |
司 | ハーッハッハッハ! そうかそうか! であれば、即興劇で練習するのはぴったりだな! |
司 | オレでよければいくらでもつきあうぞ! そうだ! 誰か観客になってくれる者も探さねばな! |
レン | うんっ! この時間なら、ステージのほうに ミクやカイトがいると思うから、行ってみよう! |
寧々 | (あ、類とカイトさんだ。 ふたりして、周りを気にしてるみたいだけどどうしたんだろ?) |
寧々 | (それに類が持ってるのって、錠剤が入った小瓶?) |
類 | ――カイトさん、これ。 以前頼まれた、例の品だよ |
KAITO | これが例の……ありがとう、類くん。 こっそり試してみるよ |
寧々 | (えっ!?) |
寧々 | ちょ、ちょっと類! カイトさんに何渡してるの!? |
類 | ん? ラムネだけど……寧々も欲しいのかい? |
寧々 | ラ、ラムネ!? でも、薬を入れるような瓶に入ってたよね? |
類 | お菓子だとわかると、ミクくん達も欲しがるだろう? |
類 | けど、このラムネは脳が疲れた時に カイトさんに食べてほしい物だから、 それとわからないようにしたのさ |
KAITO | 独りじめしてるみたいで、 ミク達にはちょっと悪い気もするけどね |
寧々 | な、なんだそうだったんだ。 はあ、びっくりした…… |
リン | ねえ、奏がよく食べてるカップ麺っていうやつ、 おいしいの? |
奏 | そうだね……。 毎日食べても飽きない味だと思うよ |
リン | ……好きな味じゃないの? |
奏 | 意識したことないけど……。 実際、飽きてないし、好きな味ではあるのかも |
奏 | もし飽きても、味噌とか豚骨とか、 他にも種類たくさんあるから、そっちを食べればいいしね |
リン | ふーん…… |
奏 | 今度、試しに何か持ってこようか? 家にたくさんあるし |
リン | そうなんだ。じゃあ、食べてみようかな |
絵名 | あれ? なんか珍しい組み合わせだね。 何してるの? |
まふゆ | 私は本を読んでる |
ルカ | 私は、横からのぞかせてもらってるだけよ |
絵名 | それでそんな近くに寄ってたんだ……。 けど、そんな密着されてたら読みにくくない? |
まふゆ | 気にしてないから。 ……ルカ、読んだ? |
ルカ | ええ。ページめくって大丈夫よ |
絵名 | (気にしてないなら、読んだかどうか聞かないでしょ。 まあ、邪魔じゃないからそうしてるんだろうけど) |
絵名 | ちなみに、なんの本を読んでるわけ? |
まふゆ | 英語の教科書 |
ルカ | 有名な童話の原文がのっているの。 絵名も一緒に読む? |
絵名 | う、ううん……遠慮しとく |
司 | おお、彰人ではないか! お前も今から食堂で昼飯か? |
彰人 | 司センパイに……暁山? なんか珍しい組み合わせっすね |
瑞希 | 教室行く途中でばったり会ってさ。 このあいだチョコレートファクトリーで作った バレンタインのお返しの話をしてたところなんだ♪ |
瑞希 | ていうか、珍しいって言えばそっちもじゃん。 冬弥くんはどうしたの? |
彰人 | 図書委員の当番だよ。 じゃあ、オレはこれで—— |
司 | そうか、今日はひとりなのか! では、一緒に食べるというのはどうだ? |
彰人 | いや、オレは別にひとりでも…… |
瑞希 | 『ぼっちの後輩を昼飯に誘ってくれるなんて、 さすが偉大で優しい先輩だな』って、 弟くんが言ってるよ、司先輩! |
彰人 | は? 暁山お前、なに勝手に…… |
司 | ハーッハッハッハ! そうだろう、そうだろう! |
司 | オレは偉大で優しい先輩だからな! いくらでも同席を許可するぞ。さあ、オレについてこい! |
瑞希 | はーい♪ ほらほら、弟くんも行こうよ! そっちのホワイトデーの話も聞きたいしさ! |
彰人 | おい、やめろひっぱるな! オレはひとりでいいって言ってんだろうが! |
彰人 | 司センパイ、この前のテスト、 いい点取ったらしいじゃないですか |
司 | まあな。勉強の方法を変えてからというもの、 調子がよくてな! |
彰人 | (マジかよ。センパイ、勉強そんな得意じゃなかったよな? なのにいい点がとれるようになるなんて……) |
彰人 | ……あの、センパイ。 どういう勉強したんすか? |
司 | ふっ、知りたいか? まあ、隠すほどでもないから教えてやろう! |
司 | それはな―― 正々堂々、試験範囲をすべて勉強することだ!! |
彰人 | …………は? |
司 | 今までは、ショーの脚本を作ったり練習をしたり、 忙しいからと、ヤマを張って限られた範囲の勉強をしていた |
司 | だがそれでは、はずれた際のダメージが大きい! 故に、テストの前日に、試験範囲すべてを勉強することにした! |
彰人 | (テスト前日って、それただの一夜漬けじゃねえか!) |
彰人 | (くっそ……。 ヤマ張るか張らないかの違いで、そんな点数変わるのか!?) |
瑞希 | ねぇ、司先輩。 司先輩の妹さんって、どんな子なの? |
司 | 咲希のことか? 咲希は明るくて優しい子でな、 いつも周りを気にかけているんだ |
司 | それに頑張り屋で、毎日バンドの練習に励んでいる。 咲希のひたむきさは、我が妹ながら見習うべき点だ |
司 | あとは部活やバイトもしていてな! 頑張りすぎていないか心配だが、見守るのも兄の役目だろう。 そうだ、この前あった話なんだが―― |
瑞希 | (あはは……なんかスイッチ入っちゃったみたい。 でも、おもしろい話も聞けそう!) |
瑞希 | 司先輩、どうせなら食堂か中庭で ジュース飲みながら聞きたいな♪ |
司 | いいだろう! 暁山、飲み物は何がいい? せっかくだしおごってやるぞ! |
瑞希 | わーい! 先輩、サイコー♪ |
遥 | あれ……日野森さん? こんにちは |
志歩 | あ、桐谷さん……ってどうしたの、そのペンギンのぬいぐるみ。 かなり大きいけど…… |
遥 | うん。そこのお店で見つけたんだけど……。 その……目があっちゃったんだ |
遥 | なんだか『おうちに連れてって』って、 言われてる気になってきて、買っちゃったの |
志歩 | あ……わかるかも。 私もフェニーくんのぬいぐるみを見かけると そんな風に言われてる気がしてくるっていうか…… |
遥 | 日野森さんもそうなんだね! 特に、ひとつひとつ仕上がりが違う手縫いの子達からは、 連れていってって言われてる気がして…… |
志歩 | うん。あれ、本当にどうしたらいいか迷う。 もういっそ全員連れて帰りたいけど、そうもいかないし |
志歩 | けど、だからこそ、 自分で選んだ子を大事にしないとって思えるんだよね |
遥 | そうだね |
遥 | (……ふふ。ここまで話が合うなんて。 日野森さんにも、大事にしてるぬいぐるみがあるのかな) |
瑞希 | ねえ、弟くん! このカーディガンとブラウス、 どっちがいいと思う? |
彰人 | ……なあ、暁山。たまたまそこで会っただけなのに、 なんでオレが買い物につきあわされてんだ? |
瑞希 | えー、いいじゃんちょっとくらい! 弟くんのファッションセンスを頼らせてよ |
瑞希 | 今シーズンに着る新作、どっち買うか迷ってるんだ。 ね、人助けすると思って! お願い! |
彰人 | (……ったく。 この強引な感じ、なんか絵名のヤツに似てんな) |
彰人 | (あれか、類は友を呼ぶってヤツ。 ……いや、暁山は絵名ほどじゃねえか) |
彰人 | ……ブラウスは合わせる服にもよるんじゃねえの? それも考えて選ばねえと意味ねえだろ |
瑞希 | お! やっとその気になってくれたね! 実は、合わせる服も考えてあってさ―― |
類 | おや、瑞希。 休日なのに制服ということは……補講かい? |
瑞希 | まあねえ…… |
瑞希 | 出席日数は足りてるから油断してたんだけど、 ボクだけ受けてない小テストが山ほどあるからって 呼び出されちゃってさあ |
類 | おやおや……。けど数はあっても小テストくらいなら、 パパッと片づくだろう? |
瑞希 | そうなんだけどさあ。 今日、本当は一気見したいアニメがあったし、 やる気マイナスなんだよね |
瑞希 | しかも、来月もやるぞって言われててさ! なんでそんなやる気をそぐようなこと、先に言うわけ!? |
類 | それはご愁傷様―― 瑞希だけでなく、君のために休日出勤している先生もね。 最近、お子さんが生まれたらしいし |
瑞希 | えっ、そうなの!? |
類 | ああしかし、可哀想かな。 妻をいたわり、子を抱くはずの時間は、 気まぐれな教え子によって1日、また1日と削られ―― |
瑞希 | ううっ……が、がんばるよ! 先生が早く帰れるように、やる気だしまーす! |
瑞希 | あ、遥ちゃんだ! ひょっとして買い物中? |
遥 | うん。トレーニング用に新しいシューズを選んでるところなの。 前のデザインが気に入ってたから、似てるのを探してるんだ。 ほら、これとか |
瑞希 | へえ、カワイイデザインだね! ラインや靴ひもも青色だし、遥ちゃんにぴったりじゃないかな! |
遥 | ありがとう。じゃあ、このシューズに決めちゃおうかな。 えっと……8足あればいいかな |
瑞希 | えっ!? そ、そんなに買うの? |
遥 | うん。ランニング用とダンス用で使い分けてるんだけど、 1カ月もしないうちにはき潰しちゃうから |
遥 | 気に入ったデザインのシューズがあったら、 買えるだけ買うようにしてるの |
瑞希 | なるほど……。お気に入りのシューズをはいてたほうが、 モチベも上がるもんね! |
瑞希 | (それにしても、使い分けてるのに 1足1カ月ももたないなんて……) |
瑞希 | (さすが元国民的アイドル……! トレーニングの量もすごいんだろうなあ) |
レン | カイトくん。今度ふたりでやるライブのことなんだけど、 僕も演出を考えてみたんだ |
レン | いつもカイトくんがやってくれてるみたいに、 僕もカイトくんをめいっぱい輝かせたいなって思って! |
KAITO | ありがとう、レンくん! すごく嬉しいよ |
KAITO | じゃあ、僕のアイディアも合わせて、 今からライブ演出を練ってみない? |
レン | うん、そうしよう! 絶対、素敵なライブにしようね |
KAITO | ああ、そうだね |
雫 | ミクちゃん、レンくん、こんにちは。 これからダンスの練習? |
ミク | うん♪ 雫ちゃんも一緒にやる? |
雫 | ええ! ……あら? ミクちゃんの衣装の飾り、少しだけズレちゃってるみたい。 ちょっと直すわね |
ミク | えっ、本当? ありがとう、雫ちゃん! |
レン | すごいね。僕達、全然気がつかなかったよ |
雫 | ふふ。衣装のデザインをしたからかしら。 なんだか細かいところまで見るクセがついたみたい |
レン | なるほど……。なんだか素敵だね。 新しい経験が身になってるっていう感じで |
雫 | ええ、私もそう思うわ |
雫 | (これからもMORE MORE JUMP!のひとりとして、 もっともっとみんなの力になれるようになっていきたいわ) |
KAITO | 愛莉ちゃんって、アイドルの研究をしているんだよね。 アイドルのライブ映像とか持ってたりする? |
愛莉 | もちろん持ってるわよ。 でも、それがどうかしたの? |
KAITO | もっといろいろなアイドルを見て、 ライブのパフォーマンスや演出について 勉強したいって思ってるんだ |
KAITO | そういうインプットを増やしていかないと、 マンネリ化してきちゃいそうだしね |
愛莉 | なるほど……。でも、わたしが持ってるのは 女性アイドルばっかりになっちゃうけど、それでも大丈夫? |
KAITO | もちろん! アイドルとして、 届けたい想いはきっと同じだろうしね |
愛莉 | そうね! よーし! オススメのライブDVD持ってこられるだけ持ってくるわ! |
みのり | みんなに特賞をプレゼントするために……、 花里みのり、福引きを回します! えいっ! |
遥 | あっ、白色 |
雫 | ハズレね…… |
みのり | そ、そんな~!? |
愛莉 | 福引きにそこまで気合い入れられるのもすごいけど……。 何事も全力で楽しむのがみのりのいいところよね |
みのり | あはは……。特賞が水族館チケットだったから、 絶対当てなきゃ!って思ったんだけど、ダメでした…… |
みのり | うう、みんなで行ってやりたかったな。 ペンギンの餌やり体験…… |
遥 | みのり。特賞が当たらなくても、水族館は行けるよ |
愛莉 | まあそうね。 今度、練習が休みの日にでも行きましょうか |
雫 | ええ。私もペンギンさんの餌やりしてみたいわ♪ |
みのり | み、みんな……! ありがとう! |
遥 | ふふっ。じゃあそこのカフェに入って、 いつ頃行けそうか、少し話そうか |
愛莉 | いいわね! そうしましょ! |
みのり | わっ。このゴシック系のお店、 どの服もおしゃれでかわいい……! |
雫 | 本当ね。普段こういうお洋服は着ないから、 見るだけでも新鮮だわ |
みのり | はっ……! ゴシック系アイドル……、 MORE MORE JUMP!の新しい可能性かも……? |
みのり | はあ……遥ちゃん、絶対似合う! |
雫 | ふふ。愛莉ちゃんも、 こういうリボンがたくさんついてるお洋服、似合いそう♪ |
雫 | そうだわ。衣装のテーマを決めて、 それを着て踊るっていう企画をやるのはどうかしら? |
みのり | おおー! それならゴシック系だけじゃなくて、 いろんな衣装を着て歌って踊れるね! 雫ちゃん、ふたりで企画まとめてみようよ! |
雫 | ええ、そうしましょ! ふふ。愛莉ちゃん達に衣装を着てもらうの楽しみだわ |
雫 | 最近『ワイヤレスイヤホン』に興味があって いろいろ調べているんだけど、何かオススメってないかしら? |
遥 | いくつかあるけど……。 雫がそういうの調べてるなんて、なんだか珍しいね |
雫 | 実はこの前、ダンス練習の時に イヤホンのコードが腕に引っかかって……。 音楽プレイヤーを落として壊しちゃったの |
雫 | それで、ワイヤレスイヤホンにしたら、 同じ失敗をしなくて済むんじゃないかと思って |
遥 | あ……そういえば雫、個人練習の時は よく音楽プレイヤーを使ってるね |
雫 | ええ。研究生の時、愛莉ちゃんに使いかたを いっぱい教えてもらったのよ |
遥 | (それで音楽プレイヤーは普通に使えてたんだ。 愛莉、すごいな……) |
遥 | ワイヤレスイヤホン、私も使ったことあるやつとか いくつか見繕ってみるね |
遥 | (……薦めるならネックバンド系かな。 私も使ったことがあるから、 愛莉みたいに使いかたのフォローもできるし) |
雫 | ええ! ありがとう、遥ちゃん |
雫 | おまたせ、愛莉ちゃん……! 遅れちゃってごめんね |
愛莉 | いいわよ。今日は新しいショップに行くから、 集合場所もいつもと違ったし。 それより、迷わず来れて偉いわね、雫! |
雫 | 実はね、今日は秘密兵器を使ってここまで来たの |
愛莉 | 秘密兵器? 何それ? |
雫 | じゃーん。マップの音声案内だよ。 進む方向を教えてくれるから、とっても便利だった |
愛莉 | お、音声案内ですって……!? |
雫 | うん! 話すだけでいいなんて、すごいよね。 これなら機械が苦手でも、地図が読めなくても安心だよ♪ |
愛莉 | まあ、操作ミスはなくなりそうね。 けど、せっかく慣れてきたスマホの操作が またおぼつかなくなるんじゃないかしら…… |
瑞希 | あ、まふゆ、ミク! ちょっと試してみてほしい物があるんだけど―― |
まふゆ | 服なら着ないよ |
瑞希 | あはは。服じゃなくて、これ! クッションを作ったんだ♪ |
ミク | ……クッション? |
瑞希 | うん。ふたりともよくここで座ってるでしょ? けど見るたびにお尻痛くならないのかなー?って 気になっちゃって。だから、ちょっと試してみて! |
まふゆ | わかった。 ……あ。このクッション、もしかして低反発? |
瑞希 | ぴんぽーん♪ なかなか本格的でしょ? お昼寝用の枕にもぴったり! |
ミク | あ……とっても座りやすい |
瑞希 | でしょー? まだふたつしか作れてないけど、みんなで仲良く使ってほしいな |
ミク | ……うん、みんなで仲良く使う。 ありがとう、瑞希 |
絵名 | 今さらだけど……リンって、好きな食べ物って何かあるの? |
リン | ……別にない |
絵名 | じゃあ、趣味とかは? |
リン | ないよ |
絵名 | あのねえ……。まふゆじゃないんだから、 もうちょっと考えてから答えてよ |
リン | だって、ないもん |
リン | …………あ。でも…… |
リン | たまに絵名が持ってきてくれる絵や画集を見るのは、 いい暇つぶしになってる |
絵名 | そう? じゃあ、また今度いいの見つけたら持ってくる |
リン | ……うん。期待しないで待ってる |
奏 | えっと……。親指から1本だけ紐を外して、 中指を……ん、あれ? |
MEIKO | ……珍しいわね。奏があやとりなんて |
奏 | あ、メイコ。ルカに『“東京タワー”できる?』って言われて、 本を見ながらやってみてるんだけど…… |
ルカ | 指から紐を外したり、もう一度かけたり、 途中でわけがわからなくなっちゃうのよね |
奏 | うん、本当に。 ……あ、あれ? 指に紐が絡まっちゃった |
ルカ | ふふふっ。このあいだの私とまったく同じだわ。 奏、じっとしていて? |
ルカ | ――はい、メイコ。 せっかくだし、メイコもやってみて? |
MEIKO | はあ……。『東京タワー』でいいのね? |
奏 | えっ! ゆ、指の動きが速くて、 何がどうなってるのかわからない…… |
MEIKO | はい、できたわ |
ルカ | ……メイコ、あやとり上手だったのね |
MEIKO | ……ルカが来るまで、リンやミクにつきあっていたから。 いつの間にか、できるようになっていただけよ |
ルカ | そうなのね。 ……ねえ、メイコ。それ、やりかたを―― |
MEIKO | 自力でできるようになったほうが成長につながるわ |
ルカ | あら……。けちんぼさんね。 奏、ふたりで頑張りましょ |
奏 | え、わたしも? |
ルカ | ええ。できるようになって、メイコに見せてあげなくちゃ |
瑞希 | ねえ、絵名。今度絵の描きかたを教えてくれない? 美術の課題で、風景画を描かないといけなくってさ…… |
絵名 | いいけど、真面目にやってよね |
瑞希 | もっちろん! 先生が評価する必要ないくらいめちゃくちゃうまく描けば、 同じような課題、免除してもらえるかもしれないし♪ |
まふゆ | ……それ、『みんなのお手本になってほしいから 今後もよろしく』って言われそう |
奏 | あ……。まふゆ、もしかして…… |
まふゆ | ……うん。私はよく言われる |
絵名 | は? 何それ自慢? |
まふゆ | 別に。本当にそうだから、そう言っただけ |
奏 | ……じゃあ、瑞希もそうなったら困るんじゃない? |
瑞希 | まあもしそうなっても、あんまり学校行ってないし、 『美術部の子に頼んで』って言えば逃げれるんじゃないかな |
瑞希 | まっ、そういうことだからさ。 よろしく、絵名先生♪ |
絵名 | まったく……。教えるからには厳しくいくからね |
絵名 | ……奏は、表現したいことがうまく形にならない時って どうしてる? |
奏 | ん……とりあえず、いろいろなパターンを試してみるかな |
奏 | それで、なんだかいけそうだなって思ったパターンを ブラッシュアップしたり……かな |
絵名 | なんだかいけそうだな、でいけるんだね…… |
絵名 | (きっと奏の場合は、実力あるし、 知識や経験もたくさん持ってるから 試せるパターンが自然に浮かんでくるんだろうな) |
奏 | ……ごめん。こんなんじゃ、全然参考にならないよね |
絵名 | ううん、そんなことないよ |
絵名 | (やっぱり私は、もっともっといろいろ勉強しないとな……) |
まふゆ | ………… |
絵名 | ちょっと、まふゆ。 ぼんやりしてると置いてくよ |
まふゆ | ……あ。信号、青になってたんだね |
絵名 | なってたんだねって……。 もうほら、立ち止まってたら他の人の邪魔になるでしょ。 早く来なさいよ |
まふゆ | ……絵名って、ときどきお姉さんになるね |
絵名 | え? どういうこと? |
まふゆ | 面倒見がよくなるねっていうこと |
絵名 | ……まあ、実際姉やってるし。 けど、急にそんな風に褒めたって何も出ないからね |
まふゆ | 別に褒めたわけじゃないよ |
絵名 | はあ!? ……やっぱ置いてけばよかった |
絵名 | ねえ、どこかでお茶していかない? ちょっと歩き疲れちゃった |
瑞希 | いいよ。どこのカフェ入る? |
絵名 | んー。瑞希のオススメのとことかないの? |
瑞希 | あるよ! 外装も内装もぜーんぶピンクのお店でさ。 めちゃくちゃオシャレで居心地もいいんだ♪ |
絵名 | 全部ピンクって……。 なんか逆に居づらそうなんだけど? |
瑞希 | そんなことないって! 口で説明するのはちょっと難しいけど…… |
瑞希 | とにかくそこなら近いし、 穴場スポットだからたぶんすんなり入れると思うよ! |
絵名 | そう? まあ、瑞希がそこまで言うなら、そこに行こっか |
瑞希 | オッケー! ほら、こっちだよ! |
絵名 | ちょ、ちょっと! 疲れてるんだから、もっとゆっくり歩いてってば! |
一歌 | ミク、ルカ。久しぶりに花を買ってきたんだけどどうかな? |
ルカ | あら、とっても綺麗なピンクのガーベラね |
ミク | へえ。ガーベラって言うんだ、この花 |
ルカ | ええ。たしか色によって花言葉が違うのよね? |
一歌 | あ…。えっと…実はそうなんだ |
一歌 | ピンクのガーベラの花言葉は…感謝、だよ |
一歌 | いつも私達を見守ってくれているミク達にって思って、選んできたんだ |
ミク | 一歌……。ありがとう、すごく嬉しい |
ルカ | ふふ。それじゃあ、早速飾りましょうか |
レン | ん……!このアップルパイ、すごく美味い!穂波はやっぱり料理が上手だな。 |
一歌 | うん、生地はサクサクで甘さも控えめだし、いくらでも食べられそう |
穂波 | ありがとう、レンくん、一歌ちゃん。今日のは特にうまくできたって自信があったから、喜んでもらえてよかった |
一歌 | ふふ。こんなに美味しいと、ふたつとかみっつとかペロっと食べちゃいそうだから気をつけないとね |
穂波 | あ……そ、そうだね!気をつけないとだね! |
穂波 | (言えない……。本当はもうひとつ作ってたけど、美味しくできすぎて、ホールの半分うっかり食べちゃったなんて……) |
レン | さてと!おやつも食べたし、そろそろ練習しないとな |
穂波 | (はっ!たくさんドラム叩けばカロリーもちょっとは消費できるかも!? |
穂波 | うん、やろう!レンくん、一歌ちゃん!今日はたくさん叩かなくちゃ! |
レン | お?穂波、いつも以上にやる気だな! |
一歌 | 本当だね。じゃあ、やろっか! |
レン | ふたりが楽器ケースにつけてる星型のキーホルダー、同じだよな。おそろいってやつ? |
咲希 | えへへっ、実はそうなんだ♪いっちゃんとほなちゃんも、同じのつけてるんだよ! |
志歩 | バンド組んだ時に買ったんだよね |
志歩 | 咲希が『おそろいを買いたいね』って言いだして、いろいろ探したけど、結局星型に落ち着いたんだっけ |
咲希 | そうそう!やっぱり、アタシ達はこれだよねって! |
レン | あはは。『Leo/need』はしし座流星群が名前の由来だもんな。オレもぴったりだと思う |
咲希 | あっ♪レンくんも、セカイのみんなでおそろいの何かつけてみたら?テンション上がるよ! |
レン | んー、おそろいの何か、か。たしかにテンション上がるけど…… |
レン | なんていうか、オレから言い出すのはちょっとなあ。柄じゃないっていうか…… |
志歩 | そう?私はそう思わないけど |
レン | こ、こういうのはリンが提案するのがいいと思うんだ。よし!試しにリンに話してくるよ! |
ミク | 今日も、演奏が聴こえてくるね。これは……カイトとレンのギターかな? |
ルカ | ええ。それに別の教室でリンとメイコもセッションしてるみたいね |
ミク | ──……別々の曲を演奏してるはずなのに、なんだか1つの曲に聞こえる感じがして、おもしろいな |
ルカ | じゃあ、私達もそこに音を乗せちゃいましょうか |
ミク | いいね。ふたりでセッションっていうのも、このセカイが生まれた頃みたいでなんだか懐かしいし |
ルカ | 本当にね。──それじゃあ始めるわよ、ミク? |
ミク | うん!いつでもいいよ、ルカ! |
レン | なあ、カイト!咲希がクラシックコンサートのDVDを貸してくれたんだけど、一緒に見ないか? |
KAITO | ……クラシックコンサート? |
KAITO | 咲希がクラシックのDVDを持ってるのも意外だけど……、レンが見たがるのも、意外だね |
レン | たまには違うジャンルの音楽を聴くのも刺激になるかなって思ってさ! |
レン | けど、なんか気持ちよくなって途中で寝ちゃう気がしててさ。もしオレが寝ちゃったら、起こしてくれる? |
KAITO | ……うん、それくらいいいよ |
レン | サンキュー!それじゃ、視聴覚室に行こうぜ! |
みのり | じゃーん!桜をイメージした衣装デザインを考えてみたの!どうかなっ? |
リン | わあっ、ふわふわのスカートですっごくかわいい! |
ミク | 入ってる柄も、桜の花びらみたいできれいだね♪ |
みのり | やった、ありがとー!いつか、こういう季節の衣装を着てライブしたいなあ |
ミク | ちなみに、他の季節の衣装はあるの? |
みのり | え、他の季節?そういえば、特に考えてなかったかも…… |
リン | ねえねえ。よかったら、今から3人で考えてみない? |
ミク | 楽しそうだね♪実は、みんながデザインしてるのを見てわたしもやってみたいなって思ってたの |
みのり | うん。じゃあ3人ですっごくかわいい衣装をデザインしちゃおー! |
ミク・リン | 『おー♪』 |
ミク | りんちゃん、みのりちゃん達からいい物をもらったから届けに来たよ♪はい! |
リン | え?わあ……!桜の花のブローチだ! |
ミク | ふふ、セカイには桜の木も花もなかったけど、また春が来た時に、ちょっとでも雰囲気を味わえるようにって準備してくれたみたいだよ |
リン | そうなんだ……!すっごく嬉しい!ミクちゃん、届けてくれてありがとう! |
ミク | どういたしまして。今度みのりちゃん達が練習に来たら、一緒にお礼言おうね! |
リン | うん! |
レン | ねえ、こはね!こはねがたまに頼んでる、呪文みたいなコーヒー教えて! |
こはね | 『カフェモカホイップチョコチップのせキャラメルソースマシマシ』のことかな? |
レン | そうそれ!メイコ、オレそれが飲みたいな~ |
ミク | じゃあ、私も試してみようかな |
MEIKO | はいはい、こはねちゃんはどうする? |
こはね | あ、私は、ほうじ茶ラテナッツとクリームのせ&チョコソース追加でお願いします |
レン | うわー!新しい呪文だ! |
MEIKO | ふふ、こはねちゃんは飲み物の種類ごとに、いろいろなカスタマイズをしているのよね |
こはね | はい、ちょっとずつ変えて味の変化を楽しむのがすごく楽しくて |
レン | たしかにクリームとかチョコソースがあるのとないのとじゃ、味変わるもんな |
ミク | こはね、そのうちオススメのカスタマイズをいろいろ教えてよ |
レン | あ、オレもオレも! |
こはね | うん、もちろんいいよ!今度、全部メモしてくるね |
ルカ | あ、こはねちゃんに冬弥くんだ。やっほー。ここでみんなと待ち合わせ? |
こはね | はい。もうすぐ杏ちゃんと東雲くんも来ると思います |
冬弥 | ん?ルカさん、テーブルにカップがふたつありますが、どなたかいたんですか? |
こはね | 本当だ。ココアと、ブレンドコーヒー? |
ルカ | あはは。これはねえ、どっちも私の! |
ルカ | 今日は甘いのと苦いの、どっちも飲みたい気分だったから、両方頼んだんだ~ |
冬弥 | なるほど。ルカさんらしいですね |
ルカ | ね、ふたりも一緒にお茶しようよ。杏ちゃん達が来るまででいいからさ♪ |
こはね | いいんですか?じゃあ、おじゃましちゃおうかな。青柳くんも、いい? |
冬弥 | ああ、問題ない |
ルカ | さあ、好きなもの頼んで!迷ったら私みたいに、飲みたいの全部頼んじゃえ~♪ |
杏 | ──あっ、ねぇ彰人!ルカさん見なかった!? |
彰人 | ……ちょうど今、ルカさんと会ったとこだけど |
ルカ | おー、杏ちゃんじゃん。そんな慌てて、どうしたの? |
杏 | ルカさんに、歌で聞きたいことがあったんです。でも、見かけて声かけようとしたら、フラフラ~ってどっか行っちゃったから…… |
彰人 | で、追いかけてきたってわけか |
ルカ | そうだったんだ!ごめんね、気づかなくて |
杏 | いえいえ!でもルカさん、本当にいろんな道知ってますね。追いかけてもすぐみぐ見失っちゃいましたし |
彰人 | たしかに、そんなとこに道あったか?ってところから出てくるとこあるよな |
彰人 | オレもこの前、メイコさんのカフェに行く途中でいきなり目の前にルカさんが現れた時は、びっくりした |
ルカ | あはは。ここはいくつも路地があって、思わぬ場所につながってたりするし、歩きまわってるだけで楽しいよ♪ |
杏 | へえ!ルカさん、オススメの路地や場所とかよかったらいろいろ教えて欲しいです! |
彰人 | オレも、店や練習場所への近道とか知りたいです |
ルカ | オッケー!じゃあそのうち、特別ツアーをやってあげるね♪ |
レン | あれ?ミクが本読んでる。珍しいね。なんの本? |
ミク | 料理の本だよ。杏に借りたんだ |
レン | 料理? |
ミク | うん。このレシピにのってる中からひとつ選んでメイコと一緒に作るつもり |
レン | ねえ、メイコ。オレ、カイトに聞いたんだけど、ミクって料理ダメなんじゃなかった? |
MEIKO | ダメっていうか……。びっくりするほど不器用なだけなのよね |
レン | ふーん。それって、本を読んで勉強すれば大丈夫になるの? |
MEIKO | そうねえ。手順を覚えたり、食材の扱いかたを学ぶっていう意味では、解決につながるかもしれないね |
MEIKO | とりあえず、初心者向けの料理を選んでくれることを祈ってるわ |
ルカ | メイコ~、お腹すいたぁ。何か作ってー? |
MEIKO | もう、急に店に来たかと思えば……。……はい、サンドイッチ |
ルカ | ありがとう~!……って、随分と用意がいいね? |
MEIKO | なんとなく『今日はルカが来そうだな』って思って、用意してたのよ |
ルカ | わ、メイコってば超能力者みたい。すごいねえ♪ |
MEIKO | ふふ。きまぐれなお客さんのことでも、通ってくれれば、だんだんとわかってくるものよ?なにせ、マスターだもの |
ルカ | お~♪じゃあマスター、ドリンクはいつもので! |
MEIKO | はい、かしこまりました |
ミク | ねえカイト! ミクね、次のショーは みーんなでやりたいなって思ってるの☆ |
KAITO | みんなって……メイコ達やぬいぐるみのみんなでかい? |
ミク | うんっ♪ 歌うお花さん達も、空飛ぶお馬さんも、 みーーーーーんな参加するすんごいショーがやりたい! |
KAITO | みーんな、か……。 それは壮大なショーになりそうだね! |
ミク | でしょでしょ? それで、司くん達にどどーんと 見せてびっくりしてもらうのだー! |
KAITO | たしかに、いまだかつてないスケールだし、 ビックリしてくれると思うよ |
KAITO | よし、そうと決まればみんなに相談しに行こうか! |
ミク | さっすがカイト♪ 行こう行こうっ☆ |
ミク | むむむーん……? じー…… |
司 | ど、どうしたミク? オレの顔をそんなにジロジロ見て…… |
ミク | う~ん。司くん、前と変わった気がするんだよね~。 だから、間違い探ししてるの♪ |
司 | 間違い探し? |
KAITO | ふふ。ミクが感じてる前との違いは、 そういうはっきりとしたものじゃないと思うな |
KAITO | たとえば、大きなショーを成功させるたびに どんどん座長らしい、 しっかりした顔つきになってきている……とか |
ミク | あーっ、それかもー! 司くん、キリッ!ってなる時が増えたよねっ☆ |
司 | おお、そういうことか! だったら、喜ばしいことだ! |
司 | オレはワンダーランズ×ショウタイムの座長だ。 座長が座長らしくないなど、かっこ悪いからな! |
KAITO | うん、司くん達の成長を僕達も楽しみにしているね |
MEIKO | ……3人とも、何をしてるの? |
ルカ | ふふ。何をしているように見える? |
リン | ルカが勝手にわたし達の髪をいじってる |
MEIKO | 私にもそう見えるわね |
ルカ | 瑞希が三つ編みや編みこみの仕方を教えてくれたから、 ちょっとやってみたかったの |
ルカ | メイコにもやってあげましょうか? |
MEIKO | 必要ないわ |
ミク | でも、ルカ上手だよ? |
リン | まあ、あやとりよりは上手だね |
ルカ | そうね……。三つ編みや編みこみはできるのに、 どうしてあやとりはできないのかしら? |
MEIKO | さあね |
ルカ | じゃあ、メイコは私の髪を三つ編みにしてくれる? リンとミク、まだうまくできないみたいなの |
MEIKO | じゃあの意味がわからないんだけど…… |
MEIKO | ……他にすることもないし、いいわよ |
ルカ | ふふ。じゃあ、お願いね |
ミク | ……奏。最近、楽しいこと、あった? |
奏 | え? えっと……。 最近だと、セカイでお花見をしたこと……かな |
ミク | そっか…… |
奏 | ミク……? どうかしたの? |
ミク | ……ううん。 奏達、しばらくのあいだ、そんなに苦しそうじゃないから |
ミク | だから……楽しいこと、あったのかなって |
奏 | そっか、それで…… |
奏 | いつも気にかけてくれてありがとう、ミク |
ミク | うん…… |
ミク | (みんな……このままずっと、苦しくなければいいのにな) |
愛莉 | それじゃあ、青春を思いっきりエンジョイするバンド 『青春/friends』の第1回目ミーティングをするわよ! さっそく、発起人の咲希ちゃんから自己紹介よろしくね! |
咲希 | はい! 宮女1年、天馬咲希です! 担当はシンセサイザーです。 みんなでたっくさん 青春できたら嬉しいです! よろしくお願いします! |
一歌 | えっと……咲希とは幼馴染みで、宮女1年の星乃一歌です。 担当はギターで、ミクが歌ってる曲なら何曲か弾けます。 よろしくお願いします |
愛莉 | ベース担当の、宮女2年の桃井愛莉よ。 知ってると思うけどアイドルをやっていたわ |
愛莉 | 実はバンドもちょっとやってみたかったの。 だから、声をかけてもらえて嬉しいわ! |
咲希 | えへへ。アタシ、入院中に先輩から たくさん元気と勇気をもらいましたから。 もし一緒にバンドできたらいいなって思ったんです |
絵名 | じゃあ、最後は私だね。 私は東雲絵名。神高の2年で、夜間クラスに通ってるよ |
絵名 | 愛莉とは中学時代からの友達で、 バンドやらないかって誘われたから、来ちゃった。 担当のドラムはまだ練習中だけど……ま、よろしくね |
一歌 | はい、お願いします。東雲先輩 |
絵名 | あ、せっかくバンドやるんだし、下の名前で呼んでよ。 私もそうさせてもらうから |
一歌 | わかりました、絵名先輩! |
絵名 | (お嬢様学校の後輩ができるなんて、 なんかヘンな気分……) |
愛莉 | 自己紹介も済んだところで、 みんなで青春をエンジョイしちゃいましょうっ! |
咲希 | おーっ♪ |
司 | ではこれより、 裏路地のエンターテイナー、ペガサスドッグスの 決起集会を始める! |
司 | オレがリーダーの天馬司こと、ペガサステンマだ! |
彰人 | なんだよ、さっきのダサいチーム名とその変な名前……。 どっちもペガサスじゃねえか |
類 | きっとステージ名のつもりなんだろうねえ。 僕は神代類だから……ゴッドジェネレーションカミシロかな? |
冬弥 | なるほど。では俺は……ブルーウィローアオヤギですね |
彰人 | マネしなくていいんだよ! ったく、センパイ達からパフォーマンスユニットに 誘われたって聞いて、ついてきてみりゃ…… |
司 | 彰人は東雲だから……むー…… |
類 | 夜明けを意味する『デイブレイク』がいいんじゃないかな? |
司 | おお! デイブレイクシノノメ! なかなかいいじゃないか! |
彰人 | ……どこがだ。つーか、オレも冬弥も まだやるって決めたわけじゃないっすからね |
冬弥 | だが、様々なエンターテインメントショーを 行っている先輩達から、いろいろと学ぶチャンスだぞ? |
彰人 | たしかにそうかもしれねえけど……。 教わる相手は、このふたりじゃなくてもいいだろ |
類 | けれど、逆に僕達しか教えられないこともあるかもしれないよ? なにせ、他の誰もしようとしないことを、 積極的にやってみようと思っているからね |
司 | 体をはるような無茶苦茶なヤツは このオレが直々に担当するつもりだ。 だから、お試し気分でやってみないか? |
彰人 | そういうことなら、まあ……。 けど、ペガサスドッグスって名前だけは絶対にイヤです |
冬弥 | そういえば、ペガサスドッグスには神代先輩の要素が 入っていませんし、4人チームであるからには、 それらしい名前がいいんじゃないでしょうか? |
司 | む、それもそうだな。 ではチーム名は今から改めて考えるとしよう! |
彰人 | (はあ……。なんとかして、まともな名前にしねえとな) |
類 | 司くん! 君は天翔けるペガサスなんだろう!? さあ、もっと! 風をまとうように、大きく全身で踊るんだ! |
司 | ぬおおおおおっ! |
彰人 | ……今日もやってんなあ |
冬弥 | ああ。司先輩の限界に挑戦するという意欲は、 本当に素晴らしいな |
冬弥 | それに、神代先輩の指導や演出も。 まさに他では見られないものばかりで、毎日勉強になる |
彰人 | 他では見られないっつーか、そもそもやらねえっつーか…… |
彰人 | けどまあ……演出がすげえってのはそうかもな |
彰人 | ライブハウスで歌う時とか、 ちょっとしたライティングや観客からの見えかた気にしたり、 細かいところまでこだわってるみたいだし |
冬弥 | ああ。最高のパフォーマンスを届けるために、余念がない。 神代先輩はそういう人だ |
彰人 | ふうん…… |
類 | おや、ふたりとも来ていたんだね。 さあ、君達も一緒にペガサスになろう! |
彰人 | いや、ペガサスにって…… |
冬弥 | ダンスに不慣れな俺でも、 司先輩みたいになれるでしょうか? |
司 | ぜえ、はあ……。 ペガサスへの道は遠く厳しいぞ、冬弥。 それでもやるんだな? |
冬弥 | はい。もちろんです! |
類 | なら、早速始めるとしよう。 まずはオープニングのシーンからだ! 青柳くんは、美しく揺れる青い柳のようにたおやかに! |
冬弥 | はい、頑張ります! |
類 | 東雲くんは、夜明けをもたらす者として 朗々と歌うように踊るんだ! |
彰人 | は? う、歌うように踊る!? |
類 | では、スタート! |
彰人 | いや、わかんねえよ!! |
奏 | えっと……集合場所はここ、だよね。 あ…… |
雫 | あなたが最後のひとりね。はじめまして、 YUME YUME JUMP!のメンバー、日野森雫です |
雫 | それと、隣にいる可愛い子が私の妹で── |
志歩 | YUME YUME JUMP!の日野森志歩です。 期間限定のメンバーですが、よろしくお願いします |
杏 | 同じく、期間限定のお試しメンバーの白石杏です! よろしくね! |
奏 | え、あ……えっと……。 作曲担当……のはずだった宵崎奏です |
雫 | マネージャーさんから聞いたわ。 自分の曲でたくさんの人を救うために、 自分でステージに上がって、歌うことにしたって! |
奏 | いや、それは……。 『絶対にそうしたほうがいい!』って、なんかすごく推されて…… |
志歩 | あ、同じだ |
杏 | 私も、『お試しでいいからー!』って めちゃくちゃ推されました |
志歩 | アイドルなんて私には向いてないと思うけど……。 プロのミュージシャンとして仕事ができるのも 悪くないなって思って |
杏 | うん。めったにないチャンスだもんね! 人生、なんでも挑戦してみないと! |
杏 | ちなみに、お試しとはいえ 中途半端に放り出すつもりはないので、安心してください! |
奏 | あ、うん…… |
奏 | (マネージャーさんに勧められるまま ここに来ちゃったけど……) |
奏 | (3人ともキラキラしてて、まぶしい……。 なんだか曲のインスピレーションがわいてくるな) |
雫 | ふふ。まずはリリースイベントを目指して 頑張りましょうね♪ |
志歩・杏・奏 | 『はい!』 『うん』 |
杏 | いよいよだね、リリースイベント! |
志歩 | うん。やることはやってきたし、あとは本番をやりきるだけ |
雫 | ええ! 奏ちゃんは慣れてなくて大変だったと思うけど、 ここまで一緒に頑張れて、すごく嬉しいわ |
奏 | 結局、1曲歌って踊るのが精一杯だけど……。 なんとかここまで来れたのは、 みんながいろいろ励ましてくれたおかげだよ |
奏 | わたしの曲……ううん、 わたし達の歌、お客さん達に届くといいな |
雫 | 大丈夫。きっと届くわ |
雫 | ──そういえば、YUME YUME JUMP!の由来、 みんなはマネージャーさんから聞いているかしら? |
杏 | 由来? |
雫 | ふふ。実は、しぃちゃんや杏ちゃんが持っている大きな夢と、 古語の『ゆめゆめ』が掛かっているのよ |
志歩 | 『ゆめゆめ』? たしか…… 決して何々してはならない、みたいな使いかたする言葉だっけ? |
雫 | ええ。普通は否定の言葉と一緒に使われるんだけど……。 実は漢字だと、『努力』の『努』をふたつ重ねて 『努努(ゆめゆめ)』って書くのよ |
雫 | だから、YUME YUME JUMP!には 『努力を重ねて、夢をつかみ取る』っていう 願いと期待がこめられているの |
杏 | 努力を重ねて、夢をつかみ取る…… |
雫 | ふふ、そんなにすごいアイドルになれるかどうか、 正直私もイメージがつかないわ |
雫 | でもね、みんなで頑張れば、いつかきっと届く気がするの。 今はまだ見えない、素敵な私達が |
奏 | ……うん。そうなったらいいな |
雫 | ──さあ、そろそろ時間ね。 集まってくれたお客さん達に、私達の想いを届けましょ |
杏・志歩・奏 | 『おー!』 |
ルカ(25) | ……あら、アイドルのミクとレンね。 こんにちは |
ミク(MMJ) | こんにちは、ルカちゃん! ここで何をしていたの? |
ルカ(25) | いろいろな歌手のライブ映像というものが流れていたから、 それを見ていたの。こちらのセカイにはないものだから |
レン(MMJ) | えっと……。 それは、ライブがないっていうこと? |
ルカ(25) | いいえ、概念はちゃんとあるわよ? でも私達はアイドルではないし、 あれほど華やかなステージは、まぶしすぎるわ |
ルカ(25) | それに……ダンスの練習とか歌の練習とか、 暇はつぶせそうだけど、大変そうね |
レン(MMJ) | まあね。でもだからこそ 届けられるものもあるって思っているよ |
ルカ(25) | ええ、それは否定しないわ。 ただ……こちらのセカイでは、あまり効果はないでしょうね |
ミク(MMJ) | そっかぁ……。残念だな、 ルカちゃん、アイドルの衣装似合うと思うのに |
ルカ(25) | あら、そう? 例えばどんな衣装? |
レン(MMJ) | あ、興味あるなら近くの衣装ショップに行ってみない? そこで実際に見ながら話したほうがいいと思うんだ! |
ミク(MMJ) | わあ、楽しそう! ルカちゃん、どうかな? |
ルカ(25) | そうねえ……。どうしようかしら? |
ルカ(25) | ……ふふ。せっかくのお誘いを断るのも悪いし、 行ってみようかしら |
ミク(MMJ) | やったー! レンくん、行こっ♪ |
レン(MMJ) | うん。案内するよ、ふたりともついてきて? |
ルカ(W×S) | ふぁ……ここは、にぎやかで楽しいわ……。すー……すー……♪ |
ルカ(MMJ) | ふふ、寝てしまったわね。 可愛い寝顔だわ |
ルカ(25) | それだと、自分で自分を可愛いと言っているのと同じになってしまうわよ? |
ルカ(MMJ) | あら、ダメかしら? 私もとってもキュートでしょ? |
ルカ(25) | ………… |
ルカ(25) | ……はあ。私が相手だと、ちょっとつまらないわ |
ルカ(VBS) | あはは。それよりこの子、本当によく寝てるね。ほっぺたつんつんしても起きないよ?ほら…… |
ルカ(W×S) | んふふっ……。すー……すー |
ルカ(L/n) | こら、よく寝ているからって そんないたずらはしちゃダメよ |
ルカ(VBS) | は〜い♪ それにしても、幸せそうな寝顔だよねー |
ルカ(L/n) | ええ。もしかしたら、この子には みんなの楽しそうな声が子守歌に聴こえるのかしら? |
ルカ(25) | そうかもしれないわね。 じゃあ、誰かが泣きだしたら目を覚ますのかしら? |
ルカ(VBS) | あ! じゃあ私が泣いてみよっか? |
ルカ(MMJ) | ふふ、おもしろそうね♪ 私もやってみようかしら |
ルカ(L/n) | だから、そんないたずらはしちゃダメ それより、せっかくいろんなお店があるんだからのぞいてみましょ? |
ルカ(VBS) | さんせーい! どこから行く? |
ルカ(25) | それなら、あそこの雑貨屋なんてどうかしら?ふふ、いろいろおもしろそうな物がありそうだわ |
ルカ(MMJ) | ふふ。私もあそこ気になってたの♪ 早速行きましょ! |
MEIKO(W×S) | あら? そこのリン〜っ♪ もしかしてひとりなの? |
リン(25) | ……ひとりだけど、何? |
リン(25) | あ…… |
KAITO(W×S) | ……ん? どうかしたのかい? |
MEIKO(W×S) | わかった! カイトが珍しいんでしょ! |
KAITO(W×S) | え? ……ああ、もしかして そっちの僕はまだ顔を出してないのかな? |
リン(25) | ……知らない。 でもわたしはまだ会ってない |
MEIKO(W×S) | まっ、そのうちひょっこり顔を出すわよ♪ 『やあやあ、リンちゃん! いい子にしてた〜?』って! |
リン(25) | ……そんなカイトは、イヤ |
MEIKO(W×S) | あははっ! そうね、声、全然似てなかったものね! |
KAITO(W×S) | えっと……そういうことじゃないと思うんだけどな |
KAITO(W×S) | ごめんね。うちのセカイのみんな、いつでもにぎやかで……。君には少しうるさく聞こえてしまうかもしれない |
リン(25) | ……いい。気にしてないから |
KAITO(W×S) | そうか。ありがとう |
リン(25) | ……え、頭…… |
KAITO(W×S) | あ、ごめん! みんなの頭をよくなでてるから、つい…… |
リン(25) | ……平気、驚いただけだし…… |
リン(25) | (……別に興味なかったけど……。 うちのカイトって、どういう感じなんだろ?) |
リン(25) | (……ちょっとだけ、興味わいたかも) |
レン(WxS) | あ、アイドルのルカだ! |
リン(WxS) | ねえねえ、ファンサの仕方を知りたいんだけど 教えてくれる? |
ルカ(MMJ) | ファンサの仕方? |
リン(WxS) | リン達ね、たくさんショーをしてるんだけど、 最後にいつも『ありがとうございました!』って挨拶するの |
レン(WxS) | お客さん達、いっぱい拍手してくれるんだよ! だからボク達もたくさん手を振ったりするんだけど…… |
ルカ(MMJ) | あ、手を振る以外にも、 お客さんに応える方法が知りたいのね? |
リン・レン(WxS) | 『うん!』 |
ルカ(MMJ) | ふふ、そういうことなら任せてちょうだい。 とっておきのファンサを教えてあげちゃうわ♪ |
リン(WxS) | いいの!? やったー! |
レン(WxS) | お願いします、ルカ先生! |
ルカ(MMJ) | あら、可愛い! そんな風に呼んでくれるの? |
リン(WxS) | リンはコーチって呼びたいな? なんだかプロっぽくてかっこいいから |
ルカ(MMJ) | もちろんいいわよ♪ だって、現役バリバリのアイドルだもの |
ルカ(MMJ) | それじゃあふたりとも、レッスンを始めるわよ♪ |
リン・レン(WxS) | 『はーい!』 |
MEIKO(VBS) | あら、レンもこっちに来てたのね |
レン(VBS) | うん! あ、そうそう! さっきそこでカイトにも会ったよ。 ほらカイト、こっちこっちー! |
MEIKO(VBS) | あ、やっぱりカイトも来てるのね。 ま、こんなにおもしろいことが起きてたら、当然遊びに── |
KAITO(MMJ) | えっと……はじめ、まして? かな? |
MEIKO(VBS) | え!? あ……はじめまして |
MEIKO(VBS) | ちょっ、ちょっとレン! うちのカイトじゃないじゃないの! |
レン(VBS) | そうだよ? だから紹介したくって! |
レン(VBS) | さっき話を聞いたんだけど、すごいよ! アイドルだし、ミク達のマネージャーまでしてるんだって! |
KAITO(MMJ) | ふふ。僕はもともと裏方の仕事が好きだし、 みんなが喜んでくれるからしてるだけだよ |
MEIKO(VBS) | へ、へえ……そうなの |
レン(VBS) | ねえねえ、メイコ。 セカイは違うけどさ、カイトってやっぱやればできるんだよ |
MEIKO(VBS) | そうね。でも、うちのカイトが『みんなのために』って 仕事してるところは想像できないというか…… |
MEIKO(VBS) | ……ううん! うちのカイトにだっていいところはあるわ! ほらたとえば、コーヒーに詳しかったりこだわりが強いとか! |
レン(VBS) | でもメイコ、この前『また勝手に冷凍庫のアイスを 食べようとした』って、カイトのこと怒ってなかった? |
MEIKO(VBS) | そ、それは……。でもレンだって弟子なんだから、 師匠のいいところ知ってるでしょ? |
レン(VBS) | ん~、時間や約束にルーズなところあるけど……。 歌や音楽のことになるとすごくカッコよくなる、とか? |
MEIKO(VBS) | そう、それよ! うちのカイトにもちゃんといいところがあるわ! |
KAITO(MMJ) | (ふふっ。いろいろあるみたいだけど、 これだけ大事にされてる『僕』は、きっと幸せだろうな) |
リン(L/n) | あっ! なんか困ってそうなダブルルカ姉をはっけ~ん! |
MEIKO(L/n) | どうしたの? 何か困ってるなら相談に乗るよ? |
ルカ(VBS) | リンにメイコ! そう! 私達今、と~~~っても困ってるんだ |
リン(L/n) | なになに? あ、ひょっとして道に迷っちゃった感じ? |
ルカ(VBS) | ピンポンピンポーンっ♪ さっきまで他のセカイの私達と一緒にいたんだけど、 自由行動しようってことになって! |
ルカ(VBS) | そしたらもう、ここがどこなのか 全然わかんなくなっちゃったんだよねー♪ |
MEIKO(L/n) | すごくいい笑顔だけど……。 笑って言うことじゃないよね、それ |
ルカ(WxS) | ふぁ……。わたしはもう、眠い…… |
リン(L/n) | わっ! ルカ姉、こんなところで寝ちゃダメだって! ほら、そこのソファに座ろっ |
ルカ(WxS) | はぁ~い……。 あ、リンのお膝も貸してくれたら嬉しいな~ |
リン(L/n) | 膝枕してってこと? あたしでよければ全然オッケー♪ |
ルカ(WxS) | ありがと~。ふふっ、とっても頼りになるわ~ |
リン(L/n) | ホ、ホント!? |
リン(L/n) | (あたしがルカ姉に頼りにされてる!? これ、すごくない!?) |
ルカ(VBS) | あ、そっちのルカばっかりズルい。 リン、私もすっごく心細かったんだよ? |
リン(L/n) | ……! 大丈夫だよ、ルカ姉! もうめちゃ頼ってくれていいから! |
ルカ達 | 『わ~い♪』 |
MEIKO(L/n) | (眠そうなルカはともかく、 あっちのルカはかまってもらう気満々だね……) |
MEIKO(L/n) | (でも、リンもやる気になってるみたいだし。 楽しそうだから、いっか!) |
みのり | わーい! 早くもオフ会第2弾だー! |
寧々 | この前は、しゃべり足りなかったしね |
瑞希 | そうそう! みんなの好きなものへの愛が止まらなくて、 聞いてるだけでもめちゃくちゃ楽しかったよ! |
穂波 | ふふ、そうだね |
穂波 | 最初は、わたしは好きだけどみんなは興味ないだろうし、 話がもたないんじゃないかと思ったけど |
瑞希 | そんなことないよ! だって、どうして好きになったとか、 なんでそれが好きなのかとか、 みんな理由や考えかたがいろいろでおもしろいじゃん |
みのり | うん! 意外な共通点とか見つかったりすると、 それでまた盛り上がれるし! |
寧々 | そういえば、この前は花里さんの家の犬の話でも 結構盛り上がったよね |
穂波 | サモちゃんだよね! 実はつい昨日、 うちのしばおも連れて一緒に散歩したの |
瑞希 | おー! サークルがきっかけになって さらなる交流が増えてる! いいねいいね♪ |
瑞希 | ほんと、サークル作ってよかった! |
瑞希 | 気まぐれにしか学校に行かないせいもあるけど、 趣味の話どころか普通に話せる友達もほとんどいなくってさあ |
寧々 | あ……。わたしも、人と面と向かって話すの苦手だから 顔を見ずに話せるのってすごく楽だった |
寧々 | でも……こうやって、顔を見て話すのも悪くないね。 みんなの表情見えるし |
穂波 | うん。これからはオフラインで話す機会も ちょっとずつ増やしていけたらいいね |
みのり | それ、すっごくいいと思う! あと、みんなで遊園地とか水族館とかにも出かけたいな! |
瑞希 | うんうん♪ じゃあ、どこに遊びに行きたいかっていう話もしよっか! |
穂波・みのり・寧々 | 『おー!』 |
KAITO(VBS) | なんだか不思議な気分だね! こうやって自分と会うのって |
KAITO(WxS) | ふふ、すごく楽しそうだね |
KAITO(VBS) | だって、こんなこと二度とないかもしれないでしょ? ワクワクして仕方ないよ |
KAITO(MMJ) | ふふ。ワクワクという意味では僕もそうだよ |
KAITO(MMJ) | せっかくだし、いろんなショップを回って ステージ用の新衣装とか、飾りとか見てみようかな |
KAITO(WxS) | そういえば、そっちの僕はアイドルをやっているんだっけ? |
KAITO(MMJ) | うん。それと、ミクちゃん達の マネージャーみたいなこともしてるよ |
KAITO(L/n) | ……え。マネージャーも? |
KAITO(VBS) | へえ、おもしろそうだけど……。 すごく忙しそうだね |
KAITO(MMJ) | ふふ。たしかに、忙しい時はあるよ。 でも、みんなも協力してくれるし、 何より、僕が裏方の仕事が好きだからね |
KAITO(WxS) | わかるなあ、それ。僕は劇団の座長をさせてもらってるけど、 好きだからこそ頑張りたいっていう気持ちが強いから |
KAITO(L/n) | 座長か……。 ……すごいね。俺はそういうのちょっと…… |
KAITO(VBS) | ボクも。好きだから頑張れるっていうのは大いに賛成だけど、 そういう責任ある立場は遠慮したいかな |
KAITO(VBS) | というかボクの場合、自分が楽しいってところが一番大事だし、 結構好きにやらせてもらってるんだよね |
KAITO(L/n) | ……え? それ、いいの? 想いの持ち主の子とか、ミク達が困るんじゃ…… |
KAITO(VBS) | あはは。みんなしっかりしてるからねー。 よっぽどのことがない限り、ボクは遊んでても平気なんだ |
KAITO(WxS) | すごいね。そんな風にドンとかまえていられるなんて! |
KAITO(L/n) | (さっきの言葉、そのまま受け取ったら ダメな気もするけど……まあ、いっか……) |
ミク(L/n) | それにしても、すごく広い道だし、人でいっぱいだね |
ミク(MMJ) | そうだね!ステージを見に来てくれる人達とどっちが多いかな? |
ミク(WxS) | ステージ!?ステージって、ショーのこと? |
ミク(MMJ) | ううん、アイドルのステージだから、ライブだよ。歌ったり踊ったり、お客さんと声を掛け合ったりして、希望を届けてるの♪ |
ミク(WxS) | わあっ!すごそーう! |
ミク(WxS) | あのね!ミク達もお客さんに笑顔になってもらいたくて、いっぱいショーをするの! |
ミク(25) | ……ショーって、なに? |
ミク(VBS) | ミュージカルとかお芝居みたいな感じ? |
ミク(WxS) | うんっ☆ おいもさんがゾンビで、『う、あー』って襲ってきたり、あやしいタコからもらった薬を飲むとロボットになったりするの! |
ミク(25) | ゾンビ?ロボット? |
ミク(VBS) | な、なんだかすごそうだね |
ミク(L/n) | うん、ゾンビはちょっと怖そうだけど……。ショーは見てみたいな |
ミク(MMJ) | わたしも!それに、みんながセカイで何をしてるのかとか、どんな歌を歌ってるのかも教えてほしいな♪ |
ミク(VBS) | いいね、どんな歌を歌ってるのかは私も知りたかったんだ |
ミク(25) | ……わたし、ショーとかみんなみたいなすごいこと、してない |
ミク(25) | ……よく、あやとりしてまふゆ達が来るのを待ってる、けど…… |
ミク(WxS) | えっ、あやとり!? |
ミク(MMJ) | かわいい趣味だね!もしよかったら、どうやってやるか見てみたいな♪ |
ミク(25) | え?あ、えっと……。うん…… |
リン(MMJ) | あっ、レンだ! こんにちはー! |
レン(L/n) | あ、ああ。こんにちは…… |
リン(VBS) | ん? どうしたの、変な顔して |
リン(MMJ) | ちょっとリン、変な顔なんて言っちゃダメだよ! あれは多分、困ってる顔じゃないかな? |
レン(L/n) | いいよ、気にしないで。 というかオレのほうこそ、悪い |
レン(L/n) | リンに『こんにちは』なんて言われるのが ちょっと変な感じがしたっていうか…… |
リン(VBS) | そっか。そっちのわたしは『やっほー』みたいな感じで 挨拶しそうだもんね |
レン(L/n) | なんだ、もう会ってたのか。 そういえば、オレもそっちのオレに会ったよ |
リン(MMJ) | ほんと!? ねえねえ、どうだった? キラキラしてて、王子さまみたいな感じだったでしょ? |
レン(L/n) | あはは、たしかに。 それに、しっかりしてるっていうか物知りだなって感じたよ |
リン(VBS) | ねえねえ! こっちの── わたしの相棒のレンはどうだった? |
レン(L/n) | 相棒? ああ、そっか! そっちは一緒に組んでDJやってるんだったな |
レン(L/n) | カイトが練習につきあってくれないから、 自分で頑張らないとってグチってたよ |
リン(VBS) | えー、こっちに来てまでその話? レンってば、もっと話すことあるでしょ~ |
レン(L/n) | そういえば、うちのミク達には会った? 特にカイトとか! |
リン(MMJ) | あ、わたしもめーちゃん達の話とか聞きたいな! |
リン(VBS) | わたしもわたしもー! ねえ、あっちのカフェでゆっくり話そうよ |
レン(L/n)・リン(MMJ) | 『賛成!』 |
咲希 | ふぅー、今日も疲れたぁ…… |
絵名 | ほんと……。愛莉ってば、 めちゃくちゃスパルタなんだから…… |
愛莉 | 当然よ。最高の青春を送るためにも、 何事にも真剣に取り組まなくちゃね |
一歌 | そうですね。あ、じゃあ『練習目標を達成したら何をするか』、 ご褒美を決めておきませんか? |
絵名 | うん、いいと思う。 みんな、したいことある? |
一歌 | はい! 私はみんなでミクのライブを見に行きたいです! |
愛莉 | いいわね、ライブ! 実はわたしも、 アイドル時代の同期が新しいグループを組んだらしいから、 リリースイベントを見に行きたいのよね! |
咲希 | アタシは暖かくなってきたし、 山でキャンプしたり、海に行って遊んだりしたいでーす! えな先輩は? |
絵名 | んー。私は特にこれっていうのはないけど…… |
絵名 | 最近、弟がなんかおもしろいことやり始めたみたいだから、 それを冷やかしに行くっていうのもいいかも |
愛莉 | 冷やかしにって……。 彰人くん、相変わらず苦労してそうね |
愛莉 | まあ、何はともあれ、 やりたいことがまだまだたくさんあるわね! |
咲希 | はい! 高校生のうちにぜ~~~んぶやっちゃいましょう♪ |
一歌 | 全部は欲張りな気もするけど…… |
絵名 | いいのいいの。こういうのはやったもん勝ちなんだから |
愛莉 | ええ! これからも、思いきり青春していきましょ |
愛莉 | 青春/friends~~~、ファイッ! |
咲希・一歌・絵名 | 『オー!』 |
瑞希 | それぞれの好きなことを、楽しく気持ちよく語り倒す、おしゃべりサークル『休日、趣味人同士で。』!今日は、初オフ会でーす! |
瑞希 | ボイスチャットでもう何度か話してるけど、改めて自己紹介するね! |
瑞希 | ボクがサークル主の、神高1年、暁山瑞希。趣味は動画素材集めやコラージュ。あと、カワイイ服も好きだし、マンガやアニメも結構見るよ~ |
みのり | 瑞希ちゃんが教えてくれる服のブランド、どこもすっごくかわいいし、やっぱりセンスいいよね |
瑞希 | えへへ、ありがとー!じゃあ、次。寧々ちゃんどうぞ~ |
寧々 | えっと……神高1年、草薙寧々。趣味は対戦ゲームとか、ミュージカルや映画鑑賞……です |
穂波 | あ、このあいだ教えてくれた映画、すっごくおもしろかったよ。もう笑いすぎて、ほっぺたつっちゃうかと思った |
寧々 | み、見てくれたんだ………!……楽しんでもらえて、よかった |
みのり | 続きまして、宮女1年花里みのりです! |
みのり | 趣味はアイドルの振りコピと日記をつけることで、あと、元ASRUNの桐谷遥ちゃんが大好きです! |
瑞希 | 紹介してもらったASRUNのアルバム聴いたよ!めちゃくちゃ良かったー! |
みのり | わあ、ありがとう!ファミレス着いたら、たくさん語ろうね!! |
穂波 | 最後はわたしだね。宮女1年、望月穂波です |
穂波 | 趣味は飼い犬のしばおの散歩と家庭菜園。あと好きな物はアップルパイです |
寧々 | そういえば、この近くに美味しいアップルパイのお店ができたんだよね |
穂波 | そうなの!よかったら、みんなで帰りに寄ってかない? |
みのり | わあ、いいね!じゃあファミレスであんまり食べすぎないようにしないと |
瑞希 | いやいや、こういうのは意外と別腹でいけちゃうよ♪ ね、穂波ちゃん! |
穂波 | うん! |
瑞希 | (みんな嬉しそうだし、オフ会、思い切って提案してよかった♪ ボクも、今日はたくさん楽しもーっと!) |
MEIKO(WxS) | わっ、カフェのマスターしてるんだ!? |
MEIKO(VBS) | ええ、お店に来てくれるみんなに コーヒーやサンドイッチを出したり、 話し相手になったりしているわ |
MEIKO(WxS) | すごいのね! ん~、マスターっていう響きもとってもかっこいいわね! 私もそういう風に名乗ってみたいわ! |
MEIKO(WxS) | 私だと……『役者』がそうなのかな! ちなみに、他のみんなは名乗るとしたらどんな感じ? |
MEIKO(MMJ) | わたしはミク達と一緒にアイドルをやってるから、 名乗るとしたら『セカイのアイドル』、かしら |
MEIKO(L/n) | いいね、セカイのアイドル! だったら私は……『セカイのバンドの先輩』って感じかな? |
MEIKO(WxS) | ふむふむ。なるほどね! ちなみにあなたは? |
MEIKO(25) | ……特にないわ |
MEIKO(25) | 私はただ見守るだけ。……あの子達と、あの子達の想いの行く末をね |
MEIKO(MMJ) | 見守るだけ? 他には何かしたりしないの? |
MEIKO(25) | 何もしないわ |
MEIKO(MMJ) | なるほど。そういう関わりかたもあるっていうことなのかしら |
MEIKO(WxS) | ということは……あえて名前をつけるとしたら、 『上京した子を遠い故郷から想うお母さん!』とか!? |
MEIKO(25) | …………? |
MEIKO(VBS) | えっと……。意味はなんとなくわかるような……? |
MEIKO(L/n) | あはは! たしかにちょっとわかるけど、 せめて『お姉さん』にしない? |
MEIKO(25) | ……お姉さんにしたとしても、 まったく違うわよ |
リン(L/n) | やっばー! そのうさぎみたいなリボンめちゃカワじゃん! |
リン(W×S) | えへへ。あのね、これ、よく使うショーの衣装なの! |
リン(VBS) | へぇ、ショーやってるんだ! わたしも、レンと一緒にDJやってるよ! |
リン(MMJ) | かっこいいね! わたしはミクちゃん達と一緒に、アイドルとしてステージで歌ってるんだ♪ |
リン(L/n) | おおー! みんなすごそう! でも、あたしだってミクぴょん達とバンドやってるんだよ! |
リン(MMJ) | バンドかあ、かっこいいね! ねえ、あなたは? |
リン(25) | ……別に何も、 する必要もないし…… |
リン(MMJ) | そうなの? じゃあよかったら、一緒にステージをやってみない? |
リン(25) | え? |
リン(L/n) | いいじゃん! じゃあ、その次はバンドね! |
リン(25) | あ、ちょっと…… |
リン(VBS) | DJも一緒にやろっ! キュキュキュッてスクラッチするのすっごく楽しいよ! |
リン(25) | だから、人の話を── |
リン(W×S) | ねえねえ、それをぜ〜〜〜んぶ入れた、 すっごいショーを全員でやるっていうのはどうかなっ? |
リン達(25以外) | 『た……楽しそうっ!』 |
リン(W×S) | あなたも一緒にやってくれる? 歌ったり踊ったり、演奏したり! きっとす〜っごく楽しいよ! |
リン(25) | はあ……。 うるさいのは嫌なんだけど…… でも……歌うのは嫌いじゃない。 だから、ちょっとくらいなら…… |
リン(L/n) | じゃあ決まりだねっ! みんなで何するか考えよー! |
リン達 | 『おー!』 |
レン(WxS) | へえ、バンドやってるんだね。カッコイイー! |
レン(L/n) | まあな。けど、そっちだって 自分達でショーやってるんだろ? |
レン(W×S) | うん。前からカイトに殺陣を教えてもらったんだけど、それをやっとショーでみんなに見てもらえたんだ! |
レン(VBS) | ……タテって? |
レン(MMJ) | 簡単に言うと、人と人が闘うシーン──立ち回りのことだよ |
レン(W×S) | そう! 勇者や海賊になって剣で戦ったりするよ |
レン(VBS) | 剣で!? それって本物なの? |
レン(W×S) | ううん、違うよ。 体に当たっちゃうとちょっと痛いけど…… |
レン(L/n) | げっ、痛いのか…… |
レン(MMJ) | ああ……ああいうのって、本物っぽく見せるためとか、振ったりした時に壊れないように結構丈夫にできてるんだっけ? |
レン(W×S) | うん! だから気をつけないといけないんだ。呼吸に合わせて動くっていうのかな……? すっごく難しいけど、でも楽しいんだ! |
レン(MMJ) | 難しいけど楽しい、か。 ふふ。そう言えちゃうのがかっこいいね 僕も、自分のステージにもっと磨きをかけられるように頑張りたいな |
レン(VBS) | うーん、オレも、全然練習につきあってくれないカイトなんてほっといて、自主練習増やそうかな |
レン(L/n) | ん? そっちはカイトと仲悪いのか? |
レン(VBS) | あ、ううん、全然そんなことないよ。オレの師匠だし。でも、適当っていうか雑っていうか…… |
レン(L/n) | 師匠…… オレのセカイのカイトとは全然違いそうだな…… |
レン(MMJ) | そうだね。お互いのセカイのみんなの おもしろい話が聞けそうで、楽しみだよ |
KAITO(VBS) | ん? |
KAITO(L/n)・MEIKO(25) | 『…………』 |
KAITO(VBS) | やあ、ふたりとも。楽しんでる? |
KAITO(L/n) | え……。あ、えっと…… |
MEIKO(25) | ……別に、普通よ |
KAITO(VBS) | 普通かぁ。それはちょっともったいないかもね。せっかく街に遊びに来たんだから、 思いっきり羽を伸ばさないと! |
MEIKO(25) | ……必要ないわ |
KAITO(VBS) | えー、つれないなあ。 じゃあ、そっちのボクは? |
KAITO(L/n) | いや、俺は…… |
KAITO(VBS) | あ、あの子達の学校には行ってみたかい?さっきのぞいてきたんだけど、自分の目で見るっていうのはやっぱりおもしろみが全然違ったよ! |
KAITO(L/n) | そう、なんだ……。 けど……こっちのセカイは、学校だから。 別に、珍しくはない……かな |
KAITO(VBS) | そうなの!? こっちのセカイはカフェのあるストリートでね! |
KAITO(VBS) | メイコがマスターをしてるんだけど、 そこのコーヒーがすごく美味しいんだ! |
KAITO(VBS) | あ、こっちに来てまずカフェをいろいろ回ってみたけど、こっちの店もなかなかいいよね! すごく回りがいがあるよ! そうそう、それから── |
KAITO(L/n)・MEIKO(25) | (……よくしゃべるな) (……よくしゃべるわね) |
ミク(L/n) | あ……楽器店がある。 せっかくだしちょっとのぞいてみようかな |
ミク(L/n) | ……ん、誰かがギターを弾いてる? ていうか、軽く弾いてるって感じなのにすごくうまい! |
ミク(L/n) | それにこの演奏……というか、弾きかたに聴き覚えがある。もしかして私が知ってる誰かかも! |
ミク(L/n) | 一体、誰が弾いて……あっ! |
ミク(VBS) | ♪────! ♪────!! |
ミク(L/n) | えっ! 楽器、弾けたの!? |
ミク(VBS) | ああ、今の? 初めて触ったにしては結構、様になってたでしょ |
ミク(L/n) | 初めて? なのに、毎日練習してる私と同じくらい弾けるなんて……! |
ミク(L/n) | 私は一歌達の先輩なのに、このままじゃ…… |
ミク(VBS) | ん? ちょっと待って。今のはエアーだよ? |
ミク(L/n) | ……え? エアー!? |
ルカ(L/n) | もう、ミクってば、あわてんぼうさんね。さっきの演奏は私よ |
ミク(VBS) | そうそう。ちょっとバンド気分を味わいたくて、弾いてもらってたんだ |
ミク(L/n) | な、なんだ……。そうだったんだ…… |
ミク(VBS) | ふふ、こっちの私って結構可愛いんだね |
ルカ(L/n) | ちょっと早とちりしちゃったけど、こう見えて想いの持ち主の子達の前では、ちゃんと落ち着きがあるのよ。先輩らしく、ね |
ミク(VBS) | じゃあ貴重な一面を見られたってことだね |
ミク(L/n) | うう……。できれば、忘れてほしいな…… |
司 | ──今日は、ペガサスドッグス改め、 FANTASISTA SQUADの第1回目公演のリハーサルだな! |
類 | チーム名、納得のいくものになってよかったね。 個人的にも『ファンタジスタ』という言葉は 実に素晴らしいと思うよ |
彰人 | そりゃよかったです。 つっても、サッカー用語から持ってきたみたいなもんですけど |
冬弥 | ファンタジスタとは、高いテクニックを持ち、 パスやドリブル、シュートなど、オリジナリティに富んだ 予想外のプレーで観客を魅了する選手のことだったな |
彰人 | ああ。実際は、全員がすげえって認めたヤツが 自然とそう呼ばれるようになるって感じだけどな |
類 | フフ。語源的にも『機知に富んだ台詞と即興芸の得意な役者や 大道芸人』を指す言葉だそうだよ |
司 | つまり! ファンタジスタは、 裏路地のエンターテイナーたるオレ達にふさわしい称号であり、 チーム名ということだな! |
司 | よし! いずれはこの4人で 世界の裏路地へと飛び出していくぞ! |
彰人 | いや、世界の裏路地ってなんなんすか……。 |
類 | さて、そろそろリハーサルを始めようか |
司 | ああ。オレ達の手で、観客に驚きと興奮を届けるのだ! |
彰人・冬弥 | 『おう』 『はい』 |
奏 | うう…… |
杏 | 奏、フラフラだけど大丈夫? |
奏 | だい、じょうぶ……じゃない……。 筋肉痛もすごいし…… |
志歩 | 今日もウォーミングアップの時点で かなり息切れしてたしね…… |
雫 | そうねえ。でも、まだ練習を始めて1週間だし、 もう少ししたら体も慣れてくるわ |
杏 | んー、そうなればいいんですけど……。 このままじゃBORO BORO JUMP!ですね |
奏 | うう……。実際、そうかも…… |
杏 | そうだ。同じ高校の先輩に へんてこな機械とか作ってる人がいるんです |
杏 | その人、前にパワードスーツを作って 仲間に着せてたんですけど、着た人がすごいジャンプをしたり ダンスをしているのを見たんです! |
雫 | まあ! じゃあそのパワードスーツを着れば、 奏ちゃんも少し楽になるかもしれないわ! |
志歩 | いや、そんなの着たアイドルってどうなの? |
志歩 | それに、楽をして踊れるようになったって 見てくれる人に夢とか希望とか届けられないんじゃない? |
杏 | あ、それもそっか……。 じゃあ、ランニングは? 私の親友が体力づくりのために、朝晩やってるらしいんだ |
奏 | えっ、朝晩……? 朝は起きられないし、夜は作曲のために時間を あけておかないといけないから…… |
杏 | じゃあ朝、私が起こしに行ってあげるよ。 だから、一緒に頑張ってみない? |
志歩 | やるなら、私も一緒にやるよ。 メンバーひとりにだけ頑張らせるのは良くないし |
雫 | ええ、そうね! 奏ちゃん、一緒に頑張りましょ! |
雫 | そして一緒にステージに立って みんなに奏ちゃんの曲を届けましょ? |
奏 | いや、えっと……。うう…… |
奏 | (み、みんながいい人すぎて、断れない……) |
ミク(W×S) | ややっ! きょろきょろしているミクをはっけーんっ♪突撃わんだほ〜〜〜いっ! |
ミク(25) | わっ……! |
ミク(W×S) | えへへっ、びっくりした? |
ミク(25) | ……うん、した…… |
ミク(25) | えっと……わんだほいって? |
ミク(W×S) | セカイに来てくれる子が教えてくれた挨拶だよ。『こんにちは』とか『おめでとう』とか、いろいろ使えるんだ♪ |
ミク(W×S) | それでは、せーのでやってみよ〜〜〜う!せーの、わんだほーい! |
ミク(25) | ……え、あ…… |
ミク(W×S) | 簡単だよ! 腕をくるんってするだけ! |
ミク(W×S) | じゃあ、もう1回いくね! せーの……わんだほーい! |
ミク(25) | わ……わんだほい…… |
ミク(W×S) | うんうん♪ すっごいい感じだったよ! |
ミク(25) | あ……。ふふ、よかった…… |
ミク(25) | (よくわからなかったけど……なんだか、あったかいな) |
咲希 | わー! 久しぶりのフェニランだー! いっちゃん、フェニーくんの顔出しパネルがあるよ! 写真撮ろー! |
一歌 | あ、咲希! 勝手に行ったら迷子になっちゃうよ! |
絵名 | あのふたり、いつも元気だね |
愛莉 | あら? おばあちゃんみたいなこと言って、どうしたわけ? |
絵名 | おばあちゃんって……。 後輩がいるってこんな感じなんだなって思っただけ。 夜間だとあんまり交流ないし |
愛莉 | なるほどねー |
一歌 | 絵名先輩、愛莉先輩。 この顔出しパネル4人で撮れるので、一緒にどうですか? |
絵名 | え…… |
絵名 | フェニーくんだっけ、あのマスコット……。 くちばしっぽいところから 人の顔が見えてるってなんかシュールじゃない? |
愛莉 | とかなんとか言って、恥ずかしいだけじゃないの? |
絵名 | そういうわけじゃ…… |
愛莉 | せっかく青春しに来てるんだから、 恥は捨てて、全力で楽しみましょ♪ |
愛莉 | ほら、一歌ちゃんと咲希ちゃんもキラキラした顔で待ってるわよ |
咲希・一歌 | (先輩、一緒に撮ってくれるかな) |
絵名 | ほんとだ……。 ふふ、しょうがないなあ |
絵名 | あ、撮るならまず、いい感じの構図を見つけないと。 愛莉、先に一歌ちゃん達のところに行ってて! |
愛莉 | ええ! 最高の1枚にできるように、お願いねー! |
絵名 | うん、任せて! |
まふゆ | はじめまして、2年の朝比奈まふゆです |
まふゆ | 上級生として、この校外活動チームのリーダーを 務めさせてもらうことになりました。よろしくね |
遥・こはね | 『よろしくお願いします』 |
えむ | よ、よろしくお願いします……! |
遥 | 1年の桐谷遥です。演技の経験はほとんどないですが、 『みんなを笑顔にする』というコンセプトが とてもいいなと思って、立候補しました |
こはね | あ、えっと……1年の小豆沢こはねです。 フェニランのファンで、えむちゃんに誘われて ショーに挑戦してみることにしました |
えむ | い、1年の鳳えむです! よろしくお願いします……! |
遥 | ……鳳さん、今日はなんだか緊張してるね |
まふゆ | 2年の私がいるからかな? 一緒にショーを作る仲間だから、 遠慮しないでいいからね |
えむ | は、はーい……! |
まふゆ | 今回の校外活動の目的は、子供達に笑顔を届けること。 そのためにワンダーステージをお借りしてショーをするよ |
こはね | 今までずっと見てる側だったけど、うまくやれるかな? |
遥 | 大丈夫だよ、こはね。演技の経験がないのは私も同じだから。 一緒に頑張っていこう? |
こはね | わ……! は、遥ちゃんが、まぶしくて見えない……! |
まふゆ | すごい……。これが本物のアイドルスマイルなんだね |
こはね | ありがとう、遥ちゃん……! みんなと一緒に、私も頑張るね |
まふゆ | ふふっ、みんなやる気が出てきたみたいだね。 それじゃあ、どんなショーを作るか考えようか |
遥・こはね・えむ | 『おー!』 |
えむ | 『今日も笑顔をみんなにお届け! サニサニハッピー・えむ!』 |
まふゆ | 『難攻不落のキラキラ先輩! グッドネススマイル・まふゆ!』 |
遥 | 『アイドルは1日にしてならず! ストイックチャレンジャー・遥!』 |
こはね | 『不屈のハムハムソウル! イメチェンビースト・こはね!』 |
えむ | 『4人合わせて――!!』 |
遥・こはね・えむ・まふゆ | 『ハピネス戦隊サニサニ☆ワンダー!』 |
まふゆ | ふふ、いい感じで決まったね |
こはね | まだちょっと恥ずかしいけど……。 だいぶ慣れてきた気がするよ |
遥 | ふふ、名乗り口上も みんなで頑張って考えた甲斐があったね |
まふゆ | そうだね。ちなみに、私の『難攻不落』は鳳さんの案だけど、 どういうところからつけてくれたの? |
えむ | へっ!? えーっと…… |
えむ | (本当の笑顔になってほしいけど、 全然ダメだなあっていうところからなんだけど……) |
こはね | 戦隊物のリーダーって、いつでもまっすぐ仲間を 引っ張ってくれるイメージあるよね |
こはね | そういうブレないところからそうつけたのかなって 思ってたんだけど…… |
えむ | そ、そうそう! こはねちゃん、よくわかったね~! すごいなあ! |
まふゆ | そっか。ちゃんとリーダーとして頑張れてるみたいで よかったな |
えむ | (ひいっ! や、やっぱり難攻不落だよぉ……!) |
こはね | そういえば、私達全員ヒーローだけど……誰と戦うのかな? |
遥 | あ、たしかに。ヒーローショーをするなら、 悪役がいないとストーリー的にも盛り上がらないかもね |
まふゆ | それなら、私がひとりふた役をやろうか? たとえば── |
まふゆ | 『絶望の底からこんにちは。ダークネススマイル・まふゆ』 |
まふゆ | ──みたいな感じで、どうかな? |
えむ | ひぃっ……! |
遥 | す、すごい迫力……。 思わず、引きこまれました |
こはね | 私もです……! 朝比奈先輩、演技までできちゃうんですね! |
まふゆ | ふふ、悪役なんてめったにできないから ちょっと張りきっちゃっただけだよ |
まふゆ | じゃあ、私がひとりふた役で、 ダークネススマイルはやられ役っていうことで── |
えむ | ……! それはダメです! |
えむ | え、えっと……! みんなに笑顔をお届けするショーなので、 ダークネススマイルにも、笑顔になってほしいです! |
遥 | それなら、ただの悪役じゃなくて……。 スパイとしてグッドネススマイルになっていた、とか? |
こはね | あ! それで、正体がわかって敵になっちゃうけど、 最後はダークネススマイルとして もう一度仲間になるっていうのはどうですか? |
まふゆ | うん。みんながそれでいいなら、そうしようか |
えむ | はい! そうしましょー! |
こはね | あの! せっかく案が採用されたので、 もうちょっとお話考えてみたいんですけど、いいですか? |
遥 | あ、私もやってみたいです |
えむ | すっごくいいと思う! こはねちゃんと遥ちゃんが考えてくれるお話、楽しみー! |
まふゆ | うん。私もぜひお願いしたいな |
こはね | ありがとうございます! 頑張って作ってみますね! |
瑞希 | ヒーローショー、めちゃくちゃ楽しかったね! 校外活動の一環ってレベルじゃなかったっていうか! |
瑞希 | ボク、特撮も結構見るから、 名乗り口上のところ、すっごくワクワクしちゃった! |
穂波 | ふふ。お話もびっくりするくらいドラマチックで、 すごく良くできてたよね |
瑞希 | あっ! グッドネススマイルが実はスパイだったところとかね! いやー、最後また仲間に戻ってくれてよかったあ |
寧々 | あと、歌もすごかったね。 元アイドルの桐谷遥はもちろんだけど、 もうひとり、すごくうまい子がいてびっくりしちゃった |
穂波 | あ、イメチェンビーストのこはねちゃんのことだよね。 あの子は、みのりちゃんのクラスメイトで── |
みのり | ほえ~………… |
寧々 | わっ! は、花里さん、魂が抜けかけてる!? |
瑞希 | そうだ! みのりちゃんは桐谷遥ちゃん推しだった! きっと、生で浴びすぎちゃったんだよ! |
穂波 | ど、どうしよう! 戻ってきて、みのりちゃん! |
みのり | はっ! あ、あれ、フェニランに戻ってきてる? とってもきれいな花畑を歩いてたような…… |
瑞希 | ふぅ……。戻って来れてよかった…… |
寧々 | ねえ、休憩がてらどこかのお店に入らない? もっとさっきのショーについても話したいし |
みのり | わたしもそうしたいな。 なんだか、体がまだふわふわしてるし |
瑞希 | あはは。推しを目の前で大量に浴びちゃったからねえ |
穂波 | それじゃあ……あ、あそこの フェニーくんレストランはどうかな? たしか、内装がフェニーくんだらけですごく凝ってるみたいだし |
瑞希 | あっ! そこ、絶対行きたいと思ってたんだよね! よーし、みんなでレッツゴー♪ |
ミク | 司くん、司くーーん! |
司 | うおっ!? 突然どうした、ミク! |
ミク | ミクも司くんやトルペくんみたいに かっこよくピアノを弾きたいなーっ! |
ミク | ねえねえ、ミクにピアノ教えて~っ☆ |
KAITO | 急にごめんね、司くん。 あのきらきら星を弾けるようになりたいみたいなんだ |
KAITO | でも、僕じゃ片手で弾くきらきら星くらいしか 教えてあげられなくてね |
司 | なるほど。オレでよければもちろんかまわないぞ! |
司 | 我が母直伝の上達方法を ミクとカイトに伝授しようではないか! |
KAITO | え、僕も? |
司 | ん? てっきりそうかと思ったが、違うのか? |
ミク | カイト、一緒に練習しようよ~! それで、一緒にきらきら星弾こっ☆ |
KAITO | ふふ、そうだね。 せっかくだし、僕も教えてもらってもいいかな? |
司 | 無論だ! では楽譜をとってくるから、 ふたりともここで待っていてくれ! |
類 | おや、司くんじゃないか。 勉強道具を持ってどこに行くんだい? |
司 | 行くというか、図書室で勉強して教室に戻るところだ |
司 | 実は次の英語の授業で、抜き打ちの小テストがあると聞いてな。 最近学んだ内容を復習していたんだ |
類 | なるほど。最近習ったところだと―― |
類 | じゃあ『今日の放課後はショーの練習をしているだろう』を 英語にしてみてくれるかい? |
司 | ぬっ、未来進行形というやつだな。 力を入れて勉強したところだから、わかるぞ! |
司 | えっと……。 アイルビー練習イング アフタースクール ザショー! |
類 | ふむ……。ところどころ惜しいね |
類 | まず、練習は『practice』だよ。 あと『the show』は『after school』の前に置いて、 最後に『today』を入れれば完璧だ |
司 | ん、つまり……。 アイルビー プラクティスイング ザショー アフタースクール トゥデイ! |
類 | うん、文法的にはバッチリだ! 発音は……今後に期待だね |
類 | ちなみに、力を入れて勉強したって言っていたけれど、 未来進行形が苦手なのかい? |
司 | いや、未来のスターたるもの、 未来と名のつく志高い文法くらいできねばと思ってな |
類 | 志? ……フフ、なるほど。 たしかに司くんらしい動機かもね |
司 | おお、えむじゃないか! 映画でも見てきたのか? |
えむ | あ、司くんだー! えへへ、あのねあのね……! |
司 | ずいぶんニコニコしているな。 これは、よほど素晴らしい映画を見て―― |
えむ | じゃーんっ♪ このキャラメルソースがかかったポップコーン、 とーーーってもおいしいんだよ! |
司 | なんだ、ただポップコーンを買っていただけか……。 てっきり何かいい映画を見たのかと思ったぞ |
えむ | 映画も楽しかったよ! がんばれーって応援できる映画でね! 隣の席の女の子と一緒にいっぱい応援したんだ♪ |
司 | なるほど、応援上映というやつだな! ちなみに、どんな映画を見たんだ? |
えむ | 『立ちあがれポップコーン戦士! 圧力鍋魔界編』だよ! 主人公のコーンが、立派なポップコーン戦士になるために いろんなチャンレンジをしていくの! |
司 | ポ、ポップコーン戦士? 圧力鍋……魔界? |
司 | わけがわからんが、どんな映画なのか気になってきた……。 よし、オレも見てみるか! |
えむ | あれ? 寧々ちゃんと類くんだ! やっほっほーーーい! |
寧々 | えむに司? なんでそろってここにいるの? |
司 | さっき映画館の前でたまたま会ってな! お前達こそ、どうしたんだ? |
類 | 次のショーでネネロボに着てもらう衣装の 飾りを探しにね |
えむ | そうだったんだ! ねえねえ、あたしもついて行っていい? |
類 | もちろんかまわないよ。 寧々もそのほうが嬉しいだろうし |
えむ | わーい! また一緒にお買い物したかったんだ♪ 寧々ちゃん、いい飾り探そうねっ☆ |
寧々 | はいはい |
類 | ついでだから僕達の衣装の飾りも探してしまおうか。 司くん、時間あるかい? |
司 | ああ、問題ない。では、全員で行くか! |
えむ | やったー! それじゃあお店に全力ゴーゴー!! |
寧々 | あっ、ちょっとえむ! そんなに引っ張らなくてもちゃんと行くから……! |
類 | おや……。行く予定の店は反対方向なんだけどな |
司 | それを早く言え! えむ、寧々ー! 店はそっちじゃない、こっちだー! |
寧々 | ――♪ ~~~~――♪ |
寧々 | ……ふぅ。 とりあえず、声出しはこんな感じかな |
司 | 『おお、これが万病に効くという歌姫の歌か! 故郷で床に伏せっている祖母にぜひ聴かせたい……!』 |
寧々 | え、司? 向こうで本読みしてるって言ってたのに、 いつの間に…… |
司 | 『しかし……ゴホッゴホッ。私自身、もう長くないようだ。 せめて、もう1曲歌が聴ければ……』 |
寧々 | (……って、役に入ってるし) |
寧々 | (そんな期待に満ちた目で見られても……。 もう、しょうがないな) |
寧々 | 『まあ、大変。旅人さん、どうかしっかり。 私の歌できっと元気になれますよ』 |
一歌 | あ、ルカ! 今、ちょっとだけいいかな? |
ルカ | あら、一歌。 もちろんいいけど、どうかしたの? |
一歌 | 実は、スクランブル交差点でルカを見つけて── ほら、この大きなディスプレイに…… |
ルカ | あ……本当ね。 可愛い三つ編みの私が映っているわ |
一歌 | これ、ルカをよく使ってるクリエイターさんの 新曲のジャケットみたいだよ |
一歌 | ルカに見せたいなって思って、慌てて撮ってみたんだけど…… |
ルカ | ふふ。それでちょっと写真がブレてるのね |
一歌 | あはは……撮り直そうとしたらCM終わっちゃって……。 あ、このCDが出たらこっちにも持ってくるよ! |
ルカ | ええ、ぜひお願いしたいわ。 こんなに可愛い私がどんな歌を歌うのか、すごく楽しみだもの |
志歩 | 一歌、お目当てのCDはあった? |
一歌 | うん。ほら……! |
志歩 | ああ、この人か。 前に、ミクを使ってるクリエイターの中でもオススメって言ってCD貸してくれたよね |
一歌 | 志歩、覚えててくれたんだ! |
志歩 | まあね。あの時借りたアルバムの4曲目は印象に残ってるよ |
志歩 | 特にBメロで入ってくるストリングス、良かったな。 ギターも、打ち込みじゃなくてしっかり生音を響かせてたし |
一歌 | そこまでしっかり覚えててくれてるなんて、なんだか嬉しいな |
志歩 | ふふ。話してたら、また聴きたくなってきたな。 この人の曲 |
一歌 | 本当!? 私が持ってるのでよかったら貸すよ! 今度学校に持っていくね! |
志歩 | いいの? じゃあ、楽しみにしてるよ |
咲希 | ふんふ〜ん♪ |
一歌 | 咲希、今日ずっとテンション高いね |
咲希 | うん♪ だって、今日はセカイで 新作スナック食べ比べ大会をするんだよ! |
咲希 | アタシの好きなポリポリチップスの限定品もゲットしたから、 はやくみんなと食べたいな〜! |
一歌 | 限定品? 何味のポテトチップスなの? |
咲希 | 普通のお塩だよ。でも、限られた農家さんしか作ってない 伝説のじゃがいもを使ってるんだって! |
一歌 | で、伝説のじゃがいも? なんだかよくわからないけど、すごそう…… |
咲希 | でしょ〜!? アタシ今、『数量限定・焼きそば2倍パン』を 購買で買ってたいっちゃんと同じくらい テンション上がってるよ! |
一歌 | えっ? ま、待って……。 私、こんなにテンション高かったの? |
一歌 | 穂波、なんの写真見てるの? |
穂波 | 昨日、散歩中に撮ったしばおの写真だよ。 実はしばお、最近運動不足で太っちゃって……。 ほら、前に見せた写真より顔も丸くなってるでしょ? |
一歌 | うーん……。 言われてみれば、そうかも? |
一歌 | あ、太ったのとは少し違うけど……。 私が育ててるサボテン、ちょっと大きくなったよ。ほら |
穂波 | えっと……根元の辺り、かな? たしかにちょっとふっくらしてるような…… |
一歌 | あはは。さすがに微妙すぎて、わかんないよね。 でも、毎日見てると少しずつ成長してるなってわかるんだよ |
穂波 | ふふ、わかるなあ。こういうちょっとした変化って、 家族だから気づけるけるのかなって思うと、ちょっと嬉しいよね |
一歌 | うん、そうだね |
咲希 | 今日はみんな、バイトなんだっけ? |
穂波 | うん。練習はまた明日だね |
咲希 | そっかあ。最近、毎日合わせの練習してたから、 ちょっと寂しいなあ |
一歌 | ほんの1日だけだよ。 明日は、また合わせの練習できるし |
志歩 | そんなに合わせの練習がしたいなら、 明日は今日の分もみっちりしてあげる |
咲希 | うっ……。これはいわゆるヤブヘビ? |
一歌 | ふふ、でもみっちり練習するなんて、いつものことでしょ |
咲希 | あはは。それもそっか |
穂波 | ふふ。それじゃあわたし、宵崎さんのおうちに 行かなくちゃいけないから、先に行くね |
志歩 | じゃあ、私もここで |
咲希 | は〜い♪ みんな、また明日ね♪ |
一歌 | うん、また明日 |
一歌 | (……こうやって、あたり前のように明日の約束をして 明日になったら約束どおりみんなで練習して……) |
一歌 | (本当に、ただあたり前のようにくる毎日が、すごく楽しい) |
一歌 | (これからも、このあたり前をなくさないように 頑張っていきたいな) |
レン | よっ、ほっ……っと! |
ルカ | あ、レンがサッカーしてる! どうしたの、それ |
レン | サッカーっていうか、リフティングだよ。 彰人に教えてもらって、練習してるんだ |
レン | 今じゃ、100回連続でできるようになったんだよ |
ルカ | へ〜、すごいじゃん! 私もやってみていい? |
レン | いいよ! まあ、最初はオレみたいにうまくできないと思うけど―― |
ルカ | よっ、ほっ! お〜、楽しいね、これ! |
レン | で、できてる…!? |
ルカ | ――……っとと。50回で終わっちゃった。 これを100回もできるなんて、レン、すごいね! |
レン | あ、あはは……! そうでしょ~? |
レン | (初めてなのにあんなにできるなんて! もっと練習しないと追いつかれちゃうよ!) |
KAITO | うーん…… |
MEIKO | どうしたの、カイト。 さっきからずいぶん考えこんでるみたいだけど |
KAITO | 聞いてくれるかい、メイコ。 実は…… |
MEIKO | ………… |
KAITO | クリームソーダとメロンソーダって、 違うのはアイスがあるかないかだよね? |
MEIKO | ……真剣に聞こうとした私がバカだったわ |
KAITO | ま、待って! ボクにとってはすごく大事なことなんだよ! |
KAITO | このあいだ両方頼んだ時、微妙に炭酸の音が違ったんだよ。 それで、アイスのあるなしだけの 違いなのかなって気になって! |
MEIKO | へえ、そうなの? 音に違いがあるなんて気にしたことなかったわ |
KAITO | でしょ? だから、サンプリングのためにも 聞いておきたかったんだよ |
KAITO | (半分はただの興味だったんだけど……。 それは言わないでおこーっと) |
ミク | えっと……。あ……見つけた |
ミク | ルカ、メイコ。……これ、見て |
MEIKO | これは……花? |
ルカ | スイートピーじゃないかしら。 ミク、誰かにもらったの? |
ミク | ……うん。 まふゆの家で飾ってたお花、だって…… |
ルカ | そう。せっかくもらったんだし、 綺麗に飾っておきたいわね |
MEIKO | ……でも、水がないとしおれるんじゃない? |
ミク | あ……大丈夫。 まふゆ、用意してくれるって |
ルカ | それなら、しばらくは楽しめそうね |
ミク | ……うん。 あ、リンにも見せたいな…… |
MEIKO | リンなら、向こうのほうで見かけたわよ |
ミク | ……そっか。わたし、お花見せてくる |
ルカ | 私達にまで見せてくれるなんて、可愛いわね |
MEIKO | ……ええ、そうね |
リン | ……メイコ、ちょっと |
MEIKO | ……何? |
リン | これ、ほどける? |
MEIKO | それは……瑞希にもらったコサージュ? |
リン | うん。……レースのリボンにつけかえようと思ったら、 金具が変なところに絡まっちゃった |
MEIKO | ……貸して。ほどいてみるわ |
リン | うん…… |
MEIKO | (よっぽど気に入ってるのね、これ) |
奏 | あ…… |
まふゆ | あ、奏……? お父さんのお見舞い? |
奏 | ううん、映画。 リメイクされたサスペンス物なんだけど―― |
まふゆ | ………… |
奏 | ……え? あの、まふゆ? なんでおでこに手…… |
まふゆ | ……熱は、ないね。 でもじゃあ、なんで? |
奏 | なんでって……。 有名な音楽監督が劇中曲を作ってて、 それがすごくいいってネットで見かけたから |
まふゆ | ……そう。 お見舞いじゃないのに外にいるから、驚いた…… |
奏 | えっと……わたしも驚いた…… |
奏 | (まさか、熱があるって思われるなんて。 心配してもらえて嬉しいような、そうじゃないような……) |
杏 | よし、マイクオッケー、っと。 ……あ、こはね! ここだよー! |
こはね | 杏ちゃん、歌う場所教えてくれてありがとう。 練習の邪魔にならないように、はじで聴いてるね |
杏 | あれ? こはねは歌わないの? |
こはね | え? 自主練って言ってたから、 歌わないほうがいいかなって思ってたんだけど…… |
杏 | こはねと歌うのだって立派な自主練でしょ? せっかく来てくれたんだし、聴くだけじゃなくて歌おうよ! ねっ? |
こはね | いいの? それなら、おじゃましちゃおうかな |
杏 | いらっしゃーいっ! じゃあ、1曲目から飛ばしていくよ! |
こはね | うんっ! 杏ちゃんに負けないように頑張るね! |
杏 | (ふふっ。この辺で歌い始めた頃は『心の準備が』って 慌ててたけど、今はもう自然と歌う準備に入ってる) |
杏 | (私も相棒として、しっかり歌わないとね!) |
リン | ねえねえ、遥ちゃん! 遥ちゃんは、 大きなライブをやる前に必ず食べてたものってある? |
遥 | そうだね……。必ずっていうわけじゃないけど、 よく鶏の唐揚げは楽屋に置いてあったから、食べてたよ |
ミク | 結構がっつりっていう感じなんだね。 それって、ライブ中にお腹がすかないようにするため? |
遥 | それもあるよ。でもたしか『脂がのどを潤す効果がある』とか、 『鶏肉に含まれてるビタミンAがのどの粘膜にいい』って マネージャーさんが言ってたことあるよ |
遥 | だから、私達の中では一種のジンクスみたいなものだったな。 唐揚げを食べておけばライブもうまくいくって |
ミク | そうだったんだね! |
遥 | あ、でも……。 私が不調になってからは紅茶とはちみつみたいな、 気分を落ち着けるものに変わったんだっけ |
遥 | 最初は驚いたんだけど、メンバーのみんなは知ってたみたいで、 『お上品な時間をすごせて大変よろしいですわ』なんて、 慣れないお嬢さま言葉まで使って楽しんでて…… |
リン | わあ、みんないい人達だったんだね! |
遥 | うん、すごく……。 でも結局、私はステージに上がれなくなって……。 みんなに迷惑をかけたまま、ASRUNも解散しちゃったんだ |
ミク | そっか…… |
遥 | でも、今も連絡を取りあってるんだよ。 またアイドル活動を始めたって話した時も、 みんな、すごく喜んでくれてた |
リン | 本当!? よかった……! |
遥 | (私は……昔も今も、いい仲間に恵まれてるな) |
愛莉 | みんな、次の企画で紹介する『イチオシ映画』は ちゃんと見つけたかしら? |
みのり | もちろん! ほら見て見て! 『グラウンドにかかる虹』っていう、陸上部の青春映画! これ本当に泣けちゃうからおすすめだよ! |
遥 | あ、『IRIS RINK』の藤宮さんが出てる映画だよね。 演技初挑戦だったみたいだけど、すごく気持ちがこもってて、 ステージに立ってる時とはいい意味で別人みたいだったな |
雫 | それ私も見たわ。 胸にくるとっても素敵な映画よね |
雫 | でも、私が選んだ映画も負けてないと思うわ。 ――はい! 『ゾンゾンゾンビ 家族を探すの巻』よ |
愛莉 | それ! ゾンビの男の子が、両親や兄弟を探して ボロボロになりながら旅するアニメ映画よね!? |
愛莉 | 妹が友達と見て、めちゃくちゃ感動したって 言ってたから気になってたのよね |
遥 | へえ、初めて聞いたけど面白そうだね |
雫 | ええ。家族の大切さがわかる本当にいい映画よ。 それで、愛莉ちゃんはどんな映画を選んだの? |
愛莉 | わたしが選んできたのはこれ! 『誰も隣にいたがらない』よ |
愛莉 | 主人公が不思議なひとりぼっちの青年と出会って、 青年の秘密を少しずつ知っていくミステリーなんだけど……。 最後は切なくて、感動できるストーリーなの |
みのり | わあ! ミステリーって怖いのが多そうだけど、 そういう感動できるのなら楽しく見れそう |
遥 | 最後は私だね。私は『思いこみフレンズ』っていう コメディ映画をおすすめしたいな |
遥 | 仲のいいふたりの女の子達が主人公なんだけど、 どっちも思いこみがすごくて、誤解が誤解を呼んで ストーリーが全然思いもよらない方向に進んでいっちゃうの |
愛莉 | へえ! 遥がコメディ映画を紹介してくれるなんて、 ちょっと意外かも |
雫 | ええ。どんな映画か楽しみね |
みのり | うん! 早く雫ちゃんの家に行って 全部見ちゃおうよ! |
雫 | ねえ、遥ちゃん。 私、このあいだおすすめのランニングコースを 教えてもらったでしょう? |
遥 | もしかして走ってみたの? |
雫 | ええ、何度か。 緑が多くて、とっても気持ちよく走れてるわ |
遥 | よかった。あ、そうだ。 なるべく道なりに走れるコースにしたつもりだけど、 迷ったりはしてない? |
雫 | ええ、全然! 自分でも不思議だわ |
雫 | 遥ちゃんが目印だよって教えてくれた本屋さんや パン屋さんでただ左に曲がってるだけなのに、 気がつくと家の前に戻ってるの |
遥 | ふふ。可愛い外観だったり、目立つ看板が立ってて わかりやすいしね |
遥 | (目印になってるお店が変わっちゃったら大変だけど……。 そのうち、コース自体を覚えてくれるといいな) |
みのり | えっと、新曲だからきっとこの辺りに……! えへへへ…… |
遥 | ……みのり、何してるの? |
みのり | ひゃっ! は、遥ちゃん! これはその……ちょっとイメージトレーニングを…… |
みのり | ほら、すっごくすてきな曲を作ってもらってるし、 いつかCDになったらこの辺に並ぶのかな~なんて思って |
遥 | そうだったんだ。 でも、どうして隠れてのぞいてるの? |
みのり | あはは……。CDを手に取ってくれる人がいるかなーって わたしはそっちの棚に隠れて見てるってイメージだったから |
遥 | あ……それ。初シングルが出た時の私達と一緒だ。 実はこっそりCDショップをのぞいて、 買ってくれる人がいないか見てたことがあるの |
みのり | え! ほ、本当!? |
みのり | じゃあわたし達も、もしCDとかが出せるようになったら、 みんなでこっそりのぞきに来たいね! |
遥 | ふふ、愛莉はちょっと反対しそうだけど、 喜んでくれてるファンの笑顔が見れたら嬉しいね |
愛莉 | あら、遥じゃない。 そっちも買い物? |
遥 | うん。いくつかファッション誌を買いにきたの。 愛莉も買い物中……というか、すごい量の荷物だね |
愛莉 | ええ。全部お菓子の材料や調理道具よ! |
愛莉 | わたし、バレンタインでケーキを作ったでしょ。 あれ以来、お菓子作りがわたしの中でプチブームになってるのよ |
愛莉 | それで明日、妹や父親を誘って一緒に作る予定よ |
遥 | ふふ、楽しそうだね。 でも、お菓子作りか…… |
愛莉 | あら、興味があるの? よければ、糖質制限してても食べられるお菓子のレシピ、 教えるわよ? |
愛莉 | 配信中の料理の手際も良かったし、 遥ならたぶん簡単にできると思うわ |
遥 | 本当? じゃあせっかくだし、教えてもらおうかな |
愛莉 | オッケー! ならいくつか見繕っておくわね! |
ルカ | 類くん、類くん。 ちょっと作ってほしい物があるんだけど、 相談にのってもらってもいいかしら? |
類 | ああ、もちろん。 どんな物が欲しいんだい? |
ルカ | うふふっ。めーちゃんの膝枕よ~ |
類 | 枕? |
ルカ | ええ。めーちゃん、いつもお膝を貸してくれるんだけど、 わたしが目を覚ますと、足が疲れた~って言うの |
類 | ふむ……ルカさんを起こさないように 同じ姿勢でいなくてはいけないだろうからね |
ルカ | そうなの~。だから、めーちゃんが疲れないように 代わりになってくれる枕が欲しくって |
類 | なるほど……。枕は作ってみたことがないけれど、 ちょっと面白そうだね |
類 | ふむ、反発性はどれくらいなんだろうか。 それに、程よく温かさを感じられる必要もありそうだね…… |
類 | ルカさん、少し時間をもらうことにはなるけど、 試しに作ってみるよ |
ルカ | ふふ、ありがとう、類くん。 楽しみにしてるわ~ |
類 | 体育祭も応援合戦も、無事に終わってよかった |
杏 | はい。応援合戦では私達、青組が勝ちましたしね! それに、神代先輩がちゃんと決まりを守ってくれたのが 個人的にすごく安心しました! |
瑞希 | 決まり? 何それ、ボク知らないんだけど |
杏 | それがね。神代先輩がうちの応援団に加わるってなった時、 風紀委員会に緊急招集がかかって…… |
瑞希 | え…… |
類 | 僕が火器を使用した危険な演出をするんじゃないか、と 気が気でなかったみたいだねえ |
杏 | けど、応援合戦はうちの体育祭の目玉ともいえるし、 なんかすごそうだから見てみたいかも、っていう意見もあって |
杏 | それで『これだけは危ないからやめてください』って 委員会で決めたものを、先輩には伝えてたんだ |
瑞希 | へえ、そうだったんだ! |
瑞希 | 応援合戦勝利の裏にそんな話があったなんて! ねえねえ、その決まりってなんだったの? 教えてー! |
杏 | はあ……体育祭終わったばっかりなのに テストがあるとかおかしくない? |
彰人 | だな……。今度赤点とったら冬弥に何言われるかわかんねえし、 ちょっと真面目にやるか…… |
杏 | 私も、こはねに悲しい顔させたくないし 頑張ろうかな…… |
瑞希 | ――と言いつつ、 ダメそうなフラグを立てるふたりでした♪ |
杏 | ちょっと瑞希、茶化さないでよね。 一応こっちは真剣なんだからさあ |
瑞希 | あはは、ごめんごめん。 けど、ふたりともただのテストに身構えすぎじゃない? |
瑞希 | ここからここまでしか出ないよ、って決まってるんだし とりあえず教科書読んでおけば楽勝じゃん |
彰人 | んなわけねえだろ。そんな―― |
彰人 | そうか! 暁山お前、勉強できるのか……! |
瑞希 | へ? |
杏 | そういえば、瑞希が平均点以下とってるとこ 見たことないかも! |
彰人 | マジかよ、やべえな。 初めてお前のこと尊敬したかもしんねえ |
瑞希 | えーっと。それはまあ嬉しいけど…… |
瑞希 | (ふたりとも要領いいし、ちょっとやればできそうなのに。 よっぽど勉強するの嫌なんだろうなぁ) |
司 | おお、彰人ではないか! すまんが、ひとつ頼まれて―― |
彰人 | 嫌です! |
司 | ま、まだ何も言っていないぞ。 なのに、そんなに力強く拒否しなくてもいいではないか |
彰人 | どーせまた面倒なことに決まってるんで。 じゃ! |
司 | あーっ、待て待て待て! 冬弥に伝言を頼みたいだけだ! |
司 | 実は、かつて冬弥とよく遊んだ人探しの本の『大人版』 という、難しいバージョンが出るらしくてな! |
彰人 | ……で、それがなんなんすか |
司 | あまりにも懐かしくて、また冬弥とやりたくなったんだ。 もちろん、お前も来てくれていいんだぞ! |
彰人 | ……まあとりあえず、冬弥には伝えときます。 つーか、そういうことは別にメッセージとかで―― |
司 | では頼んだぞ! 本が手に入ったら、また改めて連絡するからな! |
彰人 | ――だから、人の話を聞けっつの! |
冬弥 | ……草薙、少し聞いてもいいだろうか? |
寧々 | え? な、なんで……わたし? 隣のクラスの二重人格の人とか、司に聞けばいいのに |
冬弥 | いや、あのふたりでは お茶を濁されてしまいそうだからな |
冬弥 | それで聞きたいんだが……。 ――俺はもしや、運動音痴なんだろうか |
寧々 | …………は? |
冬弥 | 友人達とスポーツができる複合施設に遊びに行った時も、 先日の体育祭も、思うように成果を上げることができなかった |
冬弥 | これはつまり、俺は運動ができないのではないかと思ったんだ |
寧々 | えっと……。 ダンスは踊れるんじゃなかった? |
冬弥 | 練習をすれば |
寧々 | じゃあ、完全に音痴ってわけじゃないんじゃないの? わたしも、球技はちょっと向いてないし…… |
冬弥 | なるほど、では『半運動音痴』と言ったところか。 ありがとう、参考になった |
寧々 | えっ、そう? なら、いいけど…… |
ミク | カイト、ちょっといい? 頼みたいことがあるんだ |
KAITO | ごめん、ミク! ボク、今お腹いっぱいなんだよね~ |
MEIKO | ……カイト、今日は試食のお願いじゃないわよ |
ミク | うん。今度こはね達と歌の練習するから、 アンプ貸してほしいだけなんだけど…… |
KAITO | なんだ、よかったぁ…… |
ミク | ……よかったって、どういうこと? |
KAITO | えっ!? えーっと、このあいだはたくさん食べたでしょ? またあんなに食べたら、太っちゃうなあって思って…… |
ミク | ああ、そういうことか。 たしかに、ひとりにお願いする試食の量じゃなかったかもね。 今度頼む時はそのあたり気をつけるよ |
MEIKO | ええ。私もきっと手伝うことになると思うから、 気をつけておくわね |
KAITO | うん、よろしくね |
KAITO | (特にメイコ! 本当の本当に頼んだよ!?) |
レン | いくよ、カイト! じゃんけん、ポン! |
KAITO | はい、またボクの勝ち。 これで5戦全勝だね! |
レン | こ、こんなの絶対おかしいよ! なんでなんで!? |
彰人 | ふたりして何騒いでるんすか? |
レン | あ! 彰人、オレとじゃんけんしてよ。 いくよー、じゃんけん、ポン! |
彰人 | ――ほい。グーとパーだからオレの勝ちな |
レン | な、なんで勝てないの!? オレ、ひょっとしてじゃんけんにめちゃくちゃ弱い? |
彰人 | レンの場合、何を出すか読みやすいだけじゃねえの? 今みたいに力んでる時はグーを出すこと多いし |
KAITO | お、さすが彰人くん。 よく見てるねー |
KAITO | ちなみに次の手もすごく読みやすいんだよ? ボクがパーで勝ったら、次の手はチョキになることが多いし |
KAITO | きっと、無意識のうちに相手が出した手に 引っ張られちゃうんだろうね |
レン | そ、そうだったんだ!! |
レン | あれ? じゃあなんで冬弥には勝てるんだろ? このあいだだって、最後の1個って言われたお菓子をかけて じゃんけんしたんだよ? |
彰人 | あー。いや、それは…… |
KAITO | (ひょっとしたら、わざと負けてくれたのかもね……) |
杏 | あれ、待ちあわせ場所ってここだよね? こはねと彰人は? |
冬弥 | ああ。俺も今、探しているんだが……。 あ、あそこだ。建物の陰にいるな |
杏 | えっ! こ、こはね、どうして泣いてるの!? |
彰人 | お、来たか |
杏 | 来たかじゃないでしょ! どういうことなの、これ! |
こはね | あ、泣いてたわけじゃないよ! さっき風が吹いた時に、目にゴミが入っちゃって……。 目薬をさしたところなの |
杏 | なんだ、そういうことか……。びっくりしたぁ |
彰人 | ……なんだよ |
冬弥 | いや、なぜ建物の陰にいるんだろうと思ったが、 風がこない場所に移動したんだな |
こはね | うん。東雲くんがあっちで待とうって言ってくれて |
彰人 | また目にゴミ入ったら嫌だろ |
冬弥 | ……そうだな |
彰人 | ったく……。 ほら、全員そろったんだ。とっととライブハウス行くぞ |
こはね | 東雲くん、このあいだはフライヤー作りの 相談にのってくれてありがとう |
彰人 | 自分達が主催するイベントのもんだしな。 意見くらい、求められたらだすだろ |
彰人 | それで、お前がイメージしたフライヤーに ちゃんとなったんだよな? |
こはね | うん! あ、杏ちゃんのお父さんも褒めてくれてたよ。 色使いとか全体の雰囲気とか! |
彰人 | ふーん。ま、満足のいく仕上がりになったんなら いいんじゃねえの |
彰人 | お前、なんか最近疲れてねえか? |
杏 | それがさ、私達が主催したイベントのあと、 うちの店に来てくれるお客さんが多くなってるみたいなんだよね |
彰人 | へえ、イベントの効果か? |
杏 | どうかなあ。イベントのことを聞いてくるお客さんも それなりにいるんだけど…… |
杏 | とりあえず、私も父さんも 嬉しい悲鳴?をあげてるって感じ |
彰人 | イベントきっかけかはわからねえが、 もし反響としてそうなってるんなら、いいな。 けど、無理はすんなよ |
杏 | わかってるって! ふふ。次のイベントの時もこれくらい……ううん、 これ以上の反響がほしいよね! |
レン | えーっと……。 あれ? オレ、楽譜どこに置いたっけ? |
MEIKO | レン、あなたが探しているのは、 この可愛いお星さまのイラストでいっぱいの楽譜? それとも、細かくたくさん書きこみがしてある楽譜? |
レン | え? いや、どっちも違うんだけど…… |
MEIKO | おお、なんという正直者! そんなレンには、 この可愛くもなければ書きこみで真っ黒でもない、 でもよく使いこまれた、意外と綺麗な楽譜を進呈しよう! |
レン | あ、オレの楽譜……って、意外と綺麗ってなんだよ |
レン | というか……さっきの楽譜って、リンとミクのだろ? なんでメイコが持ってるんだ? |
MEIKO | あれはふたりが置いていったんだよ。 今、ちょうど休憩中でね。 ふたりはお菓子を取りに行ってるところ |
レン | なんだ、そういうことか |
MEIKO | ねえ、レン。そろそろふたりとも戻ってくるだろうし、 そしたらお菓子を食べて、一緒に演奏しない? |
レン | んー、練習はしたいと思ってたし、 そうしよっかな |
MEIKO | 決まりだね! じゃあ、適当に座って待ってようよ! |
??? | ミク、だーれだ? |
ミク | え? えっと……一歌? |
咲希 | ぶっぶー! 目隠しをしてたのは、アタシでした~♪ |
ミク | あ……。ふふ、一歌の声にまんまと騙されちゃったな |
一歌 | よかったね、咲希。いたずら成功して |
咲希 | うん! このあいだ、ほなちゃんと一緒に いっちゃんにやった時は失敗しちゃったしね |
ミク | 失敗? 一歌、もしかして声と目隠ししてる人が 違うってわかったの? |
一歌 | たまたまだけどね。 咲希、人よりも手が温かいから、それでなんとなく…… |
ミク | へえ。咲希、一歌、手を貸して? |
咲希 | いーよっ♪ ……どう? 違いわかる? |
ミク | うーん、言われてみれば違うかも?って感じかな。 一歌、本当によくわかったね |
一歌 | ふふ。小さい頃はよく手をつないで歩いたりしてたしね。 それでなんとなく、感覚が身についた……のかな? |
ミク | なるほど。さすが幼馴染みだね |
レン | あれ、今日はふたりなんだ? |
志歩 | うん。リズム隊の秘密特訓をするつもりだから |
レン | 秘密特訓か、なんかカッコイイじゃん |
穂波 | ふふ。ありがとう、レンくん |
穂波 | それにしても、バンドを始めてからふたりでこっそり やるようになったけど、結構続いてるなあ |
レン | へえ。ちなみに、秘密ってことは、 一歌や咲希は知らないのか? |
志歩 | んー、ふたりで練習してるのは多分知ってるんじゃない? |
穂波 | うん。そこまで頑張って隠してるわけじゃないしね |
レン | え? じゃあ、なんでまだ秘密なんだ? |
志歩 | こっそり練習して、次の合わせの時に 一歌達を驚かせたいから、かな |
レン | あはは、なるほど! それならたしかに、秘密にしておかないとね |
みのり | カイトさん、レンくん。 衣装のほつれたところを直せるって リンちゃんに聞いたんですけど、お裁縫できるんですか? |
レン | 僕はちょっとだけね。 カイトくんに教えてもらってできるようになったんだ |
KAITO | 僕も、そこまで本格的にできるわけではないよ。 ほつれたところを合わせたり、 ボタンをつけ直すくらいだしね |
みのり | それでも十分すごいです! わたしも学校の授業で、たまに裁縫するんですけど、 うまくできなくて…… |
みのり | 特にボタンは、しっかりつけなくちゃって思って、 ぴたーっと布にくっつけちゃうし |
レン | ああ、ちょっと余裕を持たせて縫わないといけないから、 あれは難しいよね |
KAITO | そうだね。でもそれなら、ちょうどいい厚さに畳んだ紙とかを ボタンと生地の間に挟んでおけば、自然と余裕を持たせられるよ |
みのり | な、なるほどー! 今度、授業でやる時、試してみます! |
みのり・MEIKO | 『う~ん……』 |
遥 | ふたりとも、どうしたの? 何か悩んでるみたいだけど…… |
MEIKO | 実は、次のライブで使う衣装の色について悩んでて、 みのりちゃんにも考えてもらっているの |
遥 | 衣装の色? |
MEIKO | ええ。わたし、つい赤系の衣装を選んでしまうことが多いの。 だから、たまには他の色を使おうって思ったんだけど…… |
遥 | まさか、どれもイメージに合わなかった……とか? |
みのり | ううん、その逆なの!! |
みのり | めーちゃん、どの色も赤に負けないくらい すっっっごく似合っちゃって! どれがいいか、全然決められないんだ~! |
遥 | ふふ。そういうことだったんだ |
遥 | それなら、私にも一緒に考えさせてほしいな。 いつもお世話になってるしね |
MEIKO | ありがとう、遥ちゃん! じゃあ、また最初の色から衣装を着てみるわ♪ |
みのり | うん! お願いしまーす! |
リン | はあ……ドレスかぁ……! |
MEIKO | ……リン、なんだか上の空って感じね |
ミク | 杏のウェディングドレス姿を見て、 自分もいつかそういう衣装を着たいんだって |
MEIKO | あら、いいわね。 きっと可愛い花嫁さんになるわ |
リン | え、ホント!? わたしも、ちゃんとドレス似合うかな? |
MEIKO | ええ、もちろん。いろんな人が いろんなデザインで作っているんだもの。 リンに似合うウェディングドレスも、きっとたくさんあるわよ |
ミク | そんなに気になるなら、 今度杏達に相談してみたらいいんじゃない? スマホで検索すれば、いろいろ出てくるだろうし |
リン | うん、そうしてみる! ありがとね、ふたりとも! |
愛莉 | あ、こはねちゃん! ちょっといいかしら? |
こはね | 愛莉先輩? どうしたんですか? |
愛莉 | 悪いんだけど、この現国の教科書をみのりに届けてくれる? |
愛莉 | あの子ったら、朝練のあとちょっと時間があるからって 予習してたんだけど、屋上を出る時に置いてっちゃったのよ |
こはね | そうなんですね。 ちょうどさっき探してたみたいだったので、渡しておきますね |
愛莉 | ありがとう。 ……まったく、本当にうっかりさんなんだから |
こはね | でも、みのりちゃん、クラスではすっごく頼りになるんですよ |
こはね | 私、入学式の日に、自分の席がわからなくて困ってたんですけど、 『一緒に探すから名前を教えて』って言ってくれて……。 それがきっかけで、友達になったんです! |
愛莉 | あら、そうだったのね! |
愛莉 | (きっと、困ってたこはねちゃんを放っておけなかったのね。 やるじゃない、みのり! さすがはアイドルよ!) |
雫 | こはねちゃんとは、お正月以外にも 何度かお話したことがあったわね |
こはね | はい。志歩ちゃんのお誕生日の時は、 おうちにも招待してくれて、本当にありがとうございました |
雫 | いいえ、私のほうこそお礼を言いたいわ |
雫 | みのりちゃんやこはねちゃんと知り合ってから、 しぃちゃん、クラスであったことを よく話してくれるようになったのよ? |
こはね | そうなんですか? |
雫 | ええ。このあいだは、こはねちゃんやみのりちゃんと一緒に 飼育委員のお手伝いをしたって聞いたわ |
こはね | あ、はい! 志歩ちゃん、小さい動物が好きって言ってたので いつか一緒にお世話したいねって話してて、 ようやくできたんです! |
雫 | ふふ。すごく楽しかったみたいよ。 話してる時の表情、とっても優しかったもの |
雫 | だから、もし委員会のお仕事の迷惑にならなければ、 また誘ってあげてほしいわ |
こはね | はい! そっか、志歩ちゃん喜んでくれてたんだ……! えへへ、よかったぁ |
愛莉 | へえ、杏ちゃんはひとりっ子なのね。 しっかりしてるから、お姉さんなのかと思ったわ |
杏 | そうですか? 愛莉さんにしっかりしてるって 言ってもらえるの、なんか嬉しいです! |
杏 | たしか、愛莉さんはきょうだいがいるんですよね? |
愛莉 | ええ。姉がひとり、妹がひとりね |
杏 | 真ん中かあ……。お姉さんでもあるし妹でもあるし、 一粒で二度美味しい感じですね! |
愛莉 | ふふ、そうね。でもせっかくなら、妹だけじゃなくて、 弟もちょっとほしかったわ |
杏 | 弟、ですか? |
愛莉 | ええ。絵名や彰人くんを見てると、 ちょっといいなあって思うのよね |
杏 | 絵名さんはともかく……彰人が弟? |
愛莉 | 杏ちゃんはチームメイトでもあるし、 そう言われてもきっとぴんとこないわよね |
杏 | はい。ああいう生意気な弟は、ちょっと…… |
愛莉 | (ふふっ、絵名とおんなじこと言ってるわ) |
雫 | あ、ここの通りは見覚えがあるわ! |
雫 | ありがとう、杏ちゃん。 行きたかったミシンラウンジに行けそうだわ |
杏 | どういたしまして! でも、大変でしたね。 いつも使ってる道が工事中だったなんて |
雫 | ええ。あの道からしか行ったことがなかったから、 ずいぶん迷っちゃって……。 本当に、杏ちゃんがとおりかかってくれて安心したわ |
杏 | ふふ、なんだか意外です。 雫さん方向おん――じゃなくて、 地図を見るのが苦手だったんですね |
雫 | そうなの。スマホでいろいろ調べようとするんだけど、 機械を使うのもちょっと苦手だから、うまくいかなくて |
雫 | ダメよね。高校生にもなってこんなんじゃ |
杏 | いえ、苦手な物は誰にでもありますし! ムリにできるようになる必要はないと思います! |
杏 | (私、トマト食べられるようになれって言われても 絶対ムリだし!) |
雫 | ふふ。ありがとう、杏ちゃん |
MEIKO | ………… |
ミク | ……メイコ、少しいい? レンが聞きたいことがあるんだって |
MEIKO | ……何? |
レン | あ、えっと……。メイコさんはまふゆちゃん達がきても ちょっと離れたところにいるけど、 どうしてなんだろうって思って…… |
MEIKO | ……あの子達が抱えているものは複雑だし、 少し距離を置いて、客観的に見るようにしているわ |
MEIKO | ミク……私がこうしている理由なら、 あなたにも説明できたでしょ? |
ミク | うん……でも、わたし達は同じセカイにいる。 だから、大事なことは直接聞くのがいいって思った |
MEIKO | …………。 それで、解決したの? |
レン | あ、う、うん……。 必要だから離れてるっていうのはわかったよ |
レン | (いつもひとりで寂しいんじゃないかって思ったけど、 そうじゃなかったんだ……。よかった) |
ルカ | こんにちは、レン。お散歩中かしら? |
レン | あ……。こ、こんにちは…… |
リン | ルカ、まだ怖がられてるみたいだよ |
レン | え? えっと…… |
ルカ | あら。リンのほうかもしれないわよ? |
リン | そんなことない。 ……レン、怖いならわたしの後ろに隠れてもいいよ |
レン | あ、その……ぼくは…… |
ルカ | いいえ。しっかり隠れたいなら、 リンより背の高い私の後ろがいいと思うわ |
リン | ……それはズルい |
ルカ | ふふふっ。仕方がないわ、事実だもの |
レン | (ミ、ミク……! ぼく、どうしたらいいの……!?) |
瑞希 | ねえねえ、ちょっと考えたんだけど、 この辺になんか目印になるような場所とか作らない? |
奏 | え、目印になるような場所? |
瑞希 | そう。ミクから聞いたんだけど、 レン、セカイに来た時、迷子になりかけてたんだって |
まふゆ | ……そうみたいだね。 私も、レンから聞いた |
絵名 | そっか……。ここ、本当に何もないし、 似たような景色がずっと続くもんね |
瑞希 | でしょ~? でも、今自分がセカイのどこにいるかわかれば、 遠くまで行っても、迷子にならなくてすむんじゃないかな? |
奏 | それで……目印になるような場所って 具体的にどうするの? |
瑞希 | ん~、休憩所っぽくするのはどう? 机とかテーブルとか持ってきてさ! |
絵名 | え……そこまでするの? それはさすがに物を持ちこみすぎじゃない? |
瑞希 | う……やっぱそう? |
まふゆ | ……休憩所はともかく、目印とか迷わないための何かが必要なら ミク達が自分でなんとかすると思う |
絵名 | 私達は、Untitledを止めれば部屋に戻れるしね |
瑞希 | ま、それもそっか |
絵名 | ごめん、わざわざこっちに来てもらっちゃって |
瑞希 | ぜ~んぜん平気だよ。 ボク、ちょうど作業のキリもよかったし |
奏 | それで、チャットで言ってた用事って? |
絵名 | 実はうちの母親が、ママ友とカヌレを作ったんだけど……。 作ってるうちに楽しくなってきたとかなんとかで、 すごい量ができちゃって…… |
絵名 | 結構、美味しくできてるから一緒に食べない? |
瑞希 | なんだそんなこと? もちろんいいよ! |
奏 | うん、わたしも。 夜ご飯代わりになりそうだし |
絵名 | 奏……食べてもらえるのは嬉しいけど、 ご飯もご飯でちゃんと食べてね? |
奏 | あ、そうだね……。 じゃあ、おやつとしてちょっとだけもらおうかな |
瑞希 | まふゆ、このあいだフェニラン行った時のアルバムができたよ! |
まふゆ | ……アルバム? |
瑞希 | うん。あの時撮った写真を集めて、 簡単なスライドショーにしてみたんだ♪ |
瑞希 | 奏と絵名にはもう見てもらったんだけど、好評だったよ~。 ねえ、ちらっとだけでも見ていかない? |
まふゆ | ……少しだけなら |
瑞希 | やったー! スマホ出すからちょっと待ってね! |
瑞希 | (ふっふっふっ。実は、フェニーくんの帽子とか ポチ公くんの耳つきカチューシャを いい感じに写真に合成してるんだよね~) |
瑞希 | (めちゃくちゃカワイくできた自信あるし、 どんな反応してくれるか、楽しみだな~) |
MEIKO | ――ミク、覚悟はいいわね |
ミク | うん。メイコ、やっちゃって! |
MEIKO | それじゃあ—— マジ高いたかぁああああああいっ! |
ミクの声 | あはははっ☆ びゅーーーーーーーんっ♪ |
MEIKO | ふふっ。久しぶりにやったけど、衰えてなくてよかったわ |
MEIKO | はい、キャッチっ♪ ミク、久しぶりのマジ高い高いはどうだった? |
ミク | すっっっっっごく楽しかった! ぼぼぼーって、雲の中まで突き抜けてくんだもんっ☆ |
MEIKO | ええ、下からも雲に穴があいていくのが見えて おもしろいのよね~ |
MEIKO | あ、でもカイトには内緒よ? 危ないからあんまりしないでって言われてるの |
ミク | うんっ♪ えへへ、ミク達だけの秘密だねっ☆ |
レン | ねえねえ、メイコ! もしかしてセカイに新しいアトラクションができたの? |
MEIKO | そんな話は聞いてないけど……。 どうしてそう思ったの? |
レン | ボク、見たんだ! ミクがすっごい勢いで空にびゅーーーんって飛んでくのを! |
MEIKO | あ……。 へ、へえ、そうなの。不思議なことがあるのね~。 ちなみにその話……他のみんなにもしたの? |
レン | さっき、カイトにしたよ! でも、何か知ってそうだったのに、何も教えてくれなくって |
MEIKO | (……バレたわね。危ないからあまりしないでって言われてた マジ高い高いをしたこと……) |
レン | あ、そういえばカイト、メイコに用事があるみたいだったよ? |
MEIKO | (やっぱりーーーっ!) |
MEIKO | あー、私やらなくちゃいけないことがあったんだったわ♪ カイトには、私は忙しいって言っておいて~ |
レン | えっ!? ちょ、ちょっと、メイコー? |
えむ | おっでかけ♪ おっでかけ♪ |
寧々 | ただ一緒に買い物行くだけなのに、そんなに嬉しいの? |
えむ | うんっ! だって、寧々ちゃんとだもん♪ |
寧々 | え……? 練習とかでほとんど毎日一緒にいるし、 別に特別なことなんてないと思うけど…… |
えむ | そんなことないよ。寧々ちゃんとはワンダーステージで たくさんお話するけど、ほとんどショーのことでしょ? |
えむ | でも遊びに行く時は、服とかご飯とか、 ショー以外のこともいっぱい話せるもんっ☆ |
えむ | だから、一緒にお出かけするたびに、 もっともっと仲良しになれる気がするんだ♪ |
寧々 | そ、そうなんだ…… |
寧々 | じゃあ……今日もいっぱい、いろんな話しないとね |
えむ | うんっ♪ |
司 | ん? 寧々、ゲームセンターにいたのか |
寧々 | うん。ちょっと早めに来て、 『ATVBS』っていうランカーを探してたの |
司 | ……ランカー? |
類 | ああ、最近すごい勢いでいろんなゲームのランキングを 塗り替えている人物がいる――と言っていたね。 その人のことかい? |
寧々 | そう。中には、断トツでニューレコード出してるのもあるし。 ひょっとしたらプロかもしれないって言ってる人もいるよ |
司 | そいつを探していたということは……。 まさか、対戦を申し込むつもりだったのか? |
寧々 | え、それはまあ……できればね。 強い人と戦うの楽しいし |
司 | ほう……人見知りの寧々がなあ |
類 | ああ。自分から探す積極性を見せるなんて、 そうさせるゲームへの情熱を褒めるべきか、 ATVBSという人の実力を褒めるべきか |
寧々 | どっちでもいいでしょ。 それより、えむまだ来ないみたいだし、 あともうちょっとだけゲームセンターのぞいてくる |
司 | ……オレもATVBSとやらが気になってきたな。 えむにゲームセンターにいるからそっちに来てくれと伝えるか |
類 | ああ、そうしようか |
寧々 | はあ……。ほんの数日いなかっただけなのに、 なんか帰ってきたって感じするかも |
司 | たしかに、すれ違ったスタッフさん達に、 思わずただいまと言いそうになったくらいだ |
えむ | あたしもみんなに、ただいまーって言っちゃった♪ |
類 | あれだけ海や自然、しかも無人島を堪能したあとだしね。 大勢の人がいる賑やかな場所に安心感を覚えるのはわかるよ |
司 | それもあるんだろうが…… |
司 | 自分が思っている以上に、ここでのショーが 当たり前の毎日になっていたんだと、改めて感じた |
寧々 | まあ実際、毎日のようにここに来て、 練習をしたり、ショーをしたりしてるしね |
類 | ああ。……こうして無事に帰ってこられたおかげで、 またみんなでショーができる |
えむ | うんっ! あ、でもお兄ちゃん達が、 今回はすごく大変だったから、 お休み期間とるのもいいかもって言ってたなあ |
寧々 | そうなんだ? でも、せっかく戻ってこれたんだし、 わたしは早く次のショーがしたいな |
えむ | おおー! 寧々ちゃん、やる気がメラメラだねっ☆ |
司 | オレも負けていられないな! では早速、ワンダーステージで次のショーについて考えるぞ! |
えむ・寧々・類 | 『おー!』 |
雫 | 愛莉ちゃーん! |
愛莉 | あら、雫にルカ? なんだか嬉しそうだけど、どうしたの? |
ルカ | 実は、と~っても素敵な衣装を見つけたの。 ほら、じゃーんっ♪ |
愛莉 | わ……! モチーフはダリアの花かしら? スカートはボリューミーだけど、上品な感じの衣装ね! |
ルカ | ええ! 愛莉ちゃんにすっごく似合うと思うんだけど、 よかったら着てみない? |
愛莉 | え、わたし? 雫やルカじゃなくて? |
雫 | うん! ね、愛莉ちゃん、着てみてほしいな? |
愛莉 | んー。こういう雰囲気の衣装は あんまり着たことないんだけど…… |
雫 | そうかもしれないけど、この衣装ならきっと似合うわ! |
ルカ | ふふ。私の素敵アイドルセンサーにもビビーんときたもの♪ |
愛莉 | 素敵アイドルセンサーって……。 なんなのそれ…… |
ルカ・雫 | 『愛莉ちゃん、おねが~い!』 |
愛莉 | はいはい。 じゃあ、ふたりのセンスを信じて着てみようかしらね |
ルカ・雫 | 『ありがとう!』 |
MEIKO | 杏ちゃん、こはねちゃん。 少しお願いがあるんだけど、いいかしら? |
杏 | はい、なんですか? |
MEIKO | 実はお店にみんなの写真を 飾りたいなって思っているの |
こはね | みんなって、もしかして私達ですか? |
MEIKO | ええ! みんなが経験したことの記念に。 ほら特に最近、キャンプをしたり、イベントをやったり、 モデルさんをやったり、いろいろあったから |
MEIKO | イメージの共有が大事っていう話もあったでしょ? だから、みんなを応援するためにも 私達も知っておきたいなって思ったの |
杏 | なるほど……! ありがとうございます、メイコさん! |
こはね | えへへ。 写真いっぱいあるので、良さそうなのを選んでみますね! |
MEIKO | ええ、お願いね! |
ミク | ねえねえ! ミク達も、わんだほーいみたいな挨拶が欲しいな♪ |
ルカ | あらぁ、いいわね~。 ……あ、わたし、ひとついいのが思い浮かんだわ |
KAITO | え、もう? どんな挨拶を思いついたんだい? |
ルカ | うふふ。それは~。 ――『おやすみなさい』よ |
KAITO | ……もしかして、それを言えば眠れるから、とか? |
ルカ | ぴんぽ~ん。カイトくん、大正解♪ |
ミク | そっか! おやすみなさいすれば、 楽しい夢がい~っぱい見られるよねっ☆ |
ルカ | ええ、そうよ。だから……おやすみなさ~い。 すー……すー…… |
ミク | じゃあミクも! おやすみなさ~い……すやぁ…… |
KAITO | えっと…… |
KAITO | 今日はショーの練習もないし、 このまま寝かせておいてあげようかな |
絵名 | 彰人って、相変わらず足速いんだね |
彰人 | それがどうしたんだよ。 コンビニなら行かねえぞ |
絵名 | は? 何も言ってないでしょ |
彰人 | いーや、顔でわかるね。 バスクチーズケーキが食べたいって言おうとしたろ |
絵名 | え…… |
彰人 | え……? |
絵名 | なんでわかったの? 顔でわかるとか、キモいんだけど |
彰人 | ……マジかよ。冗談だったのに。 つーか、やっぱパシらせる気だったんじゃねえか! |
瑞希 | わっ! 今の音、何!? 爆発!? |
類 | ――おや? 瑞希、今日は学校に来ていたんだね |
瑞希 | あ、類! 今の音、もしかしなくても類の仕業でしょ。 今度は何を爆発させたの? |
類 | まるで僕が、以前も何かを爆発させたような言いかただね。 空気圧の実験で、うっかりグラウンドを えぐってしまったことくらいしかないのに |
瑞希 | いや、それを爆発したって言うんじゃん。 ていうか、司先輩の前髪を焦がしたことあるでしょ |
類 | いやいや、あれこそ爆発というよりは 発火現象の一種で―― |
教師の声 | 神代ー! 神代はどこだー! |
瑞希 | ……とりあえず、言い訳は先生にしなよ。 じゃあ、ボクは共犯って疑われないうちに逃げ―― |
類 | ええー、まだ話の途中じゃないか。 何を爆発させたのか、興味があるんだろう? |
瑞希 | へっ? いや興味はあるけど、先生来ちゃうし……。 もう類、わかってやってるでしょ! |
類 | なんのことだい? せっかくだから、じっくり教えてあげるよ。フフフ |
絵名 | ねえねえ、奏、ルカ! この写真、見て! |
奏 | あ……これ、絵名がクレーンゲームで取ろうとしてた ペンぴょんだよね |
ルカ | あら。たしか、結局取れなかったのよね? |
絵名 | そう。でも、弟の友達が私の仇をとってくれたみたいで、 ついさっき、弟経由でもらったの |
奏 | そっか。よかったね、絵名 |
ルカ | 私もこっそりスマホからのぞいていたけれど、 本当に悔しそうだったものね |
絵名 | 何度も言うけど、絶対あのアームが悪いから! あんな弱々な設定、客に景品取らせる気ないんだってば |
絵名 | (相棒くんは、むしろそういうののほうが 燃えるみたいだけど……) |
ルカ | 取ってくれたその子に、 何かお礼をしなくちゃいけないんじゃないかしら? |
絵名 | うん。クッキーが好きらしいから、 美味しそうなのを差し入れするつもり |
絵名 | (ふふ。戻ったらペンぴょんとの自撮り、 たくさん撮っちゃおうっと) |
みのり | へえ、絵名ちゃんって、 アイドルの曲いっぱい知ってるんだね! |
絵名 | いっぱいって程じゃないよ。 私が知ってるのは、だいたい愛莉が『このグループ良かった!』 とか『この曲いい!』って教えてくれるヤツばっかりだし |
みのり | あはは。愛莉ちゃん、アイドル本当に大好きだもんね! わたしも『これ良かった!』っていうものがあったら お互いに教えあったりしてるんだ |
絵名 | そうなんだ。みのりちゃんも、勉強熱心なんだね |
みのり | えへへ。もちろん勉強っていう意味もあるけど、 やっぱり、アイドルが大好きだから! |
みのり | 好きなことを『好き』ってどどーんと胸張って言えるように、 ちゃーんと知っておきたいなって思うし! |
絵名 | 胸張って言えるように、か。 ふふっ、かっこいいね |
みのり | そ、そうかな? 愛莉ちゃんに聞かれたら 『まだ早い!』って怒られちゃうかも…… |
絵名 | ふふ、そんなことないって。 むしろ『よく言った!』って褒めてくれると思うよ |
一歌 | あ…… |
奏 | あ…… |
一歌 | 奏さん、こんにちは。 えっと……お出かけですか? |
奏 | うん。取り寄せを頼んでたCDがショップに届いたみたいで…… |
一歌 | そうなんですね |
一歌・奏 | 『…………』 |
一歌・奏 | 『あの……!』 『あの……』 |
奏 | ごめん。星乃さん、先どうぞ |
一歌 | あ、はい。えっと……もしよければ、 ついていってもいいですか? |
奏 | うん、いいよ。実は取り寄せたCD、 ミクやルカを使ってるアーティストのアルバムなんだ。 興味あるんじゃないかって思って、わたしも誘おうと思ってた |
一歌 | 本当ですか!? ありがとうございます。ぜひご一緒させてください! |
奏 | うん。じゃあ、行こうか |
一歌・奏 | (前より、ちゃんと話せるようになったかも……) |
奏 | う……やっぱり、昼はまぶしいな……。 でも、お父さんの病院に行かないと…… |
みのり | ……あれ、奏ちゃん? 奏ちゃんだ! |
奏 | あ、花里さん……。 どこかに出かけるところ? |
みのり | うん、カラオケで歌の練習をしようと思って! |
みのり | 奏ちゃんは今日もお父さんの病院? わたし全然急いでないし、必要ならまたお手伝いするよ! |
奏 | ありがとう。 でも今日は荷物少ないから、大丈夫 |
みのり | そっか、わかった! あ、今日すごく暑くなるみたいだから、 水分補給はこまめにしたほうがいいよ |
みのり | 喉が渇く前に、ちょっとずつ飲んでね。 もしどこかで具合が悪くなっちゃったら、そばにいる人に 助けてって言うんだよ? きっと助けてくれるから! |
奏 | うん、そうする。 本当にありがとう。またね |
奏 | (……やっぱり花里さんって、なんだかまぶしい人だな) |
絵名 | 幼馴染みでバンドか……。 いいね、青春って感じで |
一歌 | ふふ。バンドをやろうって提案してくれた子も、 『青春っぽいよね!』って言ってました |
絵名 | そっか。……私は夜間だし、部活にも入ってないから、 そういうのとはちょっと縁がないんだよね |
絵名 | 練習後にファミレスとか行って、わいわいご飯食べて、 おしゃべりして休みの日の約束とかしちゃったり……。 いいよね、なんか |
一歌 | でも絵名さん達も、サークルの曲ができあがるごとに ファミレスで打ち上げするんですよね。 朝比奈先輩からそう聞きました |
絵名 | ああ。たしかに、あれはあれで楽しいんだけど……。 青春ではない、かなぁ |
絵名 | (ひとり真顔で何考えてるのかわかんないうえに、 話振ってもろくにしゃべらないヤツいるしね) |
一歌 | あ、次の曲の話をしたりするって、奏さんも言ってたし……。 私がイメージする打ち上げとは全然違って、 きっともっと真面目な感じなんですね |
一歌 | すみません、なんか知った感じで話してしまって |
絵名 | え? あ、ううん、全然気にしなくていいって! |
絵名 | (もっとちゃんと説明したいけど……。 私も、なんて言ったらいいかわかんないしなぁ。 あの空気って……) |
リン | メイコ、メイコ! 聞いて! 今度、杏ちゃん達とランニング大会するんだ! |
MEIKO | ランニング大会? もしかして、こっちで? |
杏 | はい。それで、水分補給用のドリンクとか 準備したいんですけど…… |
MEIKO | そういうことなら、手伝うわよ。 どれくらい必要なの? |
杏 | ありがとうございます! えっと、参加するのは私達4人と…… |
リン | わたしと、レンとカイト! あ、レンがミクとルカを誘ってくれてるところだから、 まだ増えるかも! |
MEIKO | ふふ、まさしくランニング大会ね。 あ……大会っていうくらいだし、何か賞品とか出るの? |
杏 | 考え中です。個人戦にしちゃうと彰人がひとり勝ちしそうだし、 チーム戦も、みんなの実力がまだよくわかんないから バランスが難しくて |
リン | だから今は『楽しくいっぱい走れればいっか!』 って感じで進めてるんだ |
リン | メイコもよかったら参加してね! |
MEIKO | ありがとう、リン。 じゃあせっかくだし、前向きに考えておこうかしら |
冬弥 | そういえばこの前、白石がしてくれた話に この学校が出てきていたな |
杏 | うん。あの頃は、ここにかようことになるなんて 思ってなかったけどね |
冬弥 | やはり、思い出の場所だからこの学校を選んだのか? |
杏 | んー、それもあるけど、単純に家や店から かよいやすかったってのが大きいかも |
杏 | そういう冬弥はどうなの? 頭いいし、進学校にも入れたんじゃない? |
冬弥 | そうだな……両親が薦めてくれた学校もあったが、 もともとこの学校に決めていた。 彰人もここを受けると言っていたしな |
杏 | でも、よく冬弥のお父さん、許してくれたね |
冬弥 | 司先輩がいたからな。 先輩と同じ学校にかよいたいと言ったら許してもらえた |
杏 | ……えっ、それだけで? |
冬弥 | ああ。俺はよく知らないが、父さん達は司先輩の ご両親と知りあいで、天馬家に信頼を置いているようだからな |
冬弥 | おかげで司先輩や彰人と同じ学校にかよえて、 とても楽しい学校生活をおくれている。 天馬家のご両親に感謝しなくてはな |
杏 | ねえ、ビビッドストリートの近くに 最近できたセレクトショップって知ってる? |
彰人 | ああ、そこならオープンした次の日くらいにのぞいてきた |
杏 | お、さすがセレクトショップ店員! で、どう? いい感じだった? |
彰人 | 何をどういい感じって言うかによるが……。 まあ、オレ達が着るようなタイプじゃねえな |
彰人 | 20代後半から……まあ、30代後半くらいとか。 あと男物がメインだった |
杏 | なーんだ。ビビッドストリートに近いから、 てっきり学生向けのお店が増えるのかと思ったのに |
彰人 | 逆じゃねえ? ライバル店多いうえに、 通りから外れたところに店出すわけねえだろ |
彰人 | ま、うちの店長はいい店ができてくれたって 喜んでたけどな |
杏 | ああ、たしかに店長さんくらいの人向けのお店、 ビビッドストリートには少ないもんね |
杏 | なるほどねー、そういう人達向けのお店ってことね |
彰人 | だろうな |
こはね | 杏ちゃん、今日は買い物につきあってくれてありがとう。 おかげで可愛い練習着が買えたよ |
杏 | どういたしまして! 私も練習の時に使う服欲しかったんだ |
杏 | あ、そうだ! せっかくだし これからセカイにランニングしに行っちゃおうよ! |
こはね | え、これから? |
杏 | 思い立ったが吉日っていうじゃん? 向こうなら、家まで帰って着替えてまた来るっていう 手間も省けるし! ねっ! |
こはね | (ふふ。杏ちゃん、早く服を試してみたいのかも) |
こはね | うん! じゃあ走りに行こっか |
杏 | はーっ、楽しかったー! 久しぶりに行ったけど、やっぱゲームセンターっていいよね。 ひとつの場所で、いろんな遊びができてさ! |
冬弥 | ああ。少し前までクレーンゲームしかやってこなかったが、 いろいろなゲームに挑戦するようになってから、 楽しさが増したように思う |
こはね | ふふ。青柳くん、どのゲームも上手だったよね。 私びっくりしちゃった |
彰人 | パズル系のゲームなんかは、 ランキングにも名前がのるくらいだもんな |
冬弥 | あれは少し照れくさかったが、 みんなに考えてもらったいいプレイヤー名もあるし、 これからもいろいろなゲームを試してみようと思う |
彰人 | ま、ちょっとくらいならつきあうぞ。 パズルゲーム以外なら、いい勝負できそうなのもあったしな |
杏 | 私もー! 凪さんとやってた頃の感覚を 思いだせれば、まだまだやれそうな気がするし |
こはね | ふふ。私はゲームあんまり得意じゃないけど、 ふたりがやってた格闘ゲームは見てるだけでも すごくおもしろかったなあ |
杏 | あれね! 凪さんともよくやってたから、 あれは自信あるよ! |
杏 | 冬弥、今度やる時はぜ~ったい私が勝つからね! |
冬弥 | ああ。楽しみにしている |
レン | ……っくしゅ! |
一歌 | レン、大丈夫? |
咲希 | もしかして、風邪!? 熱は? 寒気はある? 体、だるくない!? |
レン | 落ちつけって。 ただ鼻がムズムズしただけだよ |
咲希 | 本当? それならいいけど…… |
レン | うん。っていうか、さっきの咲希、 ちょっと穂波みたいだったな |
咲希 | それって、いざという時 頼りになってしっかりしてるってこと!? |
レン | えっと、たしかにそうなんだけど…… |
一歌 | (穂波みたいな落ち着きは、ちょっとないかな……) |
KAITO | 咲希は、一歌達のことあだ名で呼んでるけど……。 穂波達はあだ名では呼ばないんだね |
穂波 | そうですね。慣れちゃったからっていうのもあるんですが、 今からあだ名で呼ぶのはちょっと恥ずかしいというか…… |
咲希 | アタシはあだ名で呼んでもらえたら嬉しいよ? ねえねえ、試しにサッキーって呼んでみて! |
穂波 | えっと、じゃあ……。 ——サッキー! |
咲希 | は~い♪ |
穂波 | わ! もう、咲希ちゃんってば |
KAITO | ふふ…… |
咲希 | じゃあ、次はカイトさんですね! はい、どーぞ! |
KAITO | ……お、俺? いや、俺は……えっと…… |
穂波 | 咲希ちゃん、カイトさん困っちゃってるよ |
咲希 | うーん、残念。 カイトさん、ごめんなさい |
KAITO | あ……ううん、俺もごめん |
KAITO | (穂波の言うとおり、 あだ名で呼ぶのって結構恥ずかしいな……) |
咲希 | レンくん、カイトさん! 楽器屋さんって興味ありますか!? |
レン | え、楽器屋さん? |
咲希 | はい! ライブハウスが一緒になってる大きなお店が 隣町にできるみたいで、今度いっちゃん達と見に行くんです! |
レン | へえ! なんかおもしろそうだな |
KAITO | ……そうだね。 ちなみに……大きいって、どれくらい? |
咲希 | えーっと……ホームページの写真を見た感じだと、 壁にギターやベースがズラーってしてて、 反対側の壁にはドラムがズラーっとしてて…… |
咲希 | 今アタシ達がいる教室、5個分くらいかな? 1階はほとんどライブハウスですけど、3階まであります! |
KAITO | すごいな……。そんなに広いってことは、 楽器の品ぞろえにも期待できそう。 ……見てみたいな |
レン | オレも! 咲希、よかったらオレ達もつれてってよ! |
咲希 | オッケー♪ えへへ、珍しい楽器とかあるのかな? アタシも楽しみ! |
穂波 | あれ、咲希ちゃんは? |
一歌 | 授業のことで質問があったみたいで、 まだ教室で先生と話してるよ |
志歩 | ふーん。咲希って、勉強にもかなり熱心だよね |
穂波 | 前、高校生のうちに、1回でもテストで満点を 取りたいって言ってたから、 実現できるように頑張ってるんだよ |
一歌 | テストで満点か……。 私、高校入ってから90点台って取ったことないかも |
志歩 | 難しいんだよね、テスト……。 一応、うち進学校だし |
志歩 | あ、でも穂波は何回か満点とってたよね |
穂波 | えっと……4回かな。 現国で1回、古文で2回、あとは数学だよ |
志歩 | すご……。私は絶対無理だな。 特に現国とか、課題の文章が古文よりも 何言ってるのかわからない時とかあるし…… |
一歌 | それ、ちょっとわかるなあ……。 ねえ、穂波。もしコツとかあったら教えてほしいな |
穂波 | ふふ、いいよ。 じゃあ今度、みんなで勉強会をやろっか |
咲希 | うっ……! 頭がぁ…… |
一歌 | わ……私も、キーンときた |
穂波 | うっ……わたしも…… |
志歩 | いいじゃん。それないと かき氷を食べてるって感じしないし |
一歌 | って言ってるけど、志歩は平気そうだね |
志歩 | うん。まだこない。 こんなに食べてるのに |
咲希 | なんでだろうね? あーん……んっ! ううー、またキーンてきたよぉ |
咲希 | ほなちゃーん、アタシのキーンを しほちゃんに飛んでけーして? |
穂波 | ふふ。じゃあ試しにやってみる? 痛いの痛いの、志歩ちゃんに飛んでけー |
志歩 | ふたりとも、高校生にもなって何を……。 んっ…… |
一歌 | え、もしかして飛んでいった? |
志歩 | 多分違うけど……なんか歯にしみた |
咲希 | ひょっとして虫歯とか!? 痛いの飛んでけしてもらう? |
志歩 | ありがと。じゃあ、一歌に飛ばしてもらおうかな? |
一歌 | え、キーンとくるのはともかく、 虫歯はちょっと…… |
咲希・穂波・志歩 | 『ふふっ』 『あははっ!』 |
KAITO | うん、いいね! 今のところ、とてもキレがあって良かったよ! |
愛莉 | ありがとう、カイトさん。 だけど、雫達と並んだ時に悪目立ちしないかしら? |
KAITO | んー……そのパートって、 愛莉ちゃんが歌うところなんだよね? |
KAITO | それなら、自然とファンの視線は愛莉ちゃんに向くだろうし、 キレのあるダンスを見られるほうが、 喜んでもらえるんじゃないかな |
愛莉 | なるほど……。今練習してる曲、 ダンスをそろえたほうが見栄えがいいから、 そこばっかり意識してたけど…… |
愛莉 | たしかに、ファンのことを考えたら ソロパートではしっかり個性を出した方がいいわね |
KAITO | もしダンスのズレが気になるなら、ソロパートは その人だけにライトが当たるようにするとか、 工夫もいろいろできると思うよ |
愛莉 | ええ、そうね。相談に乗ってくれてありがとう、カイトさん。 すっごく参考になったわ! |
KAITO | ふふ、どういたしまして。 何か困ったことがあったら、いつでも相談してね |
ルカ | ねえねえ、聞いて遥ちゃん。 最近雫ちゃんから、小さな亀さんをもらったの♪ |
ルカ | とげとげがついてて、ぷよぷよしてて…… 足で踏むと、とっても気持ちがいいのよ。 さあ、この亀さん、なんだかわかる? |
遥 | とげとげで……足で踏む、亀…… |
遥 | 亀の正体がわかったよ、ルカ。 エクササイズ用のバランスエアーパッドじゃない? |
ルカ | ぴんぽーんっ! あの説明でわかっちゃうなんて、さすがね |
ルカ | (私なんて、今の説明を雫ちゃんから聞いた時は、 亀さん踏んじゃうの!?って本当にびっくりしたもの) |
ルカ | はい、これが雫ちゃんからもらった亀さんよ |
遥 | あ……ふふ。 緑色だから、本当に亀みたいに見えるね |
ルカ | ええ、ちょっぴりかわいそうな気もするけど、 せっかくもらったんだし、大事にふみふみしていくわ |
レン | うーん。どうしよう…… |
雫 | あら? レンくん、どうかしたの? |
レン | 実は、今度めーちゃんとデュエットするんだ。 僕達、身長差があるからそこも考えて いい感じの振り付けを考えてきたんだけど…… |
レン | めーちゃん、リンともライブがあるから忙しそうで……。 考えてきた振り付け、まだ試せてないんだ |
雫 | そうだったの。それは困ったわね…… |
雫 | あ、私でよければ、力になれるかもしれないわ。 ちょうど、めーちゃんと同じくらいの身長だから |
レン | たしかに! 雫ちゃん、僕が考えてきた振り付け、 一緒にやってみてもらえるかな? 見栄えがどういう感じになるか、確認したいんだ |
雫 | ええ! もちろん協力するわ |
ルカ | ……まふゆ、ちょっといいかしら? |
まふゆ | ……何? |
ルカ | このあいだ、瑞希が『ルカにぴったりだと思う』って ペンダントをくれたんだけれど…… |
ルカ | つける時にうっかり落としてしまって、 その拍子に、ペンダントトップの石が外れて転がっていってしまったの |
まふゆ | どんなやつ? |
ルカ | 涙みたいな形の、青とピンク色が混ざったみたいな、 グラデーションが綺麗な石よ |
まふゆ | わかった。見かけたら拾っておく |
ルカ | 本当? ありがとう、まふゆ。 あ、できれば瑞希には内緒にしてね。 せっかくもらったのに、壊して失くしてしまったなんて悪いもの |
まふゆ | ……ルカも、そういうこと考えるんだね |
ルカ | あら、まふゆは私のことをなんだと思ってるのかしら? いたずらに誰かを傷つけるつもりはないのよ |
ルカ | (今回のことは、あの子の停滞を壊すこととは 何も関係ないものね) |
レン | うう……。ババ抜き、また負けた…… なんでぼくだけ勝てないんだろう |
瑞希 | ミク達とやってたのを見せてもらったけど、 レン、考えてることがすぐ顔に出ちゃうタイプみたいだね |
瑞希 | ルカみたいにジョーカーを引いても動じないようにするとか、 リンみたいに迷わず勝負するとかできたら、勝てるようになるかも |
レン | えっと……それって自分に嘘をつくっていうこと? |
瑞希 | え…… |
瑞希 | んー、そういう考え方はしたことなかったかな……。 ゲームだし、そういう駆け引きも楽しむポイントのひとつだから |
レン | 駆け引き…… |
レン | ……瑞希ちゃんは、そういうの得意? もしそうなら……ちょっと、教えてほしいな |
瑞希 | あはは……得意ではない、かな。 でも、ババ抜きに勝てるようにするくらいなら手伝えそう! |
レン | 本当? それじゃあ、お願いしようかな…… |
えむ | ねえねえ寧々ちゃん! 次にプリシ撮る時のポーズを考えてみたんだ! |
えむ | まず、右手は肘を曲げて顔の前! 左手はピシッと後ろに伸ばして―― |
えむ | シャキーンッ! 向かい風に逆らうヒーローのポーーーズっ!! |
ミク | おおー、ヒーロー! かっこいいー! |
寧々 | 最近、司と一緒に変なポーズの練習してると思ったら……。 プリシのためだったんだ |
寧々 | ……ってことは。 まさかそのポーズ、わたしもやるの? |
えむ | もっちろん! 寧々ちゃんは左側に立ってね! それで、あたしのポーズと腕も反対にするんだよ! |
寧々 | ポジションまで考えてきてるし……。 ……まあ、ブースの中なら誰にも見られないし、いいけど |
ミク | わあ! どんな写真ができるのか楽しみっ♪ 撮れたら、ミクにも絶対見せてね! |
彰人 | ああ、あの時のライブを見てくださったんですね。 ありがとうございます。 ――はい、次のライブも決まってますよ |
寧々 | (あ、東雲くんだ。相手はライブのお客さん、かな? そういう時は、あのいい人そうなほうで話すんだ) |
彰人 | ん……なんだ、草薙か。 妙にちらちら見てくるヤツがいるなと思ったら…… |
寧々 | (う……見つかった) |
彰人 | で、何か用か? |
寧々 | べ、別に用ってわけじゃなくて、 サントラのコーナー探してたら、たまたま…… |
彰人 | サントラ? ああ、それなら奥の棚に移動したみたいだぞ |
寧々 | そ、そうだったんだ。 ……ありがとう |
彰人 | おう。じゃあな |
寧々 | (……あれ。思ってたよりいい人?) |
えむ | おーい、彰人くーん! こんにちはー!! |
彰人 | あいつ……! あんな大声で…… |
彰人 | ――あ。あはは、知り合いがすみません…… |
彰人 | お前……こんなところであんな大声出すな。 周りの人達がびっくりしてただろうが |
えむ | えへへ、ごめんなさーい。 彰人くんを見つけたから、つい~ |
えむ | あたし、これからお姉ちゃんと一緒にご飯食べに行くんだっ☆ 彰人くんはお買い物? |
彰人 | ……まあ、そんなとこだ。 つーか、姉ちゃん放っておいていいのか? |
えむ | 大丈夫! 友達を見つけたって言ったら、 挨拶しておいでって! |
彰人 | ふーん。いい姉ちゃんだな |
彰人 | (……うちのとは大違いだ) |
えむ | あっ、冬弥くん! わんわん~わんだほーい!! |
冬弥 | それは……司先輩と一緒にやっているショーでの挨拶、 だったか? |
えむ | うんっ☆ みんなが笑顔になれる魔法の合言葉だよっ♪ |
えむ | 元気がない人やお顔が暗い人も、 わんだほいするとちょっとだけ笑ってくれるんだ~。 今の冬弥くんみたいに! |
冬弥 | 元気がない、暗い顔――なるほど…… |
冬弥 | すまない。もし俺がそう見えたのなら、ただの寝不足だ。 小説を読む手を止められなくて、夜更かししてしまってな |
えむ | そうだったんだ! 元気がないんじゃなくて、よかった! |
冬弥 | ああ。気にかけてくれてありがとう |
寧々 | (近道しようと思って、路地裏入ってみたけど……) |
寧々 | (う……なんかちょっと暗いし、怖い。 やっぱやめておけばよかった……) |
冬弥 | ん、草薙か? ここで会うのはめずらしいな |
寧々 | え? あっ、青柳くん |
寧々 | えっと……この辺にもゲーセンあるって聞いて、 行ってみようと思ったんだけど…… |
冬弥 | ああ、そこなら俺も知っている。 すぐ近くだが……案内は必要そうか? |
寧々 | (……道に迷ってるって思って、声かけてくれたんだ) |
寧々 | う、うん。青柳くんがよければ…… |
冬弥 | 問題ない。では行くか |
愛莉 | (ん? あれは――) |
ミク | ――はーち、きゅう、じゅう! |
雫 | もう少し強く押してもらっても大丈夫よ、ミクちゃん |
ミク | ――わっ、本当だ。 雫ちゃんって、とっても柔らかいんだね。 わたし、ほとんど背中に乗っちゃってるよ |
雫 | 柔軟は昔からしっかりやってきたから――ふ、ふふっ…… ふふふっ……! |
ミク | 雫ちゃん? どうかしたの? |
雫 | いえ、ごめんなさい。 ミクちゃんの髪の毛がくすぐったくて、つい……ふふふっ……! |
ミク | あっ! 全然、気づかなかった! ごめんね、雫ちゃん…… |
雫 | 気にしないで。それじゃあ交代しましょ。 あ、私もくすぐっちゃわないように気をつけないと |
愛莉 | (今日も平和ねえ……) |
愛莉 | (さーて、わたしもストレッチして、 今日の練習がんばろっと!) |
リン | じゃあ、いくよ! ――えいっ! |
みのり | おー! 前より高くジャンプできてる! よーし、わたしも……! |
みのり | ――えいっ! |
愛莉 | いいわね! みのりも、ジャンプ高くなってるわ! トレーニングの成果がでてるみたいね |
愛莉 | ふたりとも、第一段階は合格! 早速だけど、第二段階にいくわよ! |
みのり | だ、第二段階……! |
愛莉 | ええ。次は、空中でもしっかりポーズをキープできるように 体幹を鍛えるの |
愛莉 | わたしが作ったメニューをこなせれば、 ジャンプしながらかわいいポーズを百発百中で決められるわ! |
みのり | かわいいポーズが……! |
リン | 百発百中……! |
愛莉 | さあ、桃井式・短期集中特訓はまだ始まったばっかりよ! しっかりついてきなさい! |
みのり・リン | 『はい!』 |
MEIKO | 荷物運び、手伝ってもらっちゃって悪いわね、愛莉ちゃん |
愛莉 | 合宿の相談に乗ってもらったお礼だから、気にしないで |
愛莉 | 次はこの段ボールね……って、あれ? 段ボールの大きさのわりに、すごく軽いわ |
MEIKO | ふふ。これ、中身は風船なの。 膨らませる前のね |
愛莉 | ……風船? あ、もしかしてライブの飾り? |
MEIKO | それもあるけど~ |
MEIKO | 肺活量を鍛えるトレーニングとして、 ぜーんぶ自分達で膨らませるつもりなの♪ |
愛莉 | こ、この量を自分達で……!? |
愛莉 | (……ミク達、酸欠で倒れるんじゃない? 酸素ボンベでも差し入れしようかしら……) |
みのり | 特訓は大変だったけど、みんなで合宿できて楽しかった~! |
愛莉 | ええ。水着も新調しておいてよかったわ。 まあ、特訓をメインにしてたから、 配信では全然出番なかったけどね |
雫 | そうねえ。次にあの水着を着られる機会は いつくるかしら…… |
遥 | 配信では難しいかもしれないけど、プライベートならどう? たとえば、レジャープールに行くとか |
みのり | おー、いいかも! みんなで行きたいなぁ |
雫 | ええ、私も! 小さい頃はよく家族で遊びに行ってたけど、 もう全然行かなくなっちゃったから |
愛莉 | んー、そうね。 わたしもほとんど仕事でしか行ったことないし、 プライベートでしっかり遊んでみたいわね |
みのり | じゃあ……!! |
愛莉 | 息抜きがてら、みんなで行きましょうか |
みのり | やったー! どこのプールにする? おいしいご飯があるところがいいよね! あと遊園地も! |
愛莉 | 気が早いわね……。 まずは今日の練習をしっかりやってから! |
みのり | は、は~い…… |
遥・雫 | 『ふふっ』 |
遥 | ねえ、愛莉が合宿で作ってくれたスムージー、 ファンの子が試してくれてるみたいだよ。 ほら、SNSにもあげてくれてる |
愛莉 | え? あのワンマン成功祈願スムージー? |
愛莉 | ――本当だわ。わたしが作ったのと 材料も分量もしっかり同じにしてる |
遥 | この人は、ワンマンライブを見に行けますようにって 願掛けのために作って飲んだみたいだね |
遥 | この人以外にも、願掛けだったり、 興味がわいて作ってみたりしてる人が結構いたよ |
愛莉 | そうなのね……。でも、それなら もっとちゃんとおいしいスムージーにすればよかったわ |
遥 | ふふ、あれも意外と美味しかったけどね。 じゃあ、また料理企画とかやってみる? |
愛莉 | そうね! それまでに、健康にも美容にもよくて、 ちゃんとおいしいスムージーのレシピを考えておくわ! |
ミク | ……できた。ちょうちょ |
瑞希 | おー! ミク、すごいよ! いつの間にそんな難しそうな あやとりまでできるようになったの? |
奏 | うん、わたしもびっくりした。 手の動きも、全然迷いがなかったし |
ミク | ……いっぱい練習した。 どうしてもわからないところは、メイコに聞いた |
瑞希 | なるほどー。いい先生がいたってわけかー |
奏 | そうだね。でも、あんなに難しそうなの作れるんだから、 ミクもあやとりの先生になれそう |
ミク | ……わたしが、先生? |
瑞希 | いいじゃんいいじゃん! ボク、ちょっと教えてもらっちゃおうかな♪ |
MEIKO | ……絵名、瑞希? ふたりで寝転んで何をしているの? |
瑞希 | あー、これ? ボクのお姉ちゃんに ニーゴのみんなと撮った写真を送るんだけど、 写真をカワイくデコるの手伝ってもらってるんだ♪ |
絵名 | 最初は座ってやってたんだけど、お尻が痛くなってきちゃって。 それで、ちょっと体勢を変えてやってるところ |
瑞希 | メイコもやる? ちょうどミクがリン達を呼びに行ってくれてて、 このあと一緒にデコるんだけど…… |
MEIKO | ……私は遠慮しておくわ |
MEIKO | それにしても、手伝いが必要なほどの量の 写真を送るつもりなの? |
瑞希 | ううん、ボクひとりでも全然やれるよ。 けど、みんなでデコったほうが、手紙にもそのこと書けるし、 お姉ちゃんも喜んでくれると思って! |
MEIKO | ……たしかに、そうかもしれないわね |
瑞希 | でしょー? |
絵名 | ちょっと、そろそろ口よりも 手を動かしてほしいんだけど? |
瑞希 | はーい! |
瑞希 | あ、ルカ! よかった、探してたんだよ |
ルカ | あら、私を? |
瑞希 | そう。前にルカにあげたペンダント、 トップの飾りはずれちゃったんだって? |
ルカ | ……ええ、実はそうなの。 飾り自体は見つけたんだけれど、 繋ぎの金具がどうしても見つからなくて…… |
瑞希 | やっぱり! ミクから聞いたんだ。ルカが困ってるって |
ルカ | 誰から聞いたのかと思ったら、ミクだったのね |
瑞希 | うん。直すための金具見つけてきたから、 ちょっと預かってもいいかな? |
ルカ | ええ、もちろん。……ごめんなさいね、瑞希。 せっかくもらった物なのに、壊してしまって |
瑞希 | ルカが謝ることないよ。 もともと金具が緩かったのかもしれないしさ |
瑞希 | それに、一生懸命探してくれたっていうのも聞いたよ。 大切にしてくれてありがと、ルカ |
瑞希 | ……あれ、まふゆ? 今日土曜日なのに、学校? |
まふゆ | 部活があるから……。 瑞希は補習? |
瑞希 | そうなんだよね~。 出席日数もテストもばっちりクリアしてたんだけど、 プリントとか課題が出てないからって、呼ばれちゃってさぁ |
まふゆ | ……瑞希は、別に勉強ができないわけじゃないんだね |
瑞希 | んー、人より飲みこみは早いのかなって思うけど……。 『勉強ができる』って言えるほどの自信はないよ |
瑞希 | (ひとつ上の学年に、本物の天才がいたしね──) |
瑞希 | まふゆはどうなの? 得意な教科とかあったりする? |
まふゆ | ……これっていうのは特にないと思う。 テストでも、いつも同じくらいの点数で並ぶし |
瑞希 | へえ……。ちなみに、何点くらい? 90点台とか? |
まふゆ | うん。だいたい全部それくらい |
瑞希 | は、半分冗談だったのに……。 やっぱ、日頃からがんばってる人は違うなぁ |
絵名 | はあ……いつものファミレス、あんなに混んでるなんて……。 1時間なんて待てるわけないじゃん |
瑞希 | だねー。期間限定のフルーツパフェフェアが ちょうど今日からだったみたいだし、そのせいかも |
まふゆ | ……それで、打ち上げどうするの? |
奏 | どこか別のお店でできればいいんだけど…… |
瑞希 | あ、食事メニューが充実してるって評判のカラオケが 近くにあるけど、そこ行く? |
絵名 | ふーん、ちゃんと美味しいの? |
瑞希 | みたいだよ。さすがにメニューの数は、 いつものファミレスのほうが多いだろうけどね |
奏 | 時間ももったいないし、そこに行ってみようか |
瑞希 | やったー! ニーゴ、初めてのカラオケ打ち上げだ~♪ |
絵名 | 何それ、語呂わる |
瑞希 | 気にしなーい、気にしなーい。 はーい、皆さん! お店はこっちでーす。 ボクについてきてねー! |
ミク | ……今日は、なんだか静かだね |
MEIKO | ええ。ここしばらく、毎日のようにこはねちゃん達や カイト達が来て賑わっていたから、余計に静かに感じるわ |
MEIKO | ちょっと寂しい気もするけど、 たまにはこうやってのんびりするのもいいんじゃないかしら |
ミク | うん。……このセカイが生まれたばっかりの頃を 思いだすな |
ミク | あ……でも、リンとかレンがケンカしたりなんだりしてたから、 わりと賑やかだったっけ |
MEIKO | ふふ、そうね |
MEIKO | ミク、ちょうどふたり分のお茶菓子があるから、 テラスで紅茶でも飲みながら食べない? あ、レン達には内緒になっちゃうけど |
ミク | いいね。そうしようか |
こはね | カイトさん、今日はサンプラーについて いろいろ教えてくれてありがとうございました |
KAITO | どういたしまして。 楽しみながら聞いてくれてたし、ボクも話してて楽しかったよ |
こはね | 本当ですか? よかった……いろいろ聞いちゃってたし、 ご迷惑だったかなって心配で…… |
KAITO | あはは。そんなの全然気にしなくていいよ! |
KAITO | (なんだろう、この感じ。 久しぶりに、ちゃんと敬われてる感じする……!) |
KAITO | (ミク達、全然ボクに遠慮ないもんなあ。 ま、変に気をつかわれたら、 距離置かれたみたいで寂しいんだけどね!) |
杏 | カイトさん、頼まれてた床磨きの洗剤を持ってきましたよ |
KAITO | ありがとう、杏ちゃん! へえ、これがお父さんのカフェで使ってるやつなんだ |
杏 | はい。あと、1年に1回ワックスもかけてるんですけど、 そっちは業務用の大きいヤツしかなくて ちょっと持ってこられませんでした |
KAITO | ううん、大丈夫だよ。 そこまでしてもらうのはさすがに申し訳ないしね |
KAITO | それにほら、杏ちゃん達にはメイコをお店から 連れ出してもらうっていうのもお願いしてるし |
杏 | わかりました。じゃあ、あとは作戦どおり、 私達でメイコさんを練習に誘います! |
KAITO | そしてボクはそのあいだに、 ミク達と一緒にお店の床をピカピカにするよ! |
杏 | ふふ。メイコさん、喜んでくれるといいですね |
ルカ | ──ばぁっ!! |
彰人 | ちわっす、ルカさん |
ルカ | あ、あれ……? 全然驚いてない! もしかして、私がそこの路地にいるの気づいてた? |
彰人 | はい。服がちらちら見えてたんで |
ルカ | げっ……。もう、そういう時は気づいてないふりをして、 『わっ、びっくりしたー!』って反応してほしいなー |
彰人 | そんなこと言われても……。 つーかなんで、こんな子供みたいなことしてるんすか? |
ルカ | んー、なんでと言われても……。 彰人くんが歩いてるの見つけたから、 いたずらしようって思っただけだよ? |
彰人 | なんすかそれ…… |
ルカ | あはは! こういう遊び心はいくつになっても必要だよ。 ほら、彰人くんの周りにもいるでしょ? 遊び心を忘れない、カッコイイ大人! |
彰人 | え……。たしかに謙さんや大河さんは そういう感じありますけど…… |
ルカ | そうそう! その人達とお・な・じ♪ |
彰人 | ……絶対違います |
ルカ | ねえ、冬弥くん。私が路地に隠れて、 冬弥くんをおどかそうとしてるってわかってる状態で、 ばぁって出てきたら、どうする? |
冬弥 | そうですね……。 まず、驚いたふりをするかどうか考えると思います |
ルカ | おっ、いいね! それでそれで? |
ルカ | (冬弥くんのことだから、 驚いたふりをちゃーんとしてくれるんだろうなぁ) |
冬弥 | 驚いたふりをするかどうかを判断するために、 驚いたふりをした場合としなかった場合の シミュレーションをします |
ルカ | ……え、シミュレーション? |
冬弥 | はい。まず驚いたふりをしなかった場合ですが、 服が見えてしまっていたことをルカさんに伝えて、 驚けなかったことをなるべく正直に謝ると思います |
冬弥 | そして驚いたふりをした場合ですが……。 俺がちゃんと演技できるかどうかが成否のわかれ目ですね |
冬弥 | 司先輩のように高い演技力があればいいんだが……。 俺のように人生経験が人より乏しい人間が、 真実味を帯びた言葉を伝えられるかというと── |
ルカ | あはは……冬弥くん、その……。 おバカなこと聞いちゃって、ほんとごめんね? |
リン | あ、いたいたー! しほっちー! またみんなで『すっぱっぱデラックス』やるよー! |
志歩 | え? あの当たり以外は全部、めちゃくちゃすっぱいガム? |
リン | うん! サッキーがまた買ってきてくれたんだ♪ |
リン | この前は、取った人から順番に食べていくルールだったけど、 今度はいっせいにみんなで食べるんだって! |
志歩 | あー……。トップバッターだった咲希が、 すっぱくないやつを1発で引いちゃって、 あとの全員、すっぱいやつ確定しちゃったからね |
リン | そうそう! それで、ルールを変えてリベンジするんだって♪ |
志歩 | 当たりを引いた人がリベンジっていうのも、おかしいけどね。 ――で、私も参加させられるわけ? |
リン | ダメ? やろうよー、しほっちー! ミクぴょんやルカ姉も、やるって言ってくれてたよ! |
志歩 | ……しょうがないな。 どこの教室に行けばいいの? |
リン | やってくれるの!? やったー! じゃあじゃあ、あたしについてきて! |
志歩 | はいはい |
志歩 | ルカさん、集中特訓引き受けてくれて ありがとうございました |
ルカ | ふふ、いいのよ。 みんなに頼ってもらえて、ミク達もすごく嬉しそうだったわ |
ルカ | もちろん、私もね |
一歌 | 本当? 今までも練習は見てもらってたけど、 毎日、しかも結構長い時間もらっちゃって、 ルカ達自身の練習時間、かなり削っちゃったよね |
ルカ | あら。そんなこと気にしなくて大丈夫よ |
ルカ | 休憩時間にも、いろいろな話ができて楽しかったわ。 たとえば一歌と志歩について…… |
志歩 | ……え。なんですか? |
ルカ | ……やめておくわ。咲希と穂波に怒られてしまうもの |
一歌 | ふたりから、私達について何か聞いたの? |
ルカ | ふふ。 さあ、今日も練習頑張りましょ |
志歩 | ちょっと待ってください、ルカさん! 気になるんですけど! |
KAITO | ……咲希って、いろいろなお菓子を知ってるよね。 ライブの打ち上げをやると、 毎回、見たことないお菓子があってびっくりする…… |
咲希 | えへへ。せっかくだから、 みんなにこっちのお菓子をいろいろ試してみてほしくて! |
志歩 | とか言って、自分が食べたいお菓子も入れてそうだけどね |
咲希 | ぎく……。お、おもしろそうだなぁ、 どんな味なのかなーって思ったのは、たま~に入れてるけど…… |
志歩 | やっぱり…… |
KAITO | ……俺は、それでいいと思う。 咲希が食べてみたいお菓子なら、 きっと、リンやミクは興味を持つと思う…… |
咲希 | 本当ですか!? やったー! じゃあ、また試してみたいお菓子持ってきちゃおーっと♪ |
志歩 | まったく……。 カイトさん、別に甘やかさなくてもいいんですよ? |
KAITO | ……そういうわけじゃないよ。 本当のことだから |
志歩 | そうですか? なら、いいんですけど…… |
MEIKO | そういえば集中特訓のあいだ、 結局、みんな泊まっていかなかったね |
MEIKO | リンがパジャマパーティーしたかった~って ちょっと残念がってたよ |
志歩 | 咲希も最初はすごくやりたそうにしてました。 けど……特訓が始まってからは一度も言ってないかも…… |
穂波 | 特訓する前、志歩ちゃんに本気の演奏をしてもらうために、 『お遊び気分は封印して、練習に集中!』って決めたみたい |
志歩 | ……そうだったんだ |
穂波 | ……ねえ、志歩ちゃん |
穂波 | わたし、咲希ちゃんやリンちゃんのために お泊まり会をやってみたいなって 思ってるんだけど……どうかな? |
志歩 | ……いいんじゃない? 今回のライブは、 今までなかったくらい、みんなにすごく頑張ってもらったし。 それくらいのご褒美はないとね |
MEIKO | いいね! じゃあ、志歩のお墨付きって言って、 みんなを誘おうか |
穂波 | はい! |
志歩 | お墨付きって……。 ま、いっか |
志歩 | あ、珍しい。一歌も今日はお弁当なんだね |
穂波 | さっきわたし達も お弁当でおそろいだねっていう話をしてたの |
咲希 | おおー! アタシもお弁当だから、 今日は全員『ランチ』だね♪ |
一歌 | え? お昼に食べるんだから、 もともとランチだと思うけど…… |
咲希 | お兄ちゃんがね! 『お弁当の日は、より特別感を味わえるからな!』 って言って、よくお弁当のことをランチって呼んでるんだ♪ |
志歩 | 相変わらず変なところにこだわるね、司さん |
一歌 | でも、お弁当がなんだか特別に感じる っていうのはわかるなぁ |
一歌 | 私も、お母さんから渡された時、 『今日はお弁当だ、やった!』って嬉しかったし |
穂波 | ふふ。今の『やった!』って言ってる一歌ちゃん、 可愛かったよ |
一歌 | えっ! |
志歩 | 焼きそばパンと同じくらいテンション上がってたかもね |
一歌 | も、もう……。 そうやってすぐ焼きそばパンを出す…… |
一歌 | それより、ご飯を食べる場所を探さないと、 他の人に取られちゃうよ |
咲希 | あははっ。じゃあ場所取りにレッツゴー! |
穂波 | レンくん、頼まれてたスケッチブック持ってきたよ。 よいしょっと…… |
レン | おおー、これこれ! この特大サイズのが欲しかったんだよ! |
レン | ありがとな、穂波。こっちにあればよかったんだけど、 ここまで大きいのはなくって |
穂波 | どういたしまして |
穂波 | それにしても、こんなに大きなサイズの スケッチブックがあるなんて初めて知ったなあ |
レン | オレも、ルカに教えてもらって知ったんだけど、 実際どれくらいの大きさなんだろうって思ってたんだ |
レン | そしたらまさか、子供が隠れられるくらい でかいなんてな! |
穂波 | ふふっ、もう何を描くか決まってるの? |
レン | ああ、屋上の星空にチャレンジしてみるつもりなんだ。 すごく綺麗だし、描きがいもありそうだしさ |
穂波 | わあ、いいね! できあがったら、見せてもらってもいいかな? |
レン | もちろん。買い物を引き受けてくれたお礼もしたいし |
穂波 | ありがとう! 楽しみにしてるね |
えむ | 穂波ちゃん、穂波ちゃん! 今日の美術の授業、絵を描くんだって! 楽しみだねっ☆ |
穂波 | ふふ、そうだね |
穂波 | (今までは、美術の授業あんまり好きじゃなかったし、 楽しみでもなかったな。でも……) |
えむ | ……穂波ちゃん? もしかして、美術のお絵描きはまだ好きじゃない? |
穂波 | あ、ううん。そんなことないよ。 最近、ちょっとだけ好きになれてきたような気がするから |
えむ | 本当!? よかった~っ! |
えむ | じゃあ、絵ができたら見せあいっこしようねっ♪ |
穂波 | うん! |
絵名 | はあ、授業めんどくさ……ん? あれは…… |
えむ | あ、絵名さんだー! こんにちはー! |
絵名 | えむちゃん!? ここ、神高だよ? |
えむ | はいっ☆ 一緒にショーをやってる友達に会いに来ましたー! |
絵名 | そ、そうなんだ。 でも、そういう時って門のところで待ち合わせするような…… |
絵名 | (でも周りの人達、全然驚いてない。 実は、他にもよその学校の人がよく出入りしてるとか?) |
えむ | 絵名さん、よかったらまたあたし達のショー 見に来てくださいね! それではー! |
絵名 | うん。……って、校舎の中にまで入って行っちゃった! ——けど、誰も何も言わない……? |
絵名 | ……ってことは、私の気にしすぎかな。 教室行こーっと |
穂波 | 絵名さん、このあいだ絵を教えてもらったお礼に、 アップルパイを焼いてきました。 よかったら、召し上がってください |
絵名 | わあ、ありがとう! 奏が『作ってもらうご飯、どれも美味しい』って、 よく言ってるから、楽しみにしてたんだ |
穂波 | そんな……好きでいろいろやってるうちに、 身についただけなので…… |
絵名 | 謙遜することないじゃん。 奏の栄養バランスとかも考えてくれてるんでしょ? |
絵名 | うちのお母さんも、 そういうの気をつかってくれてるほうだと思うけど…… |
絵名 | 最近、2日前とまったく同じ献立の時とかあったなあ。 あれってなんでだと思う? やっぱ面倒くさいとか、それとも忘れてるだけなのかな? |
穂波 | うーん。栄養バランスを考えてくださっている お母さまなんですよね…… |
穂波 | 想像になっちゃうんですけど……。 『昨日はお魚で一昨日はお肉だったから』って 考えているうちに、全然違う家事を始めちゃって—— |
穂波 | 『晩ご飯のおかず何考えてたっけ……そうだお肉だ』って、 直前まで考えていた物にしちゃったのかもしれませんね |
絵名 | あー、なるほど。 うちのお母さん、結構ながら作業してるしなぁ |
絵名 | (ていうか、穂波ちゃん……。 そんな想像ができるなんて、もうお母さんじゃん) |
絵名 | あ、えむちゃんに穂波ちゃん! ふたりとも学校終わったんだね |
えむ | はい! それでこれから、新しくできたカフェの アップルパイを食べに行くんですっ☆ |
えむ | アップルパイにアイスがのってて、 熱々冷え冷えの甘々とっろとろ~だそうでーす! |
絵名 | わ、いいなぁ。 はあ……学校なんて面倒くさいし、サボっちゃおうかな |
穂波 | それって、大丈夫なんですか? |
絵名 | ううん、大丈夫じゃない。 でも興味あるし、よかったらその店について教えてくれない? |
絵名 | (暇な時に、誰か誘って行けば——) |
えむ | ……穂波ちゃん! アップルパイ、また今度じゃダメかな! |
絵名 | え…… |
穂波 | うん。わたしもそうできないかなって思ってたんだ |
穂波 | 絵名さん。よかったら、今度3人でそのお店に行きませんか? |
絵名 | そ、そんな気をつかわなくてもいいのに…… |
えむ | いえ! あたし達が、絵名さんと一緒に行きたいんですっ☆ |
絵名 | ……そう? じゃあ、予定が合う日に3人で行こうか |
穂波・えむ | 『はい!』 |
冬弥 | カイトさんがミックスした曲は、どれも聴きごたえがありますね。 それに、聴いていると自然とリズムを刻みたくなります |
KAITO | あはは。曲を通じて観客を盛り上げて、 熱い空気を作っていくのがDJの役目だからね |
ミク | カイトがいい感じにノリや空気を作ってくれるのは 私も認めるけど、洗い物をしてる時に聴くのは やめたほうがいいかもね |
冬弥 | ん? どうしてだ? |
ミク | このあいだ、どっかの誰かさんが 曲をかけてノリノリでお皿を洗ってたんだけど、 洗い終わったあとの床が泡まみれのびちゃびちゃでさ |
KAITO | あ、あはは……。 ちょっとはしゃぎすぎちゃったかなぁ |
ミク | ちょっと? 床掃除、誰が手伝ったんだっけ? |
KAITO | う……その節はどうもすみませんでした |
冬弥 | ふふ…… |
冬弥 | (そんなにノれてしまうミックスがあるなら、 次はそれを聴いてみたいな) |
冬弥 | 白石、この前頼まれたラップの英語部分の確認が 終わったんだが—— |
杏 | う、うん……。どうだった? |
冬弥 | 調整してもらったところも問題なかった。 これでいけそうだ |
杏 | ほんと!? やったー! 直すの1回で済んだのすごくない!? |
冬弥 | ああ。特に今回はつづりのミスや熟語の誤用もなくて、 指摘する場所もかなり少なかった |
冬弥 | 頑張ったな、白石 |
杏 | でしょでしょー! かっこいいリリックにしたくて、 教科書や辞書とにらめっこして頑張ったんだから! |
杏 | ふふ。彰人とこはねにもねぎらってもらわないとねー! |
冬弥 | (……テストの時にも これくらいの情熱があればいいんだが) |
こはね | 昨日のミュージックランド、見たよ! 『日本が誇るクラシック音楽家』って 青柳くんのお父さんが特集されててびっくりしちゃった |
冬弥 | そうらしいな。学校で彰人から聞いた |
こはね | あれ? 青柳くん、もしかして知らなかったの? |
冬弥 | いや、テレビで取り上げられることは知っていた。 2カ月ほど前、取材クルーの人達が家にも来ていたしな |
冬弥 | 俺はすっかり忘れてしまっていたが、 母さんが録画しているだろうから、家に帰ったら見てみようと思う |
こはね | うん! ……ふふ。大切な人のかっこいい姿を 青柳くんのお母さんも残しておきたかったのかな? |
冬弥 | そうかもしれないな |
冬弥 | (……母さんが家にいたら、一緒に見ないか誘ってみるか) |
彰人 | ……冬弥、お前か? オレがパンケーキ好きだって遠野に言ったの |
冬弥 | ん? 話した記憶はないが……。 ——あ、颯真さんには言ったな |
冬弥 | 今度、病院にお邪魔する時にお見舞いの品をと思って、 好きな物を聞いたんだが、そこから話が弾んでな |
彰人 | ふーん。それでか…… |
冬弥 | ……ダメ、だっただろうか? 嫌いな物はともかく、 好きな物の話なら大丈夫かと思ってしまったんだが…… |
彰人 | 別にダメじゃねえよ。ただ、急に遠野が ファミレスの『パフェ&パンケーキフェア』に行かないかって 誘ってきたから、ちょっと気になっただけだ |
冬弥 | 俺にもきていた。——颯真さんから聞いた話だと、 遠野さんは甘党仲間が周りにいなくて、よくすねているらしい。 だから、仲間がいると知ってさっそく誘ってくれたんだろう |
彰人 | あいつなら女子ばっかの店でも、 食べたい物があったらひとりで行きそうだけどな |
冬弥 | そうかもしれないが、ひとりで食べるよりも 仲間と食べるほうが美味しく感じるんだろう |
冬弥 | 三田も来るようだし、俺達も行かないか? 仲間として、より親睦を深めるいい機会だ |
彰人 | ……ったく、しょうがねえな。 1回くらい、つきあってやるか |
杏 | ねえねえ! 次のイベントは、 出るみんなで衣装も合わせてくってのはどう? |
冬弥 | ……なるほど。同じテーマで新曲も用意しているし、 なくはない案かもしれない |
杏 | 杏だけにね~ |
こはね | ふふっ。杏ちゃん、上手! |
彰人 | くだらねえこと言ってねえで、 衣装新調したいなら真面目に考えろ |
冬弥 | ちなみに、彰人はどう思うんだ? 他のチームのみんなとも衣装を合わせるというのは |
彰人 | ねえな。同じテーマの新曲っつっても、 それぞれのチームカラーがかなり出てるからな。 変に合わせずに自分達のカラーを活かしたほうがいいと思うぞ |
冬弥 | なるほど…… |
こはね | ふふ。じゃあ、ちょっとずつみんなで色を持ち寄って カラフルにするのがイベントっていうことなのかな? |
彰人 | かもな。 ——ほら、衣装どうするか考えるぞ |
こはね・杏・冬弥 | 『はーい!』 『ああ』 |
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